コンタクトグリース

コンタクトグリースとは

コンタクトグリースとは、スライド接点を硫化・酸化から保護する接点グリースです。

熱分解に強く、耐酸性ガス性・耐薬品性に優れており、長持続性を持っています。化学的に安定した合成油によりできています。耐寒性に優れており、-40℃以下の環境であっても流動性を保持できます。

接点の摩耗を抑え、耐久性に貢献しています。電子部品に使用しても電気的特性に対して影響はありません。液だれを起こすことなく、グリース本来の機能である潤滑効果を保ちます。

コンタクトグリースの使用用途

自動車や電気機器の摺動部位に存在する電気接点を硫化・酸化から保護するために使用されています。

電源を切り替える部位に使用されています。接点の摩耗を抑え、接続時のスパークを抑制することで耐久性を上げます。また、接点が空気に触れることがなくなるため、酸化被膜が生成されることなく、接触不良の可能性を低減します。スライドでスイッチを切り替えるタイプであっても接点同士が導通することはないため、ショートする可能性を無くします。

コンタクトグリースの原理

接点保護効果が優れているため生成される強力な被膜は接点部の磨耗を抑制して、腐食ガス・酸化から接点を保護します。

化学的に安定した不活性な合成油を使用しているため、鉱油・合成油を使用したものよりも優れた酸化安定性を持っています。また、半流動性のグリース状であるため、オイル状のものと比べて長期間の防錆・潤滑効果を維持します。

シリコーンオイルを使用しているため、鉱油・合成油を使用したものと比べて温度変化による粘度への影響が小さいです。特に耐熱性に優れているため、高温下での使用に向いています。

使用されているシリコーンオイルは流動点-40℃以下であるため、低温下でも潤滑性を維持できる低温流動性に優れています。また、使用しているシリコーンオイルは化学的に安定した不活性なものであるため、素材への影響が少なく、特に樹脂への影響はありません。しかし、一部のゴムやプラスチックなどには素材の経時変化・性質によっては変質・破損の可能性があります。

参考文献
https://www.monotaro.com/p/3759/3062/

コルゲートチューブ

コルゲートチューブとは

コルゲートチューブ

コルゲートチューブとは、電線の保護や配線を整理する目的で使用されるチューブです。

電線を入れやすいようにスリットが入っていて簡単に出し入れできるものと、スリットがなく気密性を確保できるものがあり、場合によって使い分けられます。

コルゲートチューブを英語で書くとcorrugate (波形の) tube (筒) となります。その名前通り波打った筒状の製品が多く、柔軟性があるため電線の配線に合わせて追従しやすい電線保護部材となっています。丈夫で圧力がかかってもつぶれにくい特徴があり、材質によって屋内用と屋外用で使い分けます。

色は一般的にほとんどが黒ですが、車用では高圧電線を保護していることが一目で見分けられるようにするために目立つオレンジが使われます。また、医療用では白色透明の製品があります。

コルゲートチューブの使用用途

コルゲートチューブは電線の摩耗や損傷を防ぐ目的で使用されます。

電線の被覆だけでは飛び石や日光など外部からの刺激に対応することができず、電線の被覆に傷がつき内部の導体 (芯腺) が露出してしまう場合があります。その部分から漏電が発生し火災につながる恐れがあります。

コルゲートチューブの屋外での使用例として、排水設備があります。ノンスリットタイプのコルゲートチューブは、加工が簡単で、フレキシブル性があり、かつ気密性がある為、ゴルフカートなどの雨樋に使用されたり、家庭用エアコンの室外ユニットのドレン配管に使用されたりもします。

比較的丈夫で柔軟性のある樹脂が使用されているので、強い衝撃や摩耗、熱などから配線を守ることができます。実際に使用されている場面は非常に幅広く、工場や工事現場、自動車、オフィス、パソコン、OA機器の配線の保護や整理に利用されています。

また、難燃性や耐熱性が優れているコルゲートチューブなど、様々な用途に応じた種類があります。長さはカッターなどで簡単に調節することができます。

コルゲートチューブの特徴

コルゲートチューブは、内部に電線が容易に入るようスリットが入っているものと入っていないものの2種類があります。

1. スリット入りのコルゲートチューブ

スリット入りのコルゲートチューブは、メリットとして取り付けの作業性が良いことが挙げられます。電線端末の圧着処理前に先通しする必要が無く、コルゲートチューブの取り付けを後工程に回せる為、電線端末処理を行う前工程のタクトタイムを減らすことが出来ます。

デメリットは別途電線はみ出し対策が必要な点です。後工程でPVCテープによる割れ止めや荒巻もしくはハーフラップ処理が必要となります。ハーフラップ処理はコストや作業時間が多く掛かるため、問題なければスリットなしに設計変更することが推奨されます。

