集じん機

集じん機とは

集じん機とは、粉塵などを回収するための装置です。

排ガスや粉塵の処理装置として使用されます。家庭用掃除機も、床面の粉塵を処理する装置と考えると、集じん機に分類できます。

集じん機の使用用途

集じん機は産業用、家庭用どちらにも使用されます。ただし、規模や構造にはそれぞれ違いがあります。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 発電用ボイラーの排ガス装置
  • 製鉄プラントや製錬プラントの排ガス装置
  • 空気清浄機や集塵機能付きエアコン
  • クリーンルーム用空気清浄機
  • 木工工房や宮大工のおがくず回収
  • 汚れた室内の掃除用

集じん機の原理

一般的に出回っている集じん機の大半は遠心式集じん機です。遠心式集じん機は、円筒構造物内部でガスを高速で回転させ、その遠心力によって粉塵を側面へ収集します。メンテナンスが容易で、比較的大きなダストの捕集に適しています。

家庭用掃除機もほとんどが遠心式集じん機と同様の原理です。遠心式集じん機は構造が簡単で部品も少ないため、小型軽量な製品を製造できるというメリットがあります。

集じん機の種類

原理の項で説明した遠心式集じん機以外にも、産業用としては様々な種類の集じん機が使用されています。代表的な集じん機は以下の4種類です。

1. 遠心式集じん機 (サイクロン)

原理は先述の通り、遠心力で集塵します。ただし、捕集限界が10μm程度であり、それ以下の微粒子捕集には適していません。装置を回転させる必要があり、機械的強度の問題や偏心などが発生するため、大型化には不向きです。

2. 洗浄式集じん機 (湿式スクラバー)

洗浄式集じん機の代表例は、スクラバーです。排気ガスに循環液をスプレーで散布し、その水分によって排ガス中の粉塵を捕集する装置です。循環液のPHを管理することによって、排ガスの化学的性状も安定させることが可能です。ただし、PHを一定に保つ添加装置や添加剤を定常的に使用する必要があります。

集塵性能も高く、0.1μm程度の粉塵を回収することができます。ただし、ランニングコストが他の集塵装置と比べて高価です。

3. ろ過式集じん機 (バグフィルタ)

ろ過式は、ろ布に排ガスを流すことで粉塵を付着させて集塵する方式です。0.1μm程度の微粒子を効果的に捕集することが可能で、集塵効率が高いことが特徴です。一方で、ろ布の目詰まりにより集塵能力が低下しやすいため、定期的な清掃や交換が必要であり、ランニングコストは高価です。

4. 電気集じん機

電気集じん機は、集塵板と放電極によって構成され、荷電粒子に働くクーロン力を利用して粒子を捕集する装置です。高電圧によるコロナ放電により微粒子を荷電させます。集塵性能は0.05μm程度のサブミクロンレベルの粉塵を99%以上収集することが可能です。

また、メンテナンスが容易でランニングコストが低いことから、近年の発電プラント用集じん機は電気集じん機が主流です。電気集じん機は開発者の名前から、コットレル (Cottrell) と呼ばれることもあります。

集じん機のその他情報

1. 集じん機と大気汚染防止法

大型集じん機は、産業用として排気ガス処理に使用されます。使用場所は発電所や製鉄所など、ボイラや炉を持つプラントです。ボイラなどの装置は重油や石炭を燃料として炊く場合がありますが、その排ガスには炭素による塵が多く含まれます。この塵はばいじんと呼ばれ、過去にはばいじんによる健康被害などが発生していました。

ばいじんをそのまま排気すると公害に繋がるため、排ガス中のばいじんを回収することが大気汚染防止法で定められています。大気汚染防止法だけでなく各都道府県で工場の排気ガス内粉塵量が定められており、この排出基準を満たすために集じん機が用いられています。

2. 集じん機の粉塵処理

集じん機で収集した粉塵は、産業用の場合は産業廃棄物です。そのため、そのまま野外に廃棄することはできません。ボイラなどから発生するばいじんは、国に登録された最終処分場での埋め立て処理が行われます。木工や林業で発生したチップについては、有価物としてバイオマス発電の原料とされることもあります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sptj1978/34/4/34_4_247/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jriet1972/2/11/2_11_831/_pdf/-char/ja
https://www.apiste.co.jp/gde/technical/detail/id=4280

クロスローラーリング

クロスローラーリングとは

クロスローラーリングとは、ラジアル荷重やアキシアル荷重、モーメント荷重など、さまざまな方向の荷重を同時に支持できる軸受部品です。

外観はリング状をしています。リングの中に複数の円筒ころが、90°のV溝形状の転動面にスペーサリテーナを通して、交互に直列配列されているため、さまざまな方向からの荷重を支持することができます。

クロスローラーリングの使用用途

クロスローラーリングは、多くの産業用機械に用いられています。使用用途の幅は広く、例を挙げると工業用ロボットの関節部や旋回部、マシニングセンタの旋回テーブル、マニピュレータ回転部、精密ロータリーテーブル、医療機器、計測器、IC製造装置などです。使用用途が幅広い理由として、以下の利点があることが挙げられます。

