オゾン水生成器

オゾン水生成器とは

オゾン水生成装置とは、純水や空気などを原料として水中に低濃度のオゾンを生成させる装置です。

オゾンは酸素原子3つが結合して形成される分子で、オゾン水はこのオゾンが水に溶けた水溶液です。オゾンは酸化力が高く反応性に富んでいますので、炭水化物とよく反応し、分解してしまいます。この作用を利用して殺菌や脱臭、漂白などを行います。

オゾン水生成器の使用用途

オゾンは酸化力が高いため、雑菌や微生物の除去や汚れの分解などに利用されています。また、オゾン水は使用後に水と酸素に戻るため、薬剤などの残留がなく安全性が高いことが特徴です。そのため、食品、飲食、医療など幅広い分野で利用されています。

オゾン水生成器は食品の洗浄や殺菌、脱臭などに使用されており、鮮度保持の効果も見込まれます。

現在では水道水の殺菌などにも使用されており、旧来の塩素のみの殺菌と比べ異臭味の低減に寄与しています。オゾンは人体に有害ですが、水中に存在する炭化水素と反応して酸素分子になり、反応せずに残ったオゾンは活性炭を用いて酸素に戻すため、家庭に配分される際にはオゾンは残留していません。ただし、オゾンは分解しやすいため、水道水の安全のため次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は現在も行われています。

また、オゾン濃度を高めることで金属の除去や有機膜のエッチングを行うことができるため半導体や液晶、太陽電池などの業界でも用いられます。

オゾン水生成器の原理

図2-オゾン水生成器の種類

図2. オゾン水生成器の種類

オゾン水は主に空気や酸素ガスへの放電、水の電気分解、紫外線照射によって作り出されます。

1. 放電式

放電式オゾン発生装置は、酸素を含む気体を充填させて放電を行い、生じる電子によって酸素をオゾンに変換させます。

放電式オゾン発生装置には、無声放電式・コロナ放電式・沿面放電式などがあります。無声放電式は、既存のオゾン発生装置の中ではエネルギー効率が最も高く、大型のオゾン発生装置のほとんどがこの方式です。一方、コロナ放電式と呼ばれるタイプは、オゾン発生効率が低く、一般に小規模のオゾン発生器に用いられます。

2. 電気分解式

通常の水の電気分解では酸素と水素のみが発生しますが、陽極側の電極に二酸化鉛(β型)や白金などを用いて、酸素の発生と高濃度のオゾンの生成が行われます。原料となる水に不純物が含まれると副反応や電極の劣化につながるおそれがあるため、逆浸透膜やイオン交換膜を使用して得られた純水を原料として用いることがあります。

3. 紫外線照射式

紫外線式は、酸素を含む気体に紫外線を照射してオゾンを発生させる装置です。紫外線の中でも波長の短い深紫外線を酸素分子に照射すると、酸素分子が解離して酸素原子が生じ、その酸素原子が他の酸素分子と結合してオゾンが生成します。

紫外線式によるオゾン発生では、オゾン分解反応が並列して起こったり、分解反応で生じた酸素原子がオゾンと反応してオゾンを壊したりします。そのため、オゾンの発生効率や発生量が低く、小規模な殺菌に用いられます。

オゾン水生成器のその他情報

1. オゾン水の作用原理

図3-オゾンの作用機構

図3. オゾンの作用機構

オゾンは不安定な物質で、水中では、水と反応し、より強い酸化剤であるOHラジカルが生成されます。OHラジカルは電子が不足した不安定な状態であるため、近くの有機物から電子を奪い取り、電子を奪われた有機物は結合を分解されます。この酸化分解作用によって、細胞壁や細胞膜、細胞内の酵素や核酸の失活、匂いや汚れの原因となる成分の分解などを引き起こし、殺菌、脱臭や漂白などの効果が得られます。

2. オゾン水噴霧器

オゾン水噴霧器は、生成したオゾン水を噴霧ノズルから細かい粒子状のミストに変化させた上で対象物に直接かけたり、加湿器と同様に部屋中に循環させたりすることで除菌や除染ができる機械です。

小型のタンクに貯蔵すれば簡単に持ち運びができるので、喫煙所やゴミ置き場、トイレなどの比較的小さな空間で数が多い施設の脱臭や除菌に有効です。オゾン水を直接かけられない場所であっても、微細なミストが循環して行き渡るので隅々まで優れた殺菌や除染が可能です。

貯蔵して使用する場合はオゾンが一部分解してしまうことがありますが、あらかじめ高い濃度で生成しておくことで必要な除菌・除染の能力を維持することが可能です。

3. オゾン水生成器の防疫利用

オゾン水は高い除菌効果があるため、防疫の分野では感染症のパンデミックや口蹄疫や鳥インフルエンザ等の細菌、ウイルスの生物災害で利用されます。また、硫化水素等の化学災害など除染の際には現場はもちろん、除染に使用した様々な器材の洗浄にも使用されます。

オゾン水生成器で製造したオゾン水は、放水車等から通常の水の代わりに放水されたり、ハンディータイプの噴水機などで除菌や洗浄対象に噴きかけることができるので、大きさや場所に縛られずに幅広く活用できます。