スリットがあるものは、内部に電線を入れることが容易ですが、そのままにしておくと曲げた際にスリットから電線がはみ出してしまうことがあり、電線がスリットに挟まると断線してしまう可能性があります。

それを防ぐため、スリットがあるコルゲートチューブにはチューブ全体を覆うようにビニールテープで割れ止めをする等スリットが配線時に開かないよう対策する必要があります。

2. スリットなしのコルゲートチューブ

スリットなしのコルゲートチューブのメリットは、別途電線はみ出し対策が不要な点です。スリット入りのデメリットで述べた作業が不要となりますが、電線へ固定する為の部止め処理は必要となります。

デメリットは電線への取り付け作業性が悪く工程の制約があることです。電線端子圧着前に先通しする必要があるため、先通しした後の工程の作業性に影響します。

スリットなしの場合、電線へ端子を圧着する前の状態でコルゲートチューブを先通しする制約がありますが、スリットがないためビニールテープ等でスリットから電線がはみ出す対策を行う必要がありません。その分部材費と加工時間を低減することが可能です。閉断面なためスリット入りに比べて内部へのごみや水の侵入がしにくいメリットもあります。

スリットの有無はどちらも一長一短があるため用途や場合に応じて選択する必要があります。チューブの内径は多様な種類があり、コルゲートチューブに入れる電線の本数等を考慮して選択します。

コルゲートチューブのその他情報

コルゲートチューブの材質

コルゲートチューブで使用されている材質には、大きく分けてポリプロピレンポリエチレンナイロンが多く使用されており、それぞれ値段や特徴が異なるため用途に合わせて最適なものを選べるようになっています。

  1. ポリプロピレン
    耐熱性はそれほど強くなく、-50℃〜95℃℃程度まで使用できます。耐候性が優れているため屋外でも使用されています。難燃性で、自己消火性のある素材です。
  2. ポリエチレン
    耐熱性は-40℃~50℃程度です。耐候性が優れているので、屋外でも使用されています。白色透明タイプは中が透けて見えるので、医療用途などに適しています。
  3. ナイロン (ポリアミド)
    耐熱性は-50℃〜125℃程度です。耐熱性が優れている製品が多いです。難燃性で、自己消火性のある素材です。

国によってはネズミが機材の内部へ侵入し柔らかいケーブルをかじることで断線が発生する場合がありますが、ネズミが嫌う忌避剤が基材に含まれていて、ネズミの被害を防止する対策がとられているコルゲートチューブもあります。

参考文献

https://www.nisseieco.co.jp/products/corrugate
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/4378/

ケーブルテスタ

ケーブルテスタとはケーブルテスタ

ケーブルテスタとは、通信機器を接続するケーブルが正常に性能を発揮しているかをテストする機器のことです。

たとえばLANケーブルテスタの場合、ネットワークケーブルの導通・断線・結線ミスなどをテストできます。

配線技術者が使う場合、工事の後にケーブルが正しく配線されているか、仕様で定めた伝送性能を満たしているかどうかを確認します。配線技術者にとり、ケーブルが適切に導通していることを証明する手続きに欠かせない機器です。

ケーブルテスタの使用用途

ケーブルテスタの主な用途は、通信機器を接続するケーブルの導通具合をテストすることです。断線などの問題がないかどうかを確認するためにも使われます。具体的には、次のような用途があります。

  • 建物内の配線工事後の確認
  • 通信設備の確認
  • 複雑な配線に発生する異常箇所の特定
  • 通信機器のネットワークスピードの確認
  • 異常発生時のトラブルシューティング

通信機器の接続状態に不具合が発生すると、原因を判別するための時間がかかります。機器本体に問題があるのか、ケーブルに問題があるのかを見分ける必要があります。

ケーブルテスタがあれば、すぐに異常箇所を特定できます。そして、余計な工数をかけることなくトラブルシューティングが可能です。

ケーブルテスタの原理

ケーブルテスタは、ケーブルの物理特性を測定します。測定対象は、導通・損失・反射などです。ケーブルの種類によって原理もさまざまです。銅線などのメタル素材の物理特性を測定するのが一般的です。

光ケーブルの通信接続をテストする機器は、ロステスタあるいはOTDR (Optical Time Domain Reflectometer) と呼ばれますが、ここでは詳しく取り上げません。

ケーブルテスタは、電気量を可視化することで通信機器の接続状態を表示します。以下に2つの測定モードをとりあげ、ケーブルテスタの原理を説明します。

1. 抵抗測定モード

断線が疑われる場合によく使われるのは「抵抗測定モード」です。断線しやすい箇所を前後左右に折曲げ、抵抗値の変化を見ます。テスターが「0.L」や「0.F」、あるいは「∞(無限)」を表示すれば、それが断線箇所です。