  • 回転制度が優れている
    ローラーのスキュー防止や、ローラー同士の相互摩擦による回転トルクの増加を防止します。
  • 回転トルクが安定している
    与圧を与えた状態でも、安定した回転トルクを得ることができるので、高い支持剛性が得られるとともに、高精度な回転運動を実現できます。
  • 取り扱いが容易

クロスローラーリングの原理

クロスローラーリングがさまざまな方向の荷重を支持できるのは、ローラーが90°の角度を成して交互に並べられているからです。転動体にローラーを用いているので、大きな荷重を支持することができます。

また、ローラーがお互いに直行する方向に交互に並べられていることから、さまざまな角度からの荷重に対しても受け持つことができます。

クロスローラーリングの種類

クロスローラーリングには主に以下の6種類があります。

1. RU形

RU形は座付で内外輪が一体となっている構造であるため、組み付けによる性能への影響がほぼなく、回転精度・トルクが安定しています。また、フランジ・ハウジングが不要な点が特徴です。

2. RB形

RB形はクロスローラーリングの基本形であり、外輪は2分割され、内輪は一体構造となっています。内輪で回転精度が必要な部分に使われるという特徴があります。

3. RE形

RE形は寸法はRB形と同じですが、こちらは外輪の回転精度が求められる部分に使用されます。

4. RB形/RE形-USP級シリーズ

RB形/RE形-USP級シリーズは世界最高級の精度規格を超えており、精密さはトップクラスです。

5. RA形

RA形はRB形の内外輪の厚さを、できるだけ薄くしたものです。

6. RA-C形

RA-C形はRA形と寸法は同じですが、外輪回転用としても使用可能です。構造が外輪1箇所割りとなっており、剛性が外輪でも高いことが特徴です。

クロスローラーリングのその他情報

1. クロスローラーリングの取付

クロスローラーリングを取り付けるハウジングは、部品の剛性を考慮して肉厚を決める必要があります。強度が不足するとベアリングが変形したり、内部のローラー接触が不均一になり早期破損の原因にや回転精度の悪化につながります。

ハウジンングの肉厚は、クロスローラーリング断面高さの60%以上になるように設計します。また、取外し用に抜きタップというねじ穴を加工しておくと、クロスローラーリングに負荷をかけずに取り外すことができ、取外し時の破損を防ぐことが可能です。

クロスローラーリングを固定するための押えフランジを取り付ける際には、ボルトの締め付け順序も重要になります。ベアリングを均等に締め付けるため、対角にあるねじを少しずつ締めていき、締め付けが均一になるように組み立てていくのがポイントです。

このように高精度な回転機構を用いる際にはクロスローラーリングだけでなく、取付部品の加工精度や、組付け方法にも注意する必要があります。

2. クロスローラーリングの与圧

クロスローラーリングは通常のボールベアリングと同様に、与圧をかけることが可能です。与圧をかけることで支持剛性が高くなり、回転精度も高くなります。一方で回転摩擦が大きくなるので、回転動力の計算で注意が必要です。

与圧は通常、ラジアル隙間をマイナスにすることで与えます。与圧を与えたクロスローラーリングを取り付けるハウジングとシャフトの寸法公差はg5/H7が推奨されており、はめあいがしまりバメにならないように設定しなければなりません。仮に、しまりバメになった場合には与圧過剰で内部応力が高くなり、破損の原因になるため注意が必要です。

コイルスプリング

コイルスプリングとは

コイルスプリング

コイルスプリングとは、主に金属の線材で作られたコイル状のばねです。外部から力を加えて圧縮する、引っ張る、あるいはねじることにより内部に力を蓄えることができ、内部のエネルギーは復元力(反発力)として作用します。

圧縮する用途で使用されるコイルスプリングは圧縮スプリング圧縮ばね、引っ張る用途で使用する場合には引張スプリングや引張ばね、ねじりを加える場合にはねじりコイルばねやトーションばねと呼ばれます。

コイルスプリングは、押しボタンなどの復帰動作を必要とする機械や日常品、おもちゃの他、自動車や工作機械などで発生する衝撃や振動を吸収する用途として様々な場面で使用されています。

コイルスプリングの使用用途

コイルスプリングは、主に反発力により元の長さに戻ろうとする機能と、変形してエネルギーを蓄えることにより衝撃や振動を吸収する機能の2つの機能が利用されます。

反発力を利用した製品には、2回クリックすると芯が収納されるボールペンや解錠すると自動でロックが解除される自転車のロック機械、自動で巻き取ることができる巻尺(メジャー)などに使用されています。

衝撃吸収の使用例としては、路面から車内に伝わる揺れや振動を軽減する自動車のサスペンションやターザンロープの終点に設置されているショックアブソーバなどがあります。

コイルスプリングの原理

コイルスプリングは、コイル状に巻かれた線材が塑性変形することによってその弾性エネルギーが復元力として作用します。したがって復元力の大きさは圧縮変位に比例し、復元力を変位(変形量)で割った値をばね定数といいます。線材の径を大きくするとばね定数も大きくなり、幅広いばね定数のコイルスプリングが生産されています。

