溝付き六角ナット

溝付き六角ナットとは

溝付き六角ナット

溝付き六角ナット (英: Hexagon Slotted and Castle Nuts) とは、ナット片端部分の6つの側面に溝が加工されていて、おねじにあけられた穴とナットの溝に割りピンを挿入し、固定するゆるみ止めナットです。

溝部分を含め全体の形状が、洋風古城のように見えることから「キャッスルナット」とも呼ばれることもあります。キャッスルナットは、JIS規格の溝付き六角ナット2種のように、6つの溝付き側面の周囲表面積が小さい形状で、割りピンをタイトでコンパクトに巻き付けることがきます。

溝付き六角ナットの使用用途

溝付き六角ナット_図1

図1. 溝付き六角ナットの使用例

溝付き六角ナットは、ナット溝部分とおねじ側の穴に割りピンなどを挿入し、ゆるみとナットの脱落を防止するために使用します。現在では、さまざまなゆるみ止めナット製品が普及していますが、以前は溝付き六角ナットが、確実にゆるみ止めを行えるため頻繁に使用されていました。

しかし、おねじ側に穴開け加工をする必要があるため、コスト高になりねじに傷をつけることにもなります。最近では、使用箇所が高温雰囲気の場合や、ゆるんでもナットが脱落しないようにする場合のように、限定されたケースで使用されています。

なお、溝付き六角ナットは分解・再組み立ての際に、再使用が可能ですが、割ピンは再使用せずに新品に取り替えます。

溝付き六角ナットの原理

溝付き六角ナット_図2

図2. ねじによる締め付けとゆるみの原理

ねじの締め付けとゆるみの原理は、ボルト・ナットで被締め付け物を締め付けると、被締結物に圧縮力 (挟み込まれる力) 、ボルト軸部には被締結物から反発する引張力がかかることです。この引張力によりボルト・ナットの座面 (被締め付けと接している面) と被締め付け物の間には摩擦力が発生し、ねじは固定されます。

この状態で下記3つの摩擦力が働き相互に作用し合っています。

  • おねじとめねじ間の摩擦力
  • 被締結物間の摩擦力
  • ボルト・ナット座面と被締結物間の摩擦力

この摩擦力が何らかの原因で失われることを、「ねじがゆるむ」と言い、下記に例を示します。

  • ボルト・ナット座面、もしくは座面に接している被締結物表面の歪みや凹みにより摩擦力が低下
  • 振動で軸力が低下し、おねじとめねじの摩擦力が低下
  • おねじとめねじ間に油などの潤滑性物質が侵入し摩擦力が低下

溝付き六角ナット_図3

図3. 溝付き六角ナットと割ピンの取り付け

溝付き六角ナットは、初期軸力の低下を補いますが、座面の滑りを防止する効果はなく、ナットの戻り回転によるゆるみは防止できません。溝付き六角ナットは、ボルトの溝とおねじの穴に割ピンを挿入し、ナットの側面とおねじ側面および端部に沿って溝部分に、割ピン先端部を折り曲げて取り付けます。割ピンによってナットは固定され、ゆるみません。

溝付き六角ナットの種類

溝付き六角ナット_図4

図4. 溝付き六角ナットの種類

溝付き六角ナットの種類は、一般的に各規格に規定されています。JIS規格では、1種、2種の高形と低形、座面付きの3種、4種と、外形が小さい小形があります。各種類と形状は、図4を参照してください。

種類

形状の区分

型式

溝付き六角ナット

1種, 2種, 3種, 4種

高形・低形

小形溝付き六角ナット

1種, 2種, 3種, 4種

高形・低形

1. 1種 高形・低形

六角部に切り込み溝があり、ナット高さが高いタイプ、小径の呼び径用 (JISではM39まで)、低形の外形は1種高形と同じでナット高さが低いタイプです。ナット高さに制限がある場合などに使用されます。

2. 2種 高形・低形

六角部から上部分に溝があり、ナット高さ高いタイプ、大径の呼び径用 (JISではM14~M100)、低形は1種と同じくナット高さが低いタイプです。

3. 3種・4種

3種は1種の座面付きのタイプ、4種は2種の座面付きのタイプです。

溝付き六角ナットのその他情報

1. 溝付き六角ナットの規格

  • JIS B1170 溝付き六角ナット Hexagon slotted and castle nuts
  • ANSI/ASME B18.2.2 Nuts for General Applications: Machine Screw Nuts, Hex, Square, Hex Flange, and Coupling Nuts (Inch Series)

2.  溝付き六角ナットの材質

溝付き六角ナットの材質 (材料) は、下記JIS規格に規定されています。また、一部の種類と呼び径については、受渡当事者間の協定によって決めるものと記されています。

  • JIS B1052-2 炭素鋼及び合金鋼製締結部品の機械的性質 第2部: 強度区分を規定したナット 並目ねじ及び細目ねじ

JIS規格に規定されているナットの機械的性質と材質は、下記表のとおりです。

種類

材料

型式

ねじの呼び

機械的性質

溝付き六角ナット

高形

39 mm以下

強度区分 4T, 5T, 6T, 8T, 10T

42 mm以上

受渡当事者間の協定による

低形

ステンレス鋼

高形、低形

小型溝付き六角ナット

高形

強度区分 4T, 5T, 6T, 8T

高形

受渡当事者間の協定による

ステンレス鋼

高形、低形

 

参考文献
https://kikakurui.com/b1/B1170-2011-01.html
https://inviting.jp/knowledge/parts/nut/

単列深溝玉軸受

単列深溝玉軸受とは

単列深溝玉軸受

単列深溝玉軸受 (英: Single Row Deep Groove Ball Bearings) とは、転がり軸受の1種で、一般的で汎用性の高い構造を持つ軸受 (ベアリング) です。

転がり軸受には、玉軸受 (ボールベアリング) の他に、ころ軸受 (ローラーベアリング) があります。「単列」とは、内輪と外輪 (軌道輪) の中央に加工された1本の溝に沿ってボール (転動体) を1列に配置されている軸受です。

