はつり工具

はつり工具とは

はつり工具

はつり工具とは、コンクリート・石材の粉砕や、塗膜・タイルの床・錆・接着剤などを剥がしたり、木を彫刻するための工具です。

はつり (斫り) とはコンクリートや石材の壁などの建設物を粉砕する工事作業のことで、主に人手での作業を指します。はつり工具は、電動ハンマー、はつりハンマー、コンクリートブレイカーなどとも呼ばれます。電動剥離機は超高速の微小振動で粉塵が少なく、下地を傷めずに剥離や除去作業が可能です。電動彫刻機は彫刻ができる工具で、モーター内蔵型と軽いタイプのモーター別置型があります。

はつり工具の使用用途

はつり工具は人手で「はつる」作業用に用いる工具であるため、その使用用途は多岐に渡ります。

建築構造物や道路などの工事現場におけるコンクリートや石材、外壁の粉砕が、はつり工具の最も多い用途です。ただし工事の規模や粉砕する対象物によっては、よりパワーが必要な建機を活用する場合も多いです。

彫刻やタイル外壁の補修など、細かいはつり作業のための工具としての用途もあります。この場合は電動式のドリルが最も良く活用されています。日曜大工向けの電動ドリル工具もこの用途で用いられます。

はつり工具の原理

はつり工具を用いた加工対象物の剥離のさせ方には、ドリルなど工具先端の刃先の振動や打撃、回転の与え方が関わっています。一般に電動式は振動の周波数やドリルの回転数を広範囲に制御することに長けており、人手の作業で適した出力を得やすいため、電動式のはつり工具が多く存在します。

飛散する粉塵を削減したい場合には、振動数をあげたり刃先を対象物に押し付ける工法が効果的ですが、そのために必要な電力確保にはAC電源が良く活用されます。持ち運びに便利な電池式の充電タイプも多くあります。

はつりの工法としては、回転や振動以外に打撃で穴をあける場合も多いです。繊細な作業とコンクリート塊の粉砕などの比較的パワーが必要な作業とで、工具は使い分けられています。

はつり工具の種類

はつり工具の代表的な種類を以下で解説します。

1. 電動剝離機

電動剥離機は超高速の微小振動で剥離する工具です。粉塵が少なく、下地を傷めずに塗膜やタイル、さび、接着剤などの剥離や除去作業を実施したい場合に良く使用されます。専用の替刃を使うことにより、ビルの外壁など広範囲に利用することができます。ただし下地 (鉄かコンクリートか等) の確認が重要です。

2. 電動木彫機

電動木彫機は、振動する刃先を押し付けると彫刻できる工具です。飛び散りがなく、金属やガラス、木材、プラスチックなどの材質に彫刻が可能です。切れ味が悪い場合故障の原因になるため、刃先の状態には注意する必要があります。

3. たがねとチゼル

広義のはつり工具には、たがねやチゼルも含まれます。鋼鉄製の古くから用いられている鑿の工具です。チゼルの先端は尖った板状であり、刃の反対方向をハンマーで打ち付けて使用します。コンクリートなどの構造物に使用可能なものと、木材など比較的柔らかい構造物に使用可能なものに区分されているため、用いる工具の仕様には注意が必要です。

はつり工具のその他情報

1. コンクリートブレーカー

電動式ハンディタイプのドリルや打撃ではつり作業を行えないような、広範囲かつ厚みの厚い構造物を粉砕する場合には、コンクリートブレーカーと呼ばれる工具が用いられています。

コンクリートブレーカーはその名の通りコンクリートを破壊するための工具であり、粉砕のための大きなパワーを得るために、エアーホースでコンプレッサーからの空気を送って動作する工具です。道路工事で比較的多く用いられますが、エアーコンプレッサーやエアーホースなど現場に持ち込まないといけない備品も多いです。

より大規模なコンクリート粉砕には、ショベルカーやバックボウと呼ばれる専用の建機が用いられます。人手でのはつり作業の範疇外であるため、一般にははつり工具とは呼ばれません。

2. シュミットハンマー

コンクリートブレーカーと対比される用語に「シュミットハンマー」があります。シュミットハンマーはコンクリートハンマーとも称されますが、用途がコンクリートブレーカーと異なります。

シュミットハンマーはコンクリートの強度を計測するための工具です。内蔵されているばねの力で構造物 (コンクリート) の表面を打撃し、その反発係数を利用してコンクリートの圧縮強度を計測します。非破壊で対象となる構造物の強度を解析可能であることから、建築現場や土木現場で広く用いられている構造物の強度品質の試験解析用工具です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_processing/T0700000000/T0730000000/
https://www.monotaro.com/s/c-21932/
https://www.bildy.jp/mag/hammerdrill-guide/
https://diytools1.com/2016/06/30/post-15653/#i-3

小型クーラー

小型クーラーとは

小型クーラー

小型クーラーとは、スポットエアコンやスポットクーラーと呼ばれるコンパクトな冷風機です。

小型クーラーはエアコンの構造と大きな違いはありませんが、内部の結露した水を自動で排出することができないので、本体内のタンクにたまった水を手動で捨てる必要があります。また、クーラーなので温風は出ません。

