作図ソフト

作図ソフトとは

作図ソフト

作図ソフトとは、コンピュータ上で図形やグラフを作成するためのソフトウェアです。

ユーザーが直感的に操作できるように、使いやすいインターフェースを提供しています。一般的な機能としては、図形の描画、直性・曲線引き、テキストの追加、色の設定、図形のグループ化、レイヤーの管理、ファイルのエクスポートなどがあります。また、一部の作図ソフトではアニメーションなどの要素を追加することも可能です。

作図ソフトを使用することで、アイデアやデータを視覚的に表現することができます。また、精密な測定や正確な図形作成が可能です。

作図ソフトの使用用途

作図ソフトは専門的な目的から日常的な使用まで、さまざまな場面で活用されています。以下は作図ソフトの使用用途一例です。

1. デザイン

作図ソフトを使用して、ロゴやポスターなどのグラフィックデザイン作業を行うことが可能です。図形やイラストなどを組み合わせて魅力的なデザインを作成します。また、グラフや図表を作成してプレゼンテーションや報告書に挿入することも可能であり、データの可視化や説明の補完に役立ちます。

2. 建築図面

建築や工学プロジェクトでは、正確な寸法や詳細な情報を含む図面を作成することが可能です。また、地図を作成することも可能であり、地理的な情報を視覚的に表現することができます。

3. プロセス・プロジェクト管理

作図ソフトを使用して、フローチャートやダイアグラムを作成することができます。プロセスの可視化や情報の整理に役立ちます。また、ガントチャートやフローチャートを作成し、タスクやリソースのスケジュール管理に役立てる場合もあります。

作図ソフトの原理

作図ソフトはソフトウェア内部で図形やグラフを作成し、表示するためのアルゴリズムとデータ構造に基づいています。作図ソフトは、2Dまたは3Dの座標系を使用して図形を表現します。2D座標系ではX軸とY軸の2つの値で位置を表し、3D座標系ではさらにZ軸の値が追加されます。図形は座標上の点や線などが構成要素です。

図形の移動や拡大縮小などの変換は、ベクトル演算を使用して行われます。ベクトルは座標の位置や方向を表す数値の集合です。変換行列を使用して、ベクトルに対する変換操作を適用します。

作図ソフトでは、複数の図形や要素を管理するためにレイヤーとオブジェクトの概念を使用します。レイヤーは図形をグループ化して整理するための仮想的な階層で、オブジェクトは個々の図形や要素です。レイヤーとオブジェクトの階層構造を使用して、図形の表示や編集を効率的に行います。

作図ソフトの種類

作図ソフトには一般的な図形や線を描画するための基本的な機能から、高度なデザインや技術的な要素を取り入れた製品でさまざまな種類があります。主な作図ソフトの種類には、以下のようなものがあります。

1. ベクター式

ベクター形式で図形を作成します。ベクター形式では図形や線は数学的な数式で表されるため、拡大・縮小しても画質が劣化しません。Adobe IllustratorやCorelDRAWなどが代表的なベクター式作図ソフトです。

2. ラスター式

ピクセル単位で図形を作成します。ラスター式では図形や線は画像のドットで表されるため、拡大すると画質が劣化します。Adobe PhotoshopやGIMP (GNU Image Manipulation Program) が代表的なラスター式作図ソフトです。

3. CAD (Computer-Aided Design) ソフト

主にエンジニアリングや建築分野で使用される作図ソフトです。CADソフトは精密な3Dモデリングや設計図の作成に特化しており、製品設計や建築プロジェクトのための詳細な図面を作成することが可能です。代表的なCADソフトとして、AutoCADやjw_cadなどが挙げられます。

jw_cadはフリーの2D汎用CADソフトで、建築設計に適したソフトです。無料・高機能でユーザーも多いため、書籍などの使い方に関する情報が簡単・安価に入手できます。

参考文献
https://www.autodesk.co.jp/solutions/drafting-software-programs
https://cad-kenkyujo.com/2020/02/29/seizusoft/
https://www.jwcad.net/index.htm

マイクロ波加熱装置

マイクロ波加熱装置とは

マイクロ波加熱装置とは、マイクロメートル程度の波長をもつ電磁波により、誘電体を加熱する装置のことです。

他の加熱方法 (熱風や電熱による輻射を利用した方法) では、熱が対象の表面から徐々に伝導して加熱されるため、一定の時間がかかります。

しかし、マイクロ波加熱では物質内部の分子と直接反応するため、より短時間に内部温度を上昇させることが可能です。マイクロ波を対象にほぼ均一に照射することができるため、物質の内部と外部であっても均一に加熱でき、対象の誘電損失によって発熱効率が変わるため、損失係数に応じて選択的に物質を加熱することもできます。

マイクロ波加熱装置の使用用途

マイクロ波加熱装置の利用で良く知られているのは電子レンジですが、食品関係への利用を目的として、工業的にも応用されています。

具体的には、食品の加熱調理や殺菌、乾燥などが挙げられます。例えば、鶏肉の加熱処理する工程において、マイクロ波加熱装置を利用した場合、従来よりも加熱時間を半減でき、部分的な骨の黒化まで防げたという例もあります。

