温度湿度測定器

温度湿度測定器とは

温度湿度測定器

温度湿度測定器とは、温度および湿度を測定するためのセンサーまたは装置です。

屋内外の温度・湿度の測定に用いられています。温度湿度測定器を使用することで、室内や屋外の環境の温度と湿度を正確に把握できます。これにより、快適な居住環境を維持するために空調や加湿・除湿装置を適切に制御することが可能です。

また、工業プロセスにおいても温度と湿度が製品の品質や生産性に影響を与える場合があるため、適切な管理とコントロールが可能です。特定の産業や実験環境では、温度や湿度の変化が人や機器に影響を及ぼすこともあります。高温多湿な環境では、体調不良や熱中症のリスクも高いです。温度湿度測定器を使用して、安全な環境を維持することが可能です。

ただし、温度湿度測定器は正確な測定を行うように校正されている必要があります。特に重要な用途や業務に使用する場合は、高精度かつ信頼性のある測定器を選ぶことが重要です。測定器の精度は製品の仕様書やメーカーの指示に基づいて確認します。

温度湿度測定器の使用用途

温度湿度測定器は、さまざまな用途で広く使用されています。以下は一般的な使用用途の一例です。

1. 居住空間管理

温度湿度測定器は居住空間の室温と湿度をモニタリングすることで、快適性を確保するのに役立ちます。温度と湿度が適切でない場合、人々の健康や快適性に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。適切な空調制御はエネルギーコストの削減にも有利です。

2. 工業プロセス管理

産業プロセスにおいては、温度や湿度が製品の品質に影響を与える場合があります。特に半導体製造工場や薬品保管庫などは厳密な管理が必要です。温度湿度測定器を使用して製造プロセス中の温度と湿度を監視し、品質の一貫性を保つことが重要です。

3. 農業

温度湿度測定器は農作物の生育に重要な要因となります。適切な温湿度条件をモニタリングすることで作物の成長を促進し、収穫量や品質を向上させることが可能です。

また、農作物における病害虫の発生は一部の温湿度条件によって促進されることがあります。温度湿度測定器を使用して病害虫発生のリスクを予測し、対策を講じることが重要です。

温度湿度測定器の原理

温度湿度測定器は、温度と湿度を測定するために異なる原理を用いています。温度には電気抵抗式やサーミスタ、熱電対などが使用されます。

電気抵抗式は、温度に応じて電気抵抗が変化するセンサーを使用した方法です。サーミスタは半導体センサーの一種でセンサーで、抵抗変化を測定することで温度を推定します。熱電対は異なる金属から作られた2つの導線からなるセンサーで、温度差によって生じる電圧を測定する方法です。

湿度の測定には耐湿性抵抗センサーや静電容量センサを使用します。耐湿性抵抗センサーは、湿度に応じてセンサーの抵抗値が変化する耐湿性抵抗センサーを使用します。静電容量センサーは、湿度に応じて静電容量が変化するセンサーを使用する方法です。

温度湿度測定器は、これらのセンサーを組み合わせて使用することが一般的です。温度センサーと湿度センサーを1つの装置に統合し、温度と湿度を同時に測定します。また、デジタル温度湿度測定器はセンサーからの信号を演算装置でデジタルデータに変換し、ディスプレイに表示します。

温度湿度測定器の選び方

温度湿度測定器を選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。

1. サイズ

使用する場所に合ったサイズを選ぶことが重要です。小型の温度湿度測定器は持ち運びに便利で、室内の狭いスペースに適しています。一方、大型の温度湿度測定器はデータ表示が大きく、壁掛けや据え置きの環境に最適です。

2. 測定範囲

測定したい温度と湿度の範囲を考慮して選定します。使用する環境の温度や湿度が測定器の範囲内に収まるようにすることが重要です。必要な温度範囲や湿度範囲が広い場合は、広範囲をカバーできる温度湿度測定器を選ぶことが望ましいです。

3. 電源

温度湿度測定器は電池やAC電源などさまざまな電源で動作するものがあります。ポータブル性が重要な場合は電池駆動のものを選ぶと便利です。ただし、連続して長時間使用する場合はAC電源を利用できるタイプも選択肢に入れます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0079.html

基板実装用ヒューズ

基板実装用ヒューズとは

基板実装用ヒューズ

基板実装用ヒューズとは、表面実装技術 (英: Surface Mount Technology) を用いて電子基板に直接実装できる小型のヒューズです。

主に電子回路や基板上で使用される保護デバイスの1種です。基板実装用ヒューズは、過電流やショート回路から電子回路を保護する重要な機能を果たします。電流が定められた定格電流を超えると、ヒューズが遮断して電流を停止することで回路やデバイスを損傷から保護することが可能です。

ヒューズは機械的なデバイスであり、信頼性が高いです。したがって、長寿命で安定して機能します。また、基板実装用ヒューズは小型で基板上に直接実装できるため、高い集積度を実現します。

ただし、適切な評価電流や応答時間を選定することが重要です。回路に流れる電流がヒューズの定格を超えると、ヒューズが誤って遮断されたり、保護が不十分になる可能性があります。

基板実装用ヒューズの使用用途

基板実装用ヒューズは、電子回路や基板上でさまざまな用途で使用されます。これらのヒューズは回路やデバイスを過電流やショートから保護し、信頼性を向上させる重要な役割を果たします。以下は、基板実装用ヒューズの一般的な使用用途の一例です。

1. 通信機器

通信機器はネットワークやデータ転送を扱うため、信頼性が非常に重要です。基板実装用ヒューズは、通信回路を保護するために用いられます。

例えば、ネットワークインターフェースやデータ通信回路において、突発的な電流の増加やショートを防ぐためにヒューズを配置します。これにより、データの正確性やネットワークの安定性を確保することが可能です。

