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ATL用加熱ユニットについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ATL用加熱ユニットのメーカー3社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
ATL用加熱ユニットとは、炭素繊維強化プラスチック (CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics) など、複合材料を使って部品を製造する工法の一つ、ATL法において、製造装置に組み込んで、部品を加熱処理するためのユニットです。
複合材料は、異なる特性の材料を組み合わせて一体化することで、強度や軽さなどの面で優れた特性を持たせた材料です。特にCFRPで作られた部品は、金属よりも軽くて強度、剛性に優れていることから、航空機や自動車などの構造材として広く用いられるようになってきました。
CFRPの製造は、炭素繊維でできたシートを何枚も重ねてゆく、積層工程を経て作られます。その際に、熱を加えることで硬化する樹脂 (熱硬化樹脂) が含まれたシートを使用します。このシートのことをプリプレグ (英: Prepreg) と言います。プリプレグに含ませる熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂が多く採用されています。
CFRPが登場した当初、CFRPの製造は人手によって、シートを1枚ずつ貼り合わせていました。しかし、CFRPの需要が高まるにつれて、機械を使った生産方法がいくつか考案されてきて、CFRPの量産体制が出来上がって来ました。
ATL (英: Automatic Tape Layup) 法は、機械を使ったCFRPの生産方法の一つです。ATL法では、薄いパネルの上に、機械 (製造用ロボット) が炭素繊維でできたプリプレグのテープを、隙間と重なりが無いように、正確に並べて貼り付けて行き、一つの層を作り上げます。一つの層ができたならば、さらにその上に新たな層を形成します。この作業を複数回繰り返すことにより、炭素繊維のシートが積層されたCFRPのパネルが出来上がります。
このテープを張り付ける作業の際に、同時に熱を加えてゆくことでシートは硬化して強度が高い部品ができます。そのためにATLの装置に組み込まれて、テープの貼り付けと同時にその部分を加熱硬化処理するためのユニットがATL用加熱ユニットです。
ATL用加熱ユニットはATL法の製造工程で稼働するロボットに組み込まれて、熱硬化処理を行うために使用します。
ATL法とよく似た製造方法にAFP (英: Automated Fiber Placement) 法があります。AFP法では、ある程度の長さに切断したテープを複数本並べて貼り付けながら積層させてゆきます。
AFP法は、製造プロセスの基本的な部分がATL法と同じですので、ATL用加熱ユニットと同じ加熱ユニットが適用可能です。
ATL法では、製造用ロボットが、3インチから12インチほどの幅のプリプレグのテープを、平面の板の上に隙間が無いように、繰り返し貼り付けてゆきます。テープを貼り付けると同時に、貼り付けた部分に熱を加えてテープを硬化させるのが、ATL加熱ユニットの役割です。
ATL加熱ユニットは、熱を照射する部分 (熱照射部) 、電源部、コントロール部などからできています。
この中で、熱照射部は、ロボットのアームに、テープを貼り付けるユニットと一緒に取り付けられています。そして、テープがパネルに貼り付けられる箇所を狙って、熱を当ててゆきます。
ロボットのアームは、テープを連続的に貼り付けてゆくので、ATL加熱ユニットは短い時間で十分な量の熱を貼り付け箇所に照射する必要があります。熱を照射する範囲は、貼り付けられるテープの幅をカバーする大きさが必要です。
その一方で、ロボットアームは細かな動作を繰り返しながら、正確にテープを貼り付けてゆかなければなりません。ロボットアームに取り付けられる熱照射部には、ロボットの動きを阻害しないコンパクトさと軽さが要求されます。
ロボットのコントローラと、ATL加熱ユニットのコントローラとの間で通信を行い、ロボットがテープの貼り付けを始めると同時に、ATL加熱ユニットは熱を照射し、ロボットがテープの貼り付けを中断すると同時に、ATL加熱ユニットは熱の照射を停止します。加熱と停止を繰り返すことから、ATL加熱ユニットが照射する熱は、素早く立ち上がり、素早く遮断されるレスポンスの良さが必要となります。
ATL加熱ユニットには、熱源の違いによってレーザー、赤外線ヒーター、キセノン・フラッシュランプの3種類があります。
レーザーは熱硬化処理に必要な強力な光を照射でき、光の立ち上がりと立ち下がりの速度も早いことが特徴です。その一方で、高価であり、運用に当たっては厳しい安全管理が要求されます。
赤外線ヒーターは、3種類の熱源の中では最も安価で、運用コストや安全管理の面で負担が少ない熱源です。しかし、高いエネルギーを得にくいことと、立ち上がりと立下りの遅さが弱点と言われています。
キセノン・フラッシュランプは比較的最近になってATL加熱ユニットに採用された光源です。フラッシュランプによる加熱は、物質の光の吸収による自己発熱の原理に基づいた加熱方法です。光の立ち上がり、立下りの速度も早く、光の波長が被照射物の光の吸収特性と合えば、レーザー同様に強力なエネルギーを付与できます。
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