あるいは、断線箇所が一時的に接触すれば抵抗値が変化するため、ケーブルを慎重に折り曲げて変化を確認します。抜き差しできる場合やプラグ付きのケーブルは、クリップ付きのケーブルで段階的にプラグ間を短絡させ、断線を確認します。

2. 静電容量測定モード

ほかに「静電容量測定モード」という測定方法もあります。ケーブルには長さに比例した静電容量があるため、標準ケーブルの静電容量よりも著しく低下する箇所を見つけ、断線を特定する方法です。

この測定モードは静電容量を比較するため、微量な差しかでない短めのケーブルには向いていません。一方、長めの同軸ケーブルなどには適しています。

ケーブルテスタの種類

ケーブルテスタを使用する頻度が多いのはLANケーブルです。このLANケーブルの性能を見極めることに特化した試験器を「LANケーブルテスタ」といいます。

LANケーブルには1本のコードに8本の信号線が入っており、4組の「より対線」構成です。「より対線」とは、2本の信号線をねじり合わせて1組にしたものです。

4組の「より対線」うち何組を使うかは、イーサネットの規格 (1000BASE-T、10GBASE-T、100BASE-Tなど) により決まります。また、規格により信号の送り方も異なります。

そのため、LANケーブルの両極を適切な「より対線」で接続することが不可欠です。接続方法を間違えると、たとえ電流が流れたとしても、適切に信号を送受信できません。

適切に信号を送受信できているかを調べるため、LANケーブル専用のLANケーブルテスタが必要になります。LANケーブルテスタの他にもHDMIケーブルテスタやUSBケーブルテスタなど、ケーブルに応じたテスタがあります。

長距離を結ぶケーブルが複数存在するため、ケーブル同士の対応関係が判断できない場合でも、同種のケーブルを識別できるケーブルテスタが利用可能です。

ケーブルテスタの選び方

ケーブルテスタにはコストパフォーマンスが良いものから数十万円という高価なものまであります。ケーブルテスタの使用目的をよく考えて選ぶことが大切です。

複雑な配線や線種の接続性を同時にチェックできるものや、手動ではなく自動でテストできるものといった、多機能なテスタは高価です。最低限のチェック機能があればよい、ある一定のケーブルを扱えればよい場合は、安価なものですみます。

しかし、取り扱うケーブルの種類が多い、テストしたい項目が複雑であるなどの理由で、結果的に所持する機器の数が増えてしまうと、維持管理に工数がかかります。余計な工数や費用がかからないよう、使用目的を明確にした上で、予算に合ったケーブルテスタを選ぶことが必要です。

参考文献
https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/17/030700071/030700001/
https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/17/012300631/

キャッチタンク

キャッチタンクとは

キャッチタンクは、主に内燃機関(ガソリン・ディーゼルエンジン)に用いられる部品です。内燃機関内において発生したオイルミストやスラッジなどの不純物を堆積させておくとともに、ブローバイガス(未燃焼ガス)とオイルを分離する役割があります。

モータースポーツの分野では、安全性の面においてレギュレーションにより装着が義務付けされている場合が多い部品であり、そのためのアフターパーツが各社から販売されています。

キャッチタンクの使用用途

エンジンの燃焼行程において発生するブローバイガスは通常、PCVバルブを経由し再度吸入経路(インテーク・マニホールド入口など)へ再導入されます。

その際、エンジン内部で発生したオイルミストやスラッジなども一緒に吸気再導入されてしまうため、高負荷時や高回転時にオイルも燃焼されてしまい、白煙の原因となってしまいます。また、オイルミストによって吸入経路内が汚れてしまうほか、エアクリーナがオイルで濡れてしまい吸気効率が落ちたり、吸気入口からオイルが漏れ出てしまうことがあります。

これらを防ぐため、レーシングカーや高回転域を多用する自動車のエンジンにはキャッチタンクが設置されています。

キャッチタンクの原理

キャッチタンクには大きく分けて「内部にバッフル板を持つもの」と「バッフル板を持たないもの」の2種類があります。特に前者は「セパレートタイプ」と呼ばれ、ブローバイガス入口側パイプと出口側パイプがバッフルと呼ばれる隔壁板で分離されている特徴があります。

前者が「オイルミストを隔壁板にぶつけて気液分離するもの」である事に対し、後者は「ブローバイガス入口側パイプを出口側パイプより深い部分まで伸ばし、気液分離するもの」であるため気液分離性能が優れています。