2. 自動車部品

現代の自動車は、高度な電子制御システムを搭載しています。エンジン制御ユニットやエアバッグ制御モジュールなどの電子部品は、基板実装用ヒューズを使用して保護されることが多いです。車両内の電気系統や電子部品の安全性を確保し、万一のショートや過電流から乗員を守る役割を果たします。

3. 消費電子製品

家電製品や消費者向けの電子製品においても、基板実装用ヒューズが一般的に使用されます。テレビや冷蔵庫などの家電製品や、コンピュータやスマートフォンなどの電子機器などがその一例です。過電流や異常動作から保護されることで、長期間の安定した動作が期待できます。

基板実装用ヒューズの原理

基板実装用ヒューズは、電気的な回路や基板上で過電流やショートを防ぐための保護デバイスです。ヒューズの原理は非常にシンプルで、電流が定められた定格電流を超えるとヒューズが破断する仕組みです。

ヒューズは導体である金属箔や導体線で構成されています。定格電流以下の範囲ではヒューズの導体は通電状態となり、電流がヒューズを通過します。ヒューズの抵抗は非常に小さいため、回路の動作にほとんど影響を与えません。

電流が定格電流を超えると、ヒューズの導体が加熱されます。導体は電流の流れによって発熱するため、過電流が流れる時間と大きさに応じて加熱される仕組みです。

ヒューズの導体が過度に加熱されると、その部分が溶断または融解します。これにより、ヒューズの通電路が断たれ、回路電源を遮断することが可能です。

基板実装用ヒューズの選び方

基板実装用ヒューズを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。以下は選定における要素一例です。

1. 実装方法

基板実装用ヒューズは、さまざまなパッケージ形状で提供されています。チップヒューズやリード線ヒューズなどが一般的です。実装する基板の設計やサイズに合わせて適切なパッケージ形状を選ぶことが重要です。

2. 定格電流

定格電流は、ヒューズが許容できる最大の電流値を示します。基板実装用ヒューズを選ぶ際には回路に流れる電流を考慮し、定格電流を適切に選定することが必要です。定格電流より大きな電流が流れると、ヒューズが遮断されるため、過電流から回路を保護することができます。

3. 定格電圧

定格電圧は、安全に遮断可能な最大の電圧値を示します。基板実装用ヒューズを選ぶ際には回路の動作電圧を考慮して適切に選定する必要があります。定格電圧を超える電圧がかかるとヒューズが故障して遮断不可となる場合もあり、大変危険です。

4. 応答時間

応答時間はヒューズが過電流を検知して遮断するまでの時間です。回路の応答時間要件に合わせて、適切な応答時間のヒューズを選ぶことが重要です。

応答時間が短いヒューズは過電流が発生した際により速やかに遮断するため、より高い保護性能を持ちます。ただし、誤遮断の危険も高くなります。

参考文献
https://kurashi-no.jp/I0017408

基板用ヒートシンク

基板用ヒートシンクとは

基板用ヒートシンク

基板用ヒートシンクとは、電子機器やコンピュータなどの基板に取り付けられる冷却装置です。

プリント基板に実装される電子・電気部品から発生する熱を発散させることにより、回路の動作の安定化を図る目的で使用されます。各種の回路における半導体部品は、大きな駆動電力が必要な場合には発熱量が大きくなる傾向です。

半導体プロセスの進化に伴い、大規模な集積回路が極めて小さなサイズで実現されています。このような複雑で高度な機能と性能を実現するデバイスにおいては、発熱量も大きくなることが多いです。

発熱量を減らすために、半導体デバイス側でも消費電力を抑えるさまざまな工夫がなされています。ただし、さまざまな環境下で使用した場合にも安定動作を維持するためには、ヒートシンクが必要になるケースがほとんどです。

基板用ヒートシンクの使用用途

基板用ヒートシンクは、主に電子機器やコンピュータの基板に取り付けて使用される冷却装置です。以下は、基板用ヒートシンクの主な使用用途の一部です。

1. CPU

CPUは、コンピュータの計算や制御を担当する重要な部品です。高性能のCPUは多くの演算を行い、その結果多くの熱を発生させます。過熱すると性能が低下したり、損傷を受けたりする可能性があります。

基板用ヒートシンクはCPUに取り付けられ、CPUから発生する熱を吸収することが可能です。ヒートシンクのフィンを通して周囲の空気との熱交換を促進します。これによってCPUの適切な動作温度を維持し、性能を最大限に引き出すことが可能です。

2. GPU

GPUは3Dグラフィックスの処理やビデオのデコードなど、グラフィックスに関連するタスクを担当します。高解像度のゲームやビデオ編集など、グラフィックスの負荷が高い場面ではGPUも多くの熱を発生させることが多いです。基板用ヒートシンクはGPUに取り付けられ、適切な冷却を行って高いパフォーマンスを維持します。

3. パワーエレクトロニクス

パワーエレクトロニクスは、電力を制御または変換するための電子部品です。インバータやモータードライバーなどがその一例です。

これらの部品は高い電力を取り扱い、それに伴って大量の熱が発生します。基板用ヒートシンクはこれらの部品に取り付けられ、効率的な冷却を行います。結果として、過熱による損傷を防止することが可能です。

基板用ヒートシンクの原理

基板用ヒートシンクの冷却原理は、熱伝導と熱放射のプロセスを利用して、電子機器の基板上に発生する熱を効果的に除去することにあります。

1. 材質と形状

基板用ヒートシンクは熱伝導性の良いアルミや鉄、などがその材料として使用されています。さらにヒートシンによる熱の発散能力を高めるために、その表面積を広げる工夫がなされることが多いです。

ヒートシンクの表面に多くの薄い板を間を空けて並べて立てることにより、表面積を広げる工夫がその一例です。また、表面に多くの棒状構造物を接着した製品も、表面積を広げる工夫の1つです。さらに、熱を効率的に逃がす場合は、強制風冷によって周囲温度を下げることもあります。