単列の他には「複列」があり、内輪と外輪の溝は2本でボールも2列に配置している複列深溝玉軸受です。

単列深溝玉軸受の使用用途

単列深溝玉軸受_図1

図1. 単列深溝玉軸受の使用例

単列深溝玉軸受は、多くの機械や図1のようにフィルム製造の工場設備などで使用していますが、軸受が目に見えない部分に取り付けられていることが多いです。しかし、身近にある家電製品やOA機器においても、回転動作を行っている多くの機械では、この軸受を使用しています。

特に単列深溝玉軸受は、内輪、外輪とボールは、点接触で転がり抵抗が小さく、摩擦トルクもが非常に低いため、高速回転や低騒音・低振動が要求される場合の好適です。この軸受は、回転部に発生する摩擦を最低減に抑さえ、安定した回転維持のための機械要素で、摩擦による焼き付きによる異音や故障を防止します。

単列深溝玉軸受の原理

単列深溝玉軸受_図2

図2. 軸受の種類と体系

図2は軸受の種類と体系を示し、深溝玉軸受の他に「アンギュラ玉軸受」と「自動調心玉軸受」があります。主に軸受にかかる荷重は、図3のように回転軸からラジアル荷重と、左右両方向のスラスト荷重 (アキシアル荷重) です。

単列深溝玉軸受_図3

図3. ラジアル荷重とスラスト荷重

深溝玉軸受は、内輪と外輪の軌道面 (転動体が転がる走路で軸受の荷重支持部分の表面) には、円弧状の深い溝が加工されているため、ラジアル荷重と左右両方向のスラスト荷重、およびそれぞれの合成荷重を受けることができます。

単列深溝玉軸受の構造

単列深溝玉軸受_図4

図4. 単列深溝玉軸受の構造

1. 構造

深溝玉軸受は、主に下記部品で構成され、図4に示すような構造です。それぞれの部品の ( ) 内の名称は、JIS B0104 転がり軸受用語で使用されている用語で、説明はJIS規格から引用です。

  • 内輪、外輪 (軌道輪)
    1列又はそれ以上の軌道を持つラジアル軸受の環状の部品
  • ボール (転動体)
    両軌道の間を転がる玉又はころ
  • リテイナ (保持器)
    全数又は数個の転動体を部分的につかみ、それらと共に動く軸受部品 

単列深溝玉軸受は、内輪・外輪の中央溝の間にボール (球体) が1列に複数個配列され、ボールはリテイナによって等間隔に維持され転がり運動を行います。

2. 密封構造

深溝玉軸受は、密封構造の有無により、開放形と密閉形があります。

  • 開放形
    内輪と外輪間は、密封装置などが無く開放されている
  • 密閉形
    内輪と外輪間は、密封された構造で、異物の侵入によるボールや軌道面の傷付きや、潤滑剤の劣化を防止している

密閉形はさらにいくつかの種類に分けられ、以下の2つが代表的です。

  • シールド形
    外輪の両側または片側に、金属製シールド板を固定し、内輪とは非接触でごく狭い隙間がある (シールドは通常、金属板をプレス加工した環状の保護装置)
  • シール形
    外輪の両側に、合成ゴムに金属の補強板を取り付けたシールを固定し、内輪とは非接触でごく狭い隙間がある非接触形と、内輪に接触している接触形がある (シール:は潤滑剤の漏れ又は異物の侵入を防ぐための、1個又は数個の部品から構成された環状の装置)

単列深溝玉軸受のその他情報

1. 規格

単列深溝玉軸受に関する代表的な規格を下記に示します。

  • JIS B1521 転がり軸受 – 深溝玉軸受 Rolling bearings -Deep groove ball bearings
  • JIS B1501 転がり軸受 – 鋼球 Rolling bearings – Balls
  • JIS B1512 転がり軸受 – 主要寸法 Rolling bearings -Boundary dimensions
  • JIS B1513 転がり軸受の呼び番号 Rolling bearings – Designation
  • ISO 15: Rolling bearings – Radial bearings – Boundary dimensions, general plan
  • ISO 3290: Rolling bearings – Ball

2. その他の型式

下記は、単列深溝玉軸受のその他の型式です。

  • 止め輪付き
    あらかじめ外輪外周部に止め輪を取り付け、アキシアル方向の位置決めを容易にします
  • 膨張補正深溝玉軸受
    外輪外周部に高分子材料を取り付け、軸受箱内径と高分子材料外径と熱膨張はほぼ同じになり、使用環境の温度変化に対応します

参考文献

https://koyo.jtekt.co.jp/2019/02/column01-04.html

フランジ形固定軸継手

フランジ形固定軸継手とは

フランジ形固定軸継手_図0

フランジ形固定軸継手 (英: Rigid Flanged Shaft Coupling) とは、軸端にフランジをキー固定しボルトで締結した軸継手です。

軸継手とは、2本の回転軸を連結し、動力を伝達する役割の機械要素です。回転軸を連結した状態で使用する「永久継手」と動作中に連結を解除できる「クラッチ」があり、フランジ形固定軸継手は永久継手になります。

フランジ形固定軸継手は、駆動側と従動側の軸が一直線の固定軸継手で、最も確実で大きなトルクを伝達するのに適しています。堅牢な構造で高い精度を有していますが、正確な軸の位置合わせが必要です。

フランジ形固定軸継手の使用用途

フランジ形固定軸継手_図1

図1. フランジ形固定軸継手の使用例

軸継手の主な役割は下記の3つです。

  • 動力伝達
    駆動側 (負荷側) から従動側 (反負荷側) へ動力を伝達する
  • 誤差吸収
    駆動側 (負荷側) と従動側 (反負荷側) の軸取り付け誤差を吸収する
  • 振動吸収
    駆動側 (負荷側) の振動を吸収し周囲への影響を低減する

