レーザーモジュール

レーザーモジュールとは

レーザーモジュール

レーザーモジュールとは、レーザーを用いて動作を行うさまざまな機器に必要とされるレーザー光源を生み出すための装置一式です。

現在、レーザーを用いた機器が多く存在し、特に計測装置や位置検出装置、また各種センサーなどにレーザー光源は不可欠な存在となっています。計測用途のレーザーは可視光範囲の青色や緑色および赤色のレーザーが多いですが、その波長範囲から逸脱した加工用途に用いられるレーザーもあり、その危険度からクラス1からクラス4までのクラス分けがされています。

レーザーモジュールの使用用途

レーザーモジュールの使用用途は波長に応じて異なりますが、一般には計測用途やポインター、DVDなどのピックアップ光源、半導体部品の配線加工、製品のレジン材他へのマーク印字用途などに使用されています。

顕微鏡や干渉計などの計測機器には、主に赤色レーザーが利用されます。そのため、計測機器用の赤色レーザーを安定的に発振できるレーザーモジュールが多く、市販されている状況です。可視光領域の光源は大きく増幅しなければ比較的安全なため、レーザーポインターやプロジェクターにも使用されています。

一方、レーザー加工機などにはさまざまな波長のレーザーが使用されます。その波長によって、加工できる材質や被加工物のダメージが異なります。

レーザーモジュールの原理

レーザーモジュールの原理は、必要とされるレーザー光の波長や位相をそろえるために、その波長に適した元素を用い、誘導放出という物理的な元素のエネルギー準位の遷移を活用している点にあります。

特定の波長の光を入手するためには、ある元素で構成された媒体を用意します。この元素が励起状態から準位が下がる際に、一定の電磁波のエネルギーを放出し、そのエネルギーに対応した波長の光源が得られます。

レーザーモジュールではこの光源の位相をそろえるために、一度に多くの励起した元素の準位を落とす必要があります。これには、誘導放出といった物理現象を利用します。誘導放出とは、この元素の励起された準位と規定準位間のエネルギー差に相当する光が入射されると、それにつられて、その部分の電子もエネルギーを放出する現象です。この現象により、同じ位相の光が手に入ります。

レーザーモジュールでは、この誘導放出を同時に数多く行うために、元素全体を一気に励起状態としては誘導放出現象を起こすサイクルを繰り返すことで、一定波長のレーザー光源が取り出せる構成になっています。

レーザーモジュールのその他情報

1. レーザー光源のクラス分類

レーザー光源はその安全上の管理でクラス分類がなされており、クラス1からクラス4まで段階に応じての分類があります。例えば、クラス1では安全上問題なく特別な対策は不要ですが、クラス4は0.5W以上のCWを扱う高出力レーザーであり、例え反射光だったとしても皮膚や眼球へのやけどやダメージ等が懸念されます。

保護具含めての十分な安全対策が必要であり、製品には通常はそのレーザークラスに応じた警告ラベルが表示されています。なお、製品によっては、インターロック含めた保護カバーを具備することで、クラス4相当のレーザーであっても、クラス1での扱いで大丈夫としているものもあります。そのレーザーモジュールの仕様と日本工業規格「レーザー製品の放射安全基準」であるJIS C 6802の原文で、具体的な内容をよく確認することが大切です。

2. レーザーモジュールの波長の事例

レーザーモジュールの波長は、さまざまな値のものが製品化されています。可視光は380nm付近の紫色を下限に、780nm付近の赤色まで用途に応じて取り扱われており、ポインター用途や計測機器には赤色レーザーが広く用いられています。

一方で、加工用のレーザー光源の代表事例はCO2レーザーであり、その波長は10.6umと9.6umという最も長い波長です。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/principle.jsp

ドアスイッチ

ドアスイッチとは

ドアスイッチ

ドアスイッチとは、ドアの開閉に応じて接点出力をする機器です。

広く使用される接触式ドアスイッチは、リミットスイッチマイクロスイッチと似た構造をした機器で、ドアや扉に固定して使用する点が特徴です。

ドアスイッチの使用用途

ドアスイッチは、産業や家電に広く使用される機器の1つです。ドアスイッチの使用用途は、以下の通りです。

  • 冷蔵庫や電子レンジの扉開閉検知用
  • 納屋の自動点灯用
  • 大型プレスや搬送機器のインターロック用
  • 制御盤の照明自動点灯用
  • プリンターや複合機のトレイ開閉検知用
  • 自動車の扉開閉検知用

最も一般的に使用される事例は冷蔵庫です。冷蔵庫は扉の開放を長時間継続するとブザーを鳴らしたり、開放時に内部照明を点灯させる製品が多いです。この際、扉の開閉検知にドアスイッチが使用されます。

また、産業においては安全用のインターロック装置としてドアスイッチが使用される場合があります。主に大型の製造装置などに使用され、人身災害防止の観点から取り付けられることが多いです。

巨大装置や高トルク動力装置へ巻き込まれる事故は、過去より多く発生しています。これらの人身災害を未然に防ぐべく、装置全体を安全柵で覆うなどの対策を取ります。柵で覆うだけでは人が装置に近寄ることが困難になるためドアなどを設けますが、ドアを開けると装置が停止するようにインターロックを設けることが多いです。