その他にも木材や印刷物、繊維、紙の乾燥、あるいは医療現場では、温熱療法によるがん治療も取り組まれており、マイクロ波加熱が様々な場面で活用されています。

マイクロ波加熱装置の原理

マイクロ波のような電磁波は、周期的に電界の強度を変化させながら物質に作用します。

水などの絶縁体 (誘電体)は、金属のような導電体とは異なり分子自体が極性を持つため、電磁波による電界と反応し、誘電体内部の分子には正電荷と負電荷の分布に偏りが生じます。

電磁波の周波数が高くなるにつれて誘電体を構成する分子が激しく回転・振動したり分子同士が衝突したりしますが、周波数が高いほど加熱しやすいとは限らず、分子に応じて加熱に適した電磁波の波長域が存在します。周波数が高すぎると、誘電体内部の分子が応答できないためです。

水の場合には、マイクロ波領域の電磁波 (赤外線) とよく反応します。このときの反応により生じたエネルギー (内部エネルギー) が熱へと変換されることで、誘電体が加熱されます。マイクロ波加熱装置では、マイクロ波を発生させるためのマグネトロンと呼ばれる電子管を備えています。ここで放射されたマイクロ波が加熱オーブンへと誘導され、対象物を加熱します。

参考文献
http://www.vinita.co.jp/pdf/microwave.pdf
https://www.microdenshi.co.jp/microwave/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/44/1/44_27/_pdf/-char/ja

フッ素樹脂塗料

フッ素樹脂塗料とは

フッ素樹脂塗料とは、フッ素樹脂を主成分とする塗料のことです。

フッ素樹脂は、非常に高い耐候性、耐薬品性、摩耗性などを持ち、塗装材料としても非常に優れた特性を示します。そのため、高い品質を要求される建築物や自動車などの表面保護に広く使用されます。

金属やコンクリートの表面に塗ることで表面を保護し、化学物質や気候変化による劣化や汚染物質による汚れを防止します。また、粘着性が低いため汚れがつきにくく、清掃が容易であることも特徴の1つです。

高価ではありますが、一度塗装すれば15~20年美観を維持します。初期投資は大きくなりますが、メンテナンス回数を減らすことが可能です。結果として、ランニングコストを抑えて経済的に有利となる場合があります。

フッ素樹脂塗料の使用用途

フッ素樹脂塗料は高い耐久性や化学的耐性などの特性から、さまざまな用途で使用されます。代表的な使用用途は、高層ビルなどの高価な建築物です。

建築物の外壁や屋根は太陽光や雨風などの自然環境から常に影響を受けるため、耐候性が求められます。高層ビルなどはメンテナンスが困難かつ対候性を必要とされるので、フッ素樹脂塗装が使用されます。

また、自動車や船舶にも使用される場合があります。自動車や船舶の外装部品は塩害や紫外線などによって劣化するため、耐候性が必要です。また、汚れがつきにくく、耐薬品性にも優れており、清掃が容易となります。

そのほか、粘着性を活かし、食品加工ラインにも使用されています。食品が機器に付着せず、清潔で安全な状態を維持することが可能です。

フッ素樹脂塗料の原理

フッ素樹脂塗料はフッ素樹脂を主成分とした塗料で、その特性はフッ素樹脂の持つ非常に強い結合力によるものです。フッ素樹脂は炭素同士の結合を主鎖として、炭素にフッ素原子が結合しています。この炭素とフッ素原子の結合は非常に強固で安定しているため、紫外線や温度変化などの影響を受けにくくなります。

フッ素樹脂は、非常に高い耐熱性や化学的安定性などを持ち、さまざまな用途で使用されます。フッ素樹脂を塗料として使用することで、これらの特性を表面に付与することが可能です。なお、フッ素樹脂塗料は、主に2つの方法で表面に付着します。

1つは、フッ素樹脂の非常に細かい粒子を含んだ溶液を表面に塗る方法です。溶液が乾燥するとフッ素樹脂の粒子が表面に付着し、フッ素樹脂塗膜を形成します。

もう1つの方法はフッ素樹脂を電気的に帯電させ、表面に塗布する方法です。この場合、静電気の力で表面に吸着され、フッ素樹脂塗膜を形成します。

フッ素樹脂塗料の種類

フッ素樹脂塗料は構造によって多くの種類が存在します。以下は、フッ素樹脂塗料の種類一例です。

1. PTFE系塗料

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) を使用した塗料です。粘着性が非常に低い点が特徴です。潤滑性にも優れているため、フライパンやその他調理器具の塗料などに使用されます。

また、粘着性が非常に低い点を活かして、配管内部のライニングなどに使用されることも多いです。

2. ETFE系塗料

エチレンテトラフルオロエチレン (ETFE) を主成分とした塗料です。非常に高い耐熱性と耐候性を持ちます。また、光の透過率が高い点も特徴です。

主に建築物の外装や屋根、グリーンハウスのシートなどに使用されます。

3. PVDF系塗料

フポリビニルジフルオライド (PVDF) を主成分とした塗料です。耐薬品性や耐摩耗性も高く、コンクリートや金属の表面保護にも優れています。さらに、汚れやカビの付着を防止することができるため、表面の美観を長期間維持することができます。

