溶存酸素計

溶存酸素計とは

溶存酸素計とは、水中に溶け込んでいる酸素の量を測定する機器です。

ポータブルで簡単に持ち運びできるものから、溶存酸素を測定したい個所に設置して固定する設置型、またその信号をDCSなどの集中管理装置などに送信してリアルタイムで表示できるものまであります。

水中の酸素量を正確に測定するために必要な機器で、水質管理や水産業、環境調査などで使用されます。

溶存酸素計の使用用途

溶存酸素計は、排水処理施設などでの水の汚染の指標の表示に多く使われています。日本国内では多くの工場で採用されているのが、好気性処理と呼ばれる水の中の汚れを分解するときに酸素を消費する好気性生物を利用した排水処理です。

この方法はその名の通り酸素が必要なので、水の中から酸素がなくなると効果的な排水処理ができなくなります。そのため、溶存酸素計で常に水の中の溶存酸素濃度を測定しています。そのほか、食品業界では発酵食品などの発酵具合を測定する際に使用されています。

溶存酸素計の原理

溶存酸素計は、隔膜電極法や蛍光法などの方法で測定することができます。

1. 隔膜式溶存酸素計

隔膜式は、メンブレンと呼ばれる隔膜に電解液を入れてそこにセンサーを取り付けることにより、測定が可能になります。ただし、電解液の交換などが必要になるため、定期的なメンテナンスが必要です。

2. 蛍光式溶存酸素計

蛍光式は、下水処理場や排水処理場などでの計測に適しており、隔膜や電解液を使用しません。測定時に酸素を使用しないのも特徴で、流速のない環境であっても測定することができます。

また、蛍光式は屋外で使用する場合の防水性能などを備えたものも多く、実際の河川や排水処理場で投げ込んで使用する場合でも安心です。その他にもpH等も同時に測れるものがあり、多くの指標を同時に測定できます。

溶存酸素計の種類

溶存酸素計は定置型、携帯型、卓上型の3つに分類されます。

1. 設置型

設置型は、水中に設置して使用するよう設計されていて、おもに河川や工場排水等の水質監視などで使用されます。一般的に、水中に設置されてた検出器により溶存酸素濃度を測定し、そのデータを変換器へ伝送する仕組みです。

また、長期間測定を続けると、検出器の隔膜面に汚れが付着することで、検出感度が低下するため、設置型の機種の多くは、自動洗浄機構を有するタイプが多いです。

2. 携帯型

携帯型は軽く、コンパクトにできているため携帯性に優れていています。主に、水族館や養殖場、屋外での水質調査などに使用されています。比較的簡単な操作で、かつ測定時間が短いため、リアルタイムで計測可能です。

携帯型の多くは、防塵や防水等の機能が付いており、現場での計測に便利です。

3. 卓上型

卓上型は高精度のセンサーを使用していて、非常に正確な酸素濃度の測定が可能なため、研究機関や試験室等で使用されます。携帯型同様、コンパクトなタイプが多く、持ち運ぶことができます。

溶存酸素計のその他情報

溶存酸素計の校正

溶存酸素計は、定期的に校正を行う必要があり、以下のような方法があります。

低濃度の溶存酸素を正確に測定したい場合や、低濃度の数値が異常と感じる場合に、溶存酸素計のゼロ点を理論値に合わせるための校正方法として、ゼロ標準液 (JIS K 8061に規定された亜硫酸ナトリウム (無水) 約25gを水に溶かし、水を加え500mLに調整したもの) を使用したゼロ点校正を実施します。

また、水中の飽和溶存酸素分圧と大気中の酸素分圧はほぼ等しいことを利用する方法もあります。簡易的に大気中の酸素分圧を利用して行うスパン校正と、溶存酸素飽和水 (水500mL程度で10~20分エアレーションしたもの) を使用して行う飽和水校正です。

ただし、飽和水校正でも気圧の影響を受けるため測定水を基準にしている計器で測定し、その値に合わせこむマニュアル校正という方法もあります。なお、溶存酸素計の校正には、国家標準にトレースされている標準液がないため、校正証明書の発行はできません。

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