2. 固定方法

基板へのヒートシンクの固定方法はさまざまです。両面テープやピン、クリップなどがその一例です。熱伝導性両面テープによって固定する場合があります。

ヒートシンクと発熱体の間に熱伝導性の高い両面接着テープを挟んで固定する方式です。小型・軽量なヒートシンクには、良く用いられます。ヒートシンクとボードをプッシュピンで固定する方式もあります。

スプリングの張力でヒートシンクを保持します。 ヒートシンクとボードを段付きネジで固定する方法もあり、ヒートシンクの交換が容易な点が特徴です。

Z形状クリップはボード上にアンカーを二箇所用意し、Z形状のワイヤークリップで固定する方式です。着脱が容易である、という特徴を持ちます。

基板用ヒートシンクの種類

基板用ヒートシンクの冷却方式によって、自然空冷と強制空冷の2種類に分けられます。

1. 自然空冷

自然空冷は、ヒートシンクからの放熱のみに頼る方式です。筐体がない開放空間の方が有利とされます。

2. 強制空冷

強制空冷は、ファンを用いて冷却する方法です。強制空冷を行う際は筐体があった方が、効率が高くなります。ダクトの開口部サイズによって筐体内部の風速を制御し、熱を逃がすシステムです。

強制空冷では流路が大きすぎると風速が減り、流路が小さすぎると風量が減ってしまいます。適切な風速と風量を維持するためには、流路の最小断面積をファンの最小断面積と同等以上にすることが重要です。

参考文献
https://www.micforg.co.jp/jp/c_ref4.html
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ne/18/00027/00004/

ハンダ吸取器

ハンダ吸取器とは

ハンダ吸取器

ハンダ吸取器とは、誤って付けたハンダを取り除くために使用される工具です。

ハンダ付け作業では電子部品と回路基板を接続するためにハンダを使用しますが、作業ミスなどにより間違った位置にハンダを付けてしまうことがあります。ハンダ吸取器によって、これらのはんだを取り外すことが可能です。

なお、ハンダ吸取器によって取り除かれたはんだは再利用できます。これにより、部品の廃棄を減らし、コスト削減にもつながります。また、ハンダ吸取器を使うことでミスを矯正する時間が短縮されます。作業効率や生産性を向上させることが可能です。

ただし、ハンダ吸取器の一部ははんだを取り除くために熱を使用します。しかし、過度に熱を加える、と回路基板や電子部品に損傷を与える可能性があります。特に、感熱性の高い部品や基板を取り扱う際には注意が必要です。

ハンダ吸取器の使用用途

ハンダ吸取器は、はんだ付け作業においてさまざまな用途で使用されます。主な使用用途は以下の通りです。

1. 誤ったはんだの修正

電子部品や回路基板のはんだ付け作業において、誤ってはんだを付けたり、不適切な位置にはんだを流し込んでしまったりすることがあります。その場合に、ハンダ吸取器を使って誤ったはんだを取り除きます。これにより、正確なはんだ付けを行うことが可能です。

2. はんだの除去

古い回路基板や電子部品からはんだを取り除く際にも、ハンダ吸取器が役立ちます。古いはんだを取り除くことで、部品を再利用するための準備が可能です。

3. はんだの移動

はんだ付け作業において、はんだを特定の位置に移動させることがあります。複数の部品をはんだでつなげる際にも、ハンダ吸取器を使うこと多いです。はんだ吸取器の吸引力を利用して、はんだを精密に配置することが可能です。

4. クリーニング

回路基板や電子部品の表面をクリーニングする際にも、ハンダ吸取器を使用します。ハンダ吸取器の吸引力を使って、汚れやごみを取り除くことが可能です。

ハンダ吸取器の原理

ハンダ吸取器は、熱と気圧を組み合わせてはんだを吸引・除去する仕組みです。ハンダ吸取器の先端部分には熱源が備わっています。この熱源はハンダを溶かすための高温を生み出し、ハンダを液体の状態にします。

ハンダが液体の状態になると、ハンダ吸取器の吸引力が作動します。吸引力は、吸引ポンプやファンなどの装置によって発生させることが多いです。これにより、液体状態のハンダがハンダ吸取器の先端に吸い込まれます。

液体状態のハンダが吸い込まれると、ハンダ吸取器の先端部分が冷却されます。冷却により、ハンダを再び固体に戻すことが可能です。吸い込まれた固体のハンダは、ハンダ吸取器内部の収納部に蓄積されます。

ハンダ吸取器には取り外し可能なカートリッジやフィルターが設置されており、これらを定期的に交換することで収集したハンダを取り除くことが可能です。

ハンダ吸取器の選び方

ハンダ吸取器を選ぶ際には、以下の要素を考慮して適切なモデルを選ぶことが重要です。

1. 動力源

ハンダ吸取器には、手動式と電動式の2つのタイプがあります。手動式のハンダ吸取器はハンドプッシュやペダル操作によって吸引力を発生させる場合が多いです。

電動式のハンダ吸取器は電源からの動力によって吸引力を発生させるため、簡単に使える場合があります。

2. シリンダ容量

ハンダ吸取器のシリンダ容量は吸引できるハンダの量を示します。大容量のシリンダは大量のハンダを吸引する際に便利です。一方、小容量のシリンダは細かい作業や持ち運びに適しています。

3. 熱源

ハンダ吸取器には、加熱要素が内蔵した製品と別売の製品があります。別売の製品は軽量で取り回しがしやすく、安価な製品も多いです。用途に応じて熱源の有無を選定します。

4. 静電気対策

静電気は電子部品や回路に損傷を与える恐れがあるため、特に電子機器の取り扱いには注意が必要です。静電気対策が施されているハンダ吸取器を選ぶことで、静電気によるトラブルを防ぐことができます。