オゾン水生成器を防疫に利用する場合のメリットは、水と空気と電源があれば現地で生成が可能で備蓄が不要な点です。さらにパンデミックや災害現場で直接生成して使用できるので、場所や搬送の制約が少なく、無害である上にさらに数時間後には酸素に分解するので直接下水に排水できることが大きなメリットです。

4. オゾンの概要

オゾンの概要の図は下記になります。

図1-オゾンの特徴

図1. オゾンの特徴

参考文献
https://biz.maxell.com/ja/living_life_equipment/mxzw-wm100j.html
https://eco-kankyo.com/service/ozon_water/
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/topic/13.html
https://www.teco.co.jp/wp/topix/2962
https://www.ozon-uv.com/ozon-water/ow-carrie-pat.htm

ワンタッチ管継手

ワンタッチ管継手とは

ワンタッチ管継手

ワンタッチ管継手とは、流体用のチューブやホースを差し込むだけで接続できる継手です。

エアー配管などで使用されることが多く、ネジ接続などに比べて迅速で簡単に組み立てることができるため、効率的な方法として広く採用されています。ワンタッチデザインのおかげで、特別な工具やスキルがなくても簡単に取り付けることができます。

一般的に、配管を継手に挿入するだけで、自動的にロックされる仕組みです。また、しっかりとした接続を提供し、漏れや外れも少ないです。ただし、ワンタッチ管継手はさまざまな材料で製造されています。

使用する材質は流体の性質や温度・圧力に適合している必要があります。適切な材質を選ぶことで、漏れや破損のリスクを最小限に抑えることが可能です。

ワンタッチ管継手の使用用途

ワンタッチ管継手は、さまざまな用途で使用される便利な配管接続継手です。以下はワンタッチ管継手の使用用途です。

1. 工業

工業分野では、生産ラインや工場内の異なる部門間での配管接続に使用されます。例えば、液体製品や原材料を効率的に供給するために使用されます。また、工場内でのメンテナンスや配管の変更が必要な際にも、ワンタッチ管継手によって迅速な対応が可能です。

その他、清掃用のエアー配管の継手として使用されることも多いです。ワンタッチ管継手を使用することで、流体取出口の仮設が容易になります。

2. 農業

農業分野では、灌漑や液体肥料の供給などにワンタッチ管継手が活用されます。畑や農地での効果的な水やりや栄養供給を支援するために使用され、農作業の効率を向上させることが可能です。

3. 水道

住宅や公共施設の水道や衛生設備においてもワンタッチ管継手が使用されます。キッチンやバスルームの蛇口やシャワーヘッドなどの部品の配管接続に使用され、修理や交換作業を簡単に行うことができます。

ワンタッチ管継手の原理

ワンタッチ管継手は、簡単な取り付けと確実な接続を実現するために設計されています。シールやプッシュイン機構、解除機構などで構成されることが多いです。また、内部にはOリングまたはシールが配置されています。このシール材が接続される配管との間にシールを形成し、漏れを防ぐことが可能です。

プッシュイン機構は、配管を継手に挿入するだけで自動的にロックされる仕組みです。一般的なプッシュイン機構は内部にばねを持ち、一定の力をかけることで配管をしっかりと保持します。

配管を取り外す際には、ワンタッチ管継手に備わる解除機構を使用します。これにより、一定の力をかけることでロックが解除され、配管が取り外すことが可能です。解除機構は簡単かつ迅速な取り外しを実現するのに不可欠です。

ワンタッチ管継手の選び方

ワンタッチ管継手を選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが重要です。

1. 材質

ワンタッチ管継手のネジ部分は、ステンレスが使用されているものが多いです。さらに、耐食性の高いSUS304が使用されている製品や黄銅に無電解ニッケルメッキが施されている製品もあります。

リング部分にはポリプロピレンポリブチレンテレフタレートなど樹脂が使用されています。シール材にはニトリルブタジエンゴムが多いですが、耐薬品性が高い製品ではフッ素ゴムが有利です。オール樹脂製のワンタッチ管継手も販売されています。

2. 接続ねじ

ワンタッチ管継手の接続ねじは、接続する配管やチューブを基に選定します。主な接続ねじの種類にはNPTやメートルねじなどがあります。

エアチューブにはNPTによる呼称が使用されることも多いです。1インチを1分と呼びます。配管システムの標準ねじに合ったワンタッチ管継手を選ぶことで、漏れの少ない接続が可能です。

3. 形状

ワンタッチ管継手の形状は、余剰スペースに適合するかどうかに影響します。エルボやチーズ、ストレートなど、種類が豊富です。使用する場所や用途に合った形状を選ぶことで、配管の接続がスムーズに行えます。

4. 最大圧力

ワンタッチ管継手は、許容される最大圧力に適合する必要があります。配管内の圧力変動や流体の種類に応じて、適切な最大圧力のワンタッチ管継手を選ぶことが重要です。最大圧力を超えると、漏れや破損のリスクが高まる可能性があります。

参考文献
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_actuator/9509/index.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1900000000/M1905000000/M1905030000/