機能としては、電源オンオフ、弱・中・大の切り替えがあるだけです。なお、混同されがちなものに冷風扇がありますが、これは水や氷の気化熱を利用して冷やす装置なので、原理も効果もクーラーとは異なります。

小型クーラーの使用用途

小型クーラーは、工場や倉庫などの広い空間にいる従業員に対して、ピンポイントに冷風を送る際に使用されています。近年、日本の夏はとても暑いので、熱中症対策にも有効です。

工場や倉庫などの広い空間以外にも、庭やガレージ、屋外作業、ゴルフの練習場などの屋外での休憩時にも使用されています。ただし、部屋全体を冷やしたいときには向いていません。ピンポイントで冷風を送りたいときに効果を発揮します。

どうしても部屋全体を冷やしたい場合は、工場扇などの大型の扇風機の後ろに風をあて、首振り機能を使用して冷風を拡散させる方法がおすすめです。

小型クーラーの原理

小型クーラーは、エアコンと同様でコンプレッサ熱交換器を備えています。空気を吸い込み、内部で冷却した冷風を排出すると同時に、冷却の際の熱風を排出する装置です。冷風は局所的に排出されますが、同時に排出される熱風を室外に排出しなければ、部屋の中で熱風と冷風が混じってしまいます。

そのため、熱風を外へ排出する専用のダクトが付いているものもあります。前述した通り、冷却器から発生する水 (ドレン水) を外へ排出する仕組みがないため、定期的に手動で捨てなければなりません。

冷却器から発生した水は、本体に備え付けられたタンクに溜まっていきます。タンクがいっぱいなると自動的に停止するものや、ドレン水を捨てずに蒸発させて、排気とともに放出する機能がついている装置もあります。

通常のエアコンは電力の消費が大きいので、あまり電力が使えない場所にも小型クーラーは有効です。ただし、小型クーラーといえども消費電力は少なくはないので、複数個所で同時に使用すると、ブレーカーが上がってしまう可能性もあります。

小型クーラーの選び方

小型クーラーというと業務用を思い浮かべますが、最近では家庭用の小型クーラーも増えてきています。さまざまな種類があるため、選定する際は下記のポイントを確認する必要があります。

1. 冷房能力

クーラーの場合、kw  (キロワット) が能力を表す単位です。高いほどパワーがあり、冷房能力があることを示します。一般的なルームエアコン (6畳用) で2.2kwです。

業務用として使用するのであれば2.5kw、家庭用であれば2.0kw以下が目安となります。

2. 電源

電源は100Vか200Vになります。家庭用やそこまで大型でないものであれば、差込口が一般的な100V用がおすすめです。また、工場や倉庫で使用し、動力 (三相200V) を導入している場合も、100Vのものの方が消費電力も抑えられ、冷房効率が高くなります。

3. 吹き出し口の数

家庭用では吹き出し口の箇所数は1つですが、業務用小型クーラーの場合、1~3つあるものもあります。1つしかないタイプでも、ダクトを分岐させるオプションがあります。吹き出し口が多いと複数人で使用できますが、吹き出す風量は弱まる点に注意が必要です。

4. 使用環境

スポットクーラーというと小型のものをイメージしますが、最近では大型のタイプも増えてきました。高速道路のサービスエリアや屋外イベントなど、人が密集する場所で活用されています。

使用環境によっては小型クーラーの効果を発揮できない場合もあるため、注意が必要です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0476.html
https://www.meltec.co.jp/museum/air/index.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/648/

ニトリルゴム手袋

ニトリルゴム手袋とは

ニトリルゴム手袋

ニトリルゴム手袋とは、ニトリルゴムで作られた手袋です。

合成ゴム手袋とも呼ばれます。ラテックスによるアレルギーを引き起こさないため、天然ゴム手袋を使えない方でも使用可能です。ニトリルゴム手袋は手にフィットしやすいため、細かな作業で用いられます。

また、天然ゴム手袋などに比べて有機溶媒に対する耐久性が高く、油と接触する作業にも最適です。その他、ニトリルゴム手袋は強度にも優れています。一方で、伸縮性がそこまで高くないため、伸ばすと千切れる可能性があります。

ニトリルゴム手袋の使用用途

ニトリルゴム手袋は、掃除・医療一般作業 (未滅菌可の作業に限る) ・油作業・塗装・科学実験などの細かな作業に用いられます。有機溶媒に対する耐性や手袋の強度が高いため、製造現場やメッキ作業、油を取り扱う作業、機械の整備作業でも、使われます。

その他、手先を使った細かな作業に向いているという点、塩化ビニール手袋とは異なり手袋からの添加剤の混入リスクが低いという点から、食品業界でもニトリルゴム手袋は使用されています。

ニトリルゴム手袋の原理

ニトリルゴム手袋の材質であるニトリルゴムは、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンの共重合から作られる汎用的なゴムです。天然ゴムのように、ラテックスが含まれていないため、ラテックスアレルギーの方でも使えます。

