ノーズプライヤー

ノーズプライヤーとは

ノーズプライヤー

ノーズプライヤーは、金属製品や電気製品などの細かな部品をつまんで操作する工具です。プライヤーの一種で、先端が細くて尖った形状をしています。

ノーズプライヤーは、通常ニッパーペンチなどと共に、電気工事や金属加工、プラスチック加工などの現場で使用される工具です。例えば細い針金を切ったり、またはネジを締めたり端子をつまんだりするために用いられます。

ノーズプライヤーは、小さい部品の取り扱いに適しており、精密な作業に向いています。また先端が細くて尖っているため、狭い場所でも作業できます。

ノーズプライヤーの使用用途

ノーズプライヤーは、電気工事や金属加工、プラスチック加工などの現場で使用されています。これらの現場の以下のような作業に好適です。

  1. ワイヤーの切断
  2. ワイヤーのつまみ曲げ
  3. ワイヤーの持ち上げ・引き出し
  4. 電子工作

順番に解説します。

1. ワイヤーの切断

ノーズプライヤーの先端部分には切断用の刃があります。この刃を使用して、細い金属ワイヤーなどを切断できます。

2. ワイヤーのつまみ曲げ

ノーズプライヤーは先端が細いため、ワイヤーをつまんで曲げられます。例えば電気配線の端子を曲げるなどの細かい作業にも適しています。

3. ワイヤーの持ち上げ・引き出し

ノーズプライヤーは、先端が細く曲がっているため、ワイヤーをつまんで持ち上げたり引き出したりできます。例えば電気配線の端子を挿し込む前に、ワイヤーの先端を曲げたり端子を通すために引き出したりできます。

4. 電子工作

電子部品をはんだ付けするときに、ノーズプライヤーを使って小さな部品をつまんだり、はんだ付けの位置を調整したりできます。

ノーズプライヤーの原理

ノーズプライヤーは、梃子 (てこ) の原理を応用した工具です。梃子の原理とは「小さな力を大きな力に変換する仕組み」であり、ノーズプライヤーではこの原理を利用して、細い先端部分で強い力をかけられます。

ノーズプライヤーの形状は、ハサミに類似した形状です。クロスする二本のアーム(レバー)を備えており、アームの持ち手側を閉じればアーム先端が開き、アームの持ち手側を開けばアーム先端が閉じます。

アームの手で握る持ち手側は長く、先端側のアームは比較的短くて細く尖っています。そのため、アームの持ち手側に大きな力を加えなくても、梃子の原理でアームの先端では作業対象物を大きな力で挟み込むことが可能です。

ノーズプライヤーの種類

ノーズプライヤーにはいくつかの種類があります。ここでは、代表的なものを例に挙げて解説します。名称はメーカーによって異なる場合があります。

フラットノーズプライヤー

フラットノーズプライヤーは、先端がフラットになっているのが特徴です。直角や曲げ加工に好適です。また、部品をつかんだり、持ち上げたり、つまんだりするのにも使われます。ダックビルプライヤーと呼ばれることもあります。

チェーンノーズプライヤー

チェーンノーズプライヤーは、アーム先端の作業対象物を挟み込む部分に作業対象物をグリップする刻みや線材切断用の刃がないのが特徴です。作業対象物を傷つけない用途に向いており、電子機器の組み立て作業や高級宝飾品の加工などによく使用されます。

ロングノーズプライヤー

ロングノーズプライヤーは細長い先端が曲がっているもので、狭い場所にある部品を掴んだり曲げたりするのに適しています。また、小さな穴に細長い部品を通す際にも使われます。

ベントノーズプライヤー

ベントノーズプライヤーは先端が曲がったもので、狭い場所にある部品を掴んだり曲げたりするのに適しています。先端が曲がっているため、より細かな作業が可能です。

ノーズプライヤーのその他情報

ここでは、ノーズプライヤーの長所と短所、ノーズプライヤーの材質を解説します。

ノーズプライヤーの長所

ノーズプライヤーの主な長所は「多機能性」、「操作性」、「耐久性」です。

まずノーズプライヤーは、多くの用途に使用できる汎用的な工具であり、様々な素材や形状のものをしっかりとつかめます。切削刃を備えたものもあり、線材や電線も切断可能です。

またノーズプライヤーは、先端部分が細く尖っているため、狭い箇所にも入り込めます。また手で握る側のアームが長いため、力をかける場所を自由自在に調整でき微調整が可能です。

さらにノーズプライヤーは、一般的に高品質な素材で作られていて頑丈で長持ちします。またメンテナンスが比較的容易で定期的に手入れをすれば長期間使用できます。

ノーズプライヤーの短所

ノーズプライヤーの主な短所は「限定された機能」と「脆さ」です。

ノーズプライヤーは、細長い先端部分を持つプライヤーであり、一般的に細かい作業や細い部品の取り扱いに適しています。しかし大きな力が必要な作業や、大きな部品の取り扱いには向いていません。そのため広範囲の作業に対応するためには他の種類のプライヤーが必要です。

