無線操縦とは
無線操縦とは、ケーブルを繋げずに対象物から離れて無線通信により操縦することです。無線操縦の中でもテレコンとは、スイッチなどの制御信号(電気信号)を電波に変換し、離れた場所に制御信号を伝えるものです。
無線操縦の使用用途
無線操縦は、ホビー用ラジコンから、産業用途、軍事用途など多岐にわたります。ホビー用ラジコンでは、比較的低出力の無線が用いられます。
安全性や耐久性は一般的には求められず、低価格で対象物を操作し、だれでも簡単に操作することが重要になります。
一方、産業用の無線操縦装置は、安全性が強く求められ、作業現場で使用することから、耐久性やメンテナンス性なども重要になります。また、一般的に免許が不要な無線局が用いられ、電波管理者などは不要です。
無線で操作する対象としては、天井クレーン、アンローダ、テルハクレーン、ホイストクレーン、チェーンブロック、ブルドーザー、ショベルローダー、ショベルカー、ローラー車、トンネル掘削機、ディーゼル機関車、高所作業車、ビル用ゴンドラ装置、などの産業用の機械があげられ、安全性や耐久性が一般的に求められます。
産業用の無線操縦装置はテレコンと呼ばれ、ホビー用の無線操縦装置とは区別されています。
無線操縦の原理
無線操縦の原理を紹介します。
1. 産業用リモコン(テレコン)
テレコン装置は、制御器(送信機)と受信装置、アンテナ、充電器などで構成されています。クレーンなどの設備に受信装置と受信アンテナを設け、制御器(送信機)を使って操作します。制御器に実装されているレバーハンドルやスイッチを操作することで、制御器から操作信号が送信されます。この信号を受信アンテナで受信後、受信装置でエラーチェックを行い、インターロック回路などの安全回路を経て、出力リレーを動かします。出力リレーに接続されたクレーンなどの設備は、出力された信号によりモーターなどの駆動を行い、設備を操作することができます。
2.ホビー用リモコン( ラジコン)
ラジコン装置は、受信機と送信機、モータ、スピードコントローラー、ステアリングサーボ、走行用バッテリーで主に構成されています。操縦者が送信機で操作したハンドルの動きやスロットル(アクセル)の動きが信号として変換され、その信号を電波に乗せて送信します。ラジコン操作対象物に搭載した受信機がそのまま信号を受け取り、そこから配線されたモーターやハンドルを動かす装置に信号を伝えます。ステアリングサーボ(ハンドルを動かすための装置)は送信機からの指示通りにハンドルを左右に動かし、スピードコントローラー(動力モーターを動かすための装置)は走行用のバッテリーからモーターへ電力を供給し、その電力量などでモーターを回転させ、走行スピードをコントロールします。
無線操縦のメリット・デメリット
無線通信のメリットは、ケーブルが不要になる点です。
ケーブルが不要になることから、設備の設置や、設置替えが容易になることや、ケーブル断線によるケーブル交換などが不要になりメンテナンス手間が軽減されます。
また、操作者が近づけない危険な箇所から離れて操作することや、近寄ることができないなどの理由ケーブルを敷設できない箇所へでも対象物を無線操作することで、安全性や効率性の向上が図られます
無線操縦の問題点としては、無線電波の混信やノイズなどの影響により有線通信より信頼性が下がる点があげられます。重要な設備を無線操縦するなら、
どのような周波数の電波が使用されているかノイズ環境を事前に電波調査を行い、影響の少ない周波数帯を選択する必要があります。