しかし後者の場合、オイルの蓄積でブローバイガス入口側パイプが塞がれやすく、逃げ場を失ったブローバイガスによってクランクケース内の圧力が上がってしまうことがあるため、セパレートタイプより短いスパンでオイルを排出する必要があります。

また、汎用品が各メーカーから販売されていますが、選択する際には使用するエンジンの排気量やオイル量によって適切な容量のものを選び、設置の際にはエンジン、または車両の強固な部分にしっかりと固定する必要があります。

参考文献
https://car-moby.jp/article/car-life/automobile-inspection-maintenance/oil-catch-tank/

エンドレスベルト

エンドレスベルトとはエンドレスベルト

エンドレスベルトとは、研磨用の機械に取り付けて使用される環状のベルトのことです。

主にベルトサンダーなどの機械に取り付けられ、高速で回転させて対象物を研磨できます。様々な素材の研磨に対応しており、ステンレスのバリ取りやアルミ、チタン合金、木材、皮革、ゴムなどの幅広い素材に対応しています。

通常、ベルトには接合部分がありますが、エンドレスベルトは接合部分がありません。接合部分があるものは研磨ベルトと呼ばれることがありますが、一般的には用途がほぼ同じであるため区別されることはありません。

エンドレスベルトは環状のため対象物の研磨をより効率的に行えます。また、研磨時におけるベルトの伸びによる変化が少なく、研磨品質の安定性が高いです。しかし、エンドレスベルトの劣化や摩耗が進行すると研磨効果が低下することがあるため定期的な点検やメンテナンスが必要であり、適切な管理が求められます。

エンドレスベルトの使用用途

エンドレスベルトは主にベルトサンダー、ベルトディスクサンダー、ベルトグラインダー、ベーダーマシンといった研磨用の機械に取り付けて使用されます。エンドレスベルトは環状で接合部分がないため、研磨時にベルトの接合部分が対象物にあたって傷をつける心配がなく、綺麗な研磨面を作ることが可能です。

また、研磨材質は研磨する対象に合わせて選択され、ベルトの研磨材の粒径を変えることで表面の仕上がりを調整することも可能です。そのため、ステンレスのバリ取りや、アルミ、チタン合金、木材、皮革、ゴムなど、幅広い素材の研磨が可能になります。

継ぎ目のないものは自動改札機や搬送装置、工作機械のフィーダなどに使用されています。継ぎ目がないため薄い製品等をスムーズな搬送が可能です。

エンドレスベルトの原理

エンドレスベルトはホイールとプーリによってベルトを回転させ、研磨材が対象物に当たりながら研磨することで表面を平滑に仕上げます。ベルトの回転スピードを調整することで適切な研磨力を得ることが可能です。

母材はポリエステルや綿の不織布や布で、その表面に研磨材が塗布されています。研磨材には溶融アルミナがよく使用されますが、ジルコニアや炭化ケイ素が用いられている製品もあります。粒子径を変えることで粗削りから仕上げ研磨まで幅広く使用可能です。

エンドレスベルトの種類

エンドレスベルトはアルミナ研磨材、シリコンカーバイト研磨材、シリコン研磨材、ダイヤモンド研磨材の4種類の材質からなるものが存在します。

1. アルミナ研磨材のエンドレスベルト

アルミナを研磨材として使用したエンドレスベルトは、一般的なタイプであり、金属の研磨や木材の研磨に使用されます。表面を滑らかに仕上げたい場合は、粒度の細かいものを選ぶことが必要です。また、アルミナの研磨材は割れにくく、比較的安価なため、幅広い用途に適しています。

2. シリコンカーバイト研磨材のエンドレスベルト

シリコンカーバイトを研磨材として使用したエンドレスベルトは、金属の研磨に適しています。アルミナよりも硬いため、鋭い切れ味があり、削り取る力が強い点が特徴です。しかし、シリコンカーバイトはアルミナよりも高価なため、用途によってはコストがかかることがあります。

3. シリコン研磨材のエンドレスベルト

シリコンを研磨材として使用したエンドレスベルトは、ガラスやセラミックの研磨に適しています。シリコンは研磨材として柔らかいため、削り取る力は弱いですが、滑らかな仕上がりが期待できます。また、シリコンは耐久性に優れており、長時間使用しても劣化が少ないため、コストパフォーマンスに優れています。

4. ダイヤモンド研磨材のエンドレスベルト

ダイヤモンド研磨材を使用したエンドレスベルトは、非常に硬い材料を研磨する場合に使用されます。ダイヤモンドは世界でもっとも硬い物質のひとつであり、高い研磨効率を発揮します。主にガラス、セラミック、超硬合金などの研磨加工に使用可能です。