ばね定数はコイルスプリングの特性を示す値であるため、コイルスプリングを選定する際にはこのばね定数とばねの長さが重要視されます。

反発力として使用する場合には、設計した変位あるいは予想される変位と発生させたい反発力からばね定数を見積もります。

衝撃吸収に使用する場合には、設計上受け止められる変位の長さと想定される瞬間荷重からばね定数を決定します。また、システム全体の固有振動数が外部から加えられる周期的な力の振動数と一致しないようにする(共振しにくくする)ことも重量です。衝撃吸収の用途としては、変位の変化する速度に比例して抵抗力を発揮するダンパと組み合わされる場合が多くあります。

コイルスプリングのその他情報

歯科用途のコイルスプリング

コイルスプリングは、歯科矯正において使用される歯科矯正装置として活用されています。すなわち、コイルスプリングの復元力により歯に付加力を与えることにより矯正治療が行われます。

コイルスプリングは、例えば、コバルトクロム合金製のものが使用されています。

スプリングの外観形状はオープンタイプのものとクローズタイプのものがあり、歯の移動方向や掛ける力に応じてスプリングの種類を選択します。

オープンタイプのコイルスプリングは歯間距離を広げるときに使用されており、歯間離開させる位置でスプリングを縮めた状態にし、両端を他の矯正用装置に留めることにより使用されます。

またクローズタイプは歯間距離を縮めるときに使用されており、空隙閉鎖させる歯間でスプリングを伸ばした状態にし、両端を他の矯正用装置に留めることにより使用されます。

金属製のコイルスプリングを使用する場合には、患者にアレルギー反応がないかなど身体との親和性を確認しながら使用する必要があります。

自動車用途のコイルスプリング

自動車用途のコイルスプリングとしてはサスペンションがあります。

サスペンションの具体的な構成としては、コイルスプリングとショックアブソーバを組み合わせたものがあります。

この構成においては、コイルスプリングのバネの線径や長さ、巻き数によってバネ定数などの特性が決まります。なお、コイルスプリングの自由長が長いほどサスペンションストロークが増加します。

コイルスプリングとしては、コイルの間隔が同じ等ピッチコイル、間隔を変えた不等ピッチコイル、コイル径を変えた非線形ピッチコイルがあります。

等ピッチのコイルスプリングは全体で衝撃を吸収しますが、不等ピッチのものはピッチの狭いところで衝撃をやわらげて吸収し、一方ピットの広いところで強い衝撃を吸収します。非線形においては、コイル径が大きいほど衝撃に対して柔らかく反応します。

コイルスプリングは衝撃を吸収しますが、振動を抑えるまでにある程度の時間を要します。コイルスプリングを一緒に組み合わせられるショックアブソーバは、その減衰機能により振動を早期に収束させることができます。

参考文献
https://www.punch.co.jp/product/press/02-014-01/
https://www.jmortho.co.jp/wp-content/uploads/2020/01/spring.pdf
https://clicccar.com/2019/07/29/889930/

支柱クランプ

支柱クランプとは

支柱クランプ

支柱どうしを組み合わせて固定するための部品です。用途が似ている道具にムッフがありますが、ムッフはネジを手で締めて固定するので頻繁に組み立て・解体する装置に向いています。一方、支柱クランプはボルトとナットでより強力に固定するため、長期間設置しておく場合や重量のある実験器具を支える場合に適しています。

支柱クランプの使用用途

支柱どうしを接続して固定する際、接続部分が緩いと衝撃が加わった場合に装置全体が倒壊し、器具の破損や怪我の原因になります。ムッフを使えば支柱どうしを接続できますが、ネジで締めつけているだけなので、長期間設置し続けたり重量物を支えたりするには強度が不安です。

そこで強度が求められる場合は、ボルトとナットを使って強く固定できる支柱クランプを使用します。支柱どうしを垂直に接続するだけでなく、水平に並べて立てられる製品や、接続部分が回転するようにできる製品もあります。

支柱クランプの原理

支柱クランプ本体はアルミ合金、ステンレス、合成樹脂などでできています。支柱を通すための穴が空いており、支柱を通してからボルトとナットで固定します。ムッフがネジの先端で締めつけているだけなのに対し、支柱クランプは穴に支柱を通して挟み込んでしまう構造であり、より強度があります。

形状がバラエティ豊かなので、使い分けて自在に支柱を組み立ててください。一例を以下に紹介します。

  • 支柱を通す穴が2つ垂直に空いており、支柱を直交させられるもの
  • 支柱を通す穴が2つ水平に空いており、支柱を並行に並べられるもの
  • クランプから円柱形のアームが伸びており、アームにさらにクランプやムッフを付けられるもの
  • 支柱を通す穴が四角形になっており、同じく四角柱の支柱に取り付けることでクランプの回転を防げるもの

支柱クランプを選ぶ際は、支柱の太さや形状と一致していることを確認してください。また、様々な支柱クランプを使うことで支柱を複雑に組み合わせることができますが、バランスが悪いと装置が転倒する恐れがあります。重心が安定するように留意して組み立ててください。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/result/?Keyword=支柱クランプ&isReSearch=1&relatedKeyword=1

シムテープ

シムテープとはシムテープ

シムテープとは、機器の隙間に挟むことで、位置の調整や、高さを微調整するために広く用いられている金属製の薄いテープです。

ちなみにシム (Shim) とは、英語で直訳すると「詰め物」を意味します。たとえば、各部品を組み立てた時に、各部品は公差を満たした状態なのですが、部品を組み立てると累積公差の影響で、全体の位置が合わない場合があります。

