打撃レンチ

打撃レンチとは

打撃レンチとは、ハンマーなどで柄を叩くことでボルトやナットを締め付けるレンチです。

ボルトやナットに強力なトルクをかけることができます。頑固に固着している場合や、通常の手動レンチでは難しい場合に有利です。頑固なボルトやナットを緩めるのに役立ちます。

また、打撃レンチを使用することで、通常の手動レンチよりも少ない労力で作業を行える場合があります。異なるサイズや形状のソケットを交換可能なため、さまざまなサイズのボルトやナットに対応可能です。しっかりとした構造を持っており、頻繁に使用しても対応できる耐久性があります。

ただし、過度な力をかけると、ボルトやナット、または作業中の部品が損傷することも多いです。適切な安全対策を講じる必要もあります。保護眼鏡や手袋の着用、周囲の人々との適切な距離の保持などがその一例です。

打撃レンチの使用用途

打撃レンチは、その強力なトルクを活かしてさまざまな使用用途で役立ちます。以下は一般的な使用用途です。

1. 自動車

自動車の整備作業では、エンジンやサスペンションなどに多くのボルトやナットが使用されています。これらの部品は長い間露出しているため、錆や固着によって締まりが強くなることも多いです。打撃レンチは頑固に固着したボルトやナットを緩めるのに効果的です。

2. 建設

建設現場や修理作業では、鉄骨構造や大型機械の組み立て・解体作業に打撃レンチが使用されます。大きな構造物の組み立て時には膨大な数のボルトやナットを確実に締め付けることが必要です。打撃レンチは締め付け作業の効率性を向上させます。

3. 工業機械

工業機械や生産ラインのメンテナンス作業では、部品の交換や調整が頻繁に行われます。打撃レンチは、大型のボルトやナットを迅速に締め付けたり緩めたりする際に有利です。機械のダウンタイムを最小限に抑えるために重要なツールです。

4. 船舶

 船舶は海の環境や塩害の影響を受けやすく、ボルトやナットが固着することがあります。船舶のメンテナンス作業では、耐久性のある打撃レンチが頑固な固着を緩めるのに役立ちます。

打撃レンチの原理

打撃レンチは、ハンマーなどを使って発生させるインパクトを利用して、頑固なボルトやナットを締めたり緩めたりします。高強度の合金鋼などを使用するのが一般的で、これにより衝撃やトルクに耐えることが可能です。

材料の強度だけでなく、部品の形状や厚みなども重要です。適切な設計によって力が適切に分散され、部品の破損や変形を防ぐことができます。また、製造過程においても品質管理が行われ、部品が正確な仕様で作られることが求められます。

材料に対する熱処理や表面処理は、強度や耐久性を向上させるための重要なステップです。熱処理によって材料の結晶構造や硬度を調整し、表面処理によって耐摩耗性や耐腐食性を向上させることが可能です。

打撃レンチの選び方

打撃レンチの選ぶ際には、さまざまな要素を考慮することが重要です。

1. 材質

材質は、打撃レンチの強度の観点から非常に重要な要素です。一般的には高強度の合成鋼などが採用されます。強度の高い材質を選定することで、長寿命の工