クーラントホース

クーラントホースとは

クーラントホース

クーラントホースとは、主に金属加工のうち切削加工において、クーラント液を切削部位に供給するために使われるホースです。

クーラント液は切削加工において重要な役割を担っており、クーラントホースも切削加工に欠かせません。また、クーラントホースで供給されるものはクーラント液以外に、工業用水、鉱物油、油などもあります。

クーラントホースは切削部位に対して、適切な位置からクーラント液を供給できるように、自由自在に形状を変えることが可能です。さらにホースを曲げてホース全体の形状を変化させても内径は変わらず、クーラントの流量が変化することはありません。複数のピースでホースを形成しており、ピースは追加や取り外しが可能です。

クーラントホースの使用用途

クーラントホースは主に、金属の切削加工機械で使われています。マシニングセンタなど、切削油を与えながら加工するほとんどの機械に必要な部品です。

切削加工機械において、クーラント液を供給する方法は大きく分けて、外部給油方式と内部給油方式の2つです。このうちクーラントホースは、外部給油方式で使われます。

なお、内部給油方式は中空構造の切削工具の中空穴からクーラント液を供給するセンタースルー方式や、工具近傍の経路からクーラント液を供給するサイドスルー方式があります。

クーラントホースの原理

一般的な樹脂製のクーラントホースは、複数のピース部品からできています。それぞれのピース部品を結合させることによってホースとなります。

ただし、両端に取り付けられているのはそれぞれ機械への接続部品と、吹き出し口になる部品です。また、所々に特定のジョイントコネクタを装着することで流量をコントロールできる仕様のものもあります。

各ピース部品はホース形状が自由自在に変化できるようなジョイント構造になっています。お互いのはめあいによってホース形状を自由に変えながらも、切削加工中にはホース形状を保たなければなりません。

ホース形状が変わると、クーラント液を切削部位に供給できなくなってしまうからです。また、それぞれのピース部品はホース形状が変わっても、ホースの内径は変化しない形状になっています。

クーラント液のその他情報

1. クーラント液の効果

切削加工におけるクーラント液には大きく分けて冷却、潤滑、洗浄、防錆の効果があります。

冷却効果
まず冷却効果は、切削加工で生じる発熱を抑えます。加工する部品がステンレス鋼など熱伝導率が低い金属の場合、切削加工中に熱が逃げず高温となり、焼け、ひずみや反りが発生しやすくなります。

クーラント液による冷却が重要です。他にも工具の熱変形を抑え、工具寿命を伸ばし、加工精度も安定します。

潤滑効果
潤滑効果は加工の抵抗力を抑え、工具の摩耗も低減させることによって、工具寿命を伸ばします。さらに構成刃先という切削で除去された切粉が工具の刃先に溶着し、刃先の一部になってしまう現象も防ぎます。

洗浄効果
洗浄効果は、切削による切粉を洗い流します。さらにクーラント液よりも粘度の高い切削油であれば、切粉の飛散も防ぎます。

防錆効果
クーラント液は加工機械の加工部分の部品の錆を防ぐ効果もあります。クーラント液が金属部品の表面を覆うことによって空気と部品とを遮断し、錆の進行を抑制します。

クーラント液が以上の効果を発揮するために、切削加工においてクーラントホースは重要な部品です。

2. クーラントホースの材質

クーラントホースの多くは樹脂製で、ポリアセタール樹脂が用いられています。ポリアセタール樹脂が選ばれているのは、クーラント液には油成分が含まれているからです。

クーラントホースの多くは樹脂製ですが、ステンレス製もあります。一般的にクーラント液は水溶性ですが、ステンレス製のクーラントホースなら、主に油性の切削油や薬品にも強く、ホース自体の強度もあるため、長期使用が可能です。

参考文献
http://www.mst-corp.co.jp/locline/
https://www.sandvik.coromant.com

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