ロールtoロール装置とは
ロールtoロール装置とは、フィルム状の柔軟な基材、例えばプラスチックフィルム、金属箔、紙などを、巻き出し (アンワインド) から巻き取り (リワインド) まで連続的に処理するための製造装置です。
名前の通りロールからロールへ基材を移動させながら、印刷、塗布、乾燥、積層、パターニング、検査などの工程を一連で行うことができます。
この方式は、製造工程の連続性と大量処理能力に優れているため、コスト削減や生産効率の向上を目的にさまざまな分野で採用されている装置です。シート状の処理に比べて高速処理が可能なため、量産用途に特化した製造装置として用いられています。
ロールtoロール技術では、基材の搬送精度が非常に重要です。わずかなズレでも印刷や塗布に影響を与えるため、張力制御や位置補正、温度管理などの高度な制御技術が必要です。
ロールtoロール装置の使用用途
ロールtoロール装置は、フィルム状基材を使う製造分野において、以下のような多岐にわたる用途で使用されています。
1. 電子デバイス製造
フレキシブルディスプレイ、有機EL、太陽電池、フレキシブルプリント基板 などの製造にロールtoロール装置が用いられています。これらの製品は、曲げ可能で軽量な特性を持つため、効率的な大量生産に適した生産方式です。
2. パッケージングおよび印刷業界
包装材やラベル、医薬品のブリスターパックなどの製造でも広く活用されています。グラビア印刷やフレキソ印刷によってフィルムに図柄を印刷し、ラミネートやコーティングを施す工程が連続的に行われ、短時間で大量生産が可能です。食品包装や工業用ラベルなど、大量に需要がある製品に最適です。
3. エネルギー関連製品の製造
リチウムイオン電池の電極 (正極・負極) 製造にもロールtoロール装置が使われています。電極材料の塗工、乾燥、圧延、スリットといった工程を連続して行うことで、バッテリー性能の均一化と生産性の向上を実現しています。