雨水貯留施設とは
雨水貯留施設とは、その名の通り雨水を貯留する施設です。
近年の大雨や台風によって、河川の氾濫や浸水など各地で災害が発生しており、その対策として雨水貯留施設が利用されています。雨水貯留施設に雨水を一時的に貯留することで地表に流れる量を減らし、水害を軽減することができます。
雨水貯留施設は普段目にする機会が少なかったり、気づかない場合が多いですが、大型の雨水貯留施設はとくに、建物を建築する段階から都市計画に基づいて構想され、水害から地域を守っています。また、貯留だけでなく雨水浸透施設と併用して設置されていることが多いです。
雨水貯留施設の使用用途
雨水貯留施設は、雨水を貯留する用途で使用されており、近年の大雨等による水害の対策として役立っています。
雨水貯留施設は、大規模なものになると、駅や公園、市民館といった公共・公益施設や、マンションや商業施設に設けられています。
また、小規模な雨水貯留施設は一般住宅においても設置が可能で、家庭菜園や洗車などで雨水を利用することができ、節水に役立ちます。また、災害時にはトイレ用の排水や生活用水として利用することができます。そのため戸建ての住宅で雨水貯留施設を設置すると、メリットが多くあります。ただ、貯留時の雨水の状態が不明なため、飲用には向いていないとされていますので注意してください。
また、条件がありますが、雨水貯留施設を設置する際に自治体から補助金が出る場合があります。
雨水貯留施設の種類
雨水貯留施設は、タンクや貯留槽を設けるタイプや、地形を利用して低く掘り下げた地表面に貯留するタイプなどがあります。
1. 雨水貯留タンク
雨どい等から屋根に降った雨をタンクに流し、雨水を貯留することができます。タンクの下には蛇口がついていることが多いので、雨水を利用する際には蛇口から流します。
大きさはさまざまで、100L程度の一般住宅用から、500Lを越す大型のタンクなどがあり、大型のタンクは学校などの施設で利用されています。
タンクの設置は比較的容易です。雨どいを切断し、取水装置を取り付けるだけなので、初めての方でもわかりやすいです。雨どいを金のこで切断し、切断面にやすりをかけてなめらかにします。雨どいに分水装置のレイントラップをつけて、ホースでタンクと接続します。
また、強風で雨水貯留タンクが転倒しないように、転倒防止のチェーンを利用するなどして固定することをおすすめします。
2. 地下貯留槽
建物や駐車場の地下にコンクリート等で貯留槽を設置し、雨水を貯留します。流入槽で大部分のごみ等を取り除き、貯水槽に雨水を流します。
プラスチックで構成されている貯留槽は大きさの自由度が高く、軽くて耐震性も充分優れているので近年増えてきています。コンクリートでは通常貯留のみですが、プラスチックの場合は貯留か浸透か選択できます。プラスチックの貯留槽のなかでも、内部をパーティションで区切るタイプは土砂の清掃がしやすい構造になっています。
3. 地表面貯留
グラウンドや校庭、駐車場等を周囲より低い位置に掘り下げておくことで、雨水が溜まるように設計し、地表面に貯留します。多目的調整池やビオトープ、遊水池等もあります。周囲をコンクリート等の堤防で囲ってあることもあります。また、調整池はオリフィスから河川等に雨水を排出できるようになっています。
雨水貯留施設のその他情報
雨水貯留施設のメンテナンス
雨水貯留施設は、貯留槽やタンクの内部にコケが生えたり、落ち葉などによるごみや泥が入って堆積しないようにメンテナンスする必要があり、貯留槽やタンクの内部をブラシや洗浄機で磨きます。タンクや貯留槽自体にクラックや損傷がないかの確認も重要なポイントです。
地下貯留槽においてはフィルターの清掃とともに、内部の泥の除去が手間がかかり、清掃のしやすさが貯留槽選択のポイントにもなっています。
タンクにおいては、ボウフラが発生してしまうことがあり、その場合はフィルターをつけるなどの対策が効果的です。
また、調整池等で排水ポンプが設置されている場合はポンプについても定期的な点検が必要です。