ポリウレタン手袋

ポリウレタン手袋とは

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ポリウレタン手袋とは、ゴムよりも弾力性のあるプラスチック (ポリウレタン) でできた手袋です。

天然ゴム手袋など他の手袋に比べて、薬品に対する耐久性が高いため、有機溶剤を使った様々な作業に適しています。また防寒性も高く、屋外での長時間の作業にも使用可能です。

ただし、ポリウレタン手袋の欠点として、天然ゴム手袋やニトリルゴム手袋、塩化ビニル手袋に比べて高価であることが挙げられます。薄手のものから厚手のもの、使い捨てのものから何度も使用できるものなど、使用用途によってさまざまな製品が販売されています。

ポリウレタン手袋の使用用途

ポリウレタン手袋の使用用途は、メッキ作業、塗装溶剤、洗浄、理化学系、印刷業、薬品製造業など多岐にわたります。特徴は主に3点あり、耐溶剤性が高い点、伸縮性に優れている点、厚手の手袋の中では比較的細かな作業に向いている点です。細かな作業には、精密機械の組立作業や仕分け作業などが挙げられます。

ポリウレタン手袋を使用できる有機溶剤は、トルエン、キシレン、ベンゼン、メタノール、酢酸エチルなどです。ただし、シクロヘキサノンやジメチルホルムアミド (DMF) 、塩化メチレン (ジクロロメタン) など、特定の有機溶剤には耐性がありません。有機溶剤を取り扱う際は、手袋の溶媒耐性を事前に確認することが必要です。

また、ポリウレタン手袋は、風雨、太陽光、温度変化などの耐候性にも優れるため、農作業など屋外での長時間の作業にも向いています。

ポリウレタン手袋の原理

ポリウレタンは、ポリエステルやポリエーテルがもつ、ジオール (アルコール基が2つ) とジイソシアネート (イソシアネート基が2つ) が重合した化合物です。ジオールとジイソシアネートの重合によりできたウレタン結合同士は、さらに水素結合します。

ポリウレタンは、水素結合により機械的強度、伸縮性、耐摩擦性を高め、ゴムのような性質を持ちます。そのため、ポリウレタンはポリウレタンゴムと呼ばれることも多いです。

ポリウレタンは上記の特性を活かして、手袋だけでなく工業用ベルト、ソリッドタイヤ、ゴムローラー、靴底、塗料などにも使われます。

ポリウレタン手袋の種類

ポリウレタン手袋に使われるポリウレタン手袋には、厚手タイプと背抜きタイプがあります。

1. 厚手タイプ

厚手タイプは機械的強度、伸縮性、耐摩擦性、耐溶剤性に優れています。使い捨てではない繰り返し使用できるものが多く、肘まで長さのあるロングタイプも販売されています。

2. 背抜きタイプ

背抜き手袋は、手のひら部分にのみポリウレタンコーティングが施されており、手の甲はコーティングされていません。手の甲部分はナイロン素材やメッシュ素材が使われることが多く、通気性に優れています。

フィット感もあり素手感覚で作業できるため、細かい作業に向いています。しかし、ナイロン素材やメッシュ素材は耐溶剤性が低く、薬品・溶剤類が素手まで浸透してしまう点がデメリットです。有機溶剤を使用する作業には、背抜き手袋は使用できません。

ポリウレタン手袋のその他情報

1. ポリウレタンアレルギー

ポリウレタン手袋を構成するイソシアネートは、吸入や接触にてアレルギーを発症させるリスクがあります。症状は、発疹やかぶれ、喘息などです。アメリカではポリウレタンをスパンデックスと呼ぶことから、スパンデックスアレルギーとも呼ばれます。

2. ポリウレタンエラストマー

ポリウレタンはプラスチックではありますが、機械的強度、伸縮性が高いことから「ポリウレタンゴム」と呼ばれます。正式にはポリウレタンエラストマーです。ポリウレタンエラストマーは、熱を加えた際の性質の違いから熱硬化性と熱可塑性に分けられます。

熱硬化性とは、加熱で硬化し再度加熱や冷却をしても元に戻らない性質です。熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、原料を加熱・加圧して製品形状を作ります。

熱可塑性とは、加熱で軟化し冷却で固化する性質です。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、一度加熱し溶融・軟化させ、型などに流し込んだ後冷却して製品形状を作ります。

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