ダイヤモンド研磨材のエンドレスベルトは、アルミナやシリコンカーバイトのエンドレスベルトと比較すると、耐久性、寿命、研削力の強さなどにおいて優れています。また、従来の研磨加工では難しかった、複雑な形状の加工も容易に行うことが可能です。

参考文献
http://crownab.com/product/kenma/structure/
https://isamu-f.com/beltdisksander/

ウェット膜厚計

ウェット膜厚計とは

ウェット膜厚計は、物体上にある濡れ面の膜厚を測定する装置にです。

ウェット膜厚計の多くは、アナログ式の膜厚計となり、実際に濡れ面に膜厚計を当て、その膜厚計がどの程度濡れたかを目視などで確認し、膜厚を測定します。実際に濡れ面に膜厚計を接触させて測定を行うため、破壊式の検査になります。デジタルで濡れ厚さを測定する製品も発売されています。

くし型とローラー型に分類できます。手動読み取り式のため、手早く膜厚を取得できます。

ウェット膜厚計の使用用途

ウェット膜厚計は、自動車などの塗装工程、食品工場、実験場などで使用されます。具体的な使用例としては、塗装工程における塗装厚さの管理、食品の製造工程における塗布量の管理、濡れの測定になります。

ウェット膜厚計の選定の際には、膜厚の測定精度、読み取りやすさ、破壊する量の大きさなどを考慮する必要があります。使い捨てが可能な安価な素材から、洗浄して利用できるタイプもあり、使用する液体の種類に応じて選択できます。

ウェット膜厚計の原理

ウェット膜厚計の動作原理を、くし型とローラー型に分けて説明します。

1. くし型

くし型のウェット膜厚計は、くし状の高さの異なる溝が等間隔で掘られています。膜厚計を測定対象の膜に押し当てると、溝の部分に液が侵入します。その液が侵入していない部分の数値を読み取ることで膜厚を測定することができます。膜厚の測定の範囲は、溝の高さの間隔に依存します。価格が安価で、使い捨てが可能な製品が多くあり、洗浄が容易ではない場合や、直接触ることが危険な薬品などの膜厚の測定にも適しています。

2. ローラー型

ローラー型は、ローラーの遠心方向の中央に溝があり、その溝の高さが異なる形状となっています。測定時は、測定対象の膜に対して、ローラーを回転させ、中央の溝に液体が付着したかどうかを判別することで、測定が可能になります。液体を破壊する部分がくし型に比べて少ないことが特徴になります。滑り止めの加工がされている製品もあります。

参考文献
https://www.tetsutani.co.jp/sokutei/pte/wetgage.html
https://www.allgood.co.jp/products/wet_film_wheel/
http://www.sanko-denshi.co.jp/makuatsu/wet.html

KVMエクステンダ

KVMエクステンダとは

KVMエクステンダとは、キーボード (英: Keyboard) ・ディスプレイ (英:Video) ・マウス (英: Mouse) を、コンピュータから離れた場所で使うための機器です。

通常、キーボード・ディスプレイ・マウス (KVMステーション) とコンピュータを接続するケーブルは、約10m以内で使えるように設計されています。約10m以上のケーブルを使うと、デジタル信号が減衰したり波形が乱れたりするため、正常にデータ転送ができなくなります。

KVMエクステンダを利用すれば、CATxのケーブルを使った場合は約150mまで、光ファイバやネットワーク経由の場合はさらに遠くまでの距離を、デジタル信号の品質を保ったまま接続可能です。

KVMエクステンダの使用用途

KVMエクステンダは主に、コンピュータ本体をセキュリティおよび保守上の理由から、人間の目の届かない場所に隔離するために利用されます。

1. サーバールームの作業を効率化する場合

KVMエクステンダを使えば、サーバールームに入らずに、離れた場所からサーバーを操作できます。サーバールーム スタッフは物理的にサーバーに近づく必要がありません。これにより、サーバールーム スタッフの負担や移動時間を減らすことができます。

2. デスクトップ スペースの有効活用する場合

KVMエクステンダを使えば、パソコン本体をデスクトップから取り除くことができます。これにより、デスクトップ スペースを節約できるだけでなく、配線やメンテナンスも簡単になります。

3. セキュリティを確保する場合

KVMエクステンダを使えば、パソコン本体を監視カメラやロックなどで保護された場所に設置できます。これにより、機密情報や重要なデータの漏洩や改ざんを防ぐことができます。

4. コンピュータの稼働環境を確保する場合

巨大なスクリーンを設置した屋外のライブイベント会場から離れた安全で安定した環境に、コンピュータを設置できます。

KVMエクステンダの原理

KVMエクステンダは、コンピュータとキーボード、モニタ、マウスを物理的に分離し、信号を変換して延長する仕組みです。KVMエクステンダは、コンピュータとキーボード、モニタ、マウスの間に設置され、それぞれの信号を変換し、データを長距離で伝送できるCATxまたはファイバケーブルなどを介して信号を伝送します。