参考文献
https://godhanda.co.jp/blog/kisokouza13/

SOC

SOCとは

SOC

SOC (英: System On a Chip) とは、1つの集積回路上にシステム機能を統合して纏め上げたものです。

従来のシステム設計では、複数のチップ (マイクロ・プロセッサ、メモリ、グラフィックデバイス、通信用デバイスなど) を組み合わせて構成していましたが、SOCではこれらの機能を1つの集積回路上に統合して、コンパクトで高性能なシステムを実現しました。

SOCの使用用途

SOCはスマートフォン、タブレット、組み込みシステム、IoTデバイス、自動車など、さまざまな応用領域で広く利用されています。これらの機器に搭載されたSOCは、機器制御のための中枢部として、多機能化と機器の小型化に貢献しています。

1. モバイルデバイス

スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスは、SOCを使用して機能を実現しています。プロセッサ、グラフィックス処理、メモリ、通信機能、センサーなど、様々な機能が単一の集積回路上に統合されています。

2. 組み込みシステム

SOCは、組み込みシステムにおいて幅広く利用されています。自動車、家電製品、産業制御、医療機器など、様々な組み込みシステムにSOCが利用されており、高度な機能やリアルタイム処理を実現しています。

3. IoT (Internet of Things) デバイス

IoTデバイスは、センサー、通信機能、データ処理などの機能を必要とします。SOCは小型で低消費電力なデバイスにおも拘わらず、高度な機能と通信能力を提供可能です。スマートホームデバイス、センサーノード、ウェアラブルデバイスなどがその例です。

4. ネットワーク機器

ルーター、スイッチ、ネットワークセキュリティ機器など、ネットワーク機器においてもSOCが利用されています。高速なデータ処理や通信機能の統合により、高性能なネットワーク機器の実現が可能です。

5. オーディオ/ビジュアル機器

テレビ、オーディオ機器、デジタルカメラなどのオーディオ/ビジュアル機器においても、SOCが利用されています。映像処理、音声処理、インターフェースなど、多様な機能を単一の集積回路で統合しています。

6. 自動車システム

自動車においては、SOCが車載システムの中核として使用されています。車両制御、運転支援システム、エンターテイメント、通信など、様々な機能がSOCによって総合的に管理され、快適性や安全性の向上が図られています。

SOCの原理

SOCは上記の通り、1つの集積回路内にあらゆる機能を詰め込んで、所望のシステム機能を得るための方法です。各機能は、回路ブロックとして有償もしくは無償で設計データが提供されています。

それらから必要な機能を選択し、設計ツールを用いて配置/接続することで、所望の機能を有する集積回路の設計データを得ることができます。回路ブロックとして提供されているのは、次のようなデバイスです。

1. マイクロ・プロセッサ

ほとんどの場合、マイクロ・プロセッサ (CPU) が搭載されます。これによりソフトウェアにより様々な機能を実現することが可能になります。

2. メモリデバイス

CPUが利用するメモリも搭載されています。主にデータやプログラムを格納するために使われますが、キャッシュメモリ、RAM、ROMなどが対象です。

3. グラフィックス処理デバイス

グラフィックス処理機能が搭載されていることもあります。これにより、ビデオ再生、画像処理、3Dグラフィックスなどの高度なグラフィック表示が可能です。

4. 入出力インターフェース

外部デバイスとの接続に使用されるさまざまなインターフェースが搭載されます。例えば、USB、HDMI、Ethernet、Wi-Fiなどが対象です。

5. 通信機能

多くの場合各種通信プロトコル (例えばBluetooth、NFC、LTE) に対応した通信機能を備え、ネットワーク接続やシリアルデータの送受信ができるようになっています。

6. センサー信号処理

加速度計、ジャイロスコープ、磁気センサー、光センサーなどのアナログ信号を扱うための処理回路や、デジタルデータに変換するA/Dコンバータなどが搭載されることがあります。

 

これらのデバイスを単一のチップで統合することができるようになったことから、高性能でありながら省スペース、低消費電力なシステムが実現されました。

SOCのその他情報

SOCの開発プロセス

SOCの開発は、以下のようなプロセスに基づいて進められます。

1. 機能の選択と設計
SOCの設計プロセスは、まず必要な機能を選択し、設計仕様を定義します。これには、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、ネットワーク機能、センサーなど、特定のアプリケーションに必要な機能を全て含めなければなりません。

2. ハードウェア設計
選択した機能のハードウェア設計を実行します。これは、デジタル回路、アナログ回路、メモリブロック、インターフェース回路など具体的な回路で表現されたものです。設計手法として、回路図、フローチャート、HDL (Hardware Description Language) などが利用されます。

3. チップ統合と配置
回路設計終了したハードウェアブロックは、一枚のチップ上に配置されますが、これには回路の相互接続、信号ルーティング、電源配線などの情報が含まれています。ここでは高度な自動設計ツールを使用することで、効率的かつ信頼性の高いチップレイアウトを実現することが可能です。

4. デバイス製造
回路設計とレイアウトが完了した後、製造プロセス設計が行われます。これには、半導体ウエハの製造、トランジスタや回路の形成、配線層の作成などの情報が含まれます。最終的には、ICチップを製造し、パッケージに封止して完成となります。

5. ソフトウェア開発
SOCはハードウェアだけでなく、ソフトウェアも含むシステムです。ソフトウェア開発には、ハードウェアと連携して機能を満足するファームウェアやドライバ、アプリケーションソフトウェアなどの開発を含みます。

6. 検証とテスト
完成したSOCは、検証とテストが行われます。これには、回路の動作確認、信号の正確性の確認、システムレベルのテストなどが含まれます。不具合の修正や最適化が行われ、品質と信頼性が確保されます。

 

以上のプロセスによって、SOCは単一のチップ上に複数の機能を統合した、高度なシステム機能が完成します。

参考文献
https://www.cqpub.co.jp/dwm/Contents/0059/dwm005900360.pdf
https://www.kumikomi.jp/soc/