微小流量計

微小流量計とは

微小流量計は非常に少量の流量を計測出来る流量計で、液体の場合はリットル/分より流量の低い流体を計測出来る流量計が微小流量計と呼ばれます。

ただし、その範囲は広く、マイクロリットル(0.001ミリリットル)/分程度の単位の流量を計測できる微小流量計も存在します。

微小流量計の測定方法はメーカによって様々で、測定の安定性や測定出来る流体の粘度の範囲、測定できる最小流量を等を争い、日々微小流量計の性能は向上しています。

微小流量計の使用用途

微小流量計の使用用途としては、少量の薬品等を正確に取り扱う必要のある化学プラント、食品プラント、薬品プラントなどが上げられます。これらのプラントでは、少量の薬品を一定の分量で継続的に供給を行うことが、製品の品質に影響するため微小流量計の必要性は非常に高いです。

また、レンズの研磨作業やシリコンウェーハの研磨を行うためには、非常に少量の研磨剤を定期的に供給する必要があるため、これらの作業にも微小流量計は無くてはなりません。

微小流量計の原理

微小流量の測定方法は様々で、現在も新しい測定方法の開発が続いていますが、代表的なものとして以下の3種類の測定方法があります。

アネモメータ方式

この方式は、液体の流れの中でヒーターをある一定の温度になるように加熱します。流量が多くなればヒーターから奪われる熱量が多くなりヒータを一定の温度に保つにはより多くの電力を必要とし、逆に流量がすくなければ電力は少なくて済みます。アネモメータ方式はこの電力量から流量を測定します。

カロリメトリック方式

この方式は、流体内の上流と下流に2つの温度センサーを配置し、センサー間にヒーターを設置します。センサー間にヒーターが存在することから、流体の上流と下流の温度差が生じ、その温度差を測定します。つまり、流速が速くなれば上流と下流の温度差は少なくなり、逆に遅くなれば温度差が大きくなることから、流速を測定することが可能となります。

Time of Flight(TOF)方式

この方式は、流体内の上流にヒータを設置し、下流に温度センサーを設置します。上流のヒーターで加熱した液体が下流の温度センサーに達した時の温度を測定し流量を測定します。

参考文献
https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/bulletin/Vol8/1/V8N1P15.pdf

変調器

変調器とは

変調器とは、元の電気信号の振幅や周波数、位相などを変化させて、より伝送しやすい信号に変える機器のことです。

例えば、離れた2点間で無線通信を行う場合、送りたいデータをそのままの状態で信号として伝送するのは困難なため、変調器による信号の変調が必要になります。具体的には、送信したいデータを無線周波数のサイン波に乗せることで信号を送信します。

変調方式は、アナログ変調とデジタル変調の2種類です。相違点としては扱う信号がアナログ信号かデジタル信号かの違いであり、基本的な原理は同じです。

変調器の使用用途

変調器は、テレビやラジオ放送を送受信するために使用される機器です。音声や映像など、情報の種類によって周波数はそれぞれ異なりますが、そのまま信号として伝送するには周波数が低すぎる場合があります。

そのため、テレビやラジオ放送での変調器の用途は、元の信号よりも高い周波数に変調してデータ伝送することです。また、インターネット接続では、光ファイバー回線のように電気信号を光信号に変調したり、特有の周波数を持つ電話回線を用いて伝送したりする場合があります。

変調器の原理

放送や無線通信において、データをそのまま相手に伝送することは現実的ではありません。伝送しやすい形に変調することが必要です。

変調器では、まずベースとなる信号を用意し、そこに違いを与えることで識別可能な信号にします。このベースとなる信号を搬送波またはキャリアといいます。

搬送波に信号を乗せる方法は、大きく分けて以下の3つです。

1. 振幅変調

振幅変調 (AM) とは、搬送波の振幅を変調する方法です。ラジオやテレビなどで使われますが、外部の雑音なども拾ってしまうという特徴もあります。

復調時は受信した波形の上半分を切り出し、ピーク・ポイントを結ぶ (包絡線) と、送信側のアナログ信号を取得することができます。

2. 周波数変調

周波数変調 (FM) とは、搬送波の周波数を変調する方法です。ラジオのFM放送等に利用されます。周波数帯域は広くなりますが、振幅変調に比べ外乱が少ないのがメリットです。

FMの場合は、周波数を電圧に変換する回路 (クワドラチャ検波回路など) に振幅を一定にした受信信号を与えることで、出力電圧として周波数変調された送信側のアナログ信号を復調します。

3. 位相変調

位相変調 (PhM) とは、信号の大きさに合わせて搬送波の位相ずらす方法です。この方法は現在主流となったデジタル変調でよく使用されています。

アナログ信号の電圧レベルに比例するように、キャリア信号の時間的タイミングを変化させることで、元々のキャリアから時間差を作り出し、変調波形を作成する方式です。

変調器の種類

変調器は変調方式で、アナログ変調、デジタル変調、パルス変調、スペクトラム拡散方式の4つに大きく分類することができます。

1. アナログ変調方式

アナログ変調方式を用いた変調器は、上述したAMやFMのどちらかの変調方式が主な動作原理です。AM方式では、AMラジオ放送や航空無線などが主な使用例です。FM方式はFMラジオ放送やアマチュア無線、業務無線などで使用されます。

2. デジタル変調方式

デジタル変調方式は1と0の二値信号を伝送する方式です。携帯電話やBSテレビ放送など、近年の無線通信に採用されています。

デジタル変調はアナログ変調で変調波形を方形波にした場合と捉えることができます。デジタル信号で変調する方式の名称は、AM、FM、PhMに対応してASK (Amplitude Shift Keying) 、FSK (Frequency Shift Keying) 、PSK (Phase Shift Keying) です。