そのような時に、合わない分の厚みをシムテープで微調整すると、位置合わせが可能です。また、機器にセットした部品の平面が傾いた際、必要な厚み分のシムテープを挟むことで傾いた平面を微調整したりします。

シムテープの使用用途

シムテープは、金型での高さ調整や工作機械のワークの位置合わせなどの用途によく用いられています。金型での高さ調整用の場合は、各プレートを組み合わせた時に、取り付け面に調整量の厚み分のシムテープを挟むことで高さの微調整を実施し、加工精度を向上します。

工作機械の場合には、ワーク (=加工対象物) 加工用の取り付けの面の傾きを補正し、平行出しが可能です。シムテープの使用により均一な平面でのワークの加工が期待できます。

機器の傾きや隙間の補正などにも活用できるので、隙間起因の動作時のガタツキや騒音などの抑制が可能です。

シムテープの原理

シムテープの原理は、物同士を接着するためのテープとして使用するのではなく、金属性の薄いテープを自由な長さに切り取って、調整したい箇所に挟む薄膜金属板個片として使用します。シムテープはテープ状のため、自由な長さにハサミで切り使用できる特徴があり、その切り取った長さのテープを使用箇所に自由に挟むことで、機械調整、金型調整、機械加工前の平面調整などが可能です。

また、隙間にシムテープを入れることで隙間の長さ (高さ) を測定することもできます。ワークをマシニング加工する前にワークのセットの段取りを行いますが、もしテーブルとワークで構成される平面に傾きがあると、穴加工の場合には穴が傾いてしまいます。

そのため、平面を調整するためにワークの平面度が低い側にシムテープをテーブルとワークの間に入れ、再度平面を測定し傾きを確認し、問題がなければ加工を行います。

シムテープのその他情報

1. シムテープの仕様事例

シムテープには、各種の仕様があります。

シムテープの材質

通常はこの2種類ですが、加工業者によっては真鍮が用いられたりもします。

シムテープの規格
一般のシムテープの厚みは0.005mm~2.0mmであり、目的に合わせた厚みを使用できます。また、テープの幅は、標準は12.7mm (特殊な幅も可能)、テープの長さは1m以上が購入可能です。

2. シムとライナーおよびスペーサーの違い

「シム」と「ライナー」は似た用途で用いられており、実際のところ明確な定義はありません。しかし、一般にシムは薄い場合、ライナーは厚い場合によく用いられています。1mm以下をシム、それ以上をライナーと呼んで区別する事例もあります。

ともに隙間を補充すための詰め物としての用途が主です。一方で、スペーサの場合には、少し意味合いが異なる板状の詰め物です。こちらは隙間を確保する為の用途として用いられます。つまり、高さや位置調整目的は、シムやライナーと同じなのですが、傾き調整用途にはスペーサーは用いられないことが多いです。

3. シムテープを用いる場合の注意点

高さや位置調整の目的でよく用いられるシムテープですが、あまり多用すると同じ状態を再現できなくなる可能性があります。もともとの工作機械や金型などの機器が有する精度の目標の高さや傾きの精度以上のものを出すのは、工程能力面で困難ですし、機器をバラした時に多用したシムテープの組み合せを失念し、場合によっては紛失すると元の状態に戻せなくなる危険性があります。

金型や工作機械、組み立て部品での目標とする精度がいくつで、調整代がどこになるのかをよく考慮した上で使用することが大切です。

参考文献
https://kikaikumitate.com/post-4771/

ガイドピン

ガイドピンとは

ガイドピンとは、金型に取り付けたプリント基板の試し抜きやワークの切削加工時に、基板やワークと金型の位置合わせのためのガイド役に用いるピンのことです。

一般的には金型の片面にガイドピンを取り付け、プリント基板やワークを金型にセットする際に、このガイドピンにより位置がずれないように保持する役目があります。ガイドピンが無い場合、あわせの位置がずれ、金型に合わせた所望の基板やワークの加工が困難になります。

ちなみにガイドピンは、金型や治具に取り付けする本数が、2本や3本など様々です。また、位置や材質、形状などの種類も豊富にあります。

ガイドピンの使用用途

ガイドピンは、プリント基板試し抜き時のガイド役やワークと呼ばれる切削加工対象物を治具や加工用機械に対して、正確に位置合わせするためのガイド用途として用いられています。

通常ガイドピンを2本取り付ける場合は、片面のプリント基板に使用され、この場合には、ガイドピンを対角状に取り付けることが多いです。メインガイドと呼ばれるケースもあります。

ガイドピンを3本取付ける場合は、両面・多層プリント基板に使用されます。3本ガイドの目的は両面基板です。逆面から抜くことを防止します。

対角状にガイドピンを取り付け、もう1本は直角三角形の位置にくるようにセットします。この3本目は、サブガイドピンと呼ばれるケースもあります。

ガイドピンの原理

ガイドピンは、金型やワークの治工具と、加工対象のプリント基板やワークとの位置を合わせるのが役割です。金型・治工具側にピンを立て、加工される材料側の挿入穴 (ガイド穴) に差し込むことで、位置合せをする構造を有しています。

