レーザーモジュールとは
レーザーモジュールとは、レーザーを用いて動作を行うさまざまな機器に必要とされるレーザー光源を生み出すための装置一式です。
現在、レーザーを用いた機器が多く存在し、特に計測装置や位置検出装置、また各種センサーなどにレーザー光源は不可欠な存在となっています。計測用途のレーザーは可視光範囲の青色や緑色および赤色のレーザーが多いですが、その波長範囲から逸脱した加工用途に用いられるレーザーもあり、その危険度からクラス1からクラス4までのクラス分けがされています。
レーザーモジュールの使用用途
レーザーモジュールの使用用途は波長に応じて異なりますが、一般には計測用途やポインター、DVDなどのピックアップ光源、半導体部品の配線加工、製品のレジン材他へのマーク印字用途などに使用されています。
顕微鏡や干渉計などの計測機器には、主に赤色レーザーが利用されます。そのため、計測機器用の赤色レーザーを安定的に発振できるレーザーモジュールが多く、市販されている状況です。可視光領域の光源は大きく増幅しなければ比較的安全なため、レーザーポインターやプロジェクターにも使用されています。
一方、レーザー加工機などにはさまざまな波長のレーザーが使用されます。その波長によって、加工できる材質や被加工物のダメージが異なります。
レーザーモジュールの原理
レーザーモジュールの原理は、必要とされるレーザー光の波長や位相をそろえるために、その波長に適した元素を用い、誘導放出という物理的な元素のエネルギー準位の遷移を活用している点にあります。
特定の波長の光を入手するためには、ある元素で構成された媒体を用意します。この元素が励起状態から準位が下がる際に、一定の電磁波のエネルギーを放出し、そのエネルギーに対応した波長の光源が得られます。
レーザーモジュールではこの光源の位相をそろえるために、一度に多くの励起した元素の準位を落とす必要があります。これには、誘導放出といった物理現象を利用します。誘導放出とは、この元素の励起された準位と規定準位間のエネルギー差に相当する光が入射されると、それにつられて、その部分の電子もエネルギーを放出する現象です。この現象により、同じ位相の光が手に入ります。
レーザーモジュールでは、この誘導放出を同時に数多く行うために、元素全体を一気に励起状態としては誘導放出現象を起こすサイクルを繰り返すことで、一定波長のレーザー光源が取り出せる構成になっています。
レーザーモジュールのその他情報
1. レーザー光源のクラス分類
レーザー光源はその安全上の管理でクラス分類がなされており、クラス1からクラス4まで段階に応じての分類があります。例えば、クラス1では安全上問題なく特別な対策は不要ですが、クラス4は0.5W以上のCWを扱う高出力レーザーであり、例え反射光だったとしても皮膚や眼球へのやけどやダメージ等が懸念されます。
保護具含めての十分な安全対策が必要であり、製品には通常はそのレーザークラスに応じた警告ラベルが表示されています。なお、製品によっては、インターロック含めた保護カバーを具備することで、クラス4相当のレーザーであっても、クラス1での扱いで大丈夫としているものもあります。そのレーザーモジュールの仕様と日本工業規格「レーザー製品の放射安全基準」であるJIS C 6802の原文で、具体的な内容をよく確認することが大切です。
2. レーザーモジュールの波長の事例
レーザーモジュールの波長は、さまざまな値のものが製品化されています。可視光は380nm付近の紫色を下限に、780nm付近の赤色まで用途に応じて取り扱われており、ポインター用途や計測機器には赤色レーザーが広く用いられています。
一方で、加工用のレーザー光源の代表事例はCO2レーザーであり、その波長は10.6umと9.6umという最も長い波長です。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/principle.jsp