ただし、低温で柔軟性を失って固くなり、破損しやすくなるのが欠点です。気温の低い屋外での長時間の作業や低温下でのニトリルゴム手袋の保管は、劣化を促進させるため望ましくありません。

また、ニトリルゴム手袋は、一般的な有機溶媒ならびに酸やアルカリに対する耐性はありますが、アセトンなどのケトン類やテトラヒドロフランなどのエーテル類には耐性がないです。耐性が低い有機溶媒に接触したニトリルゴム手袋は千切れやすくなるため、万が一破損したらすぐに手袋を交換する必要があります。

ニトリルゴム手袋のその他情報

1. 食品衛生法

ニトリルゴム手袋は原料にフタル酸エステル類を含有していないため、食品衛生法における食品、添加物等の規格基準を満たしています。フタル酸エステル類は、生殖毒性など人体への有害性が指摘されている物質です。日本だけでなく諸外国でも使用が制限されています。

厚生労働省が定めたフタル酸エステル類は、フタル酸ジ-n-ブチル (DBP) 、フタル酸ビス (2-エチルヘキシル) (DEHP) 、フタル酸ベンジルブチル (BBP) 、フタル酸ジイソデシル (DIDP) 、フタル酸ジイソノニル (DINP) 、フタル酸ジ-n-オクチル (DNOP) の6物質です。

また、ニトリルゴム手袋は青い製品が多く販売されています。食品調理にニトリルゴム手袋を使用する際、食品への手袋混入に気づきやすくするためです。

2. パウダーフリーのニトリルゴム手袋

ニトリルゴム手袋などの手袋製品には、着脱を円滑に行うためのパウダーが塗布されているものがあります。パウダーの成分は、タルクと呼ばれる含水ケイ酸マグネシウムの粉や、コーンスターチ (とうもろこしなどから得られるデンプン) を原料とする粉末です。皮膚に付着したパウダーは、稀に皮膚炎やアレルギーを誘発する恐れがあるため、パウダーフリー手袋への移行が進められています。

2016年12月、厚生労働省はパウダー付き医療用手袋の取り扱い方法に関する通知を公開しました。通知では、2017年3月までに、医療用途のパウダー付き手袋をパウダーフリー手袋に切り替えるよう促しています。また、手術中にパウダー付き手袋を使用すると、肉芽腫や術後の癒着を引き起こすおそれがあるので、リスクを熟慮した上で使用を検討するよう記載されています。

3. ニトリルゴムによる遅発性アレルギー

ニトリルゴムは遅発性アレルギーである、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性があります。接触してから数時間〜数日間後に発症しやすく、症状は痒みを伴う湿疹、紅斑、浮腫、漿液性丘疹、乾燥、亀裂、手荒れなどです。原因物質は加硫促進剤と老化防止剤であると言われています。

ラボジャッキ

ラボジャッキとは

ラボジャッキ

ラボジャッキとは台の上に器具を固定するために使用する実験室必需品です。机上にて固定したスタンドにクランプで試験管やフラスコを固定し、下からそれらを固定の目的で使用します。ラボジャッキの天板は多くの場合ステンレスをはじめとした腐食に強い金属、あるいはプラスチック、滑り止め効果が高いシリコンゴムでできています。移動機構部は多くの場合金属で、メンテナンスとしてこの部分にホコリや繊維が絡みつかないよう掃除をし、油を挿す必要があります。

ラボジャッキの使用用途

ラボジャッキは、多くの場合、スタンドなどにクランプで試験管やフラスコを固定した状態で、下から撹拌機と加温機や冷却機に浸かるように持ち上げて固定するように使う、あるいは、撹拌機を固定した状態で下からビーカーなどの容器を持ち上げて使います。前者の場合は試験管やフラスコから発生した気体を抽出する冷却管などを組み込む実験デザインの際に使用し、回転体や加温機、冷却機を可変にすることにより組み上げた装置を崩すことなく開始、停止ができます。一方後者の場合、高いせん断力が必要な回転翼を設置した場合、多くは回転翼の高さを変えることが難しいので簡単に高さを変えることができるラボジャッキを使用して試料をこぼすことなく操作が可能になります。

ラボジャッキの特徴

ラボジャッキのジャッキアップは、ノブ式、ラチェットハンドル式、回転グリップ付ラチェットハンドル式に分類されます。ノブ式は比較的耐荷重が低いものに使用され、片手でノブを回すことで機構部が屈伸し天板の高さを変えることができます。ラチェットハンドル式はノブ式より重いものを載せていても使用できる場合が多く、使用時にラチェットハンドルをはめ込むことでテコの原理を利用して少ない力で天板の高さを変えることができます。ラチェットハンドルはラボジャッキを動かしていない時外すことで思わぬ事故を防ぐことができます。回転グリップ付ラチェットハンドル式はラチェットハンドルに回転グリップが付くことで、ラチェットハンドル式より素早く天台を昇降させることができます。どれを使用するかは実験の目的、使用する物質、机上の環境など総合的に判断する必要があります。また、どの方式でジャッキアップする場合でも荷重制限を守り、日々のメンテナンスを行うことで思わぬ事故を防ぐよう留意する必要があります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0641.html