4. FEP系塗料

フッ化エチレンプロピレン (FEP) を主成分とした塗料です。粘着性が非常に低い点が特徴です。

主に配管やバルブなどの内面コーティングに使用されます。FEP塗料を内面に塗ることで、流体の流れを滑らかにし、腐食や汚れの付着を防止することができます。

参考文献
https://gaiheki-tatsujin.com/11129
https://www.dnt.co.jp/products/kind/3.html
https://gaiheki-kakekomi.com/home/fusso/

フェノール樹脂

フェノール樹脂とは

フェノール樹脂

フェノール樹脂は耐熱性、耐薬品性、絶縁性などに優れた樹脂で、自動車、電子部品、断熱材など幅広い用途に使われています。フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類を原料とした重合反応によって得られる樹脂で、原料のフェノールやアルデヒドの化学構造、樹脂に添加する添加剤などを変えることで物性が変わります。

フェノール樹脂は酸触媒反応で得られるノボラック型と塩基触媒反応で得られるレゾール型という2つの化学構造が異なるものに分類されます。前者はエポキシ樹脂などの硬化剤と混ぜて加熱することで硬化反応が起こり、後者は硬化剤がなくとも加熱だけで硬化反応が起こります。その他、ノボラック型は熱可塑性、レゾール型は熱硬化性といった違いもあります。

フェノール樹脂の使用用途

フェノール樹脂は1907年にベークライトによって発明された世界初の人工プラスチックです。耐熱性、耐薬品性、絶縁性、機械的強度に優れた樹脂で、今もなお幅広い業界で用いられています。例えば自動車のブレーキ用の樹脂、鉄鋼やガラス業界といった高温プロセスの部品にフェノール樹脂は使われています。その他、住宅の断熱材やフォトレジスト用の樹脂としても使われています。

フェノール樹脂は原料として用いるフェノール類、アルデヒド類の構造を変えて樹脂の化学構造を変えたり、充填剤などの添加剤を変えることによって物性を変えることができます。そのため、要求特性に応じて最適なフェノール樹脂を選定する必要があります。

フェノール樹脂の種類

フェノール樹脂の種類

図1. フェノール樹脂の種類

フェノール類とアルデヒド類を反応させることで得られるフェノール樹脂には「ノボラック型」と「レゾール型」があります。ノボラック型の樹脂は酸触媒下で反応させることで得られ、再利用可能な熱可塑性樹脂です。一方でレゾール型は塩基触媒を用いて得られる再利用不可な熱硬化性樹脂です。

ノボラック型はエポキシ樹脂などの硬化剤とともに加熱することで硬化反応が起こり、高分子量化した樹脂が得られます。一方でレゾール型は硬化剤がない場合でも加熱や酸によって硬化反応が進みます。そのため、レゾール樹脂は貯蔵中にも経時変化を起こして高分子量化することがあります。

フェノール樹脂のその他情報

1. フェノール樹脂の合成

フェノール樹脂の合成

図2. フェノール樹脂の合成

フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類を付加縮合させることで得られます。ここでは代表例としてフェノールとホルムアルデヒドの反応を紹介します。

上述の通り、酸触媒と塩基触媒で得られる化合物は異なります。酸触媒を用いた場合、フェノールのOH基のオルト位、またはパラ位で求電子置換反応が起こり、ホルムアルデヒドと反応します。そして反応後、別のフェノールとの間で縮合反応が起こり、ノボラック型の樹脂が得られます。

一方で塩基触媒を用いた場合はフェノールのベンゼン環に複数のホルムアルデヒドが反応してレゾールと呼ばれる油状の混合物が得られます。これを加熱することでレゾール同士が反応して結合したレジットと呼ばれる熱硬化性樹脂が生成します。

このように酸触媒と塩基触媒を用いた場合ではフェノール類とアルデヒド類の結合部位や反応する量が異なるため、得られるフェノール樹脂の構造や物性も異なります。

2. フェノール樹脂の短所と注意点

フェノール樹脂には様々な長所がある一方で、いくつか短所もあります。例えばフェノール樹脂は水の存在下で水酸化ナトリウムなどの強塩基と接触すると加水分解を起こすため、樹脂の劣化が起こります。

その他、フェノール樹脂は樹脂自体が黄色、赤褐色に着色しており、酸化すると黒くなるため、着色可能な範囲には限界があります。また、フェノール樹脂は硬い一方で脆いという欠点もあります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/networkpolymer/34/1/34_45/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/47/9/47_KJ00003521014/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/networkpolymer1980/14/4/14_196/_pdf/-char/ja

フィルタレギュレータ

フィルタレギュレータとはフィルタレギュレータ

フィルタレギュレータとは、エアフィルタとレギュレータが一体となった機器のことです。

圧縮空気を必要とする多くのエアーツールに搭載されており、空圧周りにおいては必要不可欠な存在ともいえます。エアフィルタは圧縮空気内の水滴やホコリなどを取り除き、レギュレータは空気圧を適正な圧力に減圧する働きを持ちます。

この2つは本来別々の機器ですが、空圧回路に組み込む際はセットとして考えられることがほとんどです。そのため、空圧メーカーでは一体物として商品化しているケースが多いです。