キャリアをスイッチで切り替えることと同義であることから、上記の名称で呼ばれています。

3. その他の変調方式

パルス変調方式はパルス幅を変化させる手法を指し、スペクトラム拡散方式は信号エネルギーを広域帯に分散させる手法を指します。

参考文献
https://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/30/30341/30341_2syo.pdf
https://xtech.nikkei.com/it/pc/article/NPC/20070517/271444/

圧力調整器

圧力調整器とは

圧力調整器は、主に圧縮された気体や液体などの流体の圧力を調整するために用いられる器具です。

「プレッシャーレギュレーター」とも別称されます。

通常、耐圧容器内に充填されている気体や圧送される流体は、そのまま使用すると危険なほど高圧な状態であるため、適宜使用する用途に合わせて吐出圧力を抑える必要があります。加えて、充填量に伴う容器内の再昇圧・再充填の際には、耐圧容器内の圧力が許容値以上にならないよう、圧力調整器で容器内圧力を制御する必要があります。

圧力調整器の使用用途

実例を挙げると、酸素・アセチレン溶接で用いられる高圧ボンベの出口に取り付けられており、この場合二次側には、逆火時のフラッシュバック(炎がボンベ内部まで遡り爆発すること)を防ぐための「逆火防止弁」が共に装着されます。また、スキューバーダイビングで使用される酸素ボンベには、ダイバーに一定圧の酸素を供給するために使用されています。
また、定量ポンプは流体慣性やサイフォン現象を防止するため、背圧弁を用いて常に一定量・一定圧の流体圧送を行っています。

圧力調整器の特徴

大きく分けると「一次側(入口側)の圧力を調整するもの」と「二次側(出口側)の圧力を調整するもの」の2つがあり、前者は「背圧弁」や後者は「減圧弁」などと呼ばれています。

どちらも調整器内のスプリングレート(バネ応力)と流体の圧力を利用し、それぞれの釣り合い方で制御していますが「バネ張力(設定値)を超えると開く」のが前者「バネ張力(設定値)を超えると閉じる」のが後者というようになります。

また背圧弁と安全弁は作用がとても似ていますが、「容器・配管内の圧力保持」を目的とした背圧弁に比べ、安全弁は「既定値以下に下げ設備を保護する」を目的としているため、弁が作動したときの圧力変動が大きいという大きな特徴があります。

加えて、自立式減圧弁の場合は一次側の圧力が低下すると、二次側の吐出圧力が上がってしまうことがあります(1次変動分の1~2%程度)。これを防止するため、2段階に分けて減圧する二段階減圧弁というものがあります。例えば二次側変動率1.5%のものの場合、1.5%×1.5%で0.0225%まで変動率を下げることができます。

参考文献
http://www.techmation.co.jp/techinfo/pressure_regulator/no001.html
http://www.techmation.co.jp/techinfo/pressure_regulator/no003.html
http://www.techmation.co.jp/techinfo/pressure_regulator/no002.html

回転工具

回転工具とは

回転工具 (英: rotational tool) とは、切削工具自体に回転する機構を設けた工具のことです。

主に複合加工機などに使用され、ミーリング・ユニット、ミーリング・ホルダー、カッタードライブ等と呼ばれることもあります。回転工具は、切削工具に回転する機構を取り付け、複雑加工が可能になる工具です。

1台の工作機械で回転工具を使うことで、平面加工、穴開け、中ぐり、円筒削りなどの加工ができるため、高機能化と高精度化を実現します。複数の工作機械を使って、平面加工の工作機械、穴開けの工作機械、円筒削りの工作機械など各機械にセットする場合、作業効率が悪く、また取付けによる加工ずれなどが起こりやすいため避けた方が無難です。

回転工具の使用用途

回転工具は、主に複合工作機械用の工具として使用されます。ドリル・エンドミル・カッターなどにより、穴開け、平面加工、中ぐり、円筒削りなどを行います。

回転工具にはいくつか種類が存在し、それぞれ用途が異なります。

1. スローアウェイドリル

刃先が交換できるスローアウェイタイプで、粉末ハイスや微粒子超硬合金のチップを使用します。

2. スローアウェイエンドミル

チップは、亜鉛めっきしたZM3の他TM4などを使い、ハイスエンドミルと比較して、安定した長寿命が得られます。Dカットや溝掘り加工、傾斜加工、ヘリカル加工、角刃面取り加工などが可能です。

3. アルミ部品加工用高速カッタ

スローアウェイチップと刃先微調整機構を使用し、高精度な加工と良好な仕上げ面粗度が得られます。マシニングセンタにおけるアルミ合金などの非鉄金属のフライス加工に使われます。

回転工具の特徴

1. 切削加工機械

工具を取り換えながら金属を加工するタイプのデメリットは、作業段取りが悪いことです。それに対して、加工物を工作機械から工作機械へ移送するタイプのデメリットは、加工物を工作機械から工作機械へ移送し、取付け・取り外しすることで加工精度が悪くなり、作業段取りが悪いことが挙げられます。