ガイドピンの種類

ガイドピンは種類が多くあるため、用途に応じて適切なものを選定することが大切です。

1. 材質による分類

ガイドピンは、ガイド役となる重要なピンであり、繰り返し使用により摩耗し難い材質が求められます。一例をあげると、鉄 (SKS) やステンレス (SUS) 、アルミなどです。接触対策として、通常は焼き入れされているものが多くあります。

2. 先端の形状による分類

ガイドピンの先端は、プリント基板を金型にセットする時に基板を傷つけない目的でR形状にされています。そのほか、テーパや球面、フラット、ダイヤ形状のダイヤピンなど様々な種類の形状があります。

形状によってワークへの差し込みや抜き差ししやすいなどの特質が変わるため、用途に応じた使い分けが大切です。

ガイドピンのその他情報

1. ガイドブッシュとサポートピンの違い

ガイドピンと用語面でよく似た使われ方をするものに、サポートピンやガイドブッシュがありますが、その機能は大きく異なります。

ガイドブッシュ
ガイドブッシュとは、旋盤機の内部でワークをつかみ保持する機能を有するものです。一般にチャックの近傍では、ワークはたわみを生じることはありませんが、はなれた部分ではワーク自体の重量によりたわみを発生します。

そのため、ガイドブッシュで保持することでワークのたわみを抑制し、旋盤での加工精度を維持するため使用します。

サポートピン
一方でサポートピンは、支持ピンによる長さ調整目的で使用されます。代表的なものは、足場工事現場のパイプ長の調整などです。

2. 溝付きガイドピンでの環境対策

プレス金型用ガイドピンでは、焼き付き防止のため大量の潤滑油が必要であり、ガイドピンに油用の溝が施されているものも多数存在します。

昨今の環境問題対応のため、この溝付きガイドピンに固形潤滑剤をスパイラル形状に埋設することで、無給油のガイドピンを実現しているメーカーも多いです。

3. ガイドピンとガイド穴のクリアランス

プリント基板の厚みが変わることで、ガイドピンとプリント基板のガイドピン挿入穴 (ガイド穴) の組み合わせを変更する場合があります。

プリント基板が薄くなると、ガイドピンとガイド穴の間のガタツキが大きくなることがあり、またプリント基板の材質によっては加工後にピンから抜き取る際に、プリント基板自体がたわみやすく、ガイドピンからうまく抜き取ることができずに、結果として基板を傷つけてしまう可能性が生じます。

反対に基板厚みが厚い場合に、必要以上にクリアランスを確保すると、所望の加工精度が出ないなどの問題が発生しやすいです。そのため、基板の厚みに応じて、ガイドピンとの挿入穴 (ガイド穴) のクリアランスの最適値を調整することが重要です。

コンテナラック

コンテナラックとは

コンテナラック

コンテナラックとは、コンテナを並べて保管するためのラックです。

一般的には物品を整理し、効率的に保管・取り出しするために使用されます。コンテナラックは、垂直方向に収納スペースを活用できるため、限られたスペースでも多くの物品を保管することが可能です。

この特徴は、倉庫や物流センターなどで特に重要な要素です。また、物品をコンテナに整理して保管することで必要な物品を迅速に見つけて取り出すことが容易になり、作業効率が向上します。

ただし、コンテナラックに収納できる最大重量が制限されている場合があります。過重になるとラックが壊れる可能性があるため、適切な重量制限を守ることが大切です。

コンテナラックの使用用途

コンテナラックは、さまざまな使用用途で活用されています。以下は一般的な使用用途です。

1. 倉庫・物流センター

倉庫や物流センターでは、在庫管理と物品の収納に重要な役割を果たします。物品を整理しつつスペースを最大限に活用するために、棚板を調整できるラックが使われることが多いです。入庫から出庫までのプロセスを効率化し、正確な在庫管理を行うのに役立ちます。

2. 小売店

小売店では、商品の陳列や保管にコンテナラックが利用されます。店内の陳列スペースを最適に活用して商品を見せるために使用される他、在庫を整理するためにも活用可能です。特に季節商品やセール品などの在庫管理に役立ちます。

3. 工場

工場では生産ラインで使用する部品や資材を整理するために、コンテナラックが用いられます。生産のスピードや効率を向上させるのに必要な部品を迅速に取り出すことが可能であり、製造プロセスの中心となる重要な要素です。

また、保守用部品の保存にも使用されることが多いです。ボルトやナットなどの部品は種類が豊富なため、整理してまとめる必要があります。コンテナラックはこれらを整頓し、迅速な保守作業に貢献します。

コンテナラックの原理

コンテナラックは、物品を整理し保管するための効率的な収納システムです。その原理は比較的シンプルですが、効果的な収納と取り出しを実現するための工夫が凝らされています。フレームや棚板、アクセサリーなどで構成されます。

1. フレーム

フレームはコンテナラックの基本的な骨格部分であり、垂直の支柱と水平の横梁から構成される構造物です。ラック全体の安定性に寄与し、コンテナや棚板を支える役割を果たします。フレームの高さや幅は、ラックの設計や使用目的に応じて異なります。

