プログラムゲインアンプ

プログラムゲインアンプとは

プログラムゲインアンプとは、プログラムによってユーザー側でゲインの大きさを変えることができる増幅器のことです。

オペアンプを用いた増幅器であり、一般には非反転式の構成です。プログラムゲインアンプは、ゲインをプログラミングによって変更できるため、アナログ信号をデジタル信号にまで変更するシグナルチェーンにおいて、変更可能な余地を残せます。

信号の受信強度を高めたい等の顧客やユーザーの希望に対して、後からゲイン変更により柔軟に対応することが可能となるので、フレキシブルな製品の開発につながります。

プログラムゲインアンプの使用用途

プログラムゲインアンプは、主に通信機器や探知機、分析機器などの信号やノイズを受信する部分の装置における、信号の増幅用途に使用されます。具体的には、携帯電話などの基地局やレシーバー、超音波レーダー、ワイヤレス通信、音声分析な度です。そのほか、モーター制御などのアプリケーションにも使用されています。

プログラムゲインアンプの仕様を選定する際は、プログラム可能なゲインの範囲や種類、インピーダンスの大きさ、ゲインの精度などを考慮する必要があります。

プログラムゲインアンプの原理

プログラムゲインアンプは、オペアンプの負帰還回路部の抵抗をラダー構成にし、デジタル回路のレジスタ値の制御により、スイッチ動作を介してこの抵抗値を切り替えています。これにより、広範囲なダイナミックレンジを有するゲイン切り替え、アンプ動作を実現させています。

負帰還回路部の抵抗値の他に、オペアンプに印加する内部電圧をプログラムによって変更することで、オペアンプの増幅率自体を可変変更させ、ゲインの大きさを変化させるのも1つの手法です。医療機器や科学実験などで使用される機器のプログラムゲインアンプは、ダイナミックレンジの大きな増幅率が求められ、さらにノイズが少なく、優れた温度安定性が求められます。

そのため、抵抗やコンデンサなどをプログラムゲインアンプに搭載することで、ローパスフィルタを形成し、高周波のノイズを除去できる機構を盛り込んだ製品もあります。また、複数のオペアンプをプログラムで動作可能なスイッチを持つ回路などで接続し、必要に応じてオペアンプをプログラムによって動作させて、効率的に大きな増幅が可能な製品も発売されています。

プログラムゲインアンプのその他情報

1. センサー用途で用いられるプログラムゲインアンプ

センサーを用いたシステム設計においては、さまざまな種類のセンサーの出力範囲と、後段のA-Dコンバータの入力範囲を組み合わせによって合致するように設計しますが、必ずしもシステム上の入出力範囲が合致するとは限りません。そのような場合は、センサーの非常に微弱な低レベル時の出力範囲をカバーし、A-Dコンバータの入力レンジに合致させるべく、センサーとA-Dコンバータの間にプログラムゲインアンプを使用する必要があります。

センサー用途の場合、そのアプリケーション的な役割から当然ノイズレベルには注意が必要です。計装アンプ (インスツルメンテーションアンプ) もよく用いられますが、プログラムゲインアンプは計装アンプの後段にゲイン可変機能を追加させたものと考えることもできます。

2.プログラムゲインアンプ (PGA) と可変ゲインアンプ (VGA) の違い

どちらもゲインを変更調整可能な増幅器という意味では同じです。プログラムゲインアンプ (PGA) の場合には、アナログ的な連続調整ではなく、4x、8x、16xというようにデジタル制御でビット切り替えであるために、離散的な (正確な) 値のゲイン調整の用途に用いられます。

調整用のレジスタのビット数分のゲイン設定にしか調整の解像度がない点に注意が必要です。一方、可変ゲインアンプ (VGA) は、アナログ的な連続的なゲイン制御であるため、比較的応答も早く、AGC (自動利得制御) 動作が必要なアプリケーションに向いています。

参考文献
https://www.tij.co.jp/ja-jp/amplifier-circuit/pga-vga/overview.html
https://www.idt.com/us/ja/products/rf-products/variable-gain-amplifiers-vga
https://www.analog.com/jp/products/amplifiers/variable-gain-amplifiers.html
https://ednjapan.com/edn/articles/1712/25/news022.html

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