スチールパレットとは
スチールパレットとは、荷物を載せて輸送や保管に用いるスチール製の荷役台です。
パレットには木製、合成樹脂製、金属製、紙製などの種類があり、スチールパレットは金属製パレットの1つです。鋼鉄製で、様々な形状をしており、耐荷重が大きいです。一般的なパレットは通常耐荷重が約1tですが、それを超えるものも多くあります。
パレットのサイズは、国際標準化機構 (ISO) の規格に基づいて生産され、流通しています。日本での一般的なサイズは、JIS Z 0601では1,100×1,100×144mmと定められており、別名での呼称は「T11型パレット」、「イチイチパレット」などです。この他、1,200×800×145mm、1,000×1,000×140mmなどが多く流通しています。
スチールパレットの使用用途
パレットは荷物を積載し、輸送、保管、構内作業などに利用されます。荷役作業の負担を軽減し、生産性を向上させる役割があります。フォークリフト作業の前提となるものであり、ユニットロードシステム (物流機器を利用して荷扱いし、輸送・保管などを効率化する仕組みのこと) に欠かせない物流資材です。
業界別に見ると、酒類業界では、1,100×900mmのサイズが多く用いられます。ビールケースを6箱載せられ、別名の呼称はビールパレットです。医薬品業界では、サイズが1,100×1,100mmのパレットが使われ、多くはGMP (医薬品の製造管理及び品質管理の基準)を考慮して樹脂化が進んでいます。化学業界では、1,220×1,220mmのサイズが多く、ドラム缶4本が積載可能です。
スチールパレットの原理
スチールパレットは、他の素材のものよりも強度に優れ、耐荷重も大きいことが特徴です。
木製パレットは、長期にわたって使うと、割れやささくれが発生し強度や衛生面での問題が増えていきますが、スチールパレットは破損がないため長期間の使用が可能です。洗浄・滅菌しやすく衛生的で、食品や医療関係の物流で多く用いられます。樹脂製パレットは、既製サイズにない金型を作る際に高価な金型費がかかりますが、スチールパレットは、それに比べてコストが低く済み、自由自在のサイズを作成することが出来ます。
一方でスチールパレットは、コストが高いこと、パレット自体にかなりの重量があるため運用が難しいことなどから、一般的には多く使われていません。しかし近年では技術開発が進み、安価で軽量のスチールパレットが開発されています。
スチールパレットの種類
パレットの形状により分類すると、次のように分けられます。
1. 平パレット
平パレットは物流業界などで使用される一般的なパレットです。多くは表裏の両面が使えます。
2. メッシュパレット
金属製の網状の板を組み合わせて箱型にしたパレットです。使わないときは折りたたんで、狭いスペースに保管ができます。荷物の輸送や保管に使う場合が多く、段積みが可能です。
3. ロールボックスパレット
ロールボックスパレットは、カゴ台車とも呼ばれ、開口部以外の3面をスチールの格子や網状の枠で囲ったパレットです。周りが囲われているので、荷こぼれが防止でき、一度に多くの荷物を運べます。また、そのまま陳列棚としても使うことができます。
4. その他のパレット
ポストパレット、シートパレット、サイロパレット、タンクパレットなどの種類があります。
スチールパレットの特徴
1. 高強度
スチールパレットは、木製、樹脂製、紙製などと比べ、高強度です。したがって、破損などが少なく、長寿命です。重量物のパレットも容易に製造が可能です。
2. 不燃性
スチールパレットは不燃材であり、消防署の検査対策に適し、危険物倉庫で使う場合に最適です。難燃性樹脂のパレットに比べ、低価格です。
3. 含水量ゼロ
スチールパレットは、水分を含みません。木製パレットは、コンテナの中で水分が蒸発し、結露や錆の発生が懸念されます。
4. 異物混入なし
スチール製のため木くず、樹脂片、虫の付着、松やになどがなく、コンタミフリーパレットと言えます。木製パレットは、燻蒸・熱処理などが必要です。スチールパレットは、洗浄や滅菌が容易なので、食品業界にも適しています。