インターロックに使用するドアスイッチをセーフティドアスイッチと呼ぶこともあります。ドアスイッチのみではインターロックが不完全だと判断される場合は、電磁ロック付きドアスイッチ等が採用されることもあります。

ドアスイッチの原理

ドアスイッチは、接点、機構部、取り付け金具などで構成されます。

1. 接点

接点は、デジタル接点信号を発信するための部品です。主に銀や金などの材料が使用されます。接点の許容される電流値は数A程度が一般的で、制御用回路に組み込まれることが多いです。

2. 機構部

機構部は、ドアの開閉を検知する部品です。用途に応じて接触式の製品や非接触式の製品などがあります。接触式の製品では主にマイクロスイッチが内蔵されており、非接触式の製品ではリードスイッチが内蔵されています。

3. 取付金具

取付金具はドアに取り付けるための金具です。ビス留めなどの構造の製品が一般的です。ワンタッチプラグが使用された製品も販売されています。

ドアスイッチの種類

ドアスイッチは、用途に応じてさまざまな種類の製品が存在します。代表的な種類は、以下の通りです。

1. 非接触式ドアスイッチ

非接触式のドアスイッチは、内部にリードスイッチを内蔵したドアスイッチです。専用のアクチュエータが付属しており、内蔵された磁石で開閉を検知します。ドアと接触しないため、機械的に摩耗するような部品が少ない点が特徴です。

一般的なリードスイッチは磁石を使用すれば接点の開閉が可能ですが、安全用途の場合は専用のアクチュエータを使用しなければならない構造になっています。これはリードスイッチの誤動作などを防止するためです。

2. 接触式ドアスイッチ

接触式は、内部にマイクロスイッチを内蔵した構造のドアスイッチです。先端のアクチュエータがドアに接触することで扉閉止を検知します。さまざまなアクチュエータの製品が販売されています。

堅牢かつ安価なため、冷蔵庫のドアやプリンターなどには接触式ドアスイッチが使用されます。ただし、経年使用によって内部のばねが弱まってしまった場合、誤不動作が発生する危険があります。

3. 電磁ロック付きドアスイッチ

電磁ロック付きは、電磁ロックによるドアの施錠機能を有したドアスイッチです。安全の用途でドアスイッチを使用した場合、ドアスイッチが故障すると人身事故の原因になります。

電磁ロック付きのドアスイッチを選定することで、ドアの施錠によって誤侵入防止が可能です。一般的には、施錠時に無理やりこじ開けると設備が停止するようにインターロックを設けます。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/products/safety/safety-door/

デジタルタイマ

デジタルタイマとは

デジタルタイマ

デジタルタイマとは、あらかじめ設定した時間が経過すると自動でスイッチのオンとオフが切り替えられる機器です。

デジタルタイマにはアナログタイマとデジタルタイマがありますが、ダイヤル目盛りなどで手動設定するアナログタイマに比べて、数値設定するデジタルタイマの方がより細かい設定が可能です。この場合制御精度は高くなりますが、設定方法がアナログタイマに対してやや複雑になります。

デジタルタイマの使用用途

デジタルタイマは、さまざまなシーンで使用されています。ある一定時間だけ稼働させたい装置に対し、デジタルタイマを導入することで、好きなタイミングでその装置の動きを止めることが可能です。

1. 製造現場における用途

製造現場などで用いるデジタルタイマは、製品の品質や安定性に影響を及ぼすことから、高精度であり多機能であることが特徴です。一般的に高度な機能であればあるほど、価格も高価となりますが、1台数千円から数万円が基本です。

フリッカ動作やワンショット出力の可否、オンディレイ・オフディレイ制御の可否や、インターバル機能の有無など性能によって価格が変動します。

2. スポーツ分野における用途

スポーツの分野で利用されるデジタルタイマは、観客からも見えるような大型の製品や視認性の高いことが特徴です。リアルタイムを表示できる機能を兼ね備えたデジタルタイマが多く使用されますが、陸上競技のように精密な時間測定が必要なスポーツ向けには、スタートとゴールにセンサーを設けて自動でタイムを計測する製品なども販売されています。

デジタルタイマの原理

デジタルタイマには、自動的にオンとオフを切り替えることが可能です。各用途に合わせて機能の使用方法と原理を理解することで、より効果的に使用することができます。

デジタルタイマは、装置の入力部分から送られてきた信号を受けとり、決められた時間を測定します。あらかじめ決められた時間が経過すると出力信号が出され、機械を停止させる、または稼働させるなどの制御が行われるという仕組みです。

デジタルタイマの種類

デジタルタイマには、制御別に分けると主に4種類あります。

1. オンディレイ制御のデジタルタイマ

オンディレイ制御は設定時間が経過した際に接点がオンになった後、さらに少し時間をおいてから動作が始まる制御手法です。電圧を切ることで接点がすぐに復帰するというメリットの反面、接点の切り替えから装置が作動するまでにタイムラグがあります。

押しボタン式の信号機などは、オンディレイ制御を用いてタイマー時間からさらに経過時間を稼ぐことで作動しています。

2. オフディレイ制御のデジタルタイマ

オフディレイ制御は、接点が切り替わった直後から動作が始まる制御手法です。装置が作動するまでにタイムラグが少ないことがメリットである反面、接点の切り替えから復帰までに時間がかかります。

