フッ素樹脂塗料とは
フッ素樹脂塗料とは、フッ素樹脂を主成分とする塗料のことです。
フッ素樹脂は、非常に高い耐候性、耐薬品性、摩耗性などを持ち、塗装材料としても非常に優れた特性を示します。そのため、高い品質を要求される建築物や自動車などの表面保護に広く使用されます。
金属やコンクリートの表面に塗ることで表面を保護し、化学物質や気候変化による劣化や汚染物質による汚れを防止します。また、粘着性が低いため汚れがつきにくく、清掃が容易であることも特徴の1つです。
高価ではありますが、一度塗装すれば15~20年美観を維持します。初期投資は大きくなりますが、メンテナンス回数を減らすことが可能です。結果として、ランニングコストを抑えて経済的に有利となる場合があります。
フッ素樹脂塗料の使用用途
フッ素樹脂塗料は高い耐久性や化学的耐性などの特性から、さまざまな用途で使用されます。代表的な使用用途は、高層ビルなどの高価な建築物です。
建築物の外壁や屋根は太陽光や雨風などの自然環境から常に影響を受けるため、耐候性が求められます。高層ビルなどはメンテナンスが困難かつ対候性を必要とされるので、フッ素樹脂塗装が使用されます。
また、自動車や船舶にも使用される場合があります。自動車や船舶の外装部品は塩害や紫外線などによって劣化するため、耐候性が必要です。また、汚れがつきにくく、耐薬品性にも優れており、清掃が容易となります。
そのほか、粘着性を活かし、食品加工ラインにも使用されています。食品が機器に付着せず、清潔で安全な状態を維持することが可能です。
フッ素樹脂塗料の原理
フッ素樹脂塗料はフッ素樹脂を主成分とした塗料で、その特性はフッ素樹脂の持つ非常に強い結合力によるものです。フッ素樹脂は炭素同士の結合を主鎖として、炭素にフッ素原子が結合しています。この炭素とフッ素原子の結合は非常に強固で安定しているため、紫外線や温度変化などの影響を受けにくくなります。
フッ素樹脂は、非常に高い耐熱性や化学的安定性などを持ち、さまざまな用途で使用されます。フッ素樹脂を塗料として使用することで、これらの特性を表面に付与することが可能です。なお、フッ素樹脂塗料は、主に2つの方法で表面に付着します。
1つは、フッ素樹脂の非常に細かい粒子を含んだ溶液を表面に塗る方法です。溶液が乾燥するとフッ素樹脂の粒子が表面に付着し、フッ素樹脂塗膜を形成します。
もう1つの方法はフッ素樹脂を電気的に帯電させ、表面に塗布する方法です。この場合、静電気の力で表面に吸着され、フッ素樹脂塗膜を形成します。
フッ素樹脂塗料の種類
フッ素樹脂塗料は構造によって多くの種類が存在します。以下は、フッ素樹脂塗料の種類一例です。
1. PTFE系塗料
ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) を使用した塗料です。粘着性が非常に低い点が特徴です。潤滑性にも優れているため、フライパンやその他調理器具の塗料などに使用されます。
また、粘着性が非常に低い点を活かして、配管内部のライニングなどに使用されることも多いです。
2. ETFE系塗料
エチレンテトラフルオロエチレン (ETFE) を主成分とした塗料です。非常に高い耐熱性と耐候性を持ちます。また、光の透過率が高い点も特徴です。
主に建築物の外装や屋根、グリーンハウスのシートなどに使用されます。
3. PVDF系塗料
フポリビニルジフルオライド (PVDF) を主成分とした塗料です。耐薬品性や耐摩耗性も高く、コンクリートや金属の表面保護にも優れています。さらに、汚れやカビの付着を防止することができるため、表面の美観を長期間維持することができます。
4. FEP系塗料
フッ化エチレンプロピレン (FEP) を主成分とした塗料です。粘着性が非常に低い点が特徴です。
主に配管やバルブなどの内面コーティングに使用されます。FEP塗料を内面に塗ることで、流体の流れを滑らかにし、腐食や汚れの付着を防止することができます。
参考文献
https://gaiheki-tatsujin.com/11129
https://www.dnt.co.jp/products/kind/3.html
https://gaiheki-kakekomi.com/home/fusso/