フランジ形固定軸継手は、上記の動力伝達以外は備えてなく、本来の目的である回転機構をもつ機械や装置の動力伝達に加え、回転で生じる振動や衝撃の影響を抑えるためには、正確な芯出し調整が必要です。

具体的な使用例では、モーターとポンプ、ファン (送風機) 、減速機などの連結部で、一定回転で長時間動作するような場合に多く使用されています。

フランジ形固定軸継手の原理

フランジ形固定軸継手_図2

図2. 軸継手の分類

1. 軸継手の分類

軸継手は下記の4つに分類され、フランジ形固定軸継手は、固定軸継手に属しています。

  • 固定軸継手 (一直線軸)
  • たわみ軸継手 (一直線軸)
  • 自在軸継手 (交差軸)
  • その他 (平行軸)

フランジ形固定軸継手は、一直線上に並んだ駆動側軸と従動軸をフランジと継手ボルトで連結し、モーターなどの回転を伝達する機械要素です。駆動軸と従動軸の芯を完全に一致させた状態で連結させます。

他に同じ一直線上に並んだ軸同士の連結では、フランジ形たわみ軸継手があります。たわみ軸継手とは、軸継手のもつたわみ性が両軸の芯ずれを許容する軸継手です。

2. 固定軸継手の特徴

たわみ軸継手には、下記の種類と特徴があります。

種類

特徴

筒形

 

一体形

  • 構造がシンプル
  • 小形で伝達トルクは小さい

分割形

  • 構造がシンプル
  • 両軸を移動させずに取り付け・取り外しができる

フランジ形

 

JIS形

  • JIS規格品のため信頼性が高い
  • 入手性しやすい

鍛造形

  • 外径が小さく伝達トルクが大きい
  • 高速回転や太い軸径に適用

フランジ形固定軸継手の構造

フランジ形固定軸継手_図3

図3. 軸継手の構造

フランジ形固定軸継手は、2枚のフランジと継手ボルトで構成され、継手ボルトでフランジを締結します。フランジは、両側ともに軸との隙間が少ないリーマ加工されたボルト穴が、加工されています。軸心の角度ずれ (偏角) は許容できない構造である点は、フランジ形たわみ軸継手とは異なります。

この継手は、剛性の高いフランジを介して軸同士を接続し固定するため、微小なずれやたわみを最小限に抑えることが可能です。トルク伝達時に発生する変位も最小限に抑え、高い精度で動力伝達が行われます。特に、高精度な動作が要求されるシステムでその優位性を発揮します。

フランジ形固定軸継手のその他情報

1. 材質

フランジ形固定軸継手の材質は、JIS B1452で下記のように規定されています。

「継手各部に使用する材質 (材料) は下表に示すもの又は品質がこれと同等のものとする。」

  • フランジ
    JIS G5501 FC200、JIS G5101 SC410、JIS G3201 SF440又はJIS G4051 S25C
  • 継手ボルト、ナット
    JIS G3101 SS400
  • スプリングワッシャ
    JIS G3506 SWRH62A/B

2. メンテナンス

フランジ形固定軸継手は、高速回転や大きなトルク伝達している場合が多く、ナットの緩みやフランジボルト穴と継手ボルトの摩耗などが発生することがあります。そのため、適宜頻度又は定期的な点検が必要です。ナットが緩んでいる場合は、増し締め等の作業が欠かせません。

また、振動や騒音が大きくなってきた場合は、駆動側と従動側の機器のレベル調整や、軸間の芯出し調整の実施が必要です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/22/2/22_2_104/_pdf/-char/ja
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/powertransmission-about/?SelectedLanguage=ja-JP

木工用ドリル

木工用ドリルとは

木工用ドリル

木工用ドリルとは、木材にネジ穴やダボ穴をあけたり、貫通穴をあけたりする際に使用するものです。

木材を組み合わせる際には、釘が使用されますが、釘では衝撃で抜けたり、強度不足になりがちです。そのようなときには、木材に穴を開けてネジとナットで木材同士を接合すれば、より高い強度が得られます。

木工用ドリルには、手で持って使用できるハンディタイプと工場で作業台に据え付けて使用する据え付けタイプがあります。どちらも電動ですが、現場加工する際にはハンディタイプ、工場で加工するなら据え付けタイプがおすすめです。

また、木工用ドリルに使用するドリルビットは、木工用を選ぶことが大切です。穴を開けた際に木くずが多く出るため、木くずを穴の外へ排出しやすく加工されています。

木工用ドリルの使用用途

木工用ドリルは、木材で家を建てたり、家具やDIYで木製の小物を作ったりする際に使用されています。据え付けタイプは高出力ですが、動かせないので工場で大掛かりな加工を行う場合に使用されることが多いです。

ドリルビットと呼ばれる木に穴をあけるための金属製ドリルが固定されており、垂直方向からドリルビットを下すため、まっすぐ正確に穴をあけられます。

ハンディタイプは、工事現場で移動しながら作業したり、あらかた組み上がった家具を加工したりする際に役立ちます。充電バッテリーで稼働するので、予備のバッテリーがあると作業効率が向上します。電動の木工用ドリル以外にも、手動のハンドドリルがありますが、手の力で穴を開けるため、小さな穴しか飽きません。

主に精密加工を行ったり、ダボ穴を掘ったりする際に使用されます。ダボとは、木材同士をつなぎ合わせる際に使われるパーツのことです。接合面の両方に穴を掘り、ダボを入れて木材同士をつなぎ合わせます。そのほか、ダボは棚受けとしても用いられています。

木工用ドリルの原理

木工用ドリルは電気の力でモーターを回して、その回転力で木を削ります。回転数の多さやトルクが大きい程、直径が大きいものや長いドリルビットが使用できるので、より大きく深い穴を開けることが可能です。