2. 棚板

棚板はラック内に物品を収納するための水平な棚です。一般的には、フレームに取り付けられた横梁の間に取り付けられます。棚板の高さは調整可能な製品もあり、異なるサイズや高さの物品に合わせて収納スペースを調整することが可能です。

3. アクセサリー

移動式のコンテナラックでは、ラックに取り付けられた車輪があります。これにより、ラック全体を容易に移動させることが可能です。また、フックや引き出しといったアクセサリーが取り付けられることがあります。

コンテナラックの選び方

コンテナラックを選ぶ際に、考慮すべき要素はいくつか存在します。

1. コンテナの材質

コンテナの材質は、耐久性と使用環境に大きな影響を与えます。プラスチックが使用されることが多く、木材などの製品も存在します。耐久性が求められる環境では金属製が選ばれ、屋外使用に適している場合は防錆加工が施されているか確認することが重要です。

2. 段数

コンテナラックの段数は、ラック内に重ねられる棚板の数です。物品の種類や量に合わせて選びます。多くの段数を持つラックは収納量が増えますが、高さも増すため設置場所の天井高さに合わせて選ぶ必要があります。

3. 収納容積

収納容積は、1つのコンテナやボックスのサイズや収納スペースの合計容量です。物品のサイズや数量に合わせて十分な容積が確保できるか確認します。また、コンテナの形状がラックのスペースに適切に収まるかも考慮が必要です。

4. アクセサリー

コンテナラックには、さまざまなアクセサリーが存在します。フックや引き出し、仕切り板、ラベルホルダーなどがあります。アクセサリーは収納効率を向上させるために役立つため、必要なアクセサリーが含まれているか確認します。

参考文献
http://a2k.jp/daisha/27rack/rack_contena/index.htm

難燃性チューブ

難燃性チューブとは

難燃性チューブ

難燃性チューブとは、火災の際に燃えにくい性質を持つ特殊なチューブです。

一般的な素材のチューブとは異なり、難燃性チューブは高温や火災に耐えるための材料として設計されています。これにより、火災のリスクを低減し、安全性を確保する重要な役割を果たします。

高温になるほど耐圧性が下がる傾向があるため、温度と耐圧性の関係を仕様書で確認し、無理な圧力がかからないよう注意が必要です。

難燃性チューブの使用用途

1. 自動車産業

自動車のエンジン部分や燃料供給系、ブレーキシステムなどで難燃性チューブが使用されます。これは、自動車が高温や高圧の状況に置かれることが多いため、火災のリスクを低減する必要があるからです。また、自動車内部の配線や電子機器などでも難燃性チューブが利用され、車両の安全性が向上します。

2. 航空機産業

航空機の燃料供給管や配管、電線保護管などに難燃性チューブが用いられます。航空機は高い高度や厳しい環境下で運用されるため、万一の火災を未然に防ぐ必要があります。難燃性チューブの使用により、航空機の安全性が向上し、乗客と乗員の安全の確保が可能です。

3. 電気・電子機器

電気・電子機器の内部配線や回路保護などで難燃性チューブが利用されます。特に高出力や高温の機器では、火災のリスクが高まるため、難燃性のチューブが必要です。これにより、電気・電子機器の故障や火災を防ぎ、安全な運用を実現します。

4. 工業分野

工業分野では、高温や化学物質との接触があり、火災のリスクがある場面で難燃性チューブが使用されます。特に石油化学や製造業などでの加工プロセスにおいて、難燃性のチューブが必要となり、工業プロセスの安全性が確保されます。

5. 防災・防犯対策

防災や防犯対策の分野でも、難燃性チューブが使用されることがあります。建物や公共施設の消防設備において、難燃性のチューブが使われていることがあり、火災の際に火炎伝播を抑制し、火災被害を最小限に抑えることができます。

難燃性チューブの原理

1. 火炎耐性素材の採用

難燃性チューブは、炎に対して耐性のある素材で作られ、燃えにくい素材や難燃剤が使用されます。例えば、ポリ塩化ビニル (PVC) に難燃剤を添加したり、フッ素樹脂を使用したりすることで、チューブの素材が炎に対して耐性を持つようになります。

2. 自己消火性

難燃性チューブは、炎にさらされた場合に自己消火する性質があります。これは、素材が燃焼しても火が自動的に消えるように設計されているためです。自己消火性により、火災の拡大を防ぎ、より安全な状況を維持することが可能です。

3. 火炎伝播防止

難燃性チューブは、炎がチューブ内を伝わるのを防止するための設計が施されています。炎がチューブ内を伝わると、他の部分にも火災が広がるリスクがありますが、難燃性のチューブはその伝播を防ぐことができます。これにより、火災の拡大を最小限に抑えることが可能です。

4. 高温に対する耐性

難燃性チューブは、高温に対しても耐性があります。一般的なチューブは高温によって軟化し、変形することがありますが、難燃性のチューブは高温下でも形状を保つことが可能です。これにより、火災が起きた際にもチューブが機能を維持し、安全性を確保します。

