集じん機

集じん機とは

集じん機

集じん機とは、粉塵などを回収するための装置です。

排ガスや粉塵の処理装置として使用されます。家庭用掃除機も、床面の粉塵を処理する装置と考えると、集じん機に分類できます。

集じん機の使用用途

集じん機は産業用、家庭用どちらにも使用されます。ただし、規模や構造にはそれぞれ違いがあります。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 発電用ボイラーの排ガス装置
  • 製鉄プラントや製錬プラントの排ガス装置
  • 空気清浄機や集塵機能付きエアコン
  • クリーンルーム用空気清浄機
  • 木工工房や宮大工のおがくず回収
  • 汚れた室内の掃除用

集じん機の原理

一般的に出回っている集じん機の大半は遠心式集じん機です。遠心式集じん機は、円筒構造物内部でガスを高速で回転させ、その遠心力によって粉塵を側面へ収集します。メンテナンスが容易で、比較的大きなダストの捕集に適しています。

家庭用掃除機もほとんどが遠心式集じん機と同様の原理です。遠心式集じん機は構造が簡単で部品も少ないため、小型軽量な製品を製造できるというメリットがあります。

集じん機の種類

原理の項で説明した遠心式集じん機以外にも、産業用としては様々な種類の集じん機が使用されています。代表的な集じん機は以下の4種類です。

1. 遠心式集じん機 (サイクロン)

原理は先述の通り、遠心力で集塵します。ただし、捕集限界が10μm程度であり、それ以下の微粒子捕集には適していません。装置を回転させる必要があり、機械的強度の問題や偏心などが発生するため、大型化には不向きです。

2. 洗浄式集じん機 (湿式スクラバー)

洗浄式集じん機の代表例は、スクラバーです。排気ガスに循環液をスプレーで散布し、その水分によって排ガス中の粉塵を捕集する装置です。循環液のPHを管理することによって、排ガスの化学的性状も安定させることが可能です。ただし、PHを一定に保つ添加装置や添加剤を定常的に使用する必要があります。

集塵性能も高く、0.1μm程度の粉塵を回収することができます。ただし、ランニングコストが他の集塵装置と比べて高価です。

3. ろ過式集じん機 (バグフィルタ)

ろ過式は、ろ布に排ガスを流すことで粉塵を付着させて集塵する方式です。0.1μm程度の微粒子を効果的に捕集することが可能で、集塵効率が高いことが特徴です。一方で、ろ布の目詰まりにより集塵能力が低下しやすいため、定期的な清掃や交換が必要であり、ランニングコストは高価です。

4. 電気集じん機

電気集じん機は、集塵板と放電極によって構成され、荷電粒子に働くクーロン力を利用して粒子を捕集する装置です。高電圧によるコロナ放電により微粒子を荷電させます。集塵性能は0.05μm程度のサブミクロンレベルの粉塵を99%以上収集することが可能です。

また、メンテナンスが容易でランニングコストが低いことから、近年の発電プラント用集じん機は電気集じん機が主流です。電気集じん機は開発者の名前から、コットレル (Cottrell) と呼ばれることもあります。

集じん機のその他情報

1. 集じん機と大気汚染防止法

大型集じん機は、産業用として排気ガス処理に使用されます。使用場所は発電所や製鉄所など、ボイラや炉を持つプラントです。ボイラなどの装置は重油や石炭を燃料として炊く場合がありますが、その排ガスには炭素による塵が多く含まれます。この塵はばいじんと呼ばれ、過去にはばいじんによる健康被害などが発生していました。

ばいじんをそのまま排気すると公害に繋がるため、排ガス中のばいじんを回収することが大気汚染防止法で定められています。大気汚染防止法だけでなく各都道府県で工場の排気ガス内粉塵量が定められており、この排出基準を満たすために集じん機が用いられています。

2. 集じん機の粉塵処理

集じん機で収集した粉塵は、産業用の場合は産業廃棄物です。そのため、そのまま野外に廃棄することはできません。ボイラなどから発生するばいじんは、国に登録された最終処分場での埋め立て処理が行われます。木工や林業で発生したチップについては、有価物としてバイオマス発電の原料とされることもあります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sptj1978/34/4/34_4_247/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jriet1972/2/11/2_11_831/_pdf/-char/ja
https://www.apiste.co.jp/gde/technical/detail/id=4280

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