人感センサーにより自動点灯する照明などはオフディレイ制御を用いて作動していることが多いです。

3. フリッカ動作のデジタルタイマ

フリッカ動作とは、オンとオフを一定周期で繰り返す動作です。フリッカ動作にも2種類の動作方法が存在しており、出力がオフからスタートし、オフ、オン、オフと繰り返す動作は「フリッカオフスタート」、出力がオンからスタートして、オン、オフ、オンと繰り返す動作は「フリッカオンスタート」と呼ばれています。

一定時間ごとにオン・オフを切り替える必要があるケースに活用可能ですが、オンとオフが切り替わる時間は同一の設定時間となります。もし、両者を異なる時間に設定したい場合は、ツインタイマ機能付きの機器を選定する必要があります。

定期的に合図を送り通知する用途で用いられることが多く、信号機や点滅信号、ブザーの断続音など、身近な場面で利用されています。

4. インターバル動作のデジタルタイマ

インターバル動作とは、タイマへの入力と同時に出力がオンとなり、設定された一定時間を超えると出力がオフとなる動作のことです。出力がオンからオフになるまでの時間をあらかじめ設定しておくことで、設定時間からぶれることなく装置を動かせます。

出力をオンにするきっかけとして、電源スタートのものと信号スタートのものが存在します。インターバル動作の実用例は、遊園地のアプリケーションなどです。

スピンドルモーター

スピンドルモーターとは

スピンドルモーター

スピンドルモーターとは、動力源のモーター部と回転部が一体化したモーターです。

回転軸が1つしか存在しないため、装置構成が簡単になります。スピンドルとは、回転機械の回転軸のことです。

スピンドルユニットなどとも呼ばれ、旋盤などの工作機械に使用される用語です。したがって、スピンドルモーターはスピンドルと一体となったモータを指します。

一般的なモーターとギアおよびベルトからなる回転制御装置は、その部品の多さから制御が煩雑になる傾向があります。さらに、装置が大型化する傾向がありますが、スピンドルモーターを使用すれば省スペースかつ並列に複数回転軸を追加することが容易です。

スピンドルモーターの使用用途

スピンドルモーターは加工機内部に広く使用されます。以下はスピンドルモーターの使用用途一例です。

  • 穴あけ加工機やエンドミル
  • コンピュータ用HDD回転用
  • 丸鋸などの切削工具
  • ドリルや研磨工具
  • 協働ロボットや多関節ロボットのアーム

高トルク型から高速回転が可能な製品まで、幅広いラインナップが存在します。用途に合わせてさまざまなスピンドルモーターの中から、最適な製品を選定することが可能です。

近年では、多関節ロボットなどにもスピンドルモーターが採用されており、ロボットアームの回転軸とスピンドルモーターの軸を合わせて使用します。省スペース性を活かして、HDDの回転駆動用にも使用可能です。

スピンドルモーターの原理

スピンドルモーターの構造は、広く普及しているサーボモーターに酷似している場合が多いです。回転軸と同軸上にスピンドルが設置されます。使用されるモーターの種類には、シンクロナスモーターとインダクションモーターがあります。

1. シンクロナスモーター

シンクロナスモーターは、回転軸に固定された永久磁石からなるローターとその外周に設置された複数個の円環状ステータで構成されます。ステータは電線が鉄心に巻き付けられた構造で、交流電流が流れると電磁石の役割を果たして一時的に自制を持ちます。

交流は電流の位相が時々刻々と変化しているため、電磁石の極性も時間とともに変化します。ローターの永久磁石の極性は固定されているので、ステータとの間の引力と斥力を交互に発生してローターを回転させることが可能です。

2. インダクションモーター

インダクションモーターは、シンクロナスモーターの永久磁石ローターの代わりに導体ローターを使用したモーターです。導体ローターには、かご状の金属部品が使用される場合が多いです。

原理はステータで発生した回転磁界によってロータ導体に電流が発生し、電磁誘導作用が発生して軸が回転します。シンクロナスモーターと違って回転位相に「滑り」と呼ばれる誤差が発生するため、微細な位置合わせには不向きです。ただし、部品点数も少なく安価なため、高出力の製品には広く使用されます。

スピンドルモーターのその他情報

スピンドルモータとサーボモーターの違い

スピンドルは、切削加工や研磨などに使用する産業用回転機器の回転軸を指します。したがって、スピンドルモータの主な目的は切削や研磨などの加工です。超高速回転及び高トルクなモータが使用されることが多いです。

これに対して、サーボモータは位置決め精度を厳しく要求された精密機械において広く使用されます。組立ロボットや自動梱包機器などがその一例です。モーターにはエンコーダなどの駆動機器が使用され、ローターの回転位置や回転数を検出することが可能です。

この検出情報をPLCやドライバと通信することでフィードバック制御を実施し、高速回転を高精度でコントロールすることが可能となります。スピンドルモーターもサーボモーターも、あらゆる種類のモーターを適用可能です。

ただし、スピンドルモーターや大容量サーボモーターにはインダクションモーターが使用される場合が多く、小容量サーボモーターにはシンクロナスモーターが使用される場合が多いです。

参考文献
https://guitarsk.com/pc/archives/1364

COM Express

COM Expressとは

COM Expressとは、PICMGが定めたCOM (英: Computer On Module) の標準規格です。

既存のCOMにPCI ExpressやシリアルATAなどの技術を採用したものを指します。キャリアボードとカードリッジで接続されるCPUやメモリ、バスなどを搭載した基板で、コンピュータとしての機能が十分に発揮できる装置です。