硬度測定器

硬度測定器とは

硬度測定器とは、物質の硬さを測定するための装置です。

他の物体によって加えられる力が、曲げなのか、伸びなのか、ねじりなのか等、目的に応じて異なるため、硬さ (硬度) という一律の単位はありません。そのため、目的や用途に応じて硬度測定器を使い分けます。

違う硬度測定器の数値をそのまま比較はできませんが、硬度換算表を用いることで、ある程度は相対的に比較できるものもあります。

硬度測定器の使用用途

硬度測定器は、新製品の開発や、工業製品の品質管理に用いられます。試験対象ごとに管理すべき硬度が違うため、試験対象物に適した硬度測定器を用いる必要があります。

1. 製品の品質確認

製品が設計上の要件を満たす硬度があるかを確認するために使用されます。

2. 研究開発

新しい材料や処理方法を開発する際に、その効果を評価するために硬度測定器が使用されます。また、同種や異種の材料の比較を行い、測定された硬度から、特定の用途に最適な材料の選択が可能になります。

3. 不具合の原因解明

工業製品の故障原因の分析の一環として、故障部品の硬度測定を行い、硬度に起因する故障でないかの特定に使用されます。

硬度測定器の原理

それぞれの硬度測定器の測定原理は以下の通りです。

1. ブリネル硬度測定

球状の圧子を10~15秒サンプルに押しつけ、試験荷重F (N) 、圧子直径D (mm) 、くぼみの直径d (mm) から表面積S (mm2) を算出し、硬度を求めます。

   ブリネル硬度 (HBS)
= 0.102 × (試験荷重F/くぼみ表面積S)
= (0.102 × 2F)/[πD(D-{(D2-d2)}0.5]

JIS Z 2243では圧子として超硬合金球を用いることが定められています。

2. ビッカース硬度測定

対面角136°のダイヤモンド四角錐圧子をサンプルに押しつけ、試験荷重F (N) 、くぼみの対角線長さd (mm) から表面積S (mm2) を算出し、硬度を求めます。

   ビッカース硬度 (HV)
= 試験荷重F/くぼみ表面積S
= 2Fsin68°/d2 = 1.854 F/d2

試験方法はISO 6507およびJIS Z 2244にて定義されています。

3. ロックウェル硬度測定

試験片にダイヤモンド圧子を押し当てて、その際にできるくぼみの深さから硬度を算出する方式です。頂点角が120°の圧子を用いるものをHRC、薄板等をより弱い試験力で測定するHRA、ダイヤモンド圧子の代わりに鋼球を用いるHRBなどに分類されます。

くぼみの深さがサンプルの厚さの1/10以下となる荷重を選択する必要があります。なお、測定方法はJIS Z 2245によって定義されています。

4. ヌープ硬度測定

対稜角が172°30′と130°のダイヤモンド四角錘圧子をサンプルに押しつけ、試験荷重F (N) 、くぼみの長辺対角線d (mm) から求めた表面積S (mm2) から算出します。ビッカース硬度測定と同じ試験機を用います。

   ヌープ硬度 (HK) = 14229F/d2

なお、測定方法はJISZ2251によって定義されています。

硬度測定器の種類

代表的な硬度測定器は、以下の通りです。

1. ブリネル硬度測定器

顕微鏡などの光学装置により測定します。他の測定器よりも高い荷重に対応しており (~3,000kg) 、表面が粗い大きなサンプルに適しています。

2. ビッカース硬度測定器

顕微鏡などの光学装置により測定します。ブリネル硬度測定では、同じ圧子を用いても試験荷重によって得られる硬度の値にバラツキがあるのに対し、ビッカース硬度測定では試験荷重の違いによる影響をほとんど無視できる点が優れています。

柔らかいサンプルから硬いサンプルまで幅広く測定可能で、特に歯科分野などの臨床検査に使用される場合が多いです。

3. ロックウェル硬度測定器

ブリネル測定器やビッカース測定器と異なり、光学装置なしで素早く測定できます。ダイヤモンド製の円錐圧子を主に使用しますが、軟質鋼や可鍛鋳鉄、銅合金やアルミニウム合金などの比較的柔らかいサンプルを測定する際には、鋼球または超硬合金球を使用します。主に、鉄鋼材料の測定に用いられています。

4. ヌープ硬度測定器

数g程度の軽い負荷の測定に適しており、セラミックなどの亀裂、コーティングの測定に用いられます。

硬度測定器のその他情報

1. 硬度測定のJIS規格

硬度試験は以下のJIS規格で規定されています。

  • ブリネル硬さ試験: JIS B 7724
  • ビッカース硬さ試験: JIS B 7725
  • ロックウェル硬さ試験: JIS B 7726

また、被検体の材質によって、別途JIS規格が有ります。以下に記する材質は、独立したJIS規格があります。

2. ポータブル硬度測定器

スポンジ、ゴム、プラスチックの硬度測定にはハンディ (手持ち) タイプの物があります。また、簡易的な卓上型に比べて簡易的な測定となりますが、金属用のポータブル硬度測定器も有ります。測定方式は1種類で圧子も同じものを使い、換算で複数の硬度単位を表示します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/44/10/44_10_722/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/10/75_10_1183/_pdf
https://www.struers.com/ja-JP/Knowledge/

可変抵抗器

可変抵抗器とは

可変抵抗器

可変抵抗器とは、抵抗値を自由に変化させることができる抵抗器です。

抵抗体と抵抗体の表面を移動する摺動子から構成されているものが一般的で、摺動子の位置を変えると抵抗値が変化します。つまり、摺動子の位置により抵抗値が決定されるものです。