KVMエクステンダは、一対一の接続だけでなく、ネットワーク経由で複数のコンピュータに接続できます。この場合、KVM over IPエクステンダと呼ばれる技術が使われます。

KVMエクステンダの種類

KVMエクステンダは、伝送する信号の種類やケーブルの種類によって分類されます。

1. 信号による分類

信号の種類には、アナログVGAやデジタルDVIなどのビデオ信号、USBやPS/2などのキーボード・マウス信号、オーディオ信号などがあります。これらの信号を組み合わせて伝送もできます。

2. ケーブルによる分類

ケーブルの種類には、Cat5やCat6などのツイストペアケーブル (CATxケーブル) や光ファイバケーブルがあります。CATxケーブルでは最大130m〜300mまで延長できますが、光ファイバケーブルでは最大20kmまで延長できます。

KVMエクステンダには、一対一の接続だけでなく、ネットワーク経由で複数のコンピュータにアクセスできるKVM over IPエクステンダと呼ばれるものもあります。この場合、IPネットワークを介して信号を変換・伝送します。

KVMエクステンダの選び方

KVMエクステンダを選ぶ際は、自分の用途や環境に合わせて、必要な信号の種類やケーブルの種類を決める必要があります。

1. 信号の種類

信号の種類には、アナログVGAやデジタルDVIなどのビデオ信号、USBやPS/2などのキーボード・マウス信号、オーディオ信号などがあります。接続するキーボード、モニタ、マウスのインターフェースに合った製品を選びます。

2. ケーブルの長さ

ケーブルには、Cat5やCat6などのツイストペアケーブル (CATxケーブル) や光ファイバケーブルがあります。CATxケーブルでは最大150m〜300mまで延長できますが、光ファイバケーブルでは最大20kmまで延長できるものがあります。

3. 複数コンピュータとの接続

KVMエクステンダには、一対一の接続だけでなく、ネットワーク経由で複数のコンピュータにアクセスもできるKVM over IPエクステンダと呼ばれるものもあります。この場合、IPネットワークを介して信号を変換・伝送します。

4. 高解像度やセキュリティ

4Kビデオや機密情報保護などのセキュリティ要件に対応する必要があるかどうかも、考慮する必要があります。

参考文献
https://www.blackbox.co.jp/ja-jp/page/24052/Information/Technical-Resources/Black-Box/KVM/KVM
https://www.sanwa.co.jp/product/peripheral/changer/qa/index.html

EMCCDカメラ

EMCCDカメラとは

EMCCDカメラとは、電子倍増機能 (Electron Multiplying) CCD素子により、微弱な光を検知可能なCCDカメラのことです。

通常のCCDカメラで光を検知する場合、ある程度明るい光が必要です。光を電気信号に変換するとき、ある程度のノイズ (光以外の不要な情報) が加わります。

微弱な光を電気信号に変換しても、ノイズに埋もれるため十分な濃淡の画像が得られません。光を検知して電気信号に変換する際、EMCCDカメラはCCDセンサーに電子倍増機能を持たせるため、微弱な光を検知可能です。

EMCCDカメラの使用用途

EMCCDカメラの主な用途は、顕微鏡や望遠鏡です。顕微鏡における観察部分は非常に狭く、絞りや反射鏡により観察部分の明るさを増強していますが、通常のCCDカメラで撮影すると光量が不十分です。

そのため、光から変換した電気信号がノイズに埋もれてしまいます。一方で、EMCCDカメラを用いると、微弱な光を十分な強度の電気信号に変換・増幅可能です。望遠鏡で暗い天体を撮影する際も、微弱な光量を補うためEMCCDカメラを用います。

EMCCDカメラの原理

1. CCDセンサーの仕組み

CCD (Charge Coupled Device) とは、光を電気信号に変換する電荷結合素子のことです。従来の銀塩カメラ (フィルムを使用したカメラ) の受光部では銀塩フィルムが使われているのに対し、多くのデジタルカメラの受光部ではCCDセンサーが使われています。

CCDセンサーは、画素という小さな素子 (フォトダイオード) から構成されます。フォトダイオードが光を電荷に変換し、CCDセンサーが電荷を電流として出力し、画像化します。

2. EMCCDの仕組み

電流を流す際に、ノイズの影響を受ける特性があるため、微弱な光では電気信号がノイズに埋もれて適切な画像が得られません。そこで、EMCCDセンサーでは光から変換した電荷をノイズの影響を受けないレベルまで倍増させます。

