アース端子

アース端子とはアース端子

アース端子(英語:Earth Terminal,Ground Terminal)とは、アース線(接地線)を接続するための端子のことです。接地(アース)とは、電気設備や電気機器のハウジング、線路の中性点、電子機器の基準電位配線などを、電気伝導体で基準電位点に接続することです。一般的に基準として大地(地面)へ接続します。

アース端子(外部保護導体の接続用端子)は、JIS規格「JIS B 9960-1:2019(IEC 60204-1:2016)機械類の安全性機械の電気装置 第1部:一般要求事項 5.2 外部保護導体の接続用端子」で、下記(抜粋)のように規定されています。

“各入力電源について、その給電線用端子と同一の区画(近傍)に、機械を外部保護導体に接続するための端子を設けなければならない。”

引用:JIS 機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項

アース端子の使用用途

アース端子の使用目的は、電気設備や電気・電子機器の接地線への接続のために使用します。接地の目的は、保安用接地、機能用接地、雷保護用接地です。アース端子は、これらの目的のために、電気設備や電気・電子機器のフレームや機器を収納する筐体内部に取り付けられ、アース線を接続して使用します。

※「接地」と「アース」と同義語として表現しています。

1. 保安用接地

保安用接地は、電気設備における感電や火災事故防止の接地です。漏電電流による、接地線を通じて逃がし人が触れた場合に感電や、発熱による火災を防止します。一般家庭などの例では、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジといった機器では、液体を使用する場面も多く、漏電のリスクがあるため、アース端子との接続する必要があります。

2. 機能用接地

機能用接地は、電気設備の動作や電気・電子機器の通信安定のための接地です。電子機器類は、周囲からの電磁波や様々なノイズの影響により、誤動作を起こす可能性があります。誤動作を防ぐために、電子機器を遮蔽物で覆い、この遮蔽物とアース端子を接続します。

実例として、制御回路でインバーターなどを使用し高調波を発生する機器は、金属製の筐体に帯電し放出されことで機器が誤作動を起こすことがあります。アース端子から大地へアース電流として流し帯電を防止します。

3. その他の接地

雷保護接地、静電気防止接地、仮設作業用接地などがあります。雷保護接地は、落雷による雷電流をアース端子からアース線へ流します。静電気防止接地は、静電気により帯電した電流をアース端子からアース線へ流します。これらにより、電気・電子機器などへの悪影響を防止します。

アース端子の原理

安定した電位を持つ大地と電気的に接続することを接地(アース)と呼びます。漏電により流れ出た電荷などを、アースを通じて逃がすことで、電子機器の本体に悪影響が及ぼさないようにします。産業用途の電気設備や電気機器の電気回路は、基本的に接地されています。

これらに備えられた中性点を接地することで(中性点接地方式)、たとえ高圧と低圧が混触した場合においても、高圧から低圧側に電力がそのまま流れ込むことを防ぐことができます。 接地されていない場合は、高電圧が電線を伝わり電子機器類を破損させる危険性があります。

中性点接地方式により、アーク発生時による異常電圧の発生防止、一線地絡事故における異常電圧の防止といった送電系統の保護につながります。このように電力の送電系統や産業用の電気設備や電気・電子機器などを保護する上で、アースは極めて重要な役割を担っています。

アース端子の種類

アース端子の種類には、ねじ式とワンタッチ式があります。

1. ねじ式アース端子

ねじ式アース端子

図1. ねじ式アース端子

ねじ式アース端子は、端末にリングもしくはY形の圧着端子を取り付けたアース線を、端子のボルトで固定します。(図1, 2参照)また家電製品などではアース線の被覆を必要な長さに剥いて、ボルト下部のワッシャで挟み込みねじを締め付け固定します。

ねじ式アース端子の使用例

図2. ねじ式アース端子の使用例

2. ワンタッチ式アース端子

ワンタッチ式アース端子

図3. ワンタッチ式アース端子 (クリップオン)

ワンタッチ式アース端子は、端末に棒状の圧着端子を取り付けたアース線、または被覆を剥いたアース線を端子に差し込み、クランプ 機構によりワンタッチで固定します。(図3参照)

アース端子付きコンセント

図4. アース端子付きコンセント (ワンタッチ式)

一般の家庭や建物で使用されている、アース端子付きコンセントもワンタッチ式アース端子の1つです。アース端子部分のカバーを開けると、アース線を差し込む端子穴があり、アース線先端の被覆を剥いて、導電部分を差し込むことで固定します。(図4参照)

アース端子のその他情報

アース端子のサイズ

アース端子のサイズは、分電盤の場合、定格電流(A)の大きさやアース線の太さによってネジサイズが決まります。また端子数により台部分の大きさが決まります。JIS規格(上記JIS B 9960-1:2019 5.2項参照)では、下記(抜粋)のように規定されています。

“端子サイズは、表1に示す断面積をもつ外部の保護用銅導体を接続できるものとしなければならない。以外の外部保護接地導体を用いる場合には、その接地導体に適する寸法の端子を選ばなければならない。

注記 外部保護導体接続用端子(PE端子)のサイズは、次の手順で決めることになる。

  • 表1によって、電源の相導体断面積から外部保護導体の断面積を決める。
  • 決まった外部保護導体の断面積から、この保護導体を接続するPE端子のサイズを決める。”

引用:JIS 機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項

装置に給電する電源の相導体の断面積 外部保護導体(銅)の最小断面積 Sp(mm2)
S(mm2) (左欄のSに対応してSpを決める)
S≦16 S
16<S≦35 16
S>35 S/2

表1. 外部保護導体(銅)の最小断面積

上記表の外部保護導体のサイズより、各メーカの製品カタログ等より適正なアース端子サイズを選定します。

圧着端子とアース端子は別物です。圧着端子とは、電線の導電部の端末に取り付ける接続端子の一つで、端子と電線に機械的圧力を加えることにより固定・圧着させることができます。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki7/a/001.html
https://electric-facilities.jp/denki4/setti1.html
https://www.chiko.co.jp/setti/faq/001-1.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です