また、可変抵抗のことをポテンショメーター (英: potentiometer) と呼ぶことがあります。

可変抵抗器の使用用途

可変抵抗器は、さまざまな電子機器に使用されています。代表的な例は、オーディオ機器における音量調節機構です。所謂ボリュームと言われています。

そのほか、ゲーム機のコントローラや照明機器の明るさ調整機構、位置検出のためなどに可変抵抗器を用いることがあります。例えば、車のワイパーに同期して可変抵抗器が動く構造であれば、ワイパーの位置により抵抗値が変わります。それを利用して、ワイパーの動きを制御する際に可変抵抗器の抵抗値をモニターする事でワイパーの位置を検出します。

このようにさまざまな使用用途があることから、電子機器に限らず、船舶機器や医療機器、建築機械、工作機械など幅広く利用されている部品です。なお、可変抵抗器には、回転軸を回すことで抵抗値が変化するものやツマミをスライドすることで抵抗値を変化させるものがあります。

可変抵抗器の原理

可変抵抗器は、一定の抵抗値を有する抵抗体の両端と、抵抗体上を動く摺動子に接続されている3本の電極を備え、抵抗体の片側の電極と摺動子の電極間の抵抗値は摺動子の移動と共に変動するものです。可変抵抗器の抵抗体の両端子間に電圧を加えると、摺動子の端子からはその電圧を分圧した電圧が得られます。

即ち、抵抗体の両端に信号電圧を加えると、基準とする片方の端子と摺動子端子間の信号電圧は、摺動子の位置で決まります。したがって、摺動子を動かすことで信号電圧のレベルを自在に制御が可能です。

また、抵抗体の両端に一定電圧を加えておき、基準とする片側の端子と摺動子端子の電圧を測定すると、摺動子の位置に応じた電圧が求められます。この電圧から摺動子摺動子の位置が求められるので、変位センサーとして使うことができます。

可変抵抗器の種類

1. 回転軸の動きによる分類

直線型
直線型は、つまみをスライドするタイプです。変異センサーの用途では、直線上の位置を検出する場合に使用されています。

回転型
回転型は、回転軸を回すタイプです。変異センサーの用途では、回転角度を検出する場合に使用されています。

多回転型
抵抗値を精度よく変化させるために、多回転型と呼ばれる可変抵抗器もあります。これはギアを使って回転軸の動きを減速して、微妙な抵抗値の設定が出来るようにしたものです。

2. 抵抗値の変化特性による分類

可変抵抗器の抵抗値とは、抵抗体両端の端子間の抵抗値を示すもので、一般に100Ωから1MΩの範囲のものが良く使われます。また、回転型の可変抵抗器において摺動子の回転角と抵抗値の変化は、直線となるB型、対数カーブとなるA型、逆対数カーブとなるC型があります。

Aカーブの特性を持つ可変抵抗
主にオーディオ機器の音量調整用に用いられています。人間の聴覚は電気的信号の大きさに比例せず、その対数に比例するため、Aカーブの特性では、聴覚上音量変化が直線的であると感じます。

Bカーブの特性を持つ可変抵抗
電子回路の調整や変異センサーなどに用いられています。

Cカーブの特性を持つ可変抵抗
Aカーブとは逆の特性のカーブで、特殊な用途に限定されています。使用例は、
オーディオの音質やエフェクタの調整などです。

可変抵抗器のその他情報

デジタル可変抵抗器

デジタル可変抵抗器とは、PC等のコントローラーで抵抗値を可変できる電子部品です。IC内部に構成された抵抗器とスイッチ素子の集合体をコントローラーからの制御信号で切り替えることで、任意の抵抗値に設定できます。

摺動子がないため摩耗がなく、高精度の抵抗値を安定して得ることが可能です。また、摺動子から発生するノイズもありません。さらに、一般に寿命が長く高性能という特徴もあります。

硬度計

硬度計とは

硬度計とは、広く一般的には金属や樹脂、ゴム製品などの表面の硬さを評価するための試験装置です。

金属の硬さを評価する機器は「硬さ試験機」、樹脂やゴムなど比較的柔らかい物質の硬さを評価する機器は「硬度計」と呼ばれる場合が多いですが、実際には明確な定義はありません。また、水のミネラル分の量を表すための硬度計もあります。

硬度の正しい定義は、圧子と呼ばれるものを測定対象部分に押し込んだ際の製品の変化などから、硬さを評価する試験結果を数値として表したものです。硬度を示すための試験は、さまざまな方法があります。測定する材料には、金属、樹脂など多くの種類があり、用途に応じて硬さを測定する方法を選択することが重要です。

硬度計の使用用途

硬度計の代表的な用途は、以下のとおりです。

1. ロックウェル硬さ

押込み硬さの1種で、ダイヤモンドや硬球などの圧子を、定められた荷重を測定する材料にかけてくぼみを作ります。そのくぼみの深さから硬さを測定する方法する方法です。

まず、最初に基準の押し付け荷重を圧子にかけて、深さの原点を決めます。その後、決められた試験押し付け荷重に達するまで、追加で荷重を負荷して一定時間保持した後に、基準荷重に戻します。この時の最初に基準荷重をかけて原点とした深さと基準荷重に戻した深さの差により、硬さを評価します。

主に熱処理をした鉄鋼材料の硬さを評価する試験です。金属用の硬さ試験であるビッカース硬さ試験とともに広く用いられています。ただし、ビッカース硬さ試験よりも試験荷重が大きいために、試験荷重に耐えられる試験片が必要です。

2. ビッカース硬さ

押込み硬さの1種で、ダイヤモンドを圧子として測定する材料に押してつけてくぼみを作り、押し付けた荷重とくぼみの表面積から硬さを測定する方法です。くぼみの大きさは、金属顕微鏡で計測します。

主に金属の硬さを評価する試験ですが、非常に狭い範囲の硬さを評価することが可能です。熱処理を施した金属において、熱処理で硬化した深さを評価する場合にも使用されます。有効硬化層深さと言います。