またノーズプライヤーは一般的に細くて軽量な作りになっており、特に高品質でない場合は割れやすい傾向があります。強い力をかけたり、堅い素材を扱ったりすると、ノーズプライヤーの先端部分が曲がったり破損したりする可能性があります。

ノーズプライヤーの材質

ノーズプライヤーのアームや先端部分は、鉄鋼、クロムバナジウム鋼、チタンコーティング、ステンレス鋼などの素材で作られることがあります。素材によって強度や耐久性が異なるため、使用目的に合わせて適切な素材を選ぶことが重要です。

ホログラムディスプレイ

ホログラムディスプレイとは

ホログラムディスプレイ

ホログラムディスプレイとは、21世紀の先端技術の革命であり、ビジュアルコミュニケーションの新たなパラダイムを提供する技術です。

三次元的な情報の表現を可能にし、従来の二次元ディスプレイでは捉えきれない深度と立体感をもたらします。ホログラムディスプレイは、未来的なインタラクションの実現への鍵であり、効果的なプレゼンテーションとエンゲージメントの機会を提供します。

この技術は、産業界のイノベーションと競争力の向上に貢献しており、新たなビジネス展開の扉を開くものとなります。

ホログラムディスプレイの使用用途

ホログラムディスプレイの技術は、その独特の三次元的な表現能力により、様々な産業や場面での利用が期待されています。

1. 医療分野

医療の現場では、MRIやCTスキャンなどの画像データを立体的に表示することで、より詳細な診断や手術の計画が可能となります。また、医学教育でも、解剖学の理解を深める手助けとしてホログラムディスプレイの活用が考えられます。

2. エンターテインメント

映画やゲーム、音楽イベントなどでの利用も増加しています。特にライブコンサートでは、故人のアーティストをホログラムで再現し、リアルなパフォーマンスを実現することができます。

3. 実際のショップや展示会

新製品の展示や宣伝のために、リアルな3Dモデルを展示することで、消費者や来場者の関心を引き付けることができます。

ホログラムディスプレイの原理

ホログラムディスプレイは、視覚的に立体的な情報を伝えるための技術として注目を集めています。代表的な原理や型式は、以下の通りです。

1. ブレード回転型

この方式は、高速で回転するブレード上に映像を投影して、立体的な映像を生み出します。連続した映像がブレード上に投影されることで、視覚の残像効果を利用し、空中に浮かんでいるような映像を生成します。

2. ペッパーゴースト型

古典的な光学的錯覚を利用した方法で、透明な平面   (通常はガラスや透明なプラスチック) を使って、物体の映像を反射させることで、まるで実物が浮かび上がって見える効果を得ます。主にエンターテインメントの場面での利用が知られており、特定の角度から見ると、物体が空中に浮いているように見えます。

3. 水蒸気描写型

霧や水蒸気に光を投影して、空中に浮かぶ映像を生成する方法です。特に屋外イベントやショーでの利用が適しており、大規模な3D映像を実現ができます。

4. 3Dホログラム型

物体からの光の干渉模様をレコードし、これを再生して、真の3D映像を生成します。光の干渉と回折を活用して、物体の3D情報を精密に再現が可能で、非常にリアルな立体映像を楽しむことができます。

5. 網膜ディスプレイ

このディスプレイは、直接ユーザーの網膜に映像を投影する技術です。ヘッドセットや眼鏡の形態を持ち、高解像度での表示が可能です。また、外部の映像と混在させることで、拡張現実 (AR) のような体験も提供できます。

ホログラムディスプレイのその他情報

ホログラムディスプレイのメリット

ホログラムディスプレイ技術は、近年その進化と共に多くの分野での採用が拡大しています。その背景には、この技術が持つ多数のメリットが挙げられます。以下、ホログラムディスプレイの主なメリットを紹介します。

1. 立体的な視覚体験
最も明白なメリットとして、真の立体的な映像を視覚的に体験できる点が挙げられます。ユーザーは2Dの平面的なディスプレイとは異なり、物体の前後や高さを直感的に捉えることができます。

2. リアルタイムインタラクション
最新のホログラムディスプレイは、触覚フィードバックやジェスチャー認識などの技術と組み合わされることで、リアルタイムでのインタラクションが可能となります。これにより、より没入感のあるエクスペリエンスを提供します。

3. スペース節約
物理的なオブジェクトを展示する必要がないため、展示スペースやストレージの節約が可能です。特に商業施設や展示会などの場面で、物理的な制約を感じることなく情報を伝達できます。

4. 高度なプレゼンテーション
複雑なデータや構造を、3Dの形で視覚的に示すことができるため、理解を助けるプレゼンテーションが実現します。特に医療、建築、設計などの専門分野での活用が見込まれます。

5. 新しいエンターテインメントの形態
ホログラムディスプレイは、エンターテインメントの世界で新しい体験を提供します。コンサートや舞台、アトラクションでの利用により、観客に前代未聞のショーを提供ができます。