製品にCOM Expressの採用によって、製品開発をスピーディに行うことができるほか、開発の簡素化や開発費用も抑えられます。また、COM Expressの規格に対応したモジュールが将来にわたって市場に投入されるため、製品の将来性の向上にもつながります。

COM Expressの使用用途

COM Expressは、その柔軟性と拡張性により、幅広いアプリケーションと業界で使用されています。以下はその主要な使用事例の一部を示します。

1. 産業用コンピュータ

工場オートメーション、産業制御、ロボット技術などの産業用途では、COM Expressはコンピュータシステムの堅牢性と信頼性を提供します。カスタマイズ可能な機能と拡張性は、これらのアプリケーションが必要とする特定の要件を満たすために不可欠です。

2. 医療機器

診断機器や治療機器など、医療分野での用途で、COM Expressは信頼性と高いパフォーマンスを提供します。高速なデータ処理とリアルタイムの反応性は、患者の診断と治療で極めて重要な要素です。

3. 航空・防衛産業

COM Expressモジュールは、航空機のナビゲーションシステムや軍事用通信装置など、航空と防衛産業で高いパフォーマンスと信頼性が求められるアプリケーションで広く使用されています。堅牢性と長期サポートが必要なこれらの産業で、COM Expressは理想的な解決策を提供します。

4. 通信ネットワーク

COM Expressは、通信インフラストラクチャの要件を満たすために、高速データ転送と高い信頼性を提供します。ネットワークスイッチやルーターなどの機器では、COM Expressが信頼性の高い高性能プラットフォームを提供します。

COM Expressの原理

COM Expressは、基板、CPU、メモリ、バス、USBなどと接続できるインターフェース、カードリッジ挿入部、キャリアボードとの接続部で構成されています。キャリアボードに実装可能で、キャリアボードに新しいモジュールを挿入して、製品の機能を拡張させることができます。

COM Expressで採用されている技術であるPCI Expressは、高速で電気信号のやり取りを行うことができる拡張スロットの規格で、グラフィックカードなどを挿入が可能です。また、同じく採用されている技術であるシリアルATAは、ハードディスクなどとCOM Expressを接続するための規格で、高速でデータのやり取りを行うことができます。

COM Expressの種類

COM Expressはその用途と要件により、様々なフォームファクターとピン配置を提供しています。その中でも特に代表的なものは4つのフォームファクターと3つのピン配置です。

1. フォームファクターによる分類

  • COM Express Mini
    最も小型のモデルであり、極めて小さいフットプリントを必要とするアプリケーション向けに設計されています。これはモバイル機器や小型デバイスで一般的に見られます。
  • COM Express Compact
    COM Express Miniよりも少し大きく、より強力なコンピューティング能力と接続オプションを提供します。コンパクトな設計により、さまざまな用途で使用可能です。
  • COM Express Basic
    最も一般的なフォームファクターであり、幅広いI/Oと高性能コンピューティングオプションを提供します。これらは産業用機器、ネットワーク機器、およびその他の高性能システムで広く利用されています。
  • COM Express Extended
    最も大きなフォームファクターで、最も高性能なコンピューティング能力と最も広範なI/Oオプションを提供します。これは最も要求の厳しいアプリケーションに対応するために設計されています。

2. ピン配置による分類

  • Type 6
    最も一般的なピン配置であり、一般的なI/Oとディスプレイインターフェースを提供します。これは一般的にグラフィックス処理能力が重要なアプリケーションで使用されます。
  • Type 7
    サーバー向けのアプリケーションに最適化されており、ディスプレイインターフェースの代わりに10GbE (10ギガビットイーサネット) と追加のPCI Express (PCIe) レーンを提供します。
  • Type 10
    COM Express Mini専用のピン配置で、小型化と耐久性を最優先します。これはモバイルアプリケーションと低電力アプリケーションで一般的に見られます。

これらの種類があるおかげで、COM Expressは多種多様な要件とアプリケーションに適応し、あらゆる業界のニーズを満たすことができます。これがCOM Expressが業界で幅広く採用されている理由の1つです。

Sic MOSFET

SiC MOSFETとは

SiC MOSFETとは、従来のSi基板ではなく、化合物半導体であるSiC (シリコンカーバイド) 基板を使用したMOSFETのことです。

電界効果トランジスタの1種であるMOSFETの半導体基板の材料としています。MOSFETは、オンとオフのスイッチングや、増幅器などの用途に使用されます。材料として用いる半導体基板に化合物半導体であるSiCを用いることによって、従来のSi MOSFETと比較して電圧を印加した状態での抵抗値を低減することができます。

その結果、ターンオフ時のスイッチング損失やパワー動作時の電力損失を小さく抑えることが可能です。半導体チップの性能向上やトランジスタ動作時に必要となる冷却能力を小さくすることできるため、製品自体の小型化につながります。

SiC MOSFETの使用用途

SiC MOSFETは、パワーエレクトロニクスの分野の電子機器などの、リレーやスイッチング電源、イメージセンサなどの多くの半導体製品で使用されています。SiC MOSFETを採用することによって、スイッチングのオフ時の損失低減から高速のスイッチングが可能となるため、通信機器にも使用されるケースが多いです。