2. 複合工作機械

複数の工具を回転ユニットに取り付けて加工するタイプのメリットは、複数の工具を取り付け、総合加工が可能なことです。また、及び加工物を工作機械から工作機械へ移送せずに1回の取付けだけで済むため、加工精度が良いこともメリットとして挙げられます。しかし、複合工作機械は高額なことがデメリットです。

加工部品は完成させるために、平面加工や穴開け、中ぐり加工、円筒加工などの工程が必要となります。

回転工具のその他情報

1. 回転工具の危険性

回転工具は、小型のハンディータイプの物であっても高トルクなので、使い方を間違えると裂傷や火傷はもちろん、最悪の場合には指や肢体を失う大事故につながる可能性があります。回転工具はドリル用やフライス盤用など多くの種類がありますが、基本的には「回転工具自体」と「被加工物」の2つの危険に分かれます。

回転工具自体の危険性
回転工具自体の危険として一番最初に挙げられるのは、回転部への巻き込みです。指の巻き込みはすぐに思いつきますが、手袋や衣服の巻き込まれにも注意が必要です。

回転工具の使用する際に、軍手の着用は基本的に禁止されています。また、首に懸けるネームストラップやネクタイなども非常に危険です。衣服の袖や裾も見落としがちなので、回転工具を使用する前には必ずチェックする必要があります。

その他、回転部への接触で起きる切創・裂傷などの怪我や火傷の可能性も高いです。回転工具は木材や金属などを切削するため、非常に硬く鋭いのが特徴です。また、長時間の接触による摩擦熱で工具や被切削物も熱くなっていることからも、火傷にも気をつけなければなりません。

また、作業には工具の破損や機械の誤作動、作業者の誤操作などで、巻き込みや怪我の危険性があります。回転工具を使用する前は点検を欠かさず、使用環境の5Sや周りのへ注意喚起などで対策することが大切です。

被加工物の危険性
被加工物にも危険性が潜んでいます。回転工具は高いトルクで回転しているため、被加工物の固定が弱いと飛ばされてしまい、作業者が怪我をしたり、設備を破損したりする可能性があります。

また、加工中に形成される切削屑も鋭利なため、安易に素手で触ったり、作業中に飛散したりすると怪我につながることがあるため注意が必要です。掃除をする際は必ず保護具を着用し、専用の用具を使用して収集し、保管・廃棄します。

2. 回転工具作業の資格

回転工具を使用して研削作業をする場合、資格が必要なものがあります。回転砥石で表面を仕上げるハンドグラインダー砥石交換作業では、「研削砥石の取り換え又は取り換え時の試運転の業務」に当たるため、安全衛生特別教育を受けた作業者しか対応できません。

違反すると罰金に処される場合があるので、作業する前に特別教育講習を受けて資格を取らなければなりません。

参考文献
https://www.sandvik.coromant.com/ja-jp/knowledge/parting-grooving/pages/face-grooving.aspx
http://kaitenkougu.com/kaitensyurui.html
http://ueda-tech.com/faq/1-toishi-tokubetsu-kyouiku

加熱装置

加熱装置とは加熱装置

加熱装置とは、可燃性ガスや電気を用いて、科学薬品や試料など様々な物体を加熱するために使用される装置のことです。

「ヒーター」とも呼ばれ、幅広い用途に対応できるよう多種多様な製品が市場に出回っています。例えば、工業用のヒーターは1,000℃以上まで加熱可能な高性能なものがありますが、一般家庭用には「IHヒーター」や「電熱ヒーター」など、安全で手軽に使用できる製品が主流です。

近年では、加熱装置の生産技術が向上し、電源の確保が容易になったり、安全性が重視されたりするため、電気を用いて加熱する装置が一般的に利用されるようになりました。加熱装置は、より効率的かつ環境に優しいものへと変化しており、今後もさらなる進歩が期待されています。

加熱装置の使用用途

加熱装置は、工業製品の研究開発用途では、「薬液ヒーター」が薬液中に浸して内部から加熱するために使用され、「恒温保管庫」用ヒーターは、飛散しやすい薬品や粉末状の物体を高温の状態で保管する際に役立ちます。さらに、リングギヤやベアリングインナーレースなどの焼き嵌め作業では、素材を油中で加熱するために「棒状ヒーター」や「電気コンロ」が活用されています。

また、非接触で金属が1,000℃を超える超高温まで自己加熱できる「高周波加熱装置」は、金属溶解炉として利用することが可能です。高周波加熱装置は、その高い加熱性能を活かして、金属加工や溶接などの工程でも使用されることがあります。

加熱装置の原理

加熱装置は、電気や可燃性ガスを熱源として、物体を温めるために用いられます。電気を利用する場合、電気抵抗によって発生するジュール熱を利用して加熱します。電流が抵抗を通過する際にエネルギーが熱エネルギーに変換され、物体が加熱されるのが基本原理です。

一方、可燃性ガスを利用する場合、ガス燃焼によって発生する熱を利用して加熱します。例えば、ガスコンロはプロパンガスや都市ガスを燃焼させ、その炎で鍋やフライパンを加熱する仕組みです。

また、非接触で加熱する方法として、高周波加熱装置があります。交流電流の周波数を高くすることで、磁界が急激に変化し、金属内部の電子が高速で移動することによって、熱を発生させます。加熱される金属は、1,000℃以上の超高温に達します。