3. ショア硬さ

反発硬さの1種で、銅棒の先端にダイヤモンドを取り付けた圧子を測定物のに落下させて、測定物にぶつけた後の圧子の跳ね返りの高さから測定する方法です。反発高さ試験で圧子を特定の高さから落とし、ぶつけた後の圧子の反発の大きさ (跳ね返りの高さ) から測定します。

そのため、電源が不要です。大きな建築物などの現地試験が可能となります。

硬度計の原理

硬さを評価するための方法には大きく、押込み硬さと反発硬さの2つに分けられます。

1. 押込み硬さ

圧子と呼ばれるダイヤモンドなどの硬い材料を測定する材料に押し付け、その押し付けたくぼみの深さなどによって硬さを求めます。金属の硬さを評価するブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さなどがあります。

2. 反発硬さ

圧子を測定する材料にぶつけて、ぶつけた後の圧子の反発の大きさによって硬さを測定します。主な試験にショア硬さがあります。

硬度計のその他情報

1. 食品用硬度計

食料品の硬さを計る測定器はレオテスター、またはレオメータと呼ばれます。レオテスターの測定対象となる食品は、本編のいわゆる硬度計のカテゴリに比すると、はるかに柔らかく上記の硬度計では測定することができません。

レオテスターの測定単位も他の硬度単位と同様に規定が無いため、測定で使った荷重計、フォーステスターなどの表示単位をそのまま使うか、圧縮板を用いた場合には圧縮板の面精あたりの表示 (N/㎟) などで表示されます。しかし、他の硬度と同様にデータの相関性は薄いため、同じ測定器で測定したデータ間での相対比較で評価することになります。

2. 水の硬度計

水の硬度はいわゆる硬水、軟水などと呼ばれるものです。水の硬度は水に含まれカルシウム量の2.5倍 (Cax2.5) とマグネシウム量の4倍 (mgx4) の和の値を表していて、それらの物質を、化学反応で測定する測定器と、試薬を使って測定します。単位は mg/L (アメリカ硬度) で表記され、数値が高いものを硬水、数値が低いものを軟水と呼びます。

参考文献
https://info.shiga-irc.go.jp/public/data/1008/205.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/10/75_10_1183/_pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/testing-machine/material/hardness.jsp
http://ms-laboratory.jp/strength/ms2/hd/hd.htm

電子タイマー

電子タイマーとは

電子タイマー

電子タイマーとは、特定の時間にONし特定の時間にOFFする機能を持つタイマーの中でも、電子回路や半導体ICを用いたものです。

プログラムタイマーと呼ばれることもあります。電子タイマーの場合、毎日同時刻にONさせ、その後指定した時間を経てOFFさせるような使い方が一般的です。中にはプログラム機能を活用し、ON/OFFの指定時間の組み合わせを複数パターン有するものがあります。この場合、例えば月曜日はAパターンのON/OFF時刻で制御し、火曜日はBパターンのON/OFF時刻で制御し、以降C、D、E ・・・のパターンで、各曜日単位でいずれのプログラムを有効にするか選択するような使い方が可能です。

電子タイマーの使用用途

電子タイマーは照明器具や家電機器などに多く使われている他、産業機器の制御向けにも広く用いられています。

照明器具では、例えば、毎日同じ時刻に照明のイルミネーションを点灯させ所定の時刻になったらOFFさせるという使い方や、毎日同じ時刻に加湿器をONにして、決まった就寝時刻にOFFさせるといった使い方が想定されます。産業機器の場合には、工場等の産業機器の電源制御に電子タイマーを使う事例や、身近なところでは押しボタン信号機の制御などにも用いられています。

最近ではセンサー機能と組み合わせて、様々な付加機能が搭載された製品もあります。例えば、照度センサーを備え、周囲が明るくなったらON、暗くなったらOFFするといった使い方です。夜間は使わないが昼間だけ稼働してほしいような場面において便利です。また屋外での利用を想定して防水型のものや、接続されている機器の使用電力量を表示してくれるタイプもあります。

電子タイマーの原理

電子タイマーは、内部の電気回路の抵抗とコンデンサ (容量) からなる時定数で決まる遅延時間を動作原理として活用しています。コンデンサに電荷が溜まるまでには所定の時間を要するため、対に用いる抵抗値を可変させることで、時定数すなわち所定の時間を決定します。

タイマーの動作ONとなる入力信号はトリガーとも呼ばれ、このトリガーを基準に様々な動作モードで動作することが可能です。主な動作モードを以下説明します。

1. ディレイモード

この動作モードには、入力のトリガー信号が入った後で一定期間を経て出力がON動作するオンディレイモードや、その反対に入力トリガーと同時にタイマーがONし、所定の時間のタイマーOFFの際に出力がONになるオフディレイモードがあります。

2. フリッカモード

タイマーONの後、一定期間出力ON/OFFを繰り返す動作モードをフリッカモードといいます。

3. インターバルモード

入力トリガーと同時に出力がONとなり、タイマーの設定時間後に出力OFFになる動作モードです。

4. 電源の扱いなど

電源は電池駆動品のポータブルなタイプの他に、通常は商用電源AC100Vを入力するACコンセント (電源供給側) の差込口と制御対象の電気機器のACコンセント (電源取出し側) の差込口とが用意されています。これは、所定のON時刻になった場合、前述の電源供給側と電源取出し側を導通させることにより接続された機器に電力を供給するというとてもシンプルな仕組みです。

許容電力が電子タイマーの種類によって異なるため、この許容電力を超える電力の供給はできません。電子タイマーの許容電力を確認し、使用する機器が必要とする電力量がそれ以下であることを確認した上で使用する必要があります。

プログラムタイマーで複数のプログラムを持ち、操作用の複数のプッシュボタンと液晶表示を持つような高機能型の電子タイマーの場合は、マイコンを搭載したデジタル設計が施されていることが多いです。