SiC MOSFETを選定する際は、製品アプリケーションの動作状態、すなわち絶対最大定格や電気的特性、パッケージの使用やサイズなどを考慮する必要があります。

SiC MOSFETの原理

SiC MOSFETは、同程度の耐圧を維持しながらも、低いON抵抗やターンオフ時の低損失な動作ができるMOSFETの構造を実現できます。これは、Si基板と比較して約3倍のバンドギャップエネルギーと約10倍の破壊電界強度の物性値を有するSiC基板を材料に用いたトランジスタであるがゆえに、活性層の層厚を薄くできるためです。

SiC MOSFETは、p型半導体とn型半導体が積層された構造をしています。通常は、p型半導体の上にn型半導体が積層しており、n型半導体にはドレインとソースの電極、n型半導体の間には酸化絶縁層とゲートの電極が取り付けられています。また、ボディのシリコンウェーハには化合物半導体であるSiC (シリコンカーバイト) がエピ基板として使用されています。

MOSFETではゲートにプラスの電圧を印加することで、ソースとドレインの間に電流が流れます。この際、シリコンウェーハにSiCを利用しているSiC MOSFETは、Siのみを利用しているMOSFETに比べて、ソースとドレインの間の電圧や電流を大きくしても動作させることが可能です。半導体の不純物の濃度を上げられるため、損失の低減や小型化が可能となっています。

SiC MOSFETのその他情報

1. SiC MOSFETとIGBTとのすみ分け

IGBTは、通常のSi MOSFETでは対応が困難な大パワー領域での使用用途に用いられるトランジスタですが、昨今この領域にSiC MOSFETデバイスが用いられるようになってきています。理由は、SiCのバンドギャップエネルギーが大きいことにより、IGBTと比較して高温動作が可能なためです。また、IGBTの場合の後段のバイポーラトランジスタのスイッチング損失が大きいという課題をクリアできることも理由として挙げられます。

以前はSiCエピ基板が小口径であり、量産性やコスト面で厳しい状況でした。しかし、最近では8インチ対応が可能になっており、量産性や価格も改善されている状況にあります。

比較的大きな10kWを超える大電力を扱うアプリケーション、例えば電気自動車 (EV) 用途や発電システム用途、住宅用電力用途などに積極的に活用されています。

2. SiCデバイスとGaNデバイスの違い

SiCと並んで注目されているワイドバンドギャップ半導体に、GaN (窒化ガリウム) があります。GaNはSiCと比較してもさらにバンドギャップエネルギーが大きく、絶縁破壊強度も大きなデバイスであり、研究機関を中心に活発な研究がなされています。

GaNは一般にSi基板上にGaNの活性層を形成する構造であるため、SiC MOSFETほどの大出力用途には対応が厳しいです。市場では、1KW相当の電力を扱うアプリケーションで比較的検討がなされています。例をあげると、5G基地局向けの高パワーアンプ用途やPCやUSBを介したバッテリーの充電用途でよく用いられています。

GaNデバイスもSiC MOSFETと同様に高温動作が可能であり、冷却機器や過度な排熱構造を必要としないため、小型のPC電源アダプターとして、昨今広く普及するに至っています。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sic/sic_what3
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/125/1/125_1_25/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejias/125/3/125_3_229/_pdf

パッシブプローブ

パッシブ・プローブとは

パッシブ・プローブとは、測定ポイントの信号とオシロスコープの入力端子間を電気的に接続するためのものです。

オシロスコープによる波形観測の場合、被測定対象の信号を測定ポイントからオシロスコープまで信号を伝送するための機器と言えます。

オシロスコープのプローブには、信号増幅回路を内蔵したアクティブ・プローブと受動部品のみで構成されているパッシブ・プローブがありますが、本稿では後者に限定して説明します。

パッシブ・プローブの使用用途

パッシブ・プローブは、オシロスコープによる信号波形の観測の際、測定ポイントの信号を検出するために使用するものです。

当てたポイントの電圧をオシロスコープに伝達します。電流波形を直接観測する場合は、カレント・プローブを使う必要があります。

パッシブ・プローブの原理

プローブを使えばオシロスコープで正確な波形観察ができるものではありません。正確な測定には、プローブの扱いに充分注意が必要です。

1. 被測定回路に対するプローブの影響

オシロスコープとパッシブ・プローブを組み合わせて波形観測する場合、「被測定回路にはオシロスコープの入力インピーダンスとプローブのインピーダンスとの合成インピーダンスが接続された」と見做せます。すなわちち、プローブは内蔵抵抗Rpとそれと並列に調整用コンデンサCpを持ち、プローブのケーブル部には浮遊容量Csがあります。

オシロスコープの入力端子は、入力抵抗Ri (1MΩ) と入力容量Ciの並列回路で構成されているため、この合成インピーダンスを考慮することが重要です。

2. Cpの調整方法

周波数に拠らずプローブで一定の減衰率を得るには、下記の式を満足するようにCpを調整する必要があります。

    Cp = (Cs + Ci) × Ri / Rp

調整用コンデンサCpは半固定タイプなので、オシロスコープ本体と組み合わせた上で最適値に設定します。オシロスコープには調整用コンデンサの最適値を設定するために、方形波の出力端子が設けられています。

プローブの先端をここに接続して、オシロスコープの表示部に矩形波が表示されるようCpの値を変化させます。

パッシブ・プローブのその他情報

1. パッシブ・プローブの使い方

パッシブ・プローブはオシロスコープを用いた測定に利用されるもので、内蔵抵抗器Rpによる減衰率1:1、1:10、1:100 の3種類から、被測定回路の特徴を踏まえて選択します。