5. 耐化学性

難燃性チューブは、化学物質に対しても耐性があります。化学物質によって腐食されたり、劣化したりすることが少ないため、様々な環境下で使用されることができます。

難燃性チューブの種類

1. ポリ塩化ビニル (PVC) 難燃性チューブ

PVC難燃性チューブは、ポリ塩化ビニル (PVC) 樹脂に難燃剤を添加して製造されます。このタイプのチューブは一般的に柔軟で取り扱いやすく、耐熱性に優れたチューブです。さまざまな産業用途に広く使われ、建築や電気配線、自動車産業などで見られます。

2. フッ素樹脂難燃性チューブ

フッ素樹脂難燃性チューブは、フッ素樹脂を主成分としています。フッ素樹脂は非常に高い耐熱性と耐薬品性を持ち、極端な環境下での使用が可能です。特に航空宇宙産業や半導体製造などの高度な用途で利用され、厳しい条件下でも優れた性能を発揮します。

3. シリコーン難燃性チューブ

シリコーン難燃性チューブは、シリコーン樹脂から製造されます。このタイプのチューブは耐熱性、耐久性、耐薬品性に優れており、医療機器や食品産業などで使用されることが多いです。また、電子機器の保護や電線の絶縁材としても適しています。

4. アルミ複合難燃性チューブ

アルミ複合難燃性チューブは、内側に合成樹脂層、外側にアルミ箔を持つ構造です。この構造により、アルミ箔が熱や炎を反射して耐火性を高める効果があります。建築業界や車両のワイヤーハーネスなど、耐火性が求められる用途で広く利用されます。

参考文献
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/aoi-pltube/Book/aoi-pltube-P0024.pdf

押しボタンスイッチ

押しボタンスイッチとは

押しボタンスイッチ

押しボタンスイッチとは、人の操作により電気接点を開閉するスイッチです。

人が指で押し込むことで、接点の開閉が変化する部品を指します。

押しボタンスイッチの使用用途

押しボタンスイッチは、日用品から産業機械まで幅広く用いられ、日常生活でも多く目にする機会があります。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • ゲーム機のコントローラ
  • 排水用ポンプの運転スイッチ
  • 給湯器の運転・停止スイッチ
  • テレビ用リモコンの各種ボタン

押しボタンスイッチの原理

押しボタンスイッチは、ボタン、ケース、接点などで構成されます。

1. ボタン

ボタンは、人が押し込む部分です。一般的には着色した樹脂材料などが用いられ、電気回路と絶縁すると同時に機能を色別しています。JIS基準では赤色のボタンは停止指令、緑色のボタンは運転指令に使用することが推奨されています。

2. ケース

ケースは、押ボタンや電気回路を保持するための外装部分です。内部機構を外から保護しつつ支持し、人が電気回路を容易に触れないようにしています。したがって、樹脂やゴムなどの絶縁材料で構成されます。

3. 接点

接点は、押ボタンでの操作を電気接点へ変換する部分です。ばねや金属片で構成されます。ばねはボタン部分が押された後、元に戻るように抑えています。金属片は固定接点と可動接点などで構成され、電気信号を導通・遮断しています。

押しボタンスイッチの種類

押しボタンスイッチは機能的分類としてオルタネイト型とモーメンタリ型の2種類があります。

前者はボタンを押し込んでいる間のみスイッチが作動し、指を離した瞬間に同時にスイッチが解除されるスイッチです。後者はボタンを押すと作動し、以降もう一度ボタンを押すまで作動し続けるスイッチです。

1. オルタネイト型

英語でalternateは、「交替の」という意味です。押ボタンスイッチでは、押すごとに状態が交替するスイッチを指します。機能選択などのボタンは状態を保持してほしいため、オルタネイト型を使用します。モニタの主電源や懐中電灯の電源などがその一例です。

2. モーメンタリ型

英語でmomentaryは、「瞬間的な」という意味です。押ボタンスイッチでは、押している間のみ作動するスイッチを指します。繊細な動作をさせたい場合や、1回の動作に対して一度のみ押す場合に用いられます。テレビゲームのコントローラがその一例です。

 

その他にも、さまざまな種類があり、設備の仕様に合わせて選択します。人が頻繁に通る場所などでは、誤操作防止のためにカバー付きやガード付きが多く使用されます。

ランプ付きの押しボタンスイッチも販売されており、電源を供給してランプを点灯させることが可能です。照光式押ボタンスイッチと呼ばれます。「ON」「OFF」の状態がランプの点灯で分かるようになっています。

押しボタンスイッチのその他情報

1. 押しボタンスイッチの配線方法

押しボタンスイッチの配線方法は各メーカーさまざまな種類が販売されていますが、代表的なものにはんだ付け、ねじ端子、バネ端子があります。はんだ付けタイプは、端子にはんだで配線を接続するタイプです。一般的に接続部とボタン部が分割可能で、ボタン部のみの交換ができます。

ねじ端子タイプは、配線にY端子や丸端子などの圧着端子を圧着し、押しボタンスイッチの接続部にねじで固定するタイプです。バネ端子タイプは配線をバネで挟み込んで固定するタイプです。圧着端子が不要で配線作業が容易に行えます。ただし、端子部に棒端子をする場合もあります。