加熱装置の原理を理解すると、性能や用途を最大限に活用可能です。例えば、電気ヒーターは熱効率が高く、温度調節も容易ですが、高周波加熱装置は非接触で高温に加熱できるため、金属加工や溶接などの用途に適しています。加熱装置の選択や使用方法を検討する際には、それぞれの原理と特性を理解し、最適なものを選ぶことが重要です。

加熱装置の特徴

前述の製品を例に出すと、「薬液ヒーター」は「棒状ヒーター」に耐食性・耐候性に優れるフッ素樹脂などをコーティングしたものであるため、薬液中に浸しても侵食されにくいという特徴があります。

また、水や油などの液体を加熱する用途で使用される「棒状ヒーター」は、容器の外からではなく液体を内側から直接加熱することができるため、昇温時間の短縮を図ることが可能です。

「高周波加熱装置」や「IHヒーター」は、電熱線や発熱体などに発生するジュール熱を利用したものとは異なり、電磁誘導により発生する「自己加熱現象 (ジュール熱) 」を利用しているため、物体全体をまんべんなく加熱することができる他、出力制御により低温から超高温まで容易に温度を変えられます。

金属溶解炉の場合、電磁力により炉内が撹拌されるなど、作業者の負担や作業環境の面で非常に使い勝手が良いという特徴があります。その他、シリコーンラバーを使用したものは自在に変形させることが可能です。ガラスの曇り止め等、透明導電膜を利用したものは視覚上の妨げにならないという点が特徴です。

加熱装置のその他情報

加熱装置と併用される工業製品

加熱装置と併用される主要な工業製品は金属製品、化学薬品、食品の3種類です。

1. 金属製品
金属製品の加工において、加熱装置は欠かせません。例えば、鋳造や鍛造の際には金属を高温に加熱し、形状を変更しやすくするために使用されます。また、焼入れや焼きなましといった熱処理も加熱装置を用いて行われることが多く、金属の強度や耐久性を向上させる役割を果たしています。

2. 化学薬品
加熱装置は、化学薬品の製造や研究開発にも使用されます。反応速度を上げたり、特定の温度での性質変化を調べたりするために試料や薬液を加熱する必要があります。加熱装置が正確な温度管理を実現し、安全な操作を提供するために重要です。

3. 食品
パンやケーキなどの焼成や調理済みの食品を温めるための加熱機器は、食品製造工程で重要な役割を果たしています。また、加熱装置は、食品の殺菌や酵素の不活性化を行う際にも用いられることがあります。

参考文献
https://sakaguchi-dennetsu.co.jp/lineup/heater/

切削油

切削油とは

切削油

切削油とは、旋盤加工フライス加工などの金属加工において、「金属同士の摩擦低減のための潤滑」「加工時に発生する熱の冷却」「切削粉の飛散の抑制及び洗浄」「さび止め」などの目的で使用されるものです。

切削油は、焼き付き防止、寸法精度向上、工具の寿命延長などに寄与します。上の写真のように刃物と加工物が接触する箇所に対して加工中に切削油を流し当てる形で使用します。

切削油の使用用途

切削油の使用用途は、金属材料の切削や研削、圧延・引き抜き・プレスなどの加工を行う際の、潤滑、冷却、洗浄、錆止めなどです。一般的に、工作機械の一部として搭載されているノズルから切削油が出てくる構造になっており、切削工具の先端に向けて切削油を当てる (流す) こと形で使用します。

加工後の部品には切削油が残った状態となるため、納品物として切削油の除去が必要な場合は、加工依頼時に明確な指示が必要です。一方で、切削油が残った状態で梱包し輸送することで、「錆などの発生を防ぐことができる」「長期間保管していても劣化しにくい」などのメリットを得ることができる場合もあるため、部品特性に応じて判断しなければなりません。

また、切削油は一般的に工作機械の一部として搭載されているノズルから出てくる構造のものが多いですが、中には工具自体に穴が開いており、ここから切削油が出てくるタイプのものも存在します。ノズルタイプの方がノズルの位置や向きを変えることで、切削油を当てる方向などの調整も可能なため、様々なサイズの加工物に対応できます。

工具自体に穴が開いているタイプの方が切削油を噴射する圧力が強く、切削粉を流し落としやすいなどの特長もあるため、加工対象によって最適な構造のものを使用することも重要です。

切削油の種類

切削油には大きく分けて2種類あり、潤滑油のまま使用する「不水溶性切削油」と水に潤滑油と添加剤を配合した「水溶性切削油」があります。水溶性切削油は加工時に10~50倍に薄めて使用されます。

1. 不水溶性切削油

不水溶性切削油

不水溶性切削油とは、鉱物油などの基油を主成分に極圧添加剤や摩擦低減剤などを添加されたもので、水溶性切削油と比較して潤滑性に優れています。不水溶性切削油はJIS規格により極圧添加剤の配合や動粘度、硫黄成分の配合の違いでN1からN4種の4種類に分類されます。

  • N1
    極圧添加剤を含まず、腐食が進行しやすいなどの非鉄金属や鋳物の加工に使います。
  • N2
    極圧添加剤が含まれていて、様々な種類の鋼材に適しています。
  • N3とN4
    極圧添加剤の他、硫黄分を含んでいて、加工が難しい金属の加工やシビアな加工面精度を求められるときに使用します。