6. 環境への負荷軽減
物理的な資料やモデルの製作、輸送が不要となるため、環境への負荷を軽減できます。これは持続可能な社会の形成にも寄与します。

参考文献
https://official.koganei.co.jp/downloader/catalog/ETR600/2
https://www.aisan.co.jp/products/hologram.html
https://www.nexmedia24.jp/hologram/
https://www.splaning.co.jp/service/detail/id=117

ベローズポンプ

ベローズポンプとは

ベローズポンプとは、蛇腹のような形状を持つ伸縮性のある部品で、ベローズを活用するポンプです。

ベローズの体積の変化により流体を排出し、輸送します。軸等が不要で、液体の漏出リスクが少ないのが特徴です。

また、鉄が液体に接触しないので、種類によっては危険な化学物質も扱えます。小型で微調整可能なものから、流量30L/minに対応する大型のものまで、幅広い種類が存在します。

ベローズポンプの使用用途

ベローズポンプは、危険な薬品や金属に接すると金属を腐食させる様な薬品、粘度が高い液体、飲料などの輸送に使用されます。具体的には、半導体の製造工程や薬品工場、食品の加工工場、プリント基板などの精密機器の製造工場など、使用分野は幅広いです。

ベローズポンプの選定する際は、輸送する液体にポンプの内部が適しているかどうか、ポンプの輸送量、サイズ、消費電力、停止信号などへの感度、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

ベローズポンプの原理

ベローズポンプは、吸引口と排出口が付いた容器にベローズが接続されています。ベローズ内部には圧力容器が配置され、コンプレッサーによって圧力が増加する仕組みです。吸引口と排出口には、バルブが取り付けられています。

1つのベローズが接続されているポンプも存在しますが、2つのベローズが接続されたモデルもあり、大量の液体の輸送が可能です。吸引過程では、ポンプ内部の圧縮空気が外部へ排出され、これによりベローズが収縮します。このとき、吸引口のバルブが開き、流体が容器内に流れ込みます。

排出過程では、圧力容器から圧縮空気がベローズに供給されて吸引口のバルブが閉じ、排出口のバルブが開き、ベローズが膨張するという原理です。これにより、流体が排出口から押し出されます。これらの動作を高速で繰り返すことで、安定した流量の供給が可能になります。

ベローズポンプの種類

ベローズポンプはその動作方式、ベローズの素材、接続方式、用途によって様々な種類が存在します。

1. 動作方式による分類

動作方式に関しては、ベローズの動きを利用して液体を吸引し、排出する方式と、ベローズの動きによる圧力変化を利用して液体を移動させる方式があります。

排出する方式は比較的シンプルな構造で、圧力変化による移動方式はより高度な制御が可能ですが、装置自体が複雑になる傾向があります。

2. 素材による分類

ベローズの素材に関しては、金属製のベローズと非金属製のベローズがあります。金属製のベローズは高温や高圧に対する耐性があり、耐久性に優れています。

一方、非金属製のベローズは、特定の化学物質に対する耐性や、柔軟性が求められる場合に使用されます。

3. 接続方式による分類

ベローズの接続方式に関しては、単一ベローズ式と複数ベローズ式があります。単一ベローズ式は1つのベローズを使用して液体を吸引・排出します。

一方、複数ベローズ式では、複数のベローズが連携して動作し、より大量の液体を高速に輸送することが可能です。

4. 用途による分類

用途による種類としては、一般的な流体輸送用から、特定の条件下での液体輸送 (例えば、危険な薬品輸送や、高温・高圧下での液体輸送など) 用まで、多種多様なモデルがあります。

これらの種類は、それぞれ特定の用途に適した設計がなされており、その用途に応じて適切なベローズポンプを選択することが求められます。

ベローズポンプの選び方

ベローズポンプを選ぶ際は、以下の点を考慮する必要があります。

1. 使用目的

「何をどのように輸送するのか」「どの程度の量を輸送する必要があるのか」「特定の化学物質や温度に対する耐性が必要なのか」を理解することが重要です。

2. 寿命・メンテナンス性

 一部のベローズポンプは長寿命で、頻繁に交換する必要がありません。しかし、中には定期的な交換が必要となる製品も存在します。

3. コスト

ベローズポンプのコストも重要な要素です。初期費用だけでなく、長期的な運用コスト (電力消費、メンテナンス費用等) も考慮する必要があります。

参考文献
https://www.nikkiso-eiko.co.jp/products/bellows.html

ベルヌーイチャック

ベルヌーイチャックとは

ベルヌーイチャックとは、「ベルヌーイの定理」と呼ばれる流体の流れに対するエネルギー保存則を応用した非接触型のチャックのことです。

製造現場では、ワークの把持および搬送を目的として利用されることが多く、比較的薄くて軽いものの搬送用ロボットなどに搭載されています。技術が進歩し、精密機器が増加している近年、ワークに傷をつけない非接触型のチャックは半導体業界などで注目を浴び、需要も増加の傾向にあります。

