シムテープ

シムテープとはシムテープ

シムテープとは、機器の隙間に挟むことで、位置の調整や、高さを微調整するために広く用いられている金属製の薄いテープです。

ちなみにシム (Shim) とは、英語で直訳すると「詰め物」を意味します。たとえば、各部品を組み立てた時に、各部品は公差を満たした状態なのですが、部品を組み立てると累積公差の影響で、全体の位置が合わない場合があります。

そのような時に、合わない分の厚みをシムテープで微調整すると、位置合わせが可能です。また、機器にセットした部品の平面が傾いた際、必要な厚み分のシムテープを挟むことで傾いた平面を微調整したりします。

シムテープの使用用途

シムテープは、金型での高さ調整や工作機械のワークの位置合わせなどの用途によく用いられています。金型での高さ調整用の場合は、各プレートを組み合わせた時に、取り付け面に調整量の厚み分のシムテープを挟むことで高さの微調整を実施し、加工精度を向上します。

工作機械の場合には、ワーク (=加工対象物) 加工用の取り付けの面の傾きを補正し、平行出しが可能です。シムテープの使用により均一な平面でのワークの加工が期待できます。

機器の傾きや隙間の補正などにも活用できるので、隙間起因の動作時のガタツキや騒音などの抑制が可能です。

シムテープの原理

シムテープの原理は、物同士を接着するためのテープとして使用するのではなく、金属性の薄いテープを自由な長さに切り取って、調整したい箇所に挟む薄膜金属板個片として使用します。シムテープはテープ状のため、自由な長さにハサミで切り使用できる特徴があり、その切り取った長さのテープを使用箇所に自由に挟むことで、機械調整、金型調整、機械加工前の平面調整などが可能です。

また、隙間にシムテープを入れることで隙間の長さ (高さ) を測定することもできます。ワークをマシニング加工する前にワークのセットの段取りを行いますが、もしテーブルとワークで構成される平面に傾きがあると、穴加工の場合には穴が傾いてしまいます。

そのため、平面を調整するためにワークの平面度が低い側にシムテープをテーブルとワークの間に入れ、再度平面を測定し傾きを確認し、問題がなければ加工を行います。

シムテープのその他情報

1. シムテープの仕様事例

シムテープには、各種の仕様があります。

シムテープの材質

通常はこの2種類ですが、加工業者によっては真鍮が用いられたりもします。

シムテープの規格
一般のシムテープの厚みは0.005mm~2.0mmであり、目的に合わせた厚みを使用できます。また、テープの幅は、標準は12.7mm (特殊な幅も可能)、テープの長さは1m以上が購入可能です。

2. シムとライナーおよびスペーサーの違い

「シム」と「ライナー」は似た用途で用いられており、実際のところ明確な定義はありません。しかし、一般にシムは薄い場合、ライナーは厚い場合によく用いられています。1mm以下をシム、それ以上をライナーと呼んで区別する事例もあります。

ともに隙間を補充すための詰め物としての用途が主です。一方で、スペーサの場合には、少し意味合いが異なる板状の詰め物です。こちらは隙間を確保する為の用途として用いられます。つまり、高さや位置調整目的は、シムやライナーと同じなのですが、傾き調整用途にはスペーサーは用いられないことが多いです。

3. シムテープを用いる場合の注意点

高さや位置調整の目的でよく用いられるシムテープですが、あまり多用すると同じ状態を再現できなくなる可能性があります。もともとの工作機械や金型などの機器が有する精度の目標の高さや傾きの精度以上のものを出すのは、工程能力面で困難ですし、機器をバラした時に多用したシムテープの組み合せを失念し、場合によっては紛失すると元の状態に戻せなくなる危険性があります。

金型や工作機械、組み立て部品での目標とする精度がいくつで、調整代がどこになるのかをよく考慮した上で使用することが大切です。

参考文献
https://kikaikumitate.com/post-4771/

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