木に開ける穴のサイズはドリルビットによって変更可能で、開けたい穴の径に合ったドリルビットに交換する必要があります。木工用ドリルと鉄工用ドリルの違いは、ドリルビットの形状です。

木工用ドリルのドリルビットの形状は、先端に先ネジと言われる部分があり、まず先ネジを木材に打ち込むことにより、穴を開けたい位置に固定できます。このため、正確に穴を開けることが可能です。

木工用ドリルの種類

1. 据え付け型

卓上ボール盤と呼ばれる機械を指します。金属加工で使われることが多いですが、木工用ドリルとしても使用可能です。機械の横にある手動ハンドルを動かし、真下にドリルを動かせるため、正確に操作することができます。

2. ハンディタイプ

木工として使用するのであれば、回転ドリルがおすすめです。中には振動ドリルや打撃モード付のドリルもありますが、木は簡単に穴が開くので、回転ドリルの方が綺麗に仕上がります。

また、ハンディタイプには手動で穴を開けるタイプもあります。穴の数が多い場合や、広い径、深く開けたい場合には適していませんが、精密さを求められる細かい作業には手動タイプの方が適しています。

木工用ドリルのその他情報

1. ドリルビットの種類

木工用のドリルビットには、さまざまな種類があります。厚みのある木材を貫通させるときに使用する錐、コンパネなど比較的薄い木材に穴を開けるホールソー、割れやすい木材にビスを打つ時に下穴を開ける下穴キリ、一定の深さまでしか掘れないようにストッパーがついているダボ穴用キリなどです。

それぞれ径やビット自体の長さ、シャンクと呼ばれる差込口の種類があります。ホームセンターでは、一般的によく使用される種類がセット販売されている場合も多いです。

2. 木工用ドリルを使用する際の注意点

木材に穴をあける際は、木材が動かないようにクランプ等でしっかりと固定することが大切です。固定できていないと、ドリルビットと共に木材が回転してしまいます。

必ず安定した場所でしっかり固定してから、作業するようにしましょう。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/impact_driver-wood-drilling/

導電性テープ

導電性テープとは金属テープ

導電性テープとは、粘着層に導電性をもつ接着テープです。

エンボス加工された金属箔の上に粘着層を形成し粘着層表面に金属部分が露出している形のもの、金属箔の上に金属粒子を含有する粘着層が配されたものが基本形状です。さらには、金属箔の上に絶縁膜が配されて絶縁が確保されているもの、金属箔の代わりに導電性布を配したもの、導電性布が金属粒子を含有する粘着層で包まれた構造のものもあります。

導電性テープの使用用途

導電性テープは、電子機器の帯電防止などに利用されています。電子機器においては、静電気による破損や電磁波によるノイズの発生、誤作動が大きな問題です。そこで、導電性テープを貼って、静電気を逃して除去したり、帯電防止したりする電磁波をシールドするようにしています。

なお、実際に使用するときは除電のためにテープをアースに接続するように貼り付ける必要があります。また、金属箔として銅を用いている導電性テープは熱伝導性が高くなるのが特徴です。

そのため、電子機器や装置の放熱の補助パーツとしても使用されています。導電性布を用いた導電性テープはテープのフレキシビリティーが高く、凹凸がある部分にも密着して貼ることができます。

導電性テープの原理

導電性テープには、エンボス加工された金属箔の上に粘着層を形成し、粘着層表面に金属部分が露出している形のもの、金属箔の上に金属粒子を含有する粘着層が配されたものがあります。このとき、金属箔としてはアルミニウムなどの金属が使用されています。このため、接着した箇所にはエンボス加工の金属箔の一部や金属粒子が接することになり、接した部分から静電気を逃して帯電防止する、電磁波をシールドすることが可能です。

さらには、金属箔の代わりに導電性布を配したものや導電性布が金属粒子を含有する粘着層で包まれた構造のものもあります。なお、金属などの導電性粒子を含有するポリエステルなどの高分子フィルムを導電性布の代わりに使用することも可能です。

これらの構造の導電性テープにおいても、金属箔や導電性布、粘着層内の導電性粒子が接着した箇所から逃し、帯電を防止する電磁波をシールドすることが可能です。幅広い周波数に対して高いシールド効果をもつ導電性テープですが、周波数が小さいほどシールド効果が下がる特性をもちます。

導電性テープの種類

導電性テープの中でも、導電性カーボンテープと透明導電性テープは、電子機器などの帯電防止以外の特殊な用途に使用されています。

1. 導電性カーボンテープ

導電性カーボンテープは、金属箔としては主にアルミニウムを使用し、カーボンパウダーを導電性フィラーとして含有した粘着層を形成した導電性テープです。カーボンパウダーを使用しているため、テープは黒色を呈します。

導電性カーボンテープは金属箔の両面に粘着層を持つ両面テープとして使用されること多く、走査型電子顕微鏡  (SEM) の観察時などに使用されています。ガスがほとんど発生しないため、分析用途に適しているのが特徴です。

2. 透明導電性テープ

透明タイプの導電性テープの中には、クリーンルーム内で使用されるものもあります。クリーンルーム内では、静電気対策を施していない製品は使用できません。クリーンルームにとって大敵であるホコリや粉塵を寄せ集めてしまうためです。

具体的な例としては、基材であるポリブチレンテレフタレート樹脂 (PET) にポリ導電層を形成し、さらにその外側にアクリル系の粘着剤を形成してなるものが知られています。このような透明導電性テープは、優れた導電性と透明性をもつため、静電気に敏感な部品の梱包等に使用する粘着力の強い電子用テープや剥離帯電を抑えた静電気対策仕様の粘着テープなどとしても好適です。

また、プラズマやCVD工程におけるCMOS、MEMS、パワーデバイス、ガラスウエハの静電チャック用としても使用されています。

導電性テープのその他情報

導電性テープのはんだ付け

銅箔テープやアルミ箔テープなどの金属製の導電性テープは、他の部材との電気的接続をとるために、金属箔面にはんだ付け可能なものが展開されています。導電性テープは粘着剤を備えているので対象物への固定が容易であり、はんだ付けを利用した配線作業に適しています。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/douden_type/
https://www.teraokatape.co.jp/
https://tape-omakase-navi.com/trouble_list_5_2
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NC62-8143-74/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223004971446/