ベルヌーイチャックの使用用途

ベルヌーイチャックは非接触でワークを把持・搬送できる特徴から、ワークの物理的ダメージや破損、汚れ、静電気の発生などを嫌う半導体ウエハ、ガラス基盤等の製造現場でよく利用されています。

また、衛生管理が徹底される食品などの把持・搬送にも、ベルヌーイチャックは有用です。今後は食品だけにとどまらず、医療の分野でも使用の範囲が広がっていくことが予想されています。

ベルヌーイチャックの原理

供給ポートで圧縮空気が供給されて、吸着面側のノズルから噴出されます。圧縮空気は旋回流となり、真空の発生が生じます。これがサイクロン効果です。

圧縮空気が対象ワークと吸着面の間から大気に放出されるとベルヌーイ効果が働き、チャック中心部に対して圧力降下が生じます。この時に発生する負圧によって、ワークを引き上げることが可能です。

また、ベルヌーイ効果の吸引力に加えて、サイクロン効果の遠心力による中心圧力降下を利用すると、より高い把持力を有することができます。これによって、より幅広いワークに対応することも可能です。

ベルヌーイチャックのその他情報

1. ベルヌーイチャックのメリット

ベルヌーイチャックの最大のメリットは、非接触でワークの把持ができる点にあります。半導体ウエハなどの製造現場で使用されていた従来の吸着パッドによる吸引把持と比べると、安全性が格段に向上し搬送中にワークの品質を低下させることが少なくなりました。

従来の吸着パッドには樹脂素材等が使用されており、ワークに細かい傷がついてしまうのが課題でした。また、真空吸着方式を用いるため、穴の開いたワークに対しては使用できません。

それに対して、ベルヌーイチャックはワークとの接触が無いので、ワークを傷つける心配がないのが魅力です。

2. ベルヌーイ効果

水や空気などの流体が勢いよく流れた時に、流体周辺の圧力が低下します。ベルヌーイ効果とは、この圧力の低下により周囲の物質を引き付ける現象のことです。

チャック先端からワークに対して勢いよく空気を放射方向に噴射することで、チャック中心部で圧力効果が発生します。ベルヌーイ効果でワークのチャックへの引き付けが発生し、ワークの吸着が可能となります。

3. 使用上の注意点

ベルヌーイチャックは、搬送対象物との初期位置が常用です。初期位置がベルヌーイチャックと対象物で遠い位置にある場合、吸着力が弱まってしまうためです。初期位置を設定する際は、搬送対象物の重さよりも十分に大きな持ち上げる力をベルヌーイチャックが発揮できるかを検討します。

初期位置が離れたワークを搬送する場合、搬送時に勢いがついてしまって対象物がベルヌーイチャックと接触してしまうことがあります。このような事故を防ぐためにもベルヌーイチャックと対象物との初期位置を検討することは重要な項目です。

また、ベルヌーイチャックは垂直方向は吸着できていますが、水平方向は搬送対象物を吸着しているわけではありません。そのため、水平方向への安定度を増大するのに補助器具が必要です。

上述した通り、吸着パッドでは吸引が困難であった穴が空いたワークに対してもベルヌーイチャックは使用可能です。しかし、穴が空いたワークに対しては発揮できるリフト力が低下する傾向があるので注意が必要です。

参考文献
https://www.jel-robot.co.jp/products/BERNOULLI_CHUCK.html
http://jvia.gr.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/07/22ab0619dd6fbf44546f58e23ed88718.pdf

プロトラクタ

プロトラクタとは

プロトラクタ

プロトラクタとは、金属製の定規と分度器が合体した形で、ワークにあてて角度を測る測定機器です。

角度計の一種であり、角度の測定やケガキ (線を引くこと) に利用される測定工具のことを指し、デジタル表示が可能で、任意の角度でゼロ調整ができるデジタル式のプロトラクタも存在しています。

目盛りは明瞭に見えるようデザインされており、光沢を抑えることで見やすさを確保しています。主に機械や金型の組立や測定、配管工事、建築などの工事現場で必要不可欠です。

プロトラクタの使用用途

角度の測定はもちろんのこと、金属や木材に角度をケガキする際にも利用されます。このような作業時には、ロックナットと呼ばれるねじを利用して、定規と分度器を固定し、設定した角度で保持が可能です。

プロトラクタは機械加工、金型製作、治具の設定、角度ゲージの加工、建築現場での排水管やその他の配管工事、建物の構築といった多くの場面で使用されます。内角や外角の測定に加え、溶接継手の開先角度を測るゲージタイプもあり、これらは溶接作業にも利用されます。

プロトラクタの原理

通常のプロトラクタは金属製の器具で、定規と分度器が一体化しています。これで外角の測定は可能ですが、内角や小さな角度の測定は困難です。インサイドプロトラクタと呼ばれる種類では、分度器の外側に2本のアームがあり、三角形を形成する構造となっています。

このアームを内角に当てることで、内角の測定が可能となります。ゲージタイプのプロトラクタでは、溶接の開先角度など小さな角度を測定が可能です。これは開先加工した製品に直接差し込んで角度を測定します。