2. 水溶性切削油

水溶性切削油

水溶性切削油とは、潤滑性を有する潤滑油基剤と水が主成分で、水への分散性や溶解性を付与するための界面活性剤や防錆剤などが添加されたもので、使用時は水で希釈されても用いられます。水を主成分とするため冷却性に優れています。JIS規格により3種類に分けることができます。

  • A1 (エマルジョンタイプ)
    水溶性切削油の中では潤滑性が良く、希釈すると白濁色になるのが特徴です。
  • A2 (ソリュブルタイプ)
    冷却性や浸透性が良く、希釈すると薄っすら濁ります。
  • A3 (ソリューションタイプ)
    冷却性と耐腐敗性、また他の油と分離しやすい。希釈しても見た目はほぼ変わりません。

不水溶性切削油のほうが潤滑性に優れていて、低速での精密加工に適しているのに対し、水溶性切削油は冷却性や切りくずの洗浄性が高く、高速での連続加工に適しているため、加工方法によって使い分けることが大切です。

切削油のその他情報

切削油用の添加剤

切削油用添加剤の種類

切削油用の添加剤として、潤滑油基材、極圧剤、乳化剤、分散剤、防錆剤などがあります。近年は作業環境改善、安全性向上、加工速度向上などのニーズから、水溶性切削油のニーズが増えています。

水溶性切削油は潤滑性能において劣っている以外にも、細菌の繁殖、錆の発生、泡立ちなどの問題が起こりやすい点がデメリットです。このため、表3の添加剤以外にも防腐剤や、抗菌性の高いカチオン系の分散剤などが使用されています。

参考文献
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/cut_oil/about/
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/cut_oil/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/machiningcenterkiso_0606/

冷却CCDカメラ

冷却CCDカメラとは

冷却CCDカメラとは、受光素子としてCCD (Charge Coupled Device) センサーを冷却する機能を備えたデジタルカメラのことです。

CCDは「電荷結合素子」とも呼ばれ、画像センサーの1種です。CCDは光エネルギーを電荷に変換し、それを画像データとして取り込むために使用されます。特に、写真撮影や映像制作、天文学などの分野で使用される場合が多いです。

CCDカメラは光を受ける面に多数の光センサー (ピクセル) を配置しており、各ピクセルは光の強さに応じた電荷を生成します。これらの電荷はアナログ信号として読み出され、デジタル信号に変換されます。CCDカメラは、画像の高い解像度、ダイナミックレンジ、低ノイズ性能を実現することが可能です。

また、暗所での撮影や弱い光源の検出にも優れています。しかし、CCDカメラは光に対して比較的敏感であり、長時間露光するとノイズが増加するという特性があります。

冷却CCDカメラの使用用途

冷却CCDカメラは、パソコンを接続して写真撮影 (受光素子を通してデジタル信号として画像を得る ) に使用されたり、冷却によるノイズ低減により天体撮影など長時間露光が必要な撮影に使用されたりすることがほとんどです。

その他、研究分野ではDNA解析や分光解析などにも応用されます。長時間露光によるシグナルの積算が必要な化学発光などの微弱な検出 (撮影) やCCDのマルチチャンネル検出器としての側面を生かし、電子顕微鏡光学顕微鏡に組み合わせて発光イメージング画像の撮影にも使用されています。

冷却CCDカメラの原理

冷却CCDカメラでは、ペルチェ素子を利用しCCDを冷却することで長時間露光を可能にしています。CCDカメラは、イメージセンサ (受光素子) で外部からの光を元に電荷を蓄積し、これをA/Dコンバータで電気信号に変換することでデジタル画像を得ています。

常温で使用すると、光を受容していなくても電流が流れてしまう現象 (暗電流) が起こり、これはノイズの大きな原因です。露出時間が数秒程度の通常撮影であれば問題になりませんが、長時間露光撮影の際はこの暗電流によるノイズが大きく影響を及ぼします。

撮影や冷却温度の管理は専用ソフトをインストールしたパソコンで行うため、冷却CCDカメラで撮影する際はパソコンとの接続が必須です。ノイズを低減できるためシャッターを開放し、長時間露光で撮影する天体撮影や微弱な発光を長時間露光でシグナルを積算することで、検出する化学発光検出の撮影などで重宝します。

冷却CCDカメラの選び方

1. 解像度

解像度は、画像の詳細さや精度を示す重要な要素です。選ぶべき解像度は、使用するアプリケーションや目的に応じて異なります。

高い解像度は、微小な対象物や詳細な構造の観察に適していますが、ファイルサイズや処理速度にも影響を与えるため、目的や用途に応じて調整する必要があります。

2. ピクセルサイズ

ピクセルサイズは、個々の画素の物理的な大きさを示します。ピクセルサイズが大きいほど感度が高くなりますが、解像度は低下するのが一般的です。適切なピクセルサイズは、観測対象の特性や撮影条件によって異なります。

3. ノイズレベル

ノイズは、画像の品質に直接影響を与える要素です。冷却CCDカメラは、センサーを冷却することでノイズを抑えることができますが、モデルやメーカー間でノイズレベルは異なります。ノイズレベルは、暗所での撮影や低光量条件下での観測に特に重要です。