パイロットランプ

パイロットランプとは

パイロットランプ

パイロットランプ (英: pilot lamp) とは、電気機器の作動状態を示す小型ランプのことです。

「確認表示灯」とも呼ばれています。スイッチの連用枠に取り付けて使用します。取り付けると暗所でのスイッチの位置を探すための電灯になり、機器の状況を確認可能です。従来の商用電源を直接入力する機器ではネオン管が用いられていましたが、近年では一般的に発光ダイオード (LED) を用いています。

点灯の種類は同時点灯、常時点灯、異時点灯に分類されます。これらは通電中に感電の危険を知らせたり、節電などの注意を利用者に促すために利用されています。

パイロットランプの使用用途

パイロットスイッチは電気機器の動作状況を知らせるために、さまざまな場所で使用されています。一般家庭では新築やリフォームの場合に、ランプの付いたパイロットスイッチが多いです。消し忘れ防止としてコンセントタップにも使用されています。公共施設や商業施設にも多くパイロットスイッチが用いられます。緊急時や夜間、消灯時などの暗いときに、配電盤などの電気系統の管理に使用可能です。

通電中には感電の危険性があるため、動作中には取り扱いに注意が必要だと使用者に伝えるために、パイロットランプは発達しました。具体的には、通電中の電気アイロンの発熱部分に触ると火傷し、放置しても火災の可能性があります。事故はなくても、通電により電力を消費した状態で、コンセントを抜かずに放置すると、電力が無駄になるため、節電の点でもパイロットランプは重要です。

パイロットランプの原理

パイロットランプは多種多様な電灯(発光体)に使用されています。

  • ネオン管
    球切れの心配がなく、また商用電源に抵抗を挟むなど、簡単な回路で入力できます。ただし電圧が高くないと点灯できません。
  • 電球(白熱電球
    電球自体が電力を消費するため、球切れの心配があります。フィラメントが切れている場合に、球切れの判断がしづらいです。機器動作に合わせて利用すれば、動作電圧などの制限はありません。
  • LED
    電流方向の指定があり、高熱に弱いです。電圧が低いため、機器によっては専用の電源回路を必要とします。ただし安価で手に入り、消費電力が少なく、寿命が長いため、あらゆる機器に利用可能です。また少電力で点灯可能なため、主に乾電池やバッテリーなどを用いる電力的制約が厳しい携帯機器などに使われています。

パイロットランプの種類

パイロットランプの点灯・点滅方法には3種類あります。「常時点灯」・「同時点滅」・「異時点滅」の3つです。

  • 常時点灯
    スイッチ自体の位置を確認するために使用されます。
    スイッチがON・OFFどちらの状態でも常にパイロットランプが光る点灯方法です。
  • 同時点滅
    スイッチがONの場合にパイロットランプが点灯し、スイッチがOFFの場合ではパイロットランプが消灯します。対象物の点灯に応じて光ります。機器のON・OFF状況を確認するために使用可能です。
  • 異時点滅
    スイッチがONの場合はパイロットランプが消灯し、スイッチがOFFの場合ではパイロットランプが点灯します。周囲が暗い時に、スイッチの位置確認のために使用されます。

パイロットランプの構造

同時点滅はスイッチがONになると、パイロットランプが点灯する方式であり、パイロットランプはスイッチに対応する負荷です。パイロットランプにスイッチからの送りを接続して、さらに負荷に接続します。

常時点灯はスイッチのONやOFFに関係なく、常時パイロットランプが点灯しています。したがって直接パイロットランプに、電源を接続するだけです。パイロットランプに電源が接続されて、スイッチに電源を渡します。

機器の電源スイッチに隣接して設置され、電源スイッチと一体化したスイッチも多いです。機器に通電している際に、一体化して点灯するスイッチは、パイロットスイッチと呼ばれています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E1100000000/E1118000000/E1118010000/
https://koujishi.com/glossary/pilotlamp/

薄手ゴム手袋

薄手ゴム手袋とは

薄手ゴム手袋

薄手ゴム手袋とは、指先を使う細かい作業に適した手袋です。

天然ゴム手袋と合成ゴム手袋に分けられ、使用用途によって使い分ける必要があります。使い捨てタイプと繰り返し使うタイプの2種類がありますが、薄手ゴム手袋では使い捨てタイプが多く販売されています。

薄手ゴム手袋の使用用途

薄手ゴム手袋は、清掃、水仕事、園芸、建設現場、食品加工、医療現場など幅広く使用されています。汚れや手荒れ、けがから手を保護する目的はもちろん、防寒目的でも使用される場合が多いです。

柔軟性やフィット感に優れているため、指先を使用する細かい作業に適しています。丈夫なうえ長時間使用可能なので、医療現場では手術や検査・検診などの際に重宝されています。

なお、医療現場で薄手ゴム手袋を使用する主な目的は以下の3つです。

  • 血液や体液、注射針やメスなどを介した感染・汚染リスクから医療従事者を守る
  • 医療従事者の手指を介して患者さんに汚染物質が及ぶのを防ぐ
  • 医療現場の施設や物品が汚染されるリスクを減らす

また、手術に対して使われる際は特に、衛生面に注意が必要です。薄手ゴム手袋には、必ず滅菌処理が施されています。

薄手ゴム手袋の原理

薄手ゴム手袋には、ゴムの耐久性、弾力性、耐熱性を高めるため、硫黄が使われています。硫黄が加わっていないと、劣化が早く、すぐに引きちぎれてしまう可能性があります。

しかし、加硫 (硫黄をゴムに加える) には時間がかかります。そこで、生産効率を高めるために加硫促進剤が使われます。また、劣化を防止するためには老化防止剤が有用です。

