半導体工場用ランプとは
半導体工場用ランプとは、感光材を使用する半導体工場の照明用ランプを言います。黄色の光を出すものが多いので、イエローランプとも呼ばれます。
従来は黄色系の蛍光ランプを使用していたが、現在は、紫外線を含む500nm以下の短波長をカットしたLEDランプが主流になっています。
半導体の製造工程では、半導体の基になるシリコンウエハーに紫外線照射で回路を作成する「露光」という工程があります。この工程で照明の紫外線が当たると、シリコンウエハーが変質するため、通常の照明は使用できない問題が発生します。この場合、紫外線をカットしたランプを使用する照明が必要となります。
半導体工場用ランプの使用用途
半導体工場用ランプは、主として、半導体・IC工場・その他感光材を扱う場所でのセーフティライトとして使用されます。
機械・電子工業などに用いられるクリーンルームは、主に室内加圧することで塵埃侵入を防いでいます。そのため、クリーンルーム用照明器具は、電源挿入部とボルト施工部に対しブッシングなどによる室内気密性の維持に配慮しています。
また、クリーンルームではフィルターで濾過された清浄な空気が一定方向に流れています。照明器具で気流の流れを乱さないように、空調気流を阻害しにくい流線形状を採用しています。
紫外線をカットしたランプは、店舗照明・植物工場用照明・食品工場・漁業灯 及び文教施設・遊技場・車両・コンピュータールームの照明など広い用途があります。
半導体工場用ランプの原理
半導体工場用ランプは、フィルタ方式と選択波長発光方式が使われています。
フィルタ方式は、蛍光管又はLEDを黄色顔料層や黄色熱収縮樹脂被膜や特殊なフィルムで覆うことにより、紫外線を含む500nm以下の波長の光をカットします。
選択波長発光方式は、必要な波長のみを加算方式により発光させます。エネルギーの有効利用とユーザーの満足度(色の認識・作業効率・作業環境)の向上を期待できるLED照明です。必要波長のみを発光設定するため、従来のフィルターによる波長カット方式(減算方式)のLEDと比べエネルギーコストの改善が可能です。
半導体工場用ランプの特徴
LEDを使用する半導体工場用ランプは、多くのの特徴があります。
半導体工場用ランプは、LEDを使用し、同等の製品性能を持つ蛍光灯と比較して、消費電力を最大で約70%削減できます。これまで消費電力の削減が難しかった特殊な環境でも、大幅な節電をすることができます。
LEDのランプは、長寿命です。従来の蛍光灯イエローランプに比べ、約4倍の40,000時間以上の寿命があります。したがって、定期交換などのメンテナンスコストも有利です。
また、水銀を使用しないので環境にやさしいランプです。明るいので作業環境の改善が図られ、半導体工場のゴミ・異物の発見率が向上します。
ガラス管のランプは、外面の樹脂被膜によって、万一ランプが破損した場合でも、ガラス破片等が飛散することが少ない構造になっています。容器が樹脂製のLEDは、軽くて、破損した場合でも、破片の飛散が少なく安全です。
半導体工場用ランプの種類
蛍光管方式の半導体工場用イエローランプは、黄色顔料層をガラス管内面に、さらに、紫外放射カット用の黄色熱収縮樹脂被膜をガラス管外面に設けた黄色蛍光ランプです。顔料層および紫外放射カット被膜により、波長500nm以下の波長に感度を有する感光材料を扱うような場所、即ち半導体工場等での照明用光源として使用にされています。近年はLEDランプに置き換わりつつあります。
通常の半導体工場用ランプは、黄色光ですが、イエロールームの照明の色味を改善した商品があります。特定波長をカットしたLED照明より白色に近い色味が特長です。入退室時の色のギャップによる独特の気分の悪さを、特殊な調色技術で低減させたものです。演色性が抜群で 体にやさしいランプです。色温度は、3,000~5,000K程度です。LEDの容器にポリカーボネート・アルミ材を採用したものは、破損の恐れが少なくメンテナンスも容易です。クリーンルームなどで使用するイエローランプに替えて使用できます。
特殊な用途として、安全性が高い防爆構造のLED照明器具があります。 半導体工場向に、LEDで発光輝度を500nmに制御したものです。 g線やi線など高感度の感光材料を使用する工場での使用が可能です。従来波長をフィルターでカットしていた蛍光灯やイエローランプLEDより視認性が大幅に向上しています。
オレンジタイプのLEDライトがあります。オレンジタイプは、従来から半導体製造工場で使われてきた蛍光灯のイエローランプと同様に、530nm以下の短波長域をカットしたLEDライトです。半導体工場のクリーンルームやIC工場・防虫が必要な食品工場など、紫外線カットの要求が特に厳しい設備の照明に適しています。