電荷を倍増させることにより、電気信号も倍増されるため、出力画像の濃淡もハッキリします。このようにして顕微鏡や望遠鏡など、微弱な光を検知する必要がある場合でも、EMCCDカメラを使用すれば実用に耐える濃淡のある画像を取得可能です。

EMCCDカメラの構造

EMCCDカメラは、CCDセンサー部とゲインレジスタと呼ばれる2つの機構から構成されます。

1. CCDセンサー部

CCDセンサー部のシリコン基板表面上の電極に異なる電圧を加えることでポテンシャルウェル (potential well: 電位の井戸) が作られます。光をCCDセンサー部が受光すると、光電効果により電荷が発生します。

電荷はポテンシャルウェルに捕捉された後、通常のCCDではACコンバータにてデジタル化が行われます。一方、EMCCDではデジタル化が行われる前に、電荷は電荷倍増のためにゲインレジスタに運ばれます。

2. ゲインレジスタ

CCDセンサー部から送られてきた電荷の倍増を行う機構です。電子転送時に高い電界を加え、高エネルギー状態にすることで新たな電子-正孔対を生成する現象 (インパクトイオン化現象) を利用しています。

EMCCDカメラのその他情報

ノイズ要因

EMCCDのノイズは次の4つに分類され、それぞれに対策が必要になります。

1. 固定パターンノイズ
CCDセンサー内の各画素の感度のバラつきから生じるノイズです。

2. ショットノイズ
CCDセンサーに入射する光子数に依存したノイズです。光子数が増加するとショットノイズも増加します。

3. ダークショットノイズ
光入力が発生しない状態でCCDセンサーに生じる電流のことを暗電流と呼びます。ダークショットノイズは暗電流に起因するノイズであり、暗電流低減によりダークショットを低減することが可能です。

4. 読み出しノイズ
CCDセンサー含めカメラを構成するハードウェアに起因するノイズです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/27/1/27_24/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo/43/3/43_202/_pdf/-char/ja

DNCシステム

DNCシステムとは

DNCシステム (英: Direct Numeric Control System) とは、各種NC工作機械をオンラインで直接数値制御するシステムのことです。

NC工作機械 (ほぼCNC工作機械を指す) を数値制御するとき、フロッピーディスク (FD) やUSBを介して数値データをやりとりしていました。DNCシステムではネットワーク接続により、FDやUSBを介さずに直接コンピュータからNC工作機械を操作できます。

LANによるオンライン環境を構築することにより、複数のNC工作機械を一元的に操作・管理が可能です。

DNCシステムの使用用途

DNCシステムの使用用途は、各種NC工作機械とネットワークを連結することにより、コンピュータから複数のNC工作機械を操作したり、コンピュータとNC工作機械の間で情報をやりとりしたりすることです。

DNCシステムの導入により、従来のCNC工作機械ではできなかった大容量データのやりとりや、長時間のスケジュール運転・無人化運転などを行えます。コンピュータからNC工作機械へ情報を転送するだけでなく、NC工作機械から各種データを取得してコンピュータへ転送することも可能です。

NC工作機械からコンピュータへフィードバックされたデータを基に、NC工作機械の稼働状況を管理できます。

DNCシステムの原理

1. データの転送

従来のCNC工作機械では、コンピュータから数値データをNC工作機械へ送るとき、FDやUSBを介してやりとりするか、直接NC工作機械付属のコンピュータから数値入力していました。

しかし、FDやUSBを介した方法では送信できるデータ量に限界がある上、データ転送の手間がかかるのが欠点です。また、直接NC工作機械付属のコンピュータから人間が数値入力をする場合、ときには数値を誤って入力しかねません。

上記の欠点を解決するため、DNCシステムではコンピュータとNC工作機械をネットワークで結び、コンピュータから直接数値データをNC工作機械に転送します。

2. ネットワーク

ネットワークに用いられるケーブルとしては、LANケーブルや光ケーブルなどがあります。情報閲覧用コンピュータ、CAD/CAM用コンピュータ、ディスプレイ、NC工作機械をネットワークで接続可能です。

NC工作機械を接続するためには、ネットワーク (LANケーブル) とNC工作機械 (RS-232Cケーブル) を、専用の変換アダプタを介して接続します。また、コンピュータから離れた場所でもNC工作機械の稼働状況を確認するため、情報閲覧用コンピュータから無線で携帯電話に情報を転送することも可能です。

DNCシステムのその他情報

1. DNCシステムの使用例

DNCシステムを利用することで、NC機械稼働進捗管理も行うことができます。DNCパソコンにおいて、NCプログラムの出力進捗からNC工作機械の稼働進捗を把握する方式です。