加硫促進剤の代表的な化合物は、チラウム系化合物、ジチオカーバメイト系化合物、メルカプト系化合物です。老化防止剤の代表的な化合物として、N-イソプロピル-N-フェニル-p-フェニレンジアミンが挙げられます。

薄手ゴム手袋の種類

薄手ゴム手袋は、天然ゴム手袋 と合成ゴム手袋に分類されます。

1. 天然ゴム手袋

天然ゴムは、パラゴムノキの樹液 (ラテックス) から製造されます。パラゴムノキの栽培地域の9割はアジアです。破壊強度、耐久性、低発熱性に優れているため、トラックやバス、飛行機などの大型タイヤは100%天然ゴムで作られています。

ラテックスに含まれるゴム成分は30〜40%と言われています。基本骨格はイソプレンC5H8がシス結合したポリイソプレンです。シス結合が、破壊強度、耐久性を高めます。合成ゴムでは100%シス結合のポリイソプレンを製造することが難しいため、天然ゴムに比べて破壊強度、耐久性が劣ります。

天然ゴム手袋は、油や薬品に対しては使えない点と、樹液であるラテックスがアレルギー反応を起こしやすいのが欠点です。それに対して、合成ゴム手袋は石油を原料としているため、油や薬品に対して使用可能です。また、ラテックスアレルギーも引き起こしません。

2. 合成ゴム手袋

合成ゴムはニトリルゴムとも呼ばれ、石油が原料であるため、油や薬品に対して使われます。ラテックスを含んでおらず、ラテックスアレルギーを起こすことはありません。しかし、遅発型アレルギー反応であるアレルギー性接触性皮膚炎を発症する可能性があります。

また、天然ゴム手袋が安価であるのに対し、合成ゴム手袋の費用はやや高めです。

薄手ゴム手袋のその他情報

1. ラテックスアレルギー

ラテックスアレルギーは、天然ゴム特有のアレルギー反応です。即時型アレルギーのため、皮膚や粘膜が手袋に接触したり、手袋に付いているパウダーを吸い込んだりしてから、2時間以内に症状が出現します。主な症状は、接触部位及び全身の蕁麻疹、咳や喘鳴 (ゼーゼーヒューヒュー) などの呼吸器症状、アナフィラキシーショックなどです。

原因物質は、パラゴムノキの樹液 (ラテックス) に含まれるタンパク質成分です。天然ゴムに1.5%程度含まれていると言われています。

また、フルーツや野菜にも上記のタンパク質と似た成分が含まれていることがわかっています。特にクリ、バナナ、アボカド、キウイフルーツには注意する必要があります (ラテックスフルーツ症候群) 。天然ゴム手袋を使用する前に、「果物や野菜を食べたときに口の中の違和感やピリピリ感を経験したことがあるかどうか」の事前確認が重要です。

アトピー体質などアレルギー反応を生じやすい人は、元々皮膚のバリア機能が弱いため、ラテックスアレルギーを発症しやすいと言われています。体質によっても注意が必要です。

2. アレルギー性接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎は、遅発性のアレルギー反応です。接触してから数時間〜数日間後に発症します。症状は、痒みを伴う湿疹、紅斑、浮腫、漿液性丘疹、乾燥、亀裂、手荒れなどです。

原因物質は、加硫促進剤と老化防止剤と言われています。そのため、天然ゴムでも合成ゴムでも発症する可能性があります。治療は、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬、ステロイド内服薬です。

発症予防は、「ゴム手袋の下に綿の手袋をする」「短時間使用にとどめる」「加硫促進剤フリーゴム手袋を使う」「パッチテストを行ってから使用する」などです。

天然ゴム手袋

天然ゴム手袋とは

天然ゴム手袋

天然ゴム手袋とは、ゴムの木の樹液から作られる天然ゴムを素材とした手袋です。

機械的強度の高い天然ゴムからできているため、引き裂きと引っ掻きに強く、伸縮性に優れています。また、滑りにくく、手によくフィットします。

厚手の手袋と薄手の手袋があり、作業の種類によって使い分けられます。天然ゴムにはゴムの木由来のラテックスが含まれているため、人によってはアレルギーを発症することがある点に注意が必要です。また、油や有機溶剤への耐性が低く、これらを取り扱う作業には適していません。

天然ゴム手袋の使用用途

天然ゴム手袋はフィットしやすいため、細かな作業に向いています。家庭用の一般的な手袋として用いられるほか、清掃作業でも用いることがあります。価格が比較的安く、使い捨ての薄手の手袋にも使用されることが多いです。

天然ゴム手袋は、手袋に由来する汚染のリスクが少ないことから、製造業における部品の検査、品質検査、仕分け作業にも多く用いられます。また、外気温の影響を受けにくいことから、室外の作業が多い建設業や土木業、漁業、水産、農業、園芸、林業、畜産業の分野でも天然ゴム手袋を用います。

天然ゴムが低い温度でも柔軟である性質を活かして、寒冷地や冷凍庫内での作業にも重宝されています。

天然ゴム手袋の原理

天然ゴム手袋の素材である天然ゴムの主な成分は、イソプロピレンゴムです。イソプロピレンゴムは、滑りにくく伸縮性に優れる性質をもっているため、天然ゴム手袋もグリップ性に優れ、手にフィットしやすい特徴があります。

天然ゴム手袋は水やアルコール、塩基性水溶液、ABS洗剤などに対する耐性が高いです。一方、ガソリンや灯油、重油、軽油などの油に対する耐性は低いため、油を取り扱うことの多い機械や自動車関連の作業には向いていません。

また、ベンゼントルエンなどの芳香族系化合物、テトラヒドロフランなどのエーテル系化合物、ジクロロメタンのような塩素系化合物への耐性が無いため、基本的に有機溶媒を扱う作業には向いていません。

