SAT(超音波映像装置)とは
SAT(超音波映像装置:Scanning Acoustic Tomograph)とは、材料内部の欠陥を検査する装置です。
超音波を使うため、検査対象の材料を破壊することなく検査することができます。超音波探傷法を用いて、半導体のターゲット材や車体ボディーの材料の内部を映像(C-scan)で可視化することができます。
超音波探傷法とは、センサーから発信した超音波を対象物に伝搬させ、その超音波の反射の受信状態から対象物の状態を測定する探傷方法です。
SAT(超音波映像装置)の使用用途
SAT(超音波映像装置)の使用用途は、対象物を破壊することなく、対象物内部の微小な欠陥を検出することです。
1. 半導体
モールドICパッケージ(DIP)のSAT映像から、剥離やクラックを確認することができます。スタックドICパッケージ(チップ2段構造品)の映像からは、チップ上面とチップとチップの間にあるダイアタッチフィルムの剥離を検出できます。また、CSPのアンダーフィル剥離の検出やボイド評価のために、パイプ間および周辺部までボイド有無を観察することができます。
2. 電子部品・セラミックス
チップ部品の内部電極部品の割れ、剥がれ、ボイドの検出が可能です。欠陥の深さごとにカラーリングすることで、欠陥の位置情報も得ることができます。
3. 樹脂・複合材
射出成型樹脂の流動分析では、微小胞・樹脂の密度分布パターンを検出できます。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の破壊解析では、鋼球落下試験での破壊解析の一環として、層間剝離を各層ごとに観察できます。
4. 金属素材・板材接合状態の検査
半導体やFPD、太陽電池などの電極形成に使用されるスパッタリングターゲットのターゲット材、ターゲット材とパッキングプレート間の接合状態の検査に使用されています。ターゲット材の大型化に対応した装置で検査可能です。
5. パワーモジュールの検査
IGBTなど各種部品の接合部分のインライン検査に適用されています。剥離やボイドを検出できます。
6. MEMS用張り合わせウエハの検査
MEMSに用いられる貼り合わせウエハの貼り合わせ面を映像で可視化し、10μm径の未接合部の検出も可能です。
SAT(超音波映像装置)の原理
SAT(超音波映像装置)は、超音波発信機と受信機を組み合わせたプローブを用いて、試料からの反射波を観測し、試料全体に対してプローブを走査させ、反射波から画像を構築します。物質に超音波を与えると、材質の境界面で反射する性質があります。超音波の特性上、測定資料を水中に入れる必要があります。
超音波測定の原理
超音波探触子内の圧電素子が、パルス電圧の引火により振動します。この振動により発生した超音波を水中で試料に当てると、弾性波として内部を伝播します。内部でボイド、クラックや異物が存在すると音響インピーダンスの変化が起きるため、反射・屈折といった挙動を示します。
一般的に、探触子からは0.1から10ms間隔で断続的なパルスはが発せられており、その発振と発振の間で試料内部からの反射音を受信して欠陥を検出します。