また、溶接作業や板金加工に適したアングルプロトラクタという種類もあり、溶接後の肉盛りや膨らみに干渉せずに測定できるように特殊な形をしています。スラントルールという測定面に強力な磁石を備えたプロトラクタもあり、水平器の要領で鉄筋の勾配を測ることができ、この種類は建築工事に特化した測定器です。

プロトラクタの種類

各プロトラクタは特定の作業や用途に適しており、効率的かつ正確な角度の測定を実現します。選択するプロトラクタは、作業の内容や要求される精度によって異なります。具体的な種類は以下の通りです。

1. 標準プロトラクタ

最も一般的なプロトラクタは金属製の定規と分度器が一体化した形をしており、主に外角の測定に使用されます。

2. デジタルプロトラクタ

角度の表示がデジタルで、任意の角度でゼロ調整が可能です。これにより、読み取りが容易で、高精度の測定が可能となります。

3. インサイドプロトラクタ

分度器の外側に2本のアームがあり、内角の測定が可能です。アームを内角に当てることで、角度の測定が行えます。

4. ゲージタイプのプロトラクタ

主に溶接の開先角度を測定するために使用され、開先加工された製品に直接差し込んで角度を測定します。

5. アングルプロトラクタ

溶接作業や板金加工に特化しており、溶接後の肉盛りや膨らみに干渉しないように特殊な形をしています。

6. スラントルールプロトラクタ

測定面に強力な磁石を備えており、水平器の要領で鉄筋の勾配を測定することができます。このタイプは主に建築工事に特化しています。

プロトラクタの選び方

プロトラクタの選び方は、使用目的、測定範囲、測定精度、材質、価格などによって異なります。以下に、プロトラクタの選び方についていくつかの基本的なポイントを示します。

1. 使用目的

使用目的を明確にして、どのタイプのプロトラクタが最適であるかを判断します。例えば、内角を測定する場合はインサイドプロトラクタ、溶接作業にはアングルプロトラクタやゲージタイプのプロトラクタが適しています。

2. 測定範囲と精度

必要な測定範囲と精度を確認し、これに適したプロトラクタを選びます。デジタルプロトラクタは高精度の測定が可能であり、読み取りも容易です。

3. 材質

使用環境を考慮して材質を選びます。金属製のプロトラクタは耐久性に優れていますが、プラスチック製のものは軽量で取り扱いが容易です。

4. 価格

予算に応じてプロトラクタを選びます。高価なプロトラクタは高精度で品質が良い傾向にありますが、低コストのものでも基本的な測定は十分に行えます。

5. 目盛の見やすさ

目盛がはっきりと読める、かつ目盛の色が見やすいものを選びます。また、光沢が少ないものが好ましいです。

プロトラクタを選ぶ際には、上記のポイントを参考にして、自分のニーズと要求に最適なものを選びましょう。

参考文献
http://catalog.sokuteikougu.com/index.html?page=178

プレート熱交換器

プレート熱交換器とは

プレート熱交換器とは、複数のプレートを用いて2つの流体間で熱を転送するための装置です。

複雑なプレス形状をしている薄板を使用して、高い伝熱性能を実現しています。特徴として非常に軽量であることや、サイズがコンパクトであることが挙げられます。また、プレートを交換することで容易に設計変更ができるため、フレキシブルな熱交換システムを構築可能です。

連続使用すると、汚れなどによって熱効率が悪化します。プレート熱交換器はコンパクトで運び出しも可能なため、熱効率回復を目的とした分解清掃が容易です。清掃中は予備器を準備設置して運転するユーザーが多いです。

プレート熱交換器の使用用途

プレート熱交換器は、その特性により、多くの産業分野で使用されます。

1. エネルギー産業

エネルギー産業では、オイルクーラーやガス処理に使用されます。エンジンオイルやギヤオイルなどは運転に伴い熱を持つため、プレート熱交換器で冷却します。また、排ガス処理用の冷却塔などは廃液が熱を持つので、プレート熱交換器で冷却して処理します。

2. 化学プラント

化学プラントにおいても、多く使用される機器です。化学反応を制御するためには、温度の制御が非常に重要です。プレート熱交換器によって反応物の温度を上下させることで、反応速度を遅くしたり促進したりすることができます。

 

その他、海洋産業や空調システムなども用途の1つです。海洋産業では海水淡水化プラントなどで使用され、空調システムでは冷却塔の循環水冷却などに使用されます。

プレート熱交換器の原理

プレート熱交換器は、プレートと呼ばれる平板の金属板が複数枚重ねられます。その間に2つの流体が流れる仕組みです。プレートの表面には細かい突起がついており、これによりプレートの表面積が増加して熱伝達率が向上します。

一方の流体はプレートの一側に流し込まれ、他方の流体はプレートの反対側に流し込まれます。流体がプレートの間を通過する際に、プレートの表面に触れて熱交換を行います。冷却媒体の流体は熱を吸収し、熱媒体流体は熱媒体は熱を放出します。