天然ゴム手袋のその他情報

1. 天然ゴム手袋の製造工程

天然ゴムは、主に液状のゴムであるラテックス、シート状にして乾燥させたRSS (Ribbed Smoked Sheets)、ゴムを細かく粉砕しプレス成型したTSR (Technically Specified Rubber) の3つの形態に加工されますが、天然ゴム手袋に用いられるのはラテックスです。

パラゴムノキから採取したラテックスが凝固しないようにアンモニアを添加し、メッシュでゴミをろ過したアンモニアラテックス (ゴム分濃度25~35%程度) を遠心分離し、不純物を取り除いて濃縮したものを濃縮ラテックス (ゴム分濃度60%程度) と呼びます。

この濃縮ラテックスに配合剤として架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤などを混合し、手の形をした型を浸漬させて乾燥させることで、ゴム手袋が成型されます。

2. 天然ゴム手袋のアレルギー症状

天然ゴム手袋は原料がゴムの木の樹液であるため、イソプロピレンゴム以外にも様々な成分が含まれています。人によってはラテックスアレルギーを発症する可能性があり、場合によっては重篤なアレルギー反応を発症することも珍しくありません。そのため、ゴム手袋を使用しているときに違和感がある場合は、直ちに使用を中止します。

特に医療用手袋については、天然ゴムのI型アレルギーのリスクを回避するために、合成ゴム手袋への置き換えが進められています。手術用手袋はクロロプレンゴム手袋などに、検査・検診用手袋はニトリルブタジエン手袋に置き換えられています。

3. 天然ゴム手袋の品質

天然ゴム手袋は天然素材由来ゆえに、不純物としてタンパク質や樹脂、糖類、ゴムの塊などが含まれている可能性があるため、使用前の確認が必要です。また、天然ゴム産国の経済や気候の状況によって、物性にばらつきが出ることも多く、価格や入手性が変化しやすいです。

参考文献
https://www.towaco.co.jp/product/guidance/
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/workglove_material/
https://ec.midori-anzen.com/shop/c/cHAEADA/
https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/rubbergloves/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/90/4/90_210/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/88/9/88_369/_pdf

六角棒レンチ

六角棒レンチとは

六角棒レンチ (英語: Hexagon Wrench, Hexagonal Wrench, Allen Key Wrench) とは、六角穴付きなどボルト締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状のねじ類を、締め付け、緩めるための工具です。

レンチ全体もしくは先端形状が正六角形になっていて、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のレンチです。6角棒レンチや六角棒スパナ、ヘキサゴンレンチ、ヘックスなども同義語として使用されています。

六角棒レンチの規格は、下記のとおりです。

  • JIS B4648 六角棒スパナ
  • ISO 2936 Assembly Tools for Screws and Nuts – Hexagon Socket Screw Keys
  • ASME B18.3 Socket Cap, Shoulder, and Set Screws, Hex and Spline Keys

六角棒レンチの使用用途

六角棒レンチは、六角穴付きなどボルト締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状の、ボルトやねじ類を締結するために使用します。具体的に使用するボルトやねじ類は下記のとおりです。

  • 六角穴付きボルト (六角穴付ボタンボルト、六角穴付皿ボルトなど)
  • セットスクリュー
  • 六角穴付きプラグ

ボルトやねじ類の締め付け用工具の差し込み穴形状は、プラスやマイナス、プラスマイナスなどがありますが、主に六角穴は他の穴形状と比較して、より大きな締付トルクを必要とする締結部品に使用されます。

六角棒レンチの原理

六角棒レンチの原理はシンプルで、六角棒レンチの先端を六角穴付きボルトなどの六角穴に差し込み、回して締め付け・緩めを行います。一般的に六角棒レンチは、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のため、それぞれどちらの柄を差し込むかで、用法が異なります。

ボルトまでの距離が遠い場合や締結にさほどトルクを必要としない場合は、長柄側の先端を差し込み、短柄側を手で回します。

一方で、ボルトまでの距離が短い場合や締結にある程度大きなトルクを必要とする場合は、短柄側の先端を差し込み、長柄側を手で回します。

六角棒レンチの種類

六角棒レンチの種類は、サイズ (六角部分の二面幅寸法と短柄・長柄の長さ) や先端形状、材質などで分類されます。

1. サイズによる分類

六角棒レンチ_図1

図1. 六角棒レンチのサイズ例

六角棒レンチのサイズは、ミリサイズの場合JIS B4648、インチサイズの場合ASME B18.3の規格に規定されています。ただし、販売されているレンチは、必ずしも規格通りの長さではないものもあります。

JIS B4648のミリサイズの場合に、二面幅寸法は0.7~46 mmとなっています。短柄と長柄長さは、二面幅寸法によって決まります。

サイズの例は、図1を参照してください。上記長柄寸法は標準型の場合を示し、他に長柄寸法はM形とL形の2種類があります。

また、ASME規格品の場合は、インチサイズになっていて、ミリサイズと同様に六角の二面幅寸法が呼びになります。サイズは1/16~3インチまで規定されています。

2. 先端形状による分類

六角棒レンチ_図2

図2. 六角棒レンチの先端形状

六角棒レンチの先端形状は、標準型の単純な六角形と角の面取りで球形に近い形状のボールポイント形があります。それぞれの先端形状は、図2を参照してください。

ボールポイント形は、六角棒レンチをボルトなどの六角穴に対して斜めに差し込むことが可能です。ボルトなどに対して、真っ直ぐ垂直に差し込みができない場合の使用に有効です。

ただし、斜めに差し込んだ状態では、強い力で締め付けが困難なため、最終的には標準型での締め付けが必要になります。

3. 材質と表面処理による分類

六角棒レンチの材質は、主にクロムモリブデン鋼クロム・バナジウム鋼、ステンレス鋼が使用されています。表面処理としては、黒染め、ニッケルメッキ、クロムメッキなどの処理がされています。 (ステンレス鋼製を除きます。)