フィルタレギュレータの使用用途

一般的にフィルタレギュレータは、空気の開閉を制御する電磁バルブの前に設置されます。空圧機器の性能を維持し、正常に動作させるというのが目的です。

工場のエアコンプレッサから供給された圧縮空気は、塵やホコリなどの汚れと水分を含んでいます。これらは空圧機器に悪影響を及ぼす危険性があり、そのまま電磁バルブを通過してしまうと故障や不具合の原因になります。フィルタレギュレータのフィルタ部では、このような空気中の汚染物質を除去することが可能です。

そして、レギュレータによって、圧縮空気の不安定な空気圧を一定に制御します。これによって、空圧機器に無理な負荷をかけずに安定した動作を実現できます。

フィルタレギュレータの原理

フィルタレギュレータの構成は先述のとおり、エアフィルタとレギュレータに分けられます。

1. エアフィルタ

エアコンプレッサから供給された圧縮空気は、デフレクタを介すことで旋回力が付加され、螺旋を描きながらフィルタ内を降下していきます。このとき、空気中の水滴やゴミは分離されてカップの底に溜まり、さらに粒子の細かい異物もエレメントによって除去されます。

エアフィルタの性能を保つためには、定期的なメンテナンスが必要です。具体的には、まずカップに溜まったゴミをドレンコックで排出します。ゆっくり慎重に排出することで、思わぬ事故に繋がらないようにするのがポイントです。なお、エレメントはメーカー推奨時期に合わせて交換する必要があります。

2. レギュレータ

レギュレータの圧力の設定方法には「直動型」と「パイロット型」があり、一般的にレギュレータは「直動型」を指します。直動型レギュレータは、スプリングによって圧力を調整するタイプです。

ハンドルでスプリングを圧縮するとダイヤフラムを介して弁が開き、空気は一次側 (入口側) から二次側 (出口側) へと移動します。次第に二次側の圧力は上がっていき、設定圧に到達すると、ダイヤフラムによる推力とスプリングのばね力が釣り合って弁が閉じます。

パイロット型の場合は、スプリングの代わりに、直動型レギュレータで減圧した空圧を用いて圧力の設定を行います。

フィルタレギュレータの選び方

1. 使用目的

液体や気体のフィルタリングや圧力調整、流量制御、安全弁など、具体的な目的に合致するレギュレータを選ぶ必要があるため、まずは使用目的を明確にする必要があります。

2. 操作条件と環境

フィルタレギュレータは、使用環境の温度、圧力、化学的条件に対応できる必要があります。特に腐食性の液体や高温・低温の状況下での使用では、適切な材料と設計を選ぶことが重要です。

3. 流体の性質

操作する流体 (液体または気体) の種類、粘度、圧力範囲、流量要件に合致するフィルタレギュレータを選びます。また、フィルタレギュレータの通過孔サイズや精度も流体の性質に合致しているか確認する必要があります。

4. 安全性、メンテナンス性

圧力制御に関わるアプリケーションでは、過圧防止機能や圧力リリースバルブを備えた安全なレギュレータを選択する必要があります。また、クリーニングサイクルや部品の交換が容易であるかどうかを確認します。メンテナンスの簡便性は、長期的な運用において大きな利点です。

5. コストと性能のバランス

高性能なフィルタレギュレータは通常高価ですが、適切な予算内で目的に合致するものを見つけることが重要です。定期的なメンテナンスの実施も必要ですが、状況によっては交換することもあります。そのため、交換時の費用も考慮することが大切です。

参考文献
http://kousyoudesignco.dip.jp/air9.html
http://www.taiyo-ltd.co.jp/kpl_jp/product/gijutusiryou/pdf/gijutusiryo_06_frl.pdf
https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/25/

ハイスエンドミル

ハイスエンドミルとは

ハイスエンドミル

ハイスエンドミルとは、金属や非金属の角物を加工する際に使用される特殊な工具のことです。

通常の穴あけ用ツイストドリルと異なり、工具自体を回転させつつ直進送って運動を行い、横方向にも穴を広げられます。エンドミルには、材質の違いからハイスエンドミルと超硬エンドミルの2種類が存在します。

ハイスエンドミルが主流で、ハイス鋼 (高速度鋼) で作られています。一方、超硬エンドミルは超硬合金で作られており、硬度の高い材料を加工する際に最適です。ハイスエンドミルは、耐摩耗性や耐熱性に優れているため、さまざまな材料を効率よく加工できることが大きな利点です。

しかし、硬度が高い材質の加工には限界があり、そのような場合には超硬エンドミルが適しています。ハイスエンドミルは、金属加工業界で幅広く利用されており、その性能と用途の多様性から重要な役割を果たしています。

ハイスエンドミルの使用用途

ハイスエンドミルは、フライス盤において重要な加工用ツールとして利用されています。工作物とツールの両方に3軸の相対送り運動を与えることで、平面や側面、溝・ポケット、面取り、すり割りといった多様な加工が可能です。金型の削り出しや歯車のキー溝の成形も行うことが可能です。

多くの種類が存在し、刃の形状、シャンク形状、刃の数などの構成要素が異なります。それぞれのツールは独自の特徴を持っており、加工面の形状や深さ、寸法精度などを考慮して最適なものを選ぶことが重要です。例えば、平面加工や側面加工では、平刃エンドミルが適しています。また、ポケット加工や溝加工では、角刃エンドミルが効果的です。さらに、面取り加工には、鼻刃エンドミルが適しています。