耐切創手袋

耐切創手袋とは

耐切創手袋

耐切創手袋とは、通常の保護手袋よりも切創に対する耐性が高い手袋です。

一般的な手袋と比べて高度な耐久性を持ち、切り傷や刺し傷から手を保護するために使用されます。耐切創手袋を着用することで、刃物や鋭利な物体から手を保護することが可能です。事故や怪我のリスクを軽減するのに役立ちます。

また、作業者は危険な状況での作業に対する安心感を持つことができ、作業効率の向上につながることがあります。ただし、 耐切創手袋は手を保護するための重要な保護具ですが、他の安全対策と併用することが大切です。例えば、危険な機械を操作する場合には、その機械の適切な安全装置も使用する必要があります。

耐切創手袋の使用用途

耐切創手袋は刃物や鋭利な物体から手を保護するために使用される特殊な手袋で、さまざまな用途で必要とされます。以下は耐切創手袋の主な使用用途です。

1. 工業

金属を成形する作業者は、耐切創手袋を着用して金属切削工具や削り屑から手を保護します。例えば、旋盤やフライス盤の操作時に使用されることが多いです。

また、木材の切断や削り出し作業では、木工職人が耐切創手袋を使い、電動のノコギリや木工機械による危険から手を守ります。

2. 建設業

建設作業員は建材を切断したり、鉄筋を曲げたりする際に耐切創手袋を使用します。建設用の刃物や鉄工具から手を守るために有用です。これにより、建設作業時の安全性を向上させることができます。

3. 食品加工

肉切り場での作業員は、肉の切断作業時に耐切創手袋を着用します。これにより、誤って刃物に触れたり、鋭利な部位・部品から手を守ることが可能です。また、レストランなどでは包丁や調理器具を使う際に、食材の切り裂きから手を保護するために耐切創手袋を使用します。

耐切創手袋の原理

耐切創手袋の原理としては、切削や刺し傷から手を保護するために特別に設計された素材や構造を利用しています。これらの素材は、刃物や鋭利な物体に対して高い抵抗力を持つことが特徴です。ガラス繊維やアラミド繊維、ワイヤーメッシュなどが使用されます。

ガラス繊維は耐切創性が高く、耐久性に優れており、手袋の内側に使用されます。アラミド繊維は非常に強力で耐切創性に優れており、高温にも耐える点が特徴です。スチールワイヤーメッシュが組み込まれている製品も多く、鋭利な刃物からの保護を提供します。

また、耐切創手袋は多層構造の製品も多いです。これらの層は耐切創性を向上させるために設計されており、内側から外側に向かってさまざまな機能を果たします。一般的な層には内部の快適性を向上させる裏地、中間層の耐切創素材、外側の耐久性を向上させる被覆層が含まれます。

刃物や鋭利な物体が手に当たると、その力を分散し、拡散することで保護する製品が多いです。刃物が手袋に触れた場合、手袋の素材が刃物に押さえつけられ、刃が手に深く侵入するのを防ぎます。これにより、切削や刺し傷のリスクが低減されます。

耐切創手袋の選び方

耐切創手袋を選ぶ際にはいくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下は耐切創手袋の選定要素です。

1. 本体の素材

本体素材は耐切創手袋の主要な要素で、刃物や鋭利な物体から手を守る役割を果たします。一般的な本体素材はガラス繊維、ケブラーなどのアラミド繊維、スチールワイヤーメッシュなどです。

選択する素材は、使用環境や用途に応じて適している必要があります。例えば、高温作業環境ではアラミド繊維が適しています。刃物に対する抵抗力が必要な場合はスチールワイヤーメッシュが有利です。

2. 滑り止めの素材

耐切創手袋の指部分や掌部分には、滑り止め素材が組み込まれていることがあります。これは、手袋が滑らないようにするために重要です。滑り止め素材は安定性とグリップ力を向上させるため、特に油や液体環境で作業する場合に重要です。

3. サイズ

手袋のサイズは非常に重要であり、手袋が正確なフィット感を持つことが操作性や安全性に影響を与えます。手袋が大きすぎると操作性が低下し、手が保護されません。逆に、手袋が小さすぎると着脱が難しくなり、手の血行を制限することも多いです。

4. 規格

耐切創手袋は国際的な規格に準拠していることが重要です。規格に適合した手袋は特定の安全基準を満たし、品質が確保されています。耐切創手袋の規格にはEN 388(欧州規格) やANSI/ISEA 105 (アメリカ規格) などがあります。

参考文献
https://ec.midori-anzen.com/shop/c/cHAJA/
https://www.monotaro.com/s/c-17928/
https://www.showaglove.co.jp/business/solution/cut
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/632/

真空ピンセット

真空ピンセットとは

真空ピンセットは真空の力で物体を引き付けてハンドリングする機器です。大きく分けると二種類あり、一つは半導体産業で使用するディスク状のシリコンウェハの取り扱いの際に用いられる、先端部分がヘラ状になっている真空ピンセットです。

もう一つが小物を取り扱う際に用いる真空ピンセットであり、先端部分は先細りになっており先端に吸気口が付いているタイプです。一般的なピンセットでは硬くて角があり掴みにくいようなビーズや宝石などの取り扱いの際に使用されています。