4. 動作速度

動作速度は、画像の取得やデータ転送の速さを示します。高速な動作速度は、連続的な撮影や高速なイメージングアプリケーションに必要です。カメラのフレームレートやデータ転送速度を確認し、使用する目的に適した速度を選ぶことが重要です。

5. 冷却能力

冷却CCDカメラは、センサーを冷却するために冷却装置を備えています。冷却能力は、センサーの温度を一定に保つために重要です。冷却装置の効率性や冷却温度の範囲を確認し、使用する環境やアプリケーションに適した冷却能力を選びます。

6. インターフェースと互換性

冷却CCDカメラを使用するためには、カメラとコンピューターや制御装置などの間でデータのやり取りができるインターフェースが必要です。一般的なインターフェースには、USB、FireWire、Gigabit Ethernetなどがあります。使用するシステムとの互換性を確認し、適切なインターフェースを選ぶことが重要です。

冷却CCDカメラのその他情報

CMOSセンサーを使用したカメラ

近年では、CCDカメラに代わってCMOS (Complementary Metal-Oxide-Semiconductor) センサーを使用したカメラも増えてきました。CMOSセンサーは、より低コストでエネルギー効率が高く、高速なデータ読み出しが可能です。

しかし、一部の専門的な用途を除いて、CCDカメラと比較すると画質や感度の面で劣ることがあります。

光アイソレータ

光アイソレータとは

光アイソレータとは、一方向の光のみを透過する素子です。

逆方向からの光は遮断することが可能であるため、LEDや光通信の分野で、戻り光が悪影響を及ばさないように使用されます。光ファイバーや偏光素子を組み合わせた光アイソレータは、信号の逆行を防着ます。

入力側から出力側への信号伝送はスムーズに行われる一方で、逆方向からの光信号は遮断することが可能です。これにより、通信システムにおいて信号の安定性とセキュリティを高める役割を果たします。

このような機能性を持つ光アイソレータは、通信、レーザー技術、工業装置、医療機器、宇宙航空分野など、高度な技術環境において欠かせない存在となっています。

光アイソレータの使用用途

光アイソレータは、光ファイバやLED、光のアンプにおける戻り光によるノイズの発生や入射した光との干渉によって、光通信やLEDの光が正しく出力されない原因を取り除くために使用されます。光ファイバの選定の際には、対応している波長、精度や大きさ、接続性、耐久性などを考慮することが必要です。

1. 通信分野

光アイソレータが多く活用されている分野として、通信分野が挙げられます。光ファイバーや光通信システムにおいて、信号の一方向伝送を確保するために光アイソレータが使用されます。

信号が送信側から受信側へスムーズに伝わる一方、逆方向からの不要な光信号が進入しないように遮断されます。これにより、通信の信号品質やセキュリティを向上させることが可能です。

2. レーザー技術

レーザー技術においても、光アイソレータは重要な素子です。レーザーダイオードやレーザー共振器などのレーザー装置において、逆方向からの光が入り込まないようにするために光アイソレータが利用されます。

これにより、レーザーの出力安定性や効率が向上し、装置の性能が向上します。

3. 宇宙分野

宇宙などの厳しい条件下でも、信号の安定した伝送と装置の保護が求められるため、機能性の高い光アイソレータが重宝されます。

光アイソレータの原理

光アイソレータには、ファラデー効果という原理が使用されています。ファラデー効果とは、物質中を進む光が外部の磁場によって偏光面が回転する現象です。

そのファラデー効果を使用して光を変更させ、偏光板や回折格子などを用いて、光を一方向のみ透過します。光アイソレータには、偏光板を用いた製品と、屈折格子を用いた製品に分類できるため、それぞれの種類によって動作原理が異なります。

1. 偏光板式

偏光板式は2枚の偏光板の間に、ファラデー効果を生じさせることができる回転子を取り付けた構造です。入力側から光が入射されると、特定の偏向面の光のみを透過します。

その透過した光を回転子によって回転させた光が出力側の光ファイバーに伝わる際に、再び偏光素子によって回転が補正されます。逆方向であった場合、入力側と出力側の偏光回転方向が異なるため、光は透過しません。

2. 屈折格子式

屈折格子式はその名の通り、2つの屈折格子の間に回転子が挟まった形状です。ファラデー効果によって屈折率を変化させて調整し、光ファイバに入射するように設定することで、一定方向のみの光を透過することができます。

光アイソレータの特徴

光アイソレータは、非常に高い絶縁性を持つことが特徴の1つです。光アイソレータ内部では光信号が光ファイバーを介して伝送されるため、電気的な絶縁が実現が可能です。これにより、高電圧や高電流の環境下でも信号の絶縁伝送が容易となり、電気的なノイズや干渉の影響を受けずに信号を伝送できます。

また、耐久性においても高い機能を備えています。光ファイバーや偏光素子など、その構成要素は光学的な原理を利用しているため、機械的な部品の摩耗や劣化が少なく、長期間にわたって安定した性能を維持します。これにより、装置のメンテナンスや交換の頻度を低減することが可能です。

さらに、光アイソレータはコンパクトで軽量なデザインを持つことも特徴です。その光学的な原理を活用した構造により、比較的小さなサイズで高機能な装置を実現できます。これは特に限られたスペースや複雑なシステム統合の環境下で、優れた利点となります。