選定時は加工物の材質や加工条件、加工精度要求などを考慮し、最適なツールを選ぶことが求められます。正確な選定により、効率的で高品質な加工が実現可能です。

ハイスエンドミルの原理

ハイスエンドミルの原理は、工具が回転しながら、工作物に対して直進送り運動を行い、加工面を削ることです。ハイスエンドミルは、刃が複数あることが特徴で、回転することで刃が連続的に材料を削り取ります。刃の数や形状によって、加工の性能や仕上がりが変わります。また、工具の回転速度や送り速度を調整することで、加工効率や精度を向上させることが可能です。

ハイスエンドミルには、さまざまな種類があり、それぞれが特定の加工用途に適しています。例えば、平刃エンドミルは平面加工や側面加工に、角刃エンドミルはポケット加工や溝加工に、鼻刃エンドミルは面取り加工に適しています。

材質には、ハイス (高速度鋼) と超硬がある点も特徴です。ハイスは耐摩耗性や耐熱性に優れており、一般的な加工に適しています。一方、超硬は硬度の高い材料を加工する際に適しています。

ハイスエンドミルの構造

1. 底刃

スクエアエンドは底がフラットになっており、水平面や側面の加工に適しています。その対となるのがボールエンドで、底が丸い形をしているため、曲面加工の際に適しています。

そして、この2つの中間的存在といえるのがラジアスエンドです。隅肉部のR加工やピックフィード加工をする時に最適です。

2. 外周刃

最も広く扱われているのが普通刃であり、荒から仕上げまで幅広く対応できます。

3.ラフティング刃

ラフティング刃は、刃の形が波状になっています。この波状の刃が切りくずの排出性が向上させて切削抵抗を抑えられるため、荒取りに適しています。しかし、その分仕上げ面を綺麗に削るのはやや難しいため、仕上げには不向きです。

4. テーパ刃

テーパ刃は外周刃の形状がテーパになったものです。金型の抜け勾配やインローを成形する際に用いられます。

5. シャンク

主流となっているのが、ストレートシャンクです。ロングシャンクはストレートよりもシャンク部が長いため、深堀り加工に適しています。

ロングネックシャンクは一部にくびれがあるのが特徴で、深溝加工時に重宝します。テーパネックシャンクはネック部がテーパになっているため、抜け勾配のついた壁際の深堀り加工などに有用です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/012/
https://sakusakuec.com/shop/pg/1endmill03/

カートリッジ純水器

カートリッジ純水器とは

カートリッジ純水器

カートリッジ純水器とは、水道の蛇口に接続するだけで手軽に純水を精製できる装置です。

純水器の設置も複雑な施工をせずに済むため、導入のハードルも非常に低いのが特徴です。活性炭の前処理フィルターやイオン交換樹脂を使用して、水道中に含まれる鉄やマンガン、カルシウムなどの不純物を除去して純水を精製します。

これらのフィルターや樹脂は定期的な交換が必要ですが、カートリッジ式のため簡単な作業で交換可能です。このように非常に扱いやすいため、研究施設や一般家庭で使用されています。

カートリッジ純水器の使用用途

カートリッジ純水器は、水道水から鉄や塩素、カルシウムなどの不純物を除去し、純水を精製するために使われます。

主に研究施設では、実験や研究に不純物が含まれている水道水を使うことができないため、純水の使用が必須条件です。 一般家庭においては、最近は自動車の洗浄や加湿器用途での需要が増えつつあります。

ただし、カートリッジ純水器は比較的大型であることが多く、容量の小さいものを選ぶ必要があります。純水はミネラル成分や不純物を除去した状態のため、飲料用には適していません。

カートリッジ純水器の原理

ここでは、カートリッジ純水器の純水精製原理について説明します。基本的には前処理フィルターとイオン交換樹脂の2ステップを経て精製されます。

1. 前処理フィルター

前処理フィルターは活性炭フィルターとも呼ばれ、その役割は水道水中に含まれている残留塩素の除去です。フィルター内に多孔質の炭が内蔵されており、引力で微粒子を吸着します。 表面に空いた孔に不純物が入る形で除去され、その孔が少なくなれば除去性能が低下します。

塩素はイオン交換樹脂を劣化させる要因になるため、このような前処理が必要です。 基本的にはカートリッジ純水器とセットで販売されており、特別気にする必要はありません。

ただし、吸着できる塩素容量は決まっているので、定期的な交換が必須です。

2. イオン交換樹脂

イオン交換樹脂は合成樹脂でできています。陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の2種類あり、この2つを組み合わせることで純水を精製できます。

陽イオン交換樹脂は水道水中のカルシウムイオンを、陰イオン交換樹脂は硫酸イオンなどの吸着が役割です。その際に、もともと保持していた水素イオンと水酸化物イオンを放出し水になります。

こちらも使用には限度があり、一定の交換容量を超えた場合、性能の低下が発生します。

 

以上の2ステップで純水を精製しますが、誤った使い方をすると、フィルターや樹脂が目詰まりや劣化を起こし使用不可となるので注意が必要です。

カートリッジ純水器のその他情報

1. 半導体需要との関係

半導体や精密機器の製造において純水は大きな役割を担っており、その需要が広がればカートリッジ浄水器の需要も同様に増えます。製造過程の洗浄時には純水の使用が絶対であり、不純物を含有した水は使用できません。