真空ピンセットの使用用途

真空ピンセットを半導体のシリコンウェハの搬送に使用する理由は、チップが形成される表面を傷つけたくないからです。このため、ウェハの裏面に吸着して持ち上げることのできる真空ピンセットが重宝されています。

真空引きされたヘラ状の先端を平らなシリコンウェハの裏面に押し付けて吸着させますが、この時先端が傷ついていてリークしていると吸着力が不十分でウェハが脱落してしまいますので気を付ける必要があります。

小物を取り扱うタイプは宝石でアクセサリーを作る際に利用されるのみではなく、カメラや時計と言った精密機器の修理やプラモデル、コンタクトレンズをハンドリングする際などに使用されています。

真空ピンセットの原理

真空ピンセットには必ずバキューム用のポンプが付いていますので、このポンプとセットで使用します。真空ピンセットの本体とバキューム用のポンプがホースで繋がれており、ポンプで空気を吸い込むことで真空ピンセット本体からも吸気されます。

この空気を吸い込む力は吸盤のように吸い付きますのでこの真空ピンセットを使って真空ピンセットと物体の間に真空を作ることで真空の力で物体が吸い付き離れなくなります。

一度物体との間に真空が出来ますと逆に物体がピンセットから離れませんので、引き離すためには吸気をストップして真空部分を大気圧に戻してあげる必要があります。これはボタン一つで行われます。しかし、小さな宝石などの場合には真空ピンセットの先端にくっついてしまい、吸気がストップしてもピンセットの先端から離れない場合があります。このような場合にはリリース真空ピンセットと言い先端から空気を出す吹き出し機能が付いているタイプの真空ピンセットがあり、空気を吐き出すことで物体を引き離します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000569522/
https://www.vacuumwand.com/index-j.html

フランジ形たわみ軸継手

フランジ形たわみ軸継手とは

フランジ形たわみ軸継手

フランジ形たわみ軸継手 (英: Flexible flanged shaft coupling) とは、たわみ結合要素をもつ軸継手です。

軸継手とは、2本の回転軸を連結し、動力を伝達する役割の機械要素です。回転軸を連結した状態で使用する「永久継手」と動作中に連結を解除できる「クラッチ」があり、フランジ形たわみ軸継手は永久継手になります。

フランジ形たわみ軸継手は、駆動側と従動側の軸が一直線のたわみ軸継手です。微小な変位やたわみに対応し、優れた剛性と精度で、正確な動力伝達と軸の位置合わせが可能です。

フランジ形たわみ軸継手の使用用途

フランジ形たわみ軸継手_図1

図1. フランジ形たわみ軸継手の使用例

軸継手の主な役割は下記の3つになります。

  • 動力伝達
    駆動側 (負荷側) から従動側 (反負荷側) へ動力を伝達する
  • 誤差吸収
    駆動側 (負荷側) と従動側 (反負荷側) の軸取り付け誤差を吸収する
  • 振動吸収
    駆動側 (負荷側) の振動を吸収し周囲への影響を低減する

フランジ形たわみ軸継手の使用で、上記の3つ役割を全て備えており、本来の目的である回転機構をもつ機械や装置の動力伝達に加え、回転で生じる振動や衝撃の影響を抑え、機械の安定運用することが可能です。

具体的な使用例では、モーターとポンプ、ファン (送風機) 、減速機などの連結部で、一定回転で長時間動作するような場合に多く使用されています。

フランジ形たわみ軸継手の原理

フランジ形たわみ軸継手_図2

図2. 軸継手の分類

1. 軸継手の分類

軸継手は下記の4つに分類され、フランジ形たわみ軸継手は、たわみ軸継手に属しています。

  • 固定軸継手 (一直線軸)
  • たわみ軸継手 (一直線軸)
  • 自在軸継手 (交差軸)
  • その他 (平行軸)

フランジ形たわみ軸継手は、一直線上に並んだ駆動側軸と従動軸をフランジと継手ボルトで連結し、モーターなどの回転を伝達する機械要素です。たわみ軸継手とは、軸継手のもつたわみ性が両軸の芯ずれを許容する軸継手です。

他に同じ一直線上に並んだ軸同士の連結では、フランジ形固定軸継手があります。この場合は、駆動軸と従動軸の芯を完全に一致させた状態で連結させます。

2. たわみ軸継手の特徴

たわみ軸継手には、下記の種類と特徴があります。

種類

特徴

補正軸継手

 

歯車形

  • たわみ材を使用してないため、ねじり変形が少ない
  • 小形で伝達トルクが大きい
  • 高速回転に適している
  • 衝撃や振動吸収はできない
  • 潤滑剤が必要

ローラーチェーン形

  • 小形軽量で伝達トルクが大きい
  • 分解・組み立てが容易である
  • 衝撃吸収はある程度可能
  • 潤滑剤が必要

弾性軸継手

 

