タクタイルスイッチとは
タクタイルスイッチとは、ボタンを押すと短時間だけ接点が閉じる電子部品です。
一般的には、小型で薄いプラスチック製のボタンを持ち、基板上にはんだ付けされた接点を有します。瞬間接触スイッチなどとも呼ばれます。
タクタイルスイッチは小型で薄い設計となっており、コンパクトなデバイスに組み込むことができます。これにより、デバイスの設計においてスペースの節約が可能です。
比較的低コストで入手できます。そのため、大量生産される電子機器や家電製品において、経済的な選択肢として利用されます。
タクタイルスイッチの使用用途
タクタイルスイッチはさまざまな分野・用途で使用される電子機器です。
1. OA機器
最も身近な例はOA機器です。コンピュータキーボードやマウスなどのデジタルデバイスにおいて、各種ボタンや操作スイッチとして使用されます。また、スマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーなどの携帯型電子機器では、音量調整のためのタクタイルスイッチが利用されます。
2. 家電製品
家電製品にも多く使用される部品です。具体的な例は、テレビリモコンやオーディオ機器です。チャンネル切り替えや再生/停止などの機能を制御するためのボタンとして使われます。
3. 医療機器・計測器
医療機器や計測器においても使用されることがあります。操作ボタンやパラメーターの調整などのインターフェイス用途です。血圧計や体温計などでの操作に利用されます。
タクタイルスイッチの原理
タクタイルスイッチはボタンキャップ、接点、ピン、プラスチックケース、などで構成されます。
1. ボタンキャップ
タクタイルスイッチの上部に位置し、ユーザーが押す部分です。プラスチック製の場合が多く、押しやすさや操作感を向上させるためにデザインされます。また、 ボタンキャップには操作する機能や目的に対応するマークやシンボルが印刷されることがあります。
2. 接点
ボタンを押した時に一時的に接続される電気回路部分です。通常は、金属のスプリングまたは触媒メタルによって形成されます。
電気抵抗を低減する目的で、接点には銀合金や金が使用されます。銀合金は電気抵抗も低いため、広く使用されます。金は銀合金よりも酸化しにくい特徴を有しますが、融点が低く高価なため微少負荷向けです。
可動接点が物理的に駆動する構造ですが、一般的に10万~1,000万回の使用に耐えられるような高い耐久性を有します。
3. ピン
タクタイルスイッチは、基板に取り付けられるために使用されるはんだ付けピンです。これらのピンは基板上の専用のパッドにはんだ付けされ、電気信号を伝えます。
4. プラスチックケース
ピン以外の上記部品は、一般的にプラスチックのケースに収められています。このケースによって各種部品を機械的に保護しつつ、基板へ強固に固定します。
タクタイルスイッチの種類
タクタイルスイッチは、スルーホールタイプと表面実装タイプに大分されます。
1. スルーホールタイプ
基板上に開口された穴に直接はんだ付けするタイプです。基板に取り付けられた穴をスルーホールと呼びます。
基板上の穴に直接はんだ付けされるため、物理的な接続が非常に堅牢です。これにより、信頼性の高い操作を提供します。また、衝撃や振動にも耐えることも可能です。
基板上の穴にはんだ付けされるため、比較的大きな電流や高電圧にも対応できます。これにより、大容量の電気回路や用途に使用することが可能です。
2. 表面実装タイプ
基板の表面に直接はんだ付けされるタイプです。板の表面に直接はんだ付けされるため、非常にコンパクトな設計が可能です。基板上のスペースを最小限に抑えることができ、小型デバイスや高集積の回路に適しています。
また、基板上の短いトレースやパッドと直接接触するため、信号の品質が高くなります。信号の損失やノイズの影響を最小限に抑えることが可能です。
自動的なはんだ付け機で効率的にはんだ付けできるため、高速な生産性を実現します。大量生産に適しており、製造コストを削減することが可能です。
参考文献
https://ac-blog.panasonic.co.jp/20160701
https://xtech.nikkei.com/