乾燥して残留した不純物が悪影響を及ぼす可能性があり、精密機器の品質に大きく関わります。

2. 交換頻度の改善

活性炭フィルター、イオン交換樹脂共に使用には限度があり、定期的な交換が必要です。連続使用においては、この交換が負担になるケースが多く、交換頻度低減が課題とされています。次のアイディアとして、事前にROろ過によりそれぞれの負担を分散させる手法があります。

しかしながら、工程や設備の追加となるため、抜本的な見直しも重要です。現在は活性炭の化学処理にて法表面孔数の増加が研究されています。これにより、1回の除去のキャパシティの増加と寿命延長が期待でき、除去性能自体の向上も見込めます。

3. イオン交換樹脂の再生

使用したイオン交換樹脂は、純水化の過程で当初と異なるイオンを保持した状態です。このイオンを放出させる処理を行うことで再利用が可能となります。

方法として、陽イオン交換樹脂は希塩酸や希硫酸への浸漬、陰イオン交換樹脂は水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させます。 イオン交換の可逆反応が起こり、再生が実現可能です。

アース端子

アース端子とはアース端子

アース端子(英語:Earth Terminal,Ground Terminal)とは、アース線(接地線)を接続するための端子のことです。接地(アース)とは、電気設備や電気機器のハウジング、線路の中性点、電子機器の基準電位配線などを、電気伝導体で基準電位点に接続することです。一般的に基準として大地(地面)へ接続します。

アース端子(外部保護導体の接続用端子)は、JIS規格「JIS B 9960-1:2019(IEC 60204-1:2016)機械類の安全性機械の電気装置 第1部:一般要求事項 5.2 外部保護導体の接続用端子」で、下記(抜粋)のように規定されています。

“各入力電源について、その給電線用端子と同一の区画(近傍)に、機械を外部保護導体に接続するための端子を設けなければならない。”

引用:JIS 機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項

アース端子の使用用途

アース端子の使用目的は、電気設備や電気・電子機器の接地線への接続のために使用します。接地の目的は、保安用接地、機能用接地、雷保護用接地です。アース端子は、これらの目的のために、電気設備や電気・電子機器のフレームや機器を収納する筐体内部に取り付けられ、アース線を接続して使用します。

※「接地」と「アース」と同義語として表現しています。

1. 保安用接地

保安用接地は、電気設備における感電や火災事故防止の接地です。漏電電流による、接地線を通じて逃がし人が触れた場合に感電や、発熱による火災を防止します。一般家庭などの例では、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジといった機器では、液体を使用する場面も多く、漏電のリスクがあるため、アース端子との接続する必要があります。

2. 機能用接地

機能用接地は、電気設備の動作や電気・電子機器の通信安定のための接地です。電子機器類は、周囲からの電磁波や様々なノイズの影響により、誤動作を起こす可能性があります。誤動作を防ぐために、電子機器を遮蔽物で覆い、この遮蔽物とアース端子を接続します。

実例として、制御回路でインバーターなどを使用し高調波を発生する機器は、金属製の筐体に帯電し放出されことで機器が誤作動を起こすことがあります。アース端子から大地へアース電流として流し帯電を防止します。

3. その他の接地

雷保護接地、静電気防止接地、仮設作業用接地などがあります。雷保護接地は、落雷による雷電流をアース端子からアース線へ流します。静電気防止接地は、静電気により帯電した電流をアース端子からアース線へ流します。これらにより、電気・電子機器などへの悪影響を防止します。

アース端子の原理

安定した電位を持つ大地と電気的に接続することを接地(アース)と呼びます。漏電により流れ出た電荷などを、アースを通じて逃がすことで、電子機器の本体に悪影響が及ぼさないようにします。産業用途の電気設備や電気機器の電気回路は、基本的に接地されています。

これらに備えられた中性点を接地することで(中性点接地方式)、たとえ高圧と低圧が混触した場合においても、高圧から低圧側に電力がそのまま流れ込むことを防ぐことができます。 接地されていない場合は、高電圧が電線を伝わり電子機器類を破損させる危険性があります。

中性点接地方式により、アーク発生時による異常電圧の発生防止、一線地絡事故における異常電圧の防止といった送電系統の保護につながります。このように電力の送電系統や産業用の電気設備や電気・電子機器などを保護する上で、アースは極めて重要な役割を担っています。

アース端子の種類

アース端子の種類には、ねじ式とワンタッチ式があります。

1. ねじ式アース端子

ねじ式アース端子

図1. ねじ式アース端子

ねじ式アース端子は、端末にリングもしくはY形の圧着端子を取り付けたアース線を、端子のボルトで固定します。(図1, 2参照)また家電製品などではアース線の被覆を必要な長さに剥いて、ボルト下部のワッシャで挟み込みねじを締め付け固定します。

ねじ式アース端子の使用例

図2. ねじ式アース端子の使用例

2. ワンタッチ式アース端子

ワンタッチ式アース端子

図3. ワンタッチ式アース端子 (クリップオン)

ワンタッチ式アース端子は、端末に棒状の圧着端子を取り付けたアース線、または被覆を剥いたアース線を端子に差し込み、クランプ 機構によりワンタッチで固定します。(図3参照)