プレート熱交換器の種類

プレート熱交換器は、主に2種類存在します。

1. ブレーシングプレート熱交換器

積層したプレート間をそれぞれの温度の流体が流れるプレート熱交換器です。それほど高くない温度差でも、熱交換を行うことができます。この方式の最大のメリットは、その他の熱交換器と比べてもサイズが小さいことです。

ただし、分解が難しいことからメンテナンス性能が悪い点がデメリットです。プレート内では高い乱流性能を出せるので、伝熱係数は高くなります。また、乱流を用いて中を自動で洗浄することも可能です。

2. ガスケットプレート熱交換器

プレート間をゴム製のガスケットで仕切ったプレート熱交換器です。全体を分解できることが大きな特徴です。プレート同士をボルトで締結している構造をしています。

伝熱プレートを積層する構造であることから、伝熱プレートの増減で任意の伝熱面積に変更することが可能です。非常にメンテナンス性が高く、比較的小型で熱交換の効率が高いことが特徴です。 

プレート熱交換器のその他情報

プレート熱交換器の保全

プレート熱交換器のメンテナンスは以下の順番で進めることが多いです。

  • 目視によるひび割れ確認
  • 分解・ガスケット取り外し
  • 水洗後に化学洗浄し、更に水洗
  • ガスケット取付け後、組立て
  • 通液テスト

水洗工程ではジェット洗浄とブラシによる物理的な洗浄を施します。化学洗浄は一般的に硝酸を使用し、付着スケールを除去後に苛性ソーダで中和洗浄します。最後に水洗し、薬液を洗い流します。

化学洗浄には濃厚な硝酸と苛性ソーダを用いるため、有毒な亜硝酸ガスを吸い込んだり、薬品による薬傷が発生する危険性が高いです。したがって、化学物質に対する知識を持った技術者が行います。

排水も処理困難なため、メンテナンスを専門業者やメーカーに委託するケースがほとんどです。大手のメーカーはメンテナンスサービスも商品として準備しています。

参考文献
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period03.html
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588 
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period03.html
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588#h3_3
https://www.johnsoncontrols.com/ja_jp/services-and-support/equipment-maintenance/plate-type-heat-exchanger

プラテンローラー

プラテンローラーとは

プラテンローラーとは、サーマルヘッドを使用した印刷を行うプリンターやコピー機などの印刷機において、紙送りとサーマルヘッドへの圧着を担う部品として使用されるローラーです。

一般的に、金属製の芯金の周りに樹脂が成形されています。このプラテンローラーが汚れていると、紙が詰まったり、2枚同時に紙を引き込んでしまったりなど、紙送りの不具合が発生します。また、印刷不良などの不具合も発生するため、定期的な清掃が必要です。

プラテンローラーの使用用途

プラテンローラーは、サーマルヘッドを使用した熱による印刷機構を持つ印刷機の紙送り、またはサーマルヘッドへの圧着を担う部品として使用されています。一般的な家庭で使用するようなプリンターからオフィスなどで使用される大型の複合機まで、サーマルヘッドを使用した印刷機には欠かせない部品です。

身近な例としては、レシートを印刷する印刷機などが挙げられます。一方で、インクジェット方式のようなサーマルヘッドを使用しない印刷機にはプラテンローラーは搭載されていません。

プラテンローラーの原理

印刷物を紙に印字する方式には、感熱方式と熱転写方式があります。プラテンローラーは、これらの熱を利用したプリント方式で使用される装置です。

いずれの方式でも、紙を押し付ける役割と送り出す役割を担っています。耐久性やコストを考慮し、目的に応じた方式の選択が必要です。

1. 感熱方式

感熱方式では、感熱紙と呼ばれる熱に反応して印字ができる紙を使用します。プラテンローラーが感熱紙をサーマルヘッドと呼ばれるヒーターの並んだデバイスに押し付けることで、感熱紙に所望の内容を印字することが可能です。

リボンを使用せず、感熱紙のみで印刷可能な点がメリットとして挙げられます。一方で、感熱紙は普通紙とは異なり、熱への耐久性は低い点がデメリットです。

2. 熱転写方式

熱転写方式では、転写紙と呼ばれる紙とリボンと呼ばれるインクを転写紙に移すものをプラテンローラーに送り込みます。プラテンローラーは、転写紙とリボンが重なった状態でサーマルヘッドに押し付けます。

加熱されたリボンが転写紙にインクを染み出させることで、印字が行われる仕組みです。熱転写方式は熱への耐久性が感熱方式よりも高くなっています。

プラテンローラーの構造

プラテンローラーは、一般的に棒状の金属製の芯金の周りに樹脂が成形された構造です。周りに成形されるものがゴム素材のものがほとんどですが、中には使用用途に合わせて様々な樹脂を使用したものも存在します。

ゴム素材が多い理由は、プラテンローラーの以下の2つの機能に起因します。

  • 紙を搬送する
  • 紙をサーマルヘッドに押し付ける

上記の機能を満たすには、紙の搬送には適度な摩擦力が必要になるとともに、印刷に使用するサーマルヘッドへの圧着を均一な力分布で行う必要があるため、ゴム素材を使うことが多いです。