得られた進捗情報をDNCパソコンから別の情報連携環境に送信することも可能であり、NC装置がネットワークインタフェースを持っていなくても稼働進捗などの管理情報を取得することができます。

2. DNCシステムのメリット

DNCシステムの必要性として、以下が挙げられます。NCデータの複雑化、大容量化であったり、設備間のオンライン化の需要からコンピュータから直接オンラインで工作機械に転送する必要が出てきました。

また、DNCシステムを利用することでNC工作機械の長時間連続運転ができることも必要性の1つです。このようなDNCシステムの必要性を考えると、導入のメリットには次の点などが挙げられます。

紙テープやフロッピーディスクを排除することで、大容量NCデータの高速転送と電子化による管理データの統一が可能になります。また、CAD/CAMからNC工作機械へのデータ供給をオンライン化することも可能です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2005A/0/2005A_0_597/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2008A/0/2008A_0_77/_pdf/-char/ja

CNCルータ

CNCルータとはCNCルータ

CNCルータとは、コンピュータによって数値制御されるルータで木材やプラスチックなどを加工する電動工具のことです。

NCルータでは数値制御は行われていましたが、数値データの入力には紙テープやパンチカードを使用していました。しかし、コンピュータの普及により数値データの生成にもコンピュータが活用されるようになり、CNCルータが登場しました。

CNCルータでは同一手順の加工の繰り返しや、複雑な形状の加工を精度高く行うことができます。現在ではNCルータとCNCルータはほぼ同義の用語とされています。CNCルータは工業製品の製造だけでなく家具の制作や模型制作、アート作品の制作など、様々な分野で活用されています。

高い精度で効率的に加工を行えるため加工業界で重要な役割を担っています。また、CAD/CAMを用いることで、事前に設計した加工データをCNCルータに取り込めるため、高精度かつ複雑な形状の加工も可能です。

CNCルータの使用用途

CNCルータはコンピュータで数値制御したルータにより木材・プラスチック材などを加工する目的で使用されます。例えば器具、試作品などの製作にCNCルータが向いています。

試作品を製作する場合、細部の条件を変えていくつも製作する場合も多いため、CNCルータによって細かく数値条件を変えることにより、試作品の製作時間を短縮可能です。2D加工だけでなく穴開け・くり抜き・ポケット加工などの3D加工もできます。

CNCルータの原理

CNCルータは数値制御の原理によって加工精度を高めたルータです。初期のNCルータは数値データを転送するために紙テープを使用していたため、数値データの転送に時間がかかっていましたが、コンピュータの普及によりCNCルータが開発されました。

CNCルータを使用する場合、加工材料 (木材・プラスチック材など) をテーブル上に置き、コンピュータ操作によって材料を加工します。コンピュータに入力する数値データは、位置座標 (x, y, z) や移動距離を入力します。典型的な形状 (円など) の場合は半径などの情報を入力することで、コンピュータが自動的に移動情報を計算します。

複雑な形状の加工をする場合、事前にCAD/CAMにより加工データを設計しておき、データをCNCルータに受け渡して材料を加工も可能です。CNCルータは高精度で迅速な加工が可能であり、木工や加工業界で広く使用されています。

CNCルータの種類

CNCルータは、加工する材料や目的によってさまざまな種類があり、主に3軸CNCルータ、4軸CNCルータ、5軸CNCルータ、レーザーCNCルータ、水jetCNCルータの5種類が存在します。材料や目的に応じて、最適なCNCルータを選択することが重要です。

1. 3軸CNCルータ

3軸CNCルータは、X、Y、Z軸の3つの軸を持ち、平面加工と立体加工の両方が可能です。主に木工や金属加工に使用され、高精度かつ迅速な加工が可能です。

2. 4軸CNCルータ

4軸CNCルータは、3軸CNCルータに加え、回転軸を1つ追加したものです。主に3D彫刻や装飾加工に使用され、複雑な形状を加工できます。

3. 5軸CNCルータ

5軸CNCルータは、4軸CNCルータに加え、傾斜軸を追加したものです。これにより、曲面の立体加工が可能となります。主に造船業や航空機産業など、大型の加工が必要な産業で使用されています。

4. レーザーCNCルータ

レーザーCNCルータは、レーザーを利用して材料を切削するタイプのCNCルータです。主に金属加工や木工に使用され、高速かつ高精度な加工が可能です。

5. 水jetCNCルータ

水jetCNCルータは、高圧水流を利用して材料を切削するタイプのCNCルータです。主に石材加工や金属加工に使用され、硬質な材料の切削に威力を発揮します。

参考文献
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010660894.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1986/8/5/8_5_412/_pdf/-char/ja