アース端子付きコンセント

図4. アース端子付きコンセント (ワンタッチ式)

一般の家庭や建物で使用されている、アース端子付きコンセントもワンタッチ式アース端子の1つです。アース端子部分のカバーを開けると、アース線を差し込む端子穴があり、アース線先端の被覆を剥いて、導電部分を差し込むことで固定します。(図4参照)

アース端子のその他情報

アース端子のサイズ

アース端子のサイズは、分電盤の場合、定格電流(A)の大きさやアース線の太さによってネジサイズが決まります。また端子数により台部分の大きさが決まります。JIS規格(上記JIS B 9960-1:2019 5.2項参照)では、下記(抜粋)のように規定されています。

“端子サイズは、表1に示す断面積をもつ外部の保護用銅導体を接続できるものとしなければならない。以外の外部保護接地導体を用いる場合には、その接地導体に適する寸法の端子を選ばなければならない。

注記 外部保護導体接続用端子(PE端子)のサイズは、次の手順で決めることになる。

  • 表1によって、電源の相導体断面積から外部保護導体の断面積を決める。
  • 決まった外部保護導体の断面積から、この保護導体を接続するPE端子のサイズを決める。”

引用:JIS 機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項

装置に給電する電源の相導体の断面積 外部保護導体(銅)の最小断面積 Sp(mm2)
S(mm2) (左欄のSに対応してSpを決める)
S≦16 S
16<S≦35 16
S>35 S/2

表1. 外部保護導体(銅)の最小断面積

上記表の外部保護導体のサイズより、各メーカの製品カタログ等より適正なアース端子サイズを選定します。

圧着端子とアース端子は別物です。圧着端子とは、電線の導電部の端末に取り付ける接続端子の一つで、端子と電線に機械的圧力を加えることにより固定・圧着させることができます。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki7/a/001.html
https://electric-facilities.jp/denki4/setti1.html
https://www.chiko.co.jp/setti/faq/001-1.html

バニシングドリル

バニシングドリルとはバニシングドリル

バニシングドリルとは、穴あけとバニシングを同時に行えるツールのことです。

バニシングは表面の研磨を意味し、高い面粗度が求められる穴加工に広く用いられています。似た性能を持つツールとしては、リーマ (またはバニシングリーマ) があります。

リーマは既に開けられた穴の面の仕上げを行うことができますが、バニシングドリルは先端角のついた「チゼル」と呼ばれる切れ刃を持ち、穴あけと同時に仕上げが可能です。一般的な穴あけ後の仕上げ作業には時間がかかり、表面に欠陥が残りやすいため、バニシングドリルによる同時加工は効率的かつ精密な仕上げを実現できます。

ただし、バニシングドリルを使用する際は、切れ刃の角度や回転速度を間違えると、穴あけ時に欠けたり、切れ刃が破損したりする可能性があります。また、バニシングドリルはリーマよりも負荷が高く、適切なクーリングを行わなければならない点にも注意が必要です。

バニシングドリルの使用用途

バニシングドリルは、穴あけ後の面仕上げが不要となるため、精度の高い穴あけ加工に適しています。例えば、自動車や航空機のエンジン部品の加工に広く使用され、金型加工においても、バニシングドリルによる穴あけ加工は欠かせないものです。

さらに、バニシングドリルは多段形状になっているものが多く、複数の穴径を持つワークの加工に適しています。また、樹脂やアルミニウム合金などの軟質材料の加工にも応用可能です。

穴あけとバニシングを同時に行えるため、加工時間の短縮や工具数の削減され、様々な製造現場で適用可能なツールです。バニシングドリルの刃は基本的にストレート状ですが、高速送りや深穴に対応するために、とぐろ状の刃が付いたものもあります。また、オイルホール付きのものや1mm以下の小径穴に対応できるものなど、用途に合わせて種類が豊富な点も特徴です。

バニシングドリルの原理

バニシングドリルは、バニッシュマージンと呼ばれるマージンによって切削面と穴壁面をスムーズに接続し、高精度な加工を実現する加工道具です。チゼルと逃げ溝があるため、剛性が低くなることが欠点ですが、それでもサイクルタイムを短縮し、下穴用のドリルが不要になるといった利点があります。そのため、生産性を重視するワークの加工に適したツールです。

また、バニシングドリルは、穴あけにリーマを使用する場合と比較して、短時間で正確な加工ができるという利点があります。穴あけの際に、バニシングドリルは先端が球形になっていおり、切削力が均一に分散され、加工面の仕上げも均一です。そのため、バニシングドリルはリーマよりも滑らかな表面仕上げが実現できます。

一般的に、深い穴にはリーマが使用されますが、バニシングドリルを使用する場合は、オイルホール対応のものを使用することが推奨されます。

バニシングドリルの種類

バニシングドリルの種類として、ストレート刃バニシングドリル、ゲージ刃バニシングドリル、多刃バニシングドリル、オイルホール付きバニシングドリルの4種類があります。

1. ストレート刃バニシングドリル

ストレート刃バニシングドリルは、刃先がストレートになっているタイプのドリルです。簡単な穴加工に使用されます。ストレートな形状であるため、直径が大きくなるほど加工精度が落ちてしまうという欠点があります。