金属バネ形

  • バックラッシュがない
  • 内部摩擦による減衰がない
  • 寿命が長い

フランジ形たわみ軸継手

  • 軸心間のずれに対する許容値が比較的大きい
  • 振動や衝撃吸収性が高い
  • 潤滑は必要ない
  • 騒音が小さい

フランジ形たわみ軸継手の構造

フランジ形たわみ軸継手_図3

図3. 軸継手の構造

フランジ形たわみ軸継手は、2枚のフランジと継手ボルトで構成され、継手ボルトには弾性のあるゴム製のブシュをはめ込み、フランジを締結します。フランジは、片側にはブッシュがはまり込むための大きなボルト穴と、反対側には軸との隙間が少ないリーマ加工されたボルト穴が、加工されています。

ブッシュの圧縮強度でトルク伝達し、ゴムの柔軟性で軸心の角度ずれ (偏角) をある程度許容できるようにした構造です。

フランジ形たわみ軸継手のその他情報

1. 材質

フランジ形たわみ軸継手の材質は、JIS B1452で下記のように規定されています。

「継手各部に使用する材質 (材料) は下表に示すもの又は品質がこれと同等のものとする。」

  • フランジ
    JIS G5501 FC200、JIS G5101 SC410、JIS G3201 SF440又はJIS G4051 S25C
  • 継手ボルト、ナット、ワッシャ
    JIS G3101 SS400
  • スプリングワッシャ
    JIS G3506 SWRH62A/B
  • ブッシュ
    JIS K6386 防振ゴム–ゴム材料の区分 B(12)

2. メンテナンス

フランジ形たわみ軸継手のブッシュは、経年的に弾性が低下し硬化するため、適宜頻度又は定期的な点検と取り換えが必要になります。ブシュの取り換えは、継手ボルトを緩めるだけでブッシュを取り外せるので、メンテナンスは比較的容易です。

なお、ブッシュは有機溶剤や油が付着すると、劣化がはやくなることがあり、選定には注意が必要です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/22/2/22_2_104/_pdf/-char/ja
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/powertransmission-about/?SelectedLanguage=ja-JP

ねじゆるみ止め剤

ねじゆるみ止め剤とは

ねじゆるみ止め剤

ねじゆるみ止め剤とは、ねじのゆるみの発生を防ぐために使用する接着剤のことです。

主にねじの回転ゆるみを防止したり、ねじ部の気密性を向上させる目的で、家庭や工場などの製造現場で使用されます。ただし、ねじがゆるむ原因は1つではなく、ねじゆるみ止め剤が効果を発揮するのは回転ゆるみと呼ばれる現象に限定されます。

ねじゆるみ止め剤には多くの種類があり、接着強度も様々です。高強度のものを使用すると取り外しができなくなってしまう場合もあるので、注意が必要です。

ねじゆるみ止め剤の使用用途

ねじゆるみ止め剤は、工業用機械や一般機械、家庭の家具や家電などにも幅広い用途で使用されています。家庭で使用する場合は、接着力は低強度から中強度のものが選ばれることが多いです。

そのほか、ねじ部の気密性を向上させたい場合にも使用されます。例えば、ダイカスト部品をねじで締結した製品などで用いられます。ダイカスト製品では巣穴と呼ばれる、隙間の発生が避けられません。

ダイカスト部品がオイルを密閉しており、合わせ面やねじ穴加工部に巣穴があると、オイルが巣穴を通って外部に漏れてしまう場合があります。ねじ穴からオイルが漏れる場合には、ねじゆるみ止め剤を塗布してねじ締結することにより、オイルの漏れを防ぐことが可能です。

ねじゆるみ止め剤の原理

ねじゆるみ止め剤は、めねじとおねじの間に生じる隙間に入り込み固化することによってねじの回転ゆるみの発生を抑制します。おねじとめねじとの隙間を埋めて、それぞれとの接触面で接着することによって、回転ゆるみに対する抵抗力を生み出しています。

ねじの回転ゆるみを接着によって抑制する一方で、必要に応じてねじをゆるませられなければなりません。部品同士の固定にねじ締結が選ばれる理由には、大きな締結力が得られることはもちろん、分解して再締結できることがあります。ねじゆるみ止め剤は大きな接着力があれば良いわけではなく、必要に応じて接着を剥がすことができる程度の接着力が求められます。

ねじゆるみ止め剤の多くは、嫌気性接着剤です。嫌気性接着剤は空気と遮断されることによって固化します。

ねじゆるみ止め剤のその他情報

1. ねじがゆるむ理由

ねじがゆるむ理由は複数ありますが、大きく回転ゆるみと非回転ゆるみの2つに分けられます。両者の違いは締結したねじが回転してゆるむ現象と、締結したねじが回転しないにも関わらずゆるむ現象です。ねじゆるみ止め剤がねじのゆるみ止めの効果を発揮できるのは、回転ゆるみに限られます。

逆にねじがゆるまない原理は、ねじ面や座面の摩擦力によるものです。ねじの螺旋にはピッチ角と呼ばれる斜面がありますが、ちょうど荷物を斜面においても滑り落ちない状態と同じです。斜面に置かれた荷物に作用する重力の斜面方向の分直によって荷物は斜面を滑り落ちようとします。