1:1 プローブ
内蔵抵抗Rpと調整用コンデンサCpを持たないプローブです。信号が直接オシロスコープの入力端子に印加されるので、オシロスコープの入力インピーダンスである1MΩと入力容量Ciが被測定回路に接続されることになります。

被測定回路が高インピーダンスであると、測定回路に影響を及ぼすため注意が必要です。一方、小信号を扱う場合は、オシロスコープの入力感度がそのまま活用できるので、Rpを通す他のタイプより信号レベルの面で有利です。

10:1 プローブ
通常良く利用される一般的なプローブで、内蔵抵抗Rpは9MΩとなっています。入力インピーダンスはオシロスコープと組み合わせて10MΩになり、被測定回路に与える影響が小さく使い易いものです。

100:1 プローブ
内蔵抵抗Rp99MΩと調整用コンデンサCpを持ち、減衰率が1/100になるため、主に信号電圧が100Vを超えるような場合に利用されます。また、入力インピーダンスが100MΩと極めて高いので、被測定回路に与える影響が特に少ないことも特徴です。

グランド・リード線の接続ポイント
パッシブ・プローブの使い方で特に注意すべきものは、グランド・リードの接続とその処理方法です。多チャンネルのオシロスコープにて複数のポイントを同時に観測する場合、各チャンネルのプローブのグランド・リードは共通の1ヶ所 (一点アースが望ましい) に接続することが基本です。

異なるグランドラインに接続すると、グランドループにより微小な信号を測定する際に悪影響を与えます。

グランドリード線の長さ
グランド・リードは、長い方が測定ポイントへの接続の面では有利ですが、高周波信号を観測するとリンギングや信号振幅の大きな変動など、不具合現象が発生します。これは、グランド・リードの誘導性インダクタンス成分とプローブの入力端子容量とが共振して、その共振周波数付近で振幅が極端に大きくなることが原因です。

従って、周波数が10MHz以上の高周波信号を観測する場合は、グランド・リードの代わりにグランド・スプリングなどを使用することも考慮して下さい。

2. プローブの周波数特性

波形観測用の測定器は、オシロスコープ本体とプローブで構成され、両者を組み合わせた測定系の周波数帯域並びに立上り時間によって主要な測定性能が決まります。従って、オシロスコープ本体とそれに組合されるプローブ毎に周波数帯域や立上り時間がスペックとして公表されています。

3. ケーブルの浮揚容量

プローブの周波数特性に大きく影響を及ぼすファクターは、ケーブルの浮遊容量です。周波数が高くなるほど浮遊容量による容量性リアクタンスは小さくなり、その分被測定回路の負荷が大きくなります。

その結果、プローブ自体の周波数帯域幅を狭める、立上り時間が遅くなる等、悪影響を及ぼします。プローブの浮遊容量はケーブルの長さにも依存し、長いほど浮遊容量が大きくなる傾向があるため、プローブ長はなるべく短いものが周波数特性上有利です。

参考文献
https://detail-infomation.com/oscilloscope-calibration/
https://news.mynavi.jp/article/oscilloscope2-2/
http://www.ktek.jp/
https://cc.cqpub.co.jp/system/contents/1246/

DCパワーリレー

DCパワーリレーとは

dcパワーリレー

DCパワーリレーとは、直流電源を使用して接点出力を発信するリレーです。

一般的なリレーは交流電源を使用しますが、直流電源を使用する場合には、ダイオードを接続するなどの特殊な設計が必要です。高電圧や高電流を扱う産業分野で広く使用されます。

DCパワーリレーは、直流電源を使用する多くの分野で必要不可欠な機器です。高信頼性を求める分野では、需要が増加しています。

DCパワーリレーの使用用途

DCパワーリレーは、さまざまな産業機器で使用されます。具体的には、燃料電池のコージェネレーションシステムや太陽光発電施設では、電力制御のために不可欠な機器です。風力発電プラントなどでも、発電機と電力網の系統接続制御などに使用されます。

電気自動車やハイブリットカーにも必須の機器です。現代の電気自動車は高電圧バッテリーを使用するため、DCパワーリレーで電力の制御をします。充電ステーションとバッテリーにおける充電管理に使用される場合もあります。

鉄道も用途の1つです。特に国内では路面電車や通勤電車が直流駆動のため、車両・照明の制御や通信システムなどで活用されます。

DCパワーリレーの原理

DCパワーリレー動作の原動力は、電流がコイルを流れるときに発生する磁気力です。通常のリレーと同様に、コイル、可動切片、接点、ケーシングなどから構成されています。コイルに直流電源を供給することで可動切片を引き付け、付属する接点を開閉します。

また、DCパワーリレーには、サージ吸収ダイオードなどの保護デバイスが組み込まれてるのが特徴です。リレー動作時の逆起電力や回路内のスイッチングノイズなどの高周波信号を吸収し、ダイオード内で発生するジュール熱によって、これらの信号を分散させることでリレーを保護します。

大型DCパワーリレーの場合は、熱伝導率が高い加圧ガスが封入されている容器内に、強い磁場を発生させる永久磁石、2つの端子から伸びている固定接点と、ばねによって動く可動接点によって構成される場合があります。容器にはアークが外に漏れないように防爆性の高い材料で構成され、加圧ガスが漏れない密閉性の高い容器が使用されます。