プラテンローラーのその他情報

プラテンローラーのメンテナンス

紙の搬送などの上記機能を担う部品であることから、プラテンローラーは定期的なメンテナンスが重要です。ゴミの付着やローラーの劣化などにより、「摩擦力が低下し、紙送りが正常にできなくなる」「紙を2枚重ねて搬送してしまう」などのトラブルが発生することがあります。

基本的に、プラテンローラーを使用した印刷機の取扱説明書には、メンテナンスが必要となる印刷枚数の目安などが記載されています。この目安をきちんと確認し、定期的にアルコールを少量含ませた布でローラーの汚れやゴミをふき取るなどのメンテナンスを行うことが、印刷品質の継続に不可欠です。

参考文献
https://www.mars-tohken.co.jp/tech-info/trend/detail/flags-170-label_printer_maintenance.html

プラスチックパレット

プラスチックパレットとは

プラスチックパレット

倉庫などでフォークリフトが台に乗せられた荷物を運んでいるのを目にされることは多いと思います。

荷物を乗せている台を荷役台、通称パレットといい、木製のものとプラスチック製のものがあり、プラスチック製のものがプラスチックパレットです。プラスチックパレットは、輸送や物流、保管などに使用され、保管の際には荷物の下敷きとなり、荷物の保護の役目も果たします。

プラスチックパレットのその他情報

1. プラスチックパレットの形状

プラスチックパレットは、すのこ状の形状をしています。

プラスチックパレットの形状(1)

図1. プラスチックパレットの形状(1)

図1に示すように、すのこ状の板材の荷物を搭載する荷物搭載面に直交する側面の貫通孔は、フォークリフトの爪を差し込んで持ち上げるためのものです。

図1のように荷物を乗せる荷物搭載面が上面だけで片面だけ使用可能なタイプと、図2および図3に示すように上下面が荷物搭載面Aおよび荷物搭載面Bとなっており、両面使用可能なタイプがあります。

プラスチックパレットの形状(2)

図2. プラスチックパレットの形状(2)

また、図1および図2、図3に示すようなフォークリフトの爪を差し込む貫通孔が二方向のものと、この貫通孔に直交する貫通孔を有し、四方向に貫通孔があるタイプがあります。貫通孔の形状がハンドリフトに対応しているものや、パレット内にRFIDタグなどの追跡認識用タグを取り付け可能なものは非常に有用です。

2. プラスチックパレットのサイズ

プラスチックパレットのサイズは、1100mm×1100mmの正方形で構成された11型がもっとも一般的で、1400mm×1100mmの長方形で構成された14型や1000mmを下回る小型のパレット、2000mm超の大型サイズもあります。

3. プラスチックパレットの耐久性におけるメリットとデメリット

木製パレットと比較されるプラスチックパレットですが、木製パレットが吸湿による腐食などに弱いのに対し、プラスチックパレットは、吸湿しないため腐食を少なくすることが出来、木製パレットよりも耐久性に優れています。また、木製パレットのように害虫、バクテリアの影響を受けないため、耐久性に優れています。

ただし、プラスチックパレットでは、荷物を乗せる面が一体成型のため、木製パレットのように破損した部分だけを取り換えて補修することは出来ません。

4. プラスチックパレットの荷物への影響におけるメリット

プラスチックパレットでは、木製パレットのように荷物搭載面にひび割れおよび木の「ササクレ」が発生しないため、搭載した荷物底面に傷がつきにくいのがメリットです。

また、木製パレットでは、においの吸着が起こりますが、プラスチックパレットはにおいを吸収しないため、搭載した荷物に臭いが移ることがないという大きなメリットがあります。そのため、におい移りが懸念される商品の搬送にも適しています。

5. その他プラスチックパレットのメリット

プラスチックパレットは、質量が軽いため、運搬の際の労力や負担を減らし、労働環境を改善できるメリットもあります。

木製パレットは、廃棄の際、リサイクルすることが出来ず、廃棄物として処理することになりますが、プラスチックパレットは、廃棄時に、プラスチックを粉砕し、ペレット加工し、またプラスチックパレットとして再生利用できるというメリットがあります。これは、昨今のエコロジーやSGDSの観点からも高く評価される点です。

フラットパネル

フラットパネルとはフラットパネル

フラットパネルは、建設現場で使用される凹凸のない白い囲いになります。従来は、鋼板を囲いとしていましたが、外側からボルトなどを外すことで開けることができるという安全面の不安を、外側にボルトなどを取り付けない凹凸のないものとすることで解消しています。強度についても、ほとんどの製品で鋼板と同程度になっています。白を基調としており、光沢のある製品が多いため、建設現場の周辺を美しく見せる効果も期待できます。基本的には、建設現場の内側に鉄パイプやフックを使用して土台を設置し、取り付けます。