電子タイマーの構造

タイマーは大きくアナログ式とデジタル式に区分できますが、電子タイマーは電子回路を用いているため、一般にはデジタル式タイマーに相当します。

電子タイマー筐体の内部構造は、例えばNE555と呼ばれるタイマーICと、ディスクリート部品で構成された遅延を制御する電気回路、外付けの抵抗RとコンデンサC (容量) で構成されており、CRの時定数で遅延時間を調整します。

ICや電気回路に供給する電源と、時間を表示するLED表示灯やリレー等が筐体内に具備されているのが一般的な構造です。複雑な制御が可能な電子タイマーの場合にはプログラミング機能を有するマイコンが内蔵されています。

卓上旋盤

卓上旋盤とは

卓上旋盤

卓上旋盤とは、金属などの材料を円筒形に削るための機械のことです。

旋盤は、加工したい材料を回転させながら刃物を当てることで削り取る加工機械です。卓上旋盤は大型の業務用旋盤とは異なり、小型でテーブルトップ使用が可能な旋盤です。

卓上旋盤はベッド、主軸台、刃物台、心押台から成り立っています。主軸台では材料を固定し、一定の速度で回転させます。刃物台には金属の切削用の刃物を固定します。心押台は主軸台と対向に設置されており、先端部を変更すればドリル穴加工も可能です。

卓上旋盤はDIYや趣味の範囲で使用されることが多く、小型の加工や修理などに適しています。業務用旋盤に比べて手軽に使用できるため、金属加工に興味がある場合や自分で作品を作る場合には最適です。安価な機種もありますが、卓上旋盤は基本的には高価な機械のため、購入前には調査が必要です。また、使用時には必ず安全対策を講じることが重要でしょう。

卓上旋盤の使用用途

卓上旋盤は金属やプラスチックなどの硬い材料を円筒形状に削ることが得意で、特に穴あけやネジ加工などに役立ちます。

様々なサイズや種類が存在するため、個人でも手軽に取り扱うことが可能です。例えば、DIY愛好家が自作するパーツや工具を加工する場面や、学校の工作教育で使用されることもあります。さらに、工場や製造現場でも卓上旋盤は重要な役割を担っています。

例えば、自動車や航空機、建設機械などの製造現場では、部品や部材の加工に卓上旋盤が使用されます。また、小規模な製造現場でも、卓上旋盤を用いて部品や製品の製造を行うこともあり、用途は多種多様です。

小型・手軽な取り扱いと、円筒形状の加工に優れた能力から、広範囲にわたる用途で使用される機械です。技術的なスキルが必要な場面でも、卓上旋盤を用いれば、より高い精度で加工を行えます。

卓上旋盤の原理

卓上旋盤の原理は、回転する材料に対して切削加工が施すことで成り立ちます。卓上旋盤の構造は、縦旋盤と横旋盤に分類され、主軸の方向によって異なります。

1. 縦旋盤

縦旋盤では底面に主軸があり、上面に刃物台が設置されています。この構造により、垂直方向に重量のある加工が行いやすく、重力や遠心力が均等にかかるため、加工の精度が向上します。ただし、あまり長さのある材料の加工が難しく、小さなものを加工する場合には手間がかかるので注意が必要です。

2. 横旋盤

横旋盤では、水平方向に主軸が配置され、加工が容易に行えます。特に、縦旋盤では難しかった長い材料の加工が可能になり、切削時の粉塵の排出性にも優れています。ただし、縦旋盤と比べると精度の高い加工がしにくいという点が特徴です。

卓上旋盤の使い方

小型でCNC制御システムは備わっていないため、大量生産には向いていません。したがって特注の治具や試作工具を自作するような1点ものかつ小型な部品加工に適しており、生産性は問わないことが多いため、切削速度や回転速度を落とし気味にして加工するほうが基本的には安全です。

刃物台にバイト (刃) を取り付け、加工物の中央付近にくるようにバイトに敷板を挟んで高さを揃えること、チャックに加工物を固定することは汎用旋盤と基本的には同じですが、汎用旋盤よりも小さい分、荒削りで一度にたくさんの切り込みを入れると主軸の回転が止まってしまうため、切り込み量は少なめで加工する必要があります。

また、卓上旋盤の種類によっては木工用も存在し、安価で且つ100V電源で作動するため趣味の範囲でのホビーやDIYなどで手軽に使いやすいモデルもあるため、卓上旋盤は事業用のみならず、家庭用としても使える最も身近な旋盤といえます。

卓上旋盤のその他情報

卓上旋盤でできること

小型ながらも汎用旋盤と同じく、基本的な円筒加工物の外径加工、内側の形状を加工する中ぐり加工、芯押し台にドリルやリーマを取り付けて穴あけ加工ねじ切り加工、材料を切断する突っ切り加工などをすることが可能です。

木工用卓上旋盤を使えば木製の食器を作ることができ、金属加工ではダイスホルダーや小径シャフトなどを制作することができます。本体の重量も軽く、スペースも取らず家庭用の電源から電源確保ができることから、小さい部品ならば様々な用途の加工が手軽にできるのが卓上旋盤の魅力です。

また、鋼や木工のみならず、プラスチックやアルミ、真鍮のような材料も加工ができるため、プラモデルパーツの自作や工芸など、工業だけでなく趣味にも使うことができます。

反対に大径の加工物、工具鋼や焼き入れ鋼のような高硬度鋼の加工は機械の剛性上出来ません。CNC制御も備わっていないため大量生産も不可能であるため、本格的な部品製造には向きません。

参考文献
https://www.nakamura-tome.co.jp/2020/09/24/article_00001/
https://www.senban.jp/nyuumon/20.html
https://www.toyoas.jp/products/category/senban/detail.html?p=54
https://dorekau.com/22334#i-7
https://www.ivyhc.com/?p=3795
https://jisakuyaro.com/Metalwork/category44/entry193.html