4. その他

六角棒レンチ_図3

図3. ホルダー付きとフォールディング式の六角棒レンチ

六角棒レンチには、複数サイズの六角棒レンチが鍵束状にホルダーに収納されているものや、同様に複数サイズがグリップ内に収納され、必要なサイズだけ回転させ使用するフォールディング式があります。

ホルダー付きとフォールディング式の六角棒レンチは、図3を参照してください。

参考文献
https://diytools1.com/2016/04/26/post-14115/
https://ktc.jp/kiso/lesson/hex_wrench.html
https://kikakurui.com/b4/B4648-2008-01.html

警報機

警報機とは

警報機

警報機とは、危険や異常を周囲に知らせるために、大きな音で警報を鳴らしたり、メールや電話での通報、回転灯など作動させたりするシステムや機器のことです。

防犯や防災、設備の異常動作や誤作動、漏電、断線などがあった場合の検知や、それらを点検する人的省力化、無人化などに役立っています。音の切り替えや発光するもの、自動で主幹ブレーカを遮断するものなど、搭載機能は製品によって異なります。

警報機の使用用途

警報機は防犯、防災などのために、住宅や工場、ビル、公園、駐車場など様々な場所で使用されています。火災警報機は、住宅など、様々な場所で使用されています。煙を検知するものや熱検知機、ガス検知機などの検知方式はさまざまです。

防犯のための警報機は、侵入があった場合に、家中に素早くワイヤレスで危険を知らせることができます。音声または光と共に知らせる警報機があります。家だけでなく、工場や資材置き場など侵入者の可能性がある場面で利用が有効です。

工場や倉庫では、通路を走るフォークリフトなどが通る際に、センサーの前を横切ると、周囲や死角にいる人に、接近を知らせる警報ランプなどがあります。

警報機の原理

警報機は目的によって様々なタイプがあります。異常を検知する検知する方式と、異常を通知する通知方式の組合せで様々な種類のものが販売されています。

1. 検知方式による分類

検知方式は、単独で使用される場合もありますが、複数の方式を組み合わせて使用される場合もあります。また、技術の進歩により、より高度なセンサー技術やデータ処理技術が開発され、より正確な検知が可能になっています。

光検知方式
光センサーを使用して、光の変化を検知する方式です。例えば、煙検知機では煙や微粒子が光を遮ることで検知します。

熱検知方式
熱センサーや赤外線センサーを使用して、温度変化を検知する方式です。火災検知機では、急激な温度上昇や高温を検知して警報を発します。

音検知方式
マイクロフォンや音響センサーを使用して、異音や特定の音のパターンを検知する方式です。ガラス破損検知機や騒音検知機がこれに当たります。

振動検知方式
振動センサーや加速度センサーを使用して、物体の振動や衝撃を検知する方式です。地震検知機や窓ガラス破損検知機などで利用されます。

化学検知方式
化学センサーやガスセンサーを使用して、特定のガスや化学物質の濃度変化を検知する方式です。ガス漏れ検知機や一酸化炭素検知機がこれに該当します。

電流・電圧検知方式
電流センサーや電圧センサーを使用して、電気の流れや電圧の変化を検知する方式です。例えば、火災検知機では電流の異常や短絡を検知します。

2. 通知方式による分類

通知方式は、システムの種類や目的に応じて選択されます。また、複数の方式を組み合わせて使用される場合もあります。通知方式の選択は、情報の重要性、速度、通知先の多様性などを考慮して行われます。

音声通知
警報機やスピーカーを介して、異常を示す音や音声メッセージを再生する方式です。例えば、火災検知機が異常を検知した場合には、警報音や「火災です」などの音声メッセージが再生されます。

光表示
LEDや表示灯を使用して、異常を示す光のパターンや色を表示する方式です。例えば、セキュリティシステムのセンサーが侵入を検知した場合には、点滅する赤いLEDが表示されることがあります。

電話通知
異常を検知した場合に、指定された電話番号に自動的に通知を行う方式です。セキュリティシステムやモニタリングシステムでは、異常があったことをオーナーや管理者に直接電話で知らせることがあります。

インターネット通知
異常を検知した情報を、インターネット経由で通知する方式です。例えば、センサーネットワークや監視システムは、異常を検知したデータをクラウドサーバーに送信し、関係者に電子メールやアプリ通知として送信されることがあります。

監視カメラで撮影した映像を携帯電話へ転送するものもあります。防犯だけでなく、安否確認などにも使用されています。

警報機の種類

1. 火災警報機

煙検知機や熱検知機を備えた火災警報機は、建物内で発生する火災を検知して警報を発する装置です。主に音声や音響信号を使用して異常を通知します。

2. 盗難警報機

盗難や侵入を検知するためのセンサーを備えた警報機です。窓やドアの開閉センサーや振動検知センサーなどが使用されます。異常が検知されると、警報音や通知を発します。

3. 一酸化炭素警報機

一酸化炭素 (CO) ガスの濃度を検知するための警報機です。一酸化炭素は無色・無臭で、人体に危険をもたらすため、警報機が異常を検知した場合には警報音を鳴らします。

4. 地震警報機

地震を検知して、地震の発生や震度を通知する警報機です。地震計や振動センサーを使用して、地震の揺れを感知し、警報音や表示で異常を通知します。

5. ガス漏れ警報機

可燃性ガスや有毒ガスの漏れを検知して警報を発する装置です。ガスセンサーや化学センサーを使用し、ガスの濃度異常を検知すると警報音や表示を行います。

6. 水漏れ警報機

水漏れを検知して異常を通知する警報機です。水センサーや水位センサーを使用し、漏水や浸水が検知されると警報音や通知を発します。

参考文献
https://www.security-joho.com/service/keihouki.htm
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen360.html#
https://www.kaho.or.jp/pages/keiho/docs/poster/guidebook-koukan-202003.pdf
https://anabuki-m.jp/information/resolution/28872/