コルゲートチューブとは
コルゲートチューブとは、電線の保護や配線を整理する目的で使用されるチューブです。
電線を入れやすいようにスリットが入っていて簡単に出し入れできるものと、スリットがなく気密性を確保できるものがあり、場合によって使い分けられます。
コルゲートチューブとは英語で書くとcorrugate (波形の) tube (筒) となり、その名前通り波打った筒状の製品が多く、柔軟性があるため電線の配線に合わせて追従しやすい電線保護部材となっています。丈夫で圧力がかかってもつぶれにくい特徴があり、材質によって屋内用と屋外用で使い分けます。
色は一般的にほとんどが黒ですが、車用では高圧電線を保護していることが一目で見分けられるようにするために目立つオレンジが使われます。また、医療用では白色透明の製品があります。
コルゲートチューブの使用用途
コルゲートチューブは電線の摩耗や損傷を防ぐ目的で使用されます。
電線の被覆だけでは飛び石や日光など外部からの刺激に対応することができず、電線の被覆に傷がつき内部の導体 (芯腺) が露出してしまう場合があります。その部分から漏電が発生し火災につながる恐れがあります。
コルゲートチューブの屋外での使用例として、排水設備があります。ノンスリットタイプのコルゲートチューブは、加工が簡単で、フレキシブル性があり、かつ気密性がある為、ゴルフカートなどの雨樋に使用されたり、家庭用エアコンの室外ユニットのドレン配管に使用されたりもします。
比較的丈夫で柔軟性のある樹脂が使用されているので、強い衝撃や摩耗、熱などから配線を守ることができます。実際に使用されている場面は非常に幅広く、工場や工事現場、自動車、オフィス、パソコン、OA機器の配線の保護や整理に利用されています。
また、難燃性や耐熱性が優れているコルゲートチューブなど、様々な用途に応じた種類があります。長さはカッターなどで簡単に調節することができます。
コルゲートチューブの特徴
コルゲートチューブは、内部に電線が容易に入るようスリットが入っているものと入っていないものの2種類があります。
1. スリット入りのコルゲートチューブ
スリット入りのコルゲートチューブは、メリットとして取り付けの作業性が良いことが挙げられます。電線端末の圧着処理前に先通しする必要が無く、コルゲートチューブの取り付けを後工程に回せる為、電線端末処理を行う前工程のタクトタイムを減らすことが出来ます。
デメリットは別途電線はみ出し対策が必要な点です。後工程でPVCテープによる割れ止めや荒巻もしくはハーフラップ処理が必要となります。ハーフラップ処理はコストや作業時間が多く掛かるため、問題なければスリットなしに設計変更することが推奨されます。
スリットがあるものは、内部に電線を入れることが容易ですが、そのままにしておくと曲げた際にスリットから電線がはみ出してしまうことがあり、電線がスリットに挟まると断線してしまう可能性があります。
それを防ぐため、スリットがあるコルゲートチューブにはチューブ全体を覆うようにビニールテープで割れ止めをする等スリットが配線時に開かないよう対策する必要があります。
2. スリットなしのコルゲートチューブ
スリットなしのコルゲートチューブのメリットは、別途電線はみ出し対策が不要な点です。スリット入りのデメリットで述べた作業が不要となりますが、電線へ固定する為の部止め処理は必要となります。
デメリットは電線への取り付け作業性が悪く、工程の制約があることです。電線端子圧着前に先通しする必要があるため、先通しした後の工程の作業性に影響します。
スリットなしの場合、電線へ端子を圧着する前の状態でコルゲートチューブを先通しする制約がありますが、スリットがないためビニールテープ等でスリットから電線がはみ出す対策を行う必要がありません。その分部材費と加工時間を低減することが可能です。閉断面なためスリット入りに比べて内部へのごみや水の侵入がしにくいメリットもあります。
スリットの有無はどちらも一長一短があるため用途や場合に応じて選択する必要があります。チューブの内径は多様な種類があり、コルゲートチューブに入れる電線の本数等を考慮して選択します。
コルゲートチューブのその他情報
コルゲートチューブの材質
コルゲートチューブで使用されている材質には、大きく分けてポリプロピレンやポリエチレン、ナイロンが多く使用されており、それぞれ値段や特徴が異なるため用途に合わせて最適なものを選べるようになっています。
- ポリプロピレン
耐熱性はそれほど強くなく、-50℃〜95℃℃程度まで使用できます。耐候性が優れているため屋外でも使用されています。難燃性で、自己消火性のある素材です。
- ポリエチレン
耐熱性は-40℃~50℃程度です。耐候性が優れているので、屋外でも使用されています。白色透明タイプは中が透けて見えるので、医療用途などに適しています。 - ナイロン (ポリアミド)
耐熱性は-50℃〜125℃程度です。耐熱性が優れている製品が多いです。難燃性で、自己消火性のある素材です。
国によってはネズミが機材の内部へ侵入し柔らかいケーブルをかじることで断線が発生する場合がありますが、ネズミが嫌う忌避剤が基材に含まれていて、ネズミの被害を防止する対策がとられているコルゲートチューブもあります。
参考文献
https://www.nisseieco.co.jp/products/corrugate
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/4378/