フラットパネルの使用用途

フラットパネルは、建設現場の囲いとして使用されます。フラットパネルを使用することにより、建設現場への部外者の侵入を防ぐほか、白を基調としているため、見た目も美しく景観を汚すことが少なくなります。フラットパネルにイラストなどを貼ることも可能になります。フラットパネルの選定の際には、囲いを設置する高さ、パネル1つの大きさ、質量や構造などの取り付けやすさ、塗装の色合い、強度などを考慮して選定する必要があります。

フラットパネルの特徴

フラットパネルの特徴を説明します。フラットパネルは、アルミ枠とポリプロピレン樹脂、亜鉛メッキ鋼板などを使用して、片側に白色の塗装がされている構造となっています。鋼板のみの囲いに比べて、アルミ枠などを使用している製品は軽量になっています。構成される要素を変更することで、防音機能が高い製品もあります。

取り付け時は、フラットパネルとJ型のフック、鉄パイプ、コーナーパネル、ジョイント金具、幅調整フラットパネルが必要となります。設置場所に必要な幅のフラットパネルをジョイント金具で繋げます。その際、幅調整パネルで必要な幅を調整します。その後、フラットパネルと鉄パイプをJ型フックで接続します。鉄パイプは、土台となる鉄パイプと接続され、フラットパネルは地面に固定されます。コーナー部では、直角に曲がったコーナーパネルを用いて、別方向のパネルと接続します。 

参考文献
https://www.gatekogyo.co.jp/Poli_Flat_Panel.html
https://www.meijishoko.com/products/gate/page05.php

フラットドリル

フラットドリルとは

フラットドリルとは、通常のドリルとは異なり、先端が平らな形状をしている切削工具のことです。

平らな形状のため、通常のドリルでは加工が困難な斜面や曲線に対しても穴をあけられます。さらに、座ぐり加工や交差する穴をあけるような加工にも使用されます。

加工した穴の終端側にバリがでにくく、穴が曲がったりすることも少なく平らに真っすぐ穴をあけることが可能です。そのため、薄い鋼板の通し穴にも適しています。また、工具の寿命を長くするために、定期的に切れ味を研ぐ必要があります。研ぎ方によっては、先端の平らな形状が失われることがあるため注意が必要です。

様々な素材に対して穴をあけられますが、素材の硬度によっては、適切な加工条件を選択する必要があります。また、使用するドリルの径や先端角度も、加工する素材や穴の形状によって適切に選択が必要です。

フラットドリルの使用用途

フラットドリルは、通常のドリルでは加工が困難な傾斜面や曲線に対しての穴あけ加工に使用されます。斜面に対して垂直な穴をあけられ、座ぐり加工によって平らな面を作って深穴加工時の案内を作ることも可能です。加工した穴の終端側にバリができにくく、平らに真っすぐ穴をあけられるため、薄い鋼板の通し穴にも適しています。

さらに、フラットドリルはRになっている面や交差している穴にも対応し、さまざまな形状に対して柔軟に穴あけ加工ができるため、自動車部品や電子部品、航空機部品など、幅広い分野で使用されています。

また、高い剛性を持ち、加工による振動を抑えることが可能です。高速加工にも対応できるため、生産性向上や加工品質の向上など、多くのメリットが得られます。

フラットドリルの原理

フラットドリルは、平面状の刃物で穴をあけることで成り立ちます。刃物が完全に平面状になっているため、座ぐり加工をする際に穴の中央に盛り上がりができず、深い穴加工の前加工ができる点が特徴です。また、貫通穴では、鉄の厚みが薄くなる部分が軟弱になることを抑制し、終端のバリが出にくくなるため、鉄板を短時間で効率的に穴あけ加工できます。

しかし、フラットドリルの刃物全体に負荷がかかるため、切りくずを出す力が通常のドリルと比べると弱く、深い穴を開けられないことがデメリットです。また、ねじれ角が穏やかな形状になっているため、切りくずを出す力が弱くなってしまうことも深い穴加工に制限をかける要因となります。

フラットドリルの種類

フラットドリルには、主にフルートドリルとスパイラルドリルの2種類があります。使用用途に適した種類を選ぶことが、高精度な加工や生産性の向上に繋がります。

1. フルートドリル

フルートドリルは、先端が完全に平らなフラットタイプのドリルです。主に、座ぐり加工や深穴加工の前加工など、平面を作る前加工に使われます。また、鉄板を短時間で効率的に穴あけ加工ができるため、量産加工に適しています。しかし、深い穴をあけようとすると、切りくずが出せなくなるため、フルートドリルだけの加工には限界があるでしょう。

2. スパイラルドリル

スパイラルドリルは、先端が平らではなく、らせん状になっています。スパイラルの角度によって、切りくずを効率よく排出できるため、深穴加工に適しています。また、フルートドリルよりも切削力が強く、加工速度も速いため、一般的なドリルと同様に、あらゆる加工に使用可能です。ただし、フラットドリル特有の問題である、刃物全体への負荷がかかってしまうことがあります。

参考文献
https://faq.osg.co.jp/faq/show/703