しかし、荷物と斜面との間に摩擦があり、摩擦力が重力の斜面方向の分力よりも大きければ、荷物は斜面を滑り落ちることはありません。

2. ねじの回転ゆるみ

ねじ面や座面の摩擦力があるにも関わらずねじが回転ゆるみを生じる原因は、ねじに作用する外力が大きい場合です。部品同士を固定するねじには、部品が受ける外力も作用します。さまざまな外力がありますが、ねじを回転させようとする外力、ねじの軸直角方向に作用する外力、ねじの軸方向に作用する外力の3つです。

いずれの外力もある程度の大きさで繰り返されることによって、ねじはゆるみ方向に回転する原因になります。

3. ねじの非回転ゆるみ

ねじの非回転ゆるみは、さまざまな原因によってねじの軸力が低下する現象です。ねじが軸力という固定力を発揮できるのは、ねじ自体が引っ張り伸ばされ、元に戻ろうとする弾性力によるものです。

ねじにはたらく引っ張り力が低下するのは、ねじが挟み込んでいる相手部品が摩耗や陥没などによって、ねじを引っ張る力が低下することによって発生します。クリープという、熱によって塑性変形する環境も、ねじの非回転ゆるみが発生する原因としてよく知られています。

ねじの非回転ゆるみが生じる環境では、クリープ現象の発生を抑止し、許容できる範囲に留める対策の検討も必要です。

参考文献
https://www.hardlock.co.jp/technical-info/looseness-causes/

ポリウレタン手袋

ポリウレタン手袋とは

ポリウレタン手袋267

ポリウレタン手袋とは、ゴムよりも弾力性のあるプラスチック (ポリウレタン) でできた手袋です。

天然ゴム手袋など他の手袋に比べて、薬品に対する耐久性が高いため、有機溶剤を使った様々な作業に適しています。また防寒性も高く、屋外での長時間の作業にも使用可能です。

ただし、ポリウレタン手袋の欠点として、天然ゴム手袋やニトリルゴム手袋、塩化ビニル手袋に比べて高価であることが挙げられます。薄手のものから厚手のもの、使い捨てのものから何度も使用できるものなど、使用用途によってさまざまな製品が販売されています。

ポリウレタン手袋の使用用途

ポリウレタン手袋の使用用途は、メッキ作業、塗装溶剤、洗浄、理化学系、印刷業、薬品製造業など多岐にわたります。特徴は主に3点あり、耐溶剤性が高い点、伸縮性に優れている点、厚手の手袋の中では比較的細かな作業に向いている点です。細かな作業には、精密機械の組立作業や仕分け作業などが挙げられます。

ポリウレタン手袋を使用できる有機溶剤は、トルエン、キシレン、ベンゼン、メタノール、酢酸エチルなどです。ただし、シクロヘキサノンやジメチルホルムアミド (DMF) 、塩化メチレン (ジクロロメタン) など、特定の有機溶剤には耐性がありません。有機溶剤を取り扱う際は、手袋の溶媒耐性を事前に確認することが必要です。

また、ポリウレタン手袋は、風雨、太陽光、温度変化などの耐候性にも優れるため、農作業など屋外での長時間の作業にも向いています。

ポリウレタン手袋の原理

ポリウレタンは、ポリエステルやポリエーテルがもつ、ジオール (アルコール基が2つ) とジイソシアネート (イソシアネート基が2つ) が重合した化合物です。ジオールとジイソシアネートの重合によりできたウレタン結合同士は、さらに水素結合します。

ポリウレタンは、水素結合により機械的強度、伸縮性、耐摩擦性を高め、ゴムのような性質を持ちます。そのため、ポリウレタンはポリウレタンゴムと呼ばれることも多いです。

ポリウレタンは上記の特性を活かして、手袋だけでなく工業用ベルト、ソリッドタイヤ、ゴムローラー、靴底、塗料などにも使われます。

ポリウレタン手袋の種類

ポリウレタン手袋に使われるポリウレタン手袋には、厚手タイプと背抜きタイプがあります。

1. 厚手タイプ

厚手タイプは機械的強度、伸縮性、耐摩擦性、耐溶剤性に優れています。使い捨てではない繰り返し使用できるものが多く、肘まで長さのあるロングタイプも販売されています。

2. 背抜きタイプ

背抜き手袋は、手のひら部分にのみポリウレタンコーティングが施されており、手の甲はコーティングされていません。手の甲部分はナイロン素材やメッシュ素材が使われることが多く、通気性に優れています。

フィット感もあり素手感覚で作業できるため、細かい作業に向いています。しかし、ナイロン素材やメッシュ素材は耐溶剤性が低く、薬品・溶剤類が素手まで浸透してしまう点がデメリットです。有機溶剤を使用する作業には、背抜き手袋は使用できません。

ポリウレタン手袋のその他情報

1. ポリウレタンアレルギー

ポリウレタン手袋を構成するイソシアネートは、吸入や接触にてアレルギーを発症させるリスクがあります。症状は、発疹やかぶれ、喘息などです。アメリカではポリウレタンをスパンデックスと呼ぶことから、スパンデックスアレルギーとも呼ばれます。