2. 押しボタンスイッチの接点

押しボタンスイッチの接点には、a、b、c接点という3種類が存在します。a接点とは、ボタンを押し込んだ際に導通する接点です。通常時はスイッチが開放状態となり、回路上に電流が流れません。通常時は解放という意味で、ノーマルオープン (NO) 接点とも呼ばれます。

b接点とは、ボタンを押し込んだ際に開放する接点です。通常時はスイッチが導通状態で、開路に電流が流れます。通常時は導通という意味でノーマルクローズ. (NC) 接点とも呼ばれます。

c接点とは、a接点とb接点を組み合わせた3端子接点です。a端子、b端子、コモン端子の3つの端子があります。通常時はa端子は開放し、b端子とコモン端子が導通しています。スイッチを押し込んだ際はa端子とコモン端子が導通し、b端子は開放します。

参考文献
https://e-sysnet.com/bs/
https://ac-blog.panasonic.co.jp

押ボタンスイッチ

押ボタンスイッチとは

押ボタンスイッチとは、人の操作により電気接点を開閉するスイッチです。

人が指で押し込むことで、接点の開閉が変化する部品を指します。

押ボタンスイッチの使用用途

押ボタンスイッチは、日用品から産業機械まで幅広く用いられているため、日常生活でも多く目にする機会があります。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • ゲーム機のコントローラ
  • 排水用ポンプの運転スイッチ
  • 給湯器の運転・停止スイッチ
  • テレビ用リモコンの各種ボタン

押ボタンスイッチの原理

押ボタンスイッチは、ボタン、ケース、接点などで構成されます。

1. ボタン

ボタンは、人が押し込む部分です。一般的には着色した樹脂材料などが用いられ、電気回路と絶縁すると同時に機能を色別しています。JIS基準では赤色のボタンは停止指令、緑色のボタンは運転指令に使用することが推奨されています。

2. ケース

ケースは、押ボタンや電気回路を保持するための外装部分です。内部機構を外から保護しつつ支持し、人が電気回路を容易に触れないようにしています。したがって、樹脂やゴムなどの絶縁材料で構成されます。

3. 接点

接点は、押ボタンでの操作を電気接点へ変換する部分です。ばねや金属片で構成されます。ばねはボタン部分が押された後、元に戻るように抑えています。金属片は固定接点と可動接点などで構成され、電気信号を導通・遮断しています。

押ボタンスイッチの種類

押しボタンスイッチは機能的分類として、オルタネイト型とモーメンタリ型の2種類があります。前者はボタンを押し込んでいる間のみスイッチが作動し、指を離した瞬間に同時にスイッチが解除されるスイッチです。後者はボタンを押すと作動し、以降もう一度ボタンを押すまで作動し続けるスイッチです。

1. オルタネイト型

英語でalternateは、「交替の」という意味です。押ボタンスイッチでは、押すごとに状態が交替するスイッチを指します。機能選択などのボタンは状態を保持させるため、オルタネイト型を使用します。モニタの主電源や懐中電灯の電源などがその一例です。

2. モーメンタリ型

英語でmomentaryは、「瞬間的な」という意味です。押ボタンスイッチでは、押している間のみ作動するスイッチを指します。繊細な動作をさせたい場合や、1回の動作に対して一度のみ押す場合に用いられます。テレビゲームのコントローラがその一例です。

 

その他にも、さまざまな種類があるため、設備の仕様に合わせて選択します。人が頻繁に通る場所などでは、誤操作防止のためにカバー付きやガード付きが多く使用されます。ランプ付きの押しボタンスイッチも販売されており、電源を供給することでランプを点灯させることが可能です。照光式押ボタンスイッチと呼ばれます。「ON」「OFF」の状態がランプの点灯で分かるようになっています。

押ボタンスイッチのその他情報

1. 押しボタンスイッチの配線方法

押しボタンスイッチの配線方法は、各メーカーさまざまな種類が販売されていますが、代表的なものにはんだ付け、ねじ端子、バネ端子があります。

  • はんだ付けタイプ
    端子にはんだで配線を接続するタイプです。一般的に接続部とボタン部が分割でき、ボタン部のみの交換が可能です。
  • ねじ端子タイプ
    配線にY端子や丸端子などの圧着端子を圧着し、押しボタンスイッチの接続部にねじで固定するタイプです。
  • バネ端子タイプ
    配線をバネで挟み込んで固定するタイプです。圧着端子が不要で配線作業が容易に行えます。ただし、端子部に棒端子をする場合もあります。

2. 押ボタンスイッチの接点

押ボタンの接点には、a、b、c接点という3種類が存在します。

  • a接点
    ボタンを押し込んだ際に導通する接点です。通常時はスイッチが開放状態となり、回路上に電流が流れません。通常時は解放という意味で、ノーマルオープン (NO) 接点とも呼ばれます。
  • b接点
    ボタンを押し込んだ際に開放する接点です。通常時はスイッチが導通状態で、開路に電流が流れます。通常時は導通という意味で、ノーマルクローズ (NC) 接点とも呼ばれます。
  • c接点
    a接点とb接点を組み合わせた3端子接点です。a端子、b端子、コモン端子の3つの端子があります。通常時はa端子は開放し、b端子とコモン端子が導通しています。スイッチを押し込んだ際はa端子とコモン端子が導通し、b端子は開放します。
  • 参考文献
    https://e-sysnet.com/bs/
    https://ac-blog.panasonic.co.jp