DCパワーリレーの種類

DCパワーリレーにはさまざまな種類があります。

1. 開閉数による分類

接点などの開閉数で種類が分かれ、1極2投 (SPDT) や2極2投 (DPDT) などの種類があります。極数や投数が多いほど汎用性が高いですが、高価になります。これらが電流の通り道を切り替えることで、電気回路の制御を行います。

2. 出力構造による分類

出力構造では、メカニカルリレーとソリッドステートリレーが存在します。ソリッドステートリレーは、半導体素子を使用して物理接点の代わりにスイッチングを行うリレーです。

メカニカルリレーに比べて動作速度が速い上に寿命も長いため、高速動作が必要な負荷に最適です。MOSFETと呼ばれる半導体素子をDCパワーリレーとして使用することも可能です。

MOSFETはトランジスタを使用してスイッチングを行うリレーで、損失が少なく動作速度が速い点が特徴です。

DCパワーリレーの選び方

DCパワーリレーを選定する際は、容量、動作速度、消費電力などを考慮します。

1. 容量

容量は、リレーが制御できる電流や電圧の上限で、超過するとリレーが損傷する可能性があります。使用する負荷装置などに合わせて、適切に選択することが大切です。

2. 動作速度

電圧には接点部分に印加可能な上限電圧とコイルの定格電圧が存在し、それぞれ状況に応じて選定します。リレーの動作速度も重要な要素です。パワーリレーは物理的に接点の開閉を行うため、動作速度が遅いのが欠点です。高速動作が必要な場合には、他の機器を選択しなければなりません。

3. 消費電力

コイルによる消費電力が大きくなるため、リレー容量を最小限に抑えて消費電力を削減することが重要です。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/control/relay/vehicle/ev_special/index.jsp
https://www.sonycsl.co.jp/publication/files/672.pdf

プログラムゲインアンプ

プログラムゲインアンプとは

プログラムゲインアンプとは、プログラムによってユーザー側でゲインの大きさを変えることができる増幅器のことです。

オペアンプを用いた増幅器であり、一般には非反転式の構成です。プログラムゲインアンプは、ゲインをプログラミングによって変更できるため、アナログ信号をデジタル信号にまで変更するシグナルチェーンにおいて、変更可能な余地を残せます。

信号の受信強度を高めたい等の顧客やユーザーの希望に対して、後からゲイン変更により柔軟に対応することが可能となるので、フレキシブルな製品の開発につながります。

プログラムゲインアンプの使用用途

プログラムゲインアンプは、主に通信機器や探知機、分析機器などの信号やノイズを受信する部分の装置における、信号の増幅用途に使用されます。具体的には、携帯電話などの基地局やレシーバー、超音波レーダー、ワイヤレス通信、音声分析な度です。そのほか、モーター制御などのアプリケーションにも使用されています。

プログラムゲインアンプの仕様を選定する際は、プログラム可能なゲインの範囲や種類、インピーダンスの大きさ、ゲインの精度などを考慮する必要があります。

プログラムゲインアンプの原理

プログラムゲインアンプは、オペアンプの負帰還回路部の抵抗をラダー構成にし、デジタル回路のレジスタ値の制御により、スイッチ動作を介してこの抵抗値を切り替えています。これにより、広範囲なダイナミックレンジを有するゲイン切り替え、アンプ動作を実現させています。

負帰還回路部の抵抗値の他に、オペアンプに印加する内部電圧をプログラムによって変更することで、オペアンプの増幅率自体を可変変更させ、ゲインの大きさを変化させるのも1つの手法です。医療機器や科学実験などで使用される機器のプログラムゲインアンプは、ダイナミックレンジの大きな増幅率が求められ、さらにノイズが少なく、優れた温度安定性が求められます。

そのため、抵抗やコンデンサなどをプログラムゲインアンプに搭載することで、ローパスフィルタを形成し、高周波のノイズを除去できる機構を盛り込んだ製品もあります。また、複数のオペアンプをプログラムで動作可能なスイッチを持つ回路などで接続し、必要に応じてオペアンプをプログラムによって動作させて、効率的に大きな増幅が可能な製品も発売されています。

プログラムゲインアンプのその他情報

1. センサー用途で用いられるプログラムゲインアンプ

センサーを用いたシステム設計においては、さまざまな種類のセンサーの出力範囲と、後段のA-Dコンバータの入力範囲を組み合わせによって合致するように設計しますが、必ずしもシステム上の入出力範囲が合致するとは限りません。そのような場合は、センサーの非常に微弱な低レベル時の出力範囲をカバーし、A-Dコンバータの入力レンジに合致させるべく、センサーとA-Dコンバータの間にプログラムゲインアンプを使用する必要があります。

センサー用途の場合、そのアプリケーション的な役割から当然ノイズレベルには注意が必要です。計装アンプ (インスツルメンテーションアンプ) もよく用いられますが、プログラムゲインアンプは計装アンプの後段にゲイン可変機能を追加させたものと考えることもできます。

2.プログラムゲインアンプ (PGA) と可変ゲインアンプ (VGA) の違い

どちらもゲインを変更調整可能な増幅器という意味では同じです。プログラムゲインアンプ (PGA) の場合には、アナログ的な連続調整ではなく、4x、8x、16xというようにデジタル制御でビット切り替えであるために、離散的な (正確な) 値のゲイン調整の用途に用いられます。