2. ポリウレタンエラストマー

ポリウレタンはプラスチックではありますが、機械的強度、伸縮性が高いことから「ポリウレタンゴム」と呼ばれます。正式にはポリウレタンエラストマーです。ポリウレタンエラストマーは、熱を加えた際の性質の違いから熱硬化性と熱可塑性に分けられます。

熱硬化性とは、加熱で硬化し再度加熱や冷却をしても元に戻らない性質です。熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、原料を加熱・加圧して製品形状を作ります。

熱可塑性とは、加熱で軟化し冷却で固化する性質です。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、一度加熱し溶融・軟化させ、型などに流し込んだ後冷却して製品形状を作ります。

純水装置

純水装置とは

純水装置とは、水道水や井戸水などの不純物を除去する装置です。

自然水や水道水にはカルシウムなどの金属成分や塩素イオンが含まれており、純水装置でこれらを除去します。用途に応じて不純物の削減量は異なり、不純物が非常に少ない純水を作り出す装置が超純水製造装置です。

純水装置は、研究室で少量の純水を製造する装置から工場で大量の純水を製造する大型装置まで、様々な装置があります。

純水装置の使用用途

純水装置は、主に研究施設や工場などの設備で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 発電用蒸気ボイラーの蒸気発生用
  • 半導体研究に用いる洗浄水製造用
  • 食品・飲料工場の製品製造用
  • 製紙工場における乾燥用蒸気発生用
  • 化学プラントにおけるプラスチック加工用蒸気発生用

研究分野では、水道の不純物除去を目的に使用されます。特に半導体業界では不純物の混入を嫌うため、超純水装置を使用して洗浄水とします。

食品や飲料業界でも食品安全のため、純水装置で水質を厳しく管理しています。その他の業界でも蒸気を使用する産業は数多く、蒸気発生用ボイラーに純水装置が必要です。

純水装置の原理

純水装置はイオン交換膜タイプと、半透膜タイプに大分されます。種類によって原理は異なります。

1. イオン交換樹脂タイプ

イオン交換樹脂タイプは、イオン交換樹脂の持つ水素イオンや水酸化物イオンを不純物イオンと交換させて除去する純水装置です。主に吸着する陽イオンはカルシウムイオンやマグネシウムイオンです。陰イオンについては塩素イオンや硫化物イオンを除去します。

長期間使用するとイオン交換樹脂が不純物を吸着できなくなるため、苛性ソーダや塩酸を使用して再生させます。

2. 半透膜タイプ

半透膜タイプは、半透膜で不純物を除去する純水装置です。半透膜に圧力を加えて水を流通させると、水のみが半透膜を通過できるため不純物を除去することが可能です。半透膜タイプは海水を流通させることで淡水化せる製品も存在します。

交換樹脂タイプとは異なり、苛性ソーダなどの劇物を使用する必要はありませんが、加圧ポンプのために電力を多く消費します。いずれのタイプの純水装置も定期的なメンテナンスとして樹脂や膜の交換が必要です。交換頻度は流通量や稼働時間によって決定します。

純水装置のその他情報

1. 家庭用純水装置

家庭用純水装置として、逆浸透膜を利用した装置が知られています。逆浸透膜は加圧することで水分子だけを通過させることができる膜です。逆浸透膜を通すことにより、不純物や微生物などを取り除くことが可能です。

この純水装置は通常キッチンのシンク下に設置して、専用の蛇口を通して純水を供給します。このような純水装置を設置した場合には、水道水と純水の供給を切り替えて使用できるように施工されるのが一般的です。

水道水を純水化する原理としては、不純物の多い水道水に対して0.4~1.2Mpaの圧力をかけて逆浸透膜を透過させることで不純物を除去します。この際に、ろ過による目詰まりを防ぐために、水は逆浸透膜と平行に流通させます。

2. 電気再生式純水装置

純水装置の1つとして電気再生式純水装置が知られています。この純水装置は脱塩室と濃縮室を交互に配置し、その間に陰イオン交換膜と陽イオン交換樹脂を挟み込んだ構造です。純水製造工程はイオン交換樹脂タイプの純水装置と同様です。脱塩室内に充填したイオン交換樹脂によって原水中に含まれる不純物イオンを除去します。

イオン交換樹脂を長く使用すると不純物イオンが溜まってくるため、再生処理が必要です。この再生工程に電気を使用するのが電気再生式純水装置です。直流電圧を樹脂に対して印加し、不純物イオンが電極へ引き寄せられることでイオン交換樹脂を再生します。

イオン交換樹脂タイプの純水装置は再生に強酸や強アルカリが必要ですが、これらの薬液の排液処理も必要となります。この純水装置においては、再生に薬品が不要で管理がしやすく、環境にも優しいというメリットがあります。

参考文献
https://www.organo.co.jp/products/pure-water/
https://www.yamato-net.co.jp/product/category/science/water-purifier-1/
http://www.kan-tech.co.jp/newpage.html
https://www.miuraz.co.jp/product/water/pure.html
https://rosuiki.co.jp/product/deionizer2.html
http://www.mizushori.co.jp/amc.html