2. ゲージ刃バニシングドリル

ゲージ刃バニシングドリルは、刃先が円錐形になっているタイプのドリルです。穴底をキレイに削ることができるため、穴の底面の加工に使用されます。また、ステップドリルと組み合わせて使用することで、穴径の加工範囲を広げることもできます。

3. 多刃バニシングドリル

多刃バニシングドリルは、複数の刃を持つタイプのドリルです。切りくずの除去性が良く、加工時間を短縮することができるため、大量生産に向いています。ただし、刃の数が多い分、刃先同士の間隔が狭くなり、刃先の強度が低下するというデメリットもあります。

4. オイルホール付きバニシングドリル

オイルホール付きバニシングドリルは、刃先の中心にクーラントのオイルを供給する穴が開いているタイプのドリルです。切りくずをクーラントの水圧で除去することができ、高速・大量生産に適しています。

参考文献
https://sakusakuec.com/shop/pg/1drill06/
http://www.btktool.co.jp/products/drill_jouken.html
https://saikenma.com/word/word-639/

バイメタル式温度計

バイメタル式温度計とはバイメタル式温度計

バイメタル式温度計 (英: Bimetal thermometer) とは、バイメタルの特性を利用して温度を測定する計測器です。

バイメタルは、熱膨張率が異なる2種類の金属板を接着したもので、温度変化により湾曲する特性があります。湾曲する力を利用して、表示板の目盛りを指す針の軸を回し、測定温度を直読する機器です。

ガラス温度計と比べて、耐久性に優れていて、取り扱いも容易で安全性があります。構造が単純で保守点検も簡単であることから、家庭用から工業用まで幅広く用いられています。

バイメタル式温度計の使用用途

バイメタル式温度計は、壁掛け型や据え置き型の気温計として屋内で使用されます。主に目盛りが印刷された円形の表示板の針を動かすために、ぜんまい状のバイメタルを組み込んだものです。

その他、水温計・土壌温度計・調理用温度計などに利用されます。表示板の裏側にある突出した筒の中に、つる巻き状のバイメタルが組み込まれています。さらに、産業用途では、防水性・耐腐食性・耐薬品性・耐圧性等を付加しやすい特徴から、化学プラント等のライン温度管理に使用されています。

市販されているバイメタルの種類と仕様については、「JIS C 2530」に規定されています。

バイメタル式温度計の原理

バイメタルの一方は、鉄とニッケルの合金で、室温付近にて熱膨張率がほぼ0になる低熱膨張合金です。バイメタルの他方は、マンガンクロムなどを添加した熱膨張係数が非常に大きい合金です。バイメタルは、これらの2つの金属板を重ね合わせて、冷間圧延によって1枚の金属板として製造します。

長期間使用すると、熱により性質が変化する場合があることから、製造には高度な技術が必要です。バイメタルを加熱することによって、膨張係数の大きい合金側が延びるため、低熱膨張合金側を内側にして反り返ります。この時に生じる力を利用して、温度計の針を動かす機構を有するものがバイメタル式温度計です。

実際の構造は、バイメタルをつるばね状に巻いて、温度変化によるねじれにより指針を回転させるようになっています。低熱膨張合金は、英語でインバー (invar) と呼ばれ、商標登録されています。鉄を64%、ニッケルを36%、マンガンを微量含む合金です。その特徴は、温度が上昇しても、結晶全体としてほとんど熱膨張が起こらない低熱膨張性にあります。

バイメタル式温度計の取り付け方法

製品を落下させたり、過度な衝撃が加わったりすると、示度に狂いが生じてしまいます。そのため、以下の点に注意しながら取り付ける必要があります。

1. 振動

感温部が振動している状態が続くと、温度計の各部品が摩耗し、破損に繋がります。感温部の振動は、指針が小刻みに震える現象として観察されます。この場合は、放置せずに速やかに適切な対策を講じる必要があります。

2. 周囲温度

周囲の温度と、測定対象物の間に温度差がある場合、周囲の温度の影響で測定誤差が生じることがあります。使用設備を保温し、放熱や吸熱を抑制することで、改善できる場合があります。

3. 凍結環境

測定対象物の温度が氷点を下回る場合には、温度計の内部が凍結して、製品の破損に繋がることがあります。凍結環境下で製品を使用する場合には、専用の製品を取り付ける必要があります。稀に専用の製品で内部が凍結してしまうこともありますが、その場合は、シリコンオイル入りを使用するなど、特殊な仕様の製品を選択することで、解決できるケースも多いです。

バイメタル式温度計のその他情報

1. バイメタル式温度計の保護管

保護管が必要になるケースとして、以下が挙げられます。

  • 測定対象物が感温部を腐食させる可能性がある場合
  • 感温部に高い圧力がかかる場合
  • 測定対象物が流体である場合
  • 温度計を取り外すと測定対象物が漏れ出て支障がある場合

2. 保護管の材質

測定対象物に腐食の恐れがある場合には、保護管の材質は耐食性のあるものを選定します。また、感温部に圧力がかかる場合は、耐圧性のあるものを使います。

3. 保護管の種類

保護管の種類は、非鉄性保護管・ステンレス製溶接保護管・くりぬき保護管などがあります。感温部の長さなどを考慮して選定します。

参考文献
https://ktc-bimetal.co.jp/pdf/bimetal.pdf
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.107.065901