調整用のレジスタのビット数分のゲイン設定にしか調整の解像度がない点に注意が必要です。一方、可変ゲインアンプ (VGA) は、アナログ的な連続的なゲイン制御であるため、比較的応答も早く、AGC (自動利得制御) 動作が必要なアプリケーションに向いています。

参考文献
https://www.tij.co.jp/ja-jp/amplifier-circuit/pga-vga/overview.html
https://www.idt.com/us/ja/products/rf-products/variable-gain-amplifiers-vga
https://www.analog.com/jp/products/amplifiers/variable-gain-amplifiers.html
https://ednjapan.com/edn/articles/1712/25/news022.html

IDカードプリンター

IDカードプリンターとは

IDカードプリンター (英: ID-card printer) とは、社員証や身分証などを印刷する装置です。

IDカードプリンターを導入することによって、外部に委託しないので社員の個人情報の流出の危険性や外注するコストを抑えられます。

また、少ない枚数から発行することも可能です。ICチップや磁気ストライプが埋め込まれているプラスチックのカードに、インクを熱によって気化させて転写します。印刷の方式には、ダイレクト印刷式と再転写印刷式に分類できます。

IDカードプリンターの使用用途

IDカードプリンターは、会社や施設内で利用する社員証や身分証の印刷に使用されます。会社のセキュリティ強化のための通行証や勤怠の管理、コピー機やパソコンなどの電子機器の認証のために有用です。

製品によっては、ICチップに情報を入力するICエンコーダや、磁気ストライプカードに情報を入力する磁気エンコーダが搭載されています。選定の際には、印刷方式や印刷に対応しているカードの種類、印刷速度、印刷の仕上がりなどを考慮する必要があります。

IDカードプリンターの原理

IDカードプリンターが、プラスチックカードに印刷する方式には、ダイレクト印刷式と再転写印刷式があります。

1. ダイレクト印刷式

ダイレクト印刷式は、印刷対象のプラスチックカードに直接、熱によって気化させたインクを転写させる印刷方式です。印刷に必要な工程が少ないため、安価な装置が多く、ランニングコストも少なくなります。

しかし、ICチップ上には印刷できない他、埃や皮脂などの影響を大きく受けます。また、印刷対象のカードによっては、印刷できない可能性があるので、注意が必要です。

カードのエッジ部分への印刷はできません。ただし、ポリ塩化ビニールPVC製のカードに対応しています。

2. 再転写印刷式

再転写印刷式は、一度印刷する画像を再転写フィルムに印刷し、そのフィルムを印刷対象のカードに押し当てて、熱を加えることでフィルムからカードに画像を転写する方式です。

鮮明な印刷を行うことができるうえ、印刷対象のカードの表面に凹凸がある場合や、ICカードの上からでも印刷することができます。また、再転写式は、カードのエッジ部分まで全面に印刷可能です。一方、フィルムなどを使用するため、ランニングコストが高くなります。

直接印字しない方式なので、ポリ塩化ビニールPVC素材のカードだけではなく、他の素材のカードにも印刷できます。具体的には、ポリエチレンテレフタレートPET/PET-G/ポリカーボネートPCなどです。

IDカードプリンターの特徴

1. 高品位

再転写技術による縁なし全面印刷で、デザイン性の高いカラー画像が印刷できます。

2. 高解像度

解像度が600~1,200dpi仕様の場合、極小文字も精細度高く表示可能です。小さなQRコードもデザイン性を維持してレイアウトができます。

3. 高機能プリンター

エンコーダーを使用して、非接触ICカードにエンコードしながら、カードに印刷ができます。また、インクジェット方式のプリンターでは、50枚/m以上の高速印刷が可能です。

4. 既存システムとの連携

既存の自社システム、会員管理・学校管理システムなどとの連携ができます。

IDカードプリンターのその他情報

1. IDカードプリンターのメリット

社員証、身分証、学生証、会員証、診察券などを内製すると、メリットが多くあります。まず、社員や学生、会員、患者などの大切な個人情報が外部に漏れないことです。

次に、納期にとらわれず、1枚のカードでも、すぐ印刷可能です。人事異動などに対応できます。診察券は、診察中に発行でき、帰りに手渡しできます。

また、コストも有利です。カードを外作すると、1枚数百円かかりますが、内製で印刷すれば、100円以下に抑えられます。さらに、大量発行が可能のメリットがあります。顔写真入りのカードを1分50枚以上の高速印刷が可能です。

インクジェット方式のプリンタであれば、インクリボンのデータがないので、個人情報の漏洩のリスクが更に小さくなります。高解像度のカラープリントが可能で、顔写真、文字、デザイン模様などを精彩に美しく印刷可能です。

2. 裏面粘着カード方式

裏面粘着カードは、ICカードを繰り返し利用できるIDカードです。個人情報などを印刷してから剥離紙をはがしてICカードに貼ることで、カードができます。裏面粘着カードをはがせば、高価なICカードの再利用が可能です。

参考文献
https://cweb.canon.jp/idprinter/iccard/icprinterselect/retransfer-printer.html
https://cweb.canon.jp/cardprinter/special/solution/cases-employees.html?xadid=00001
http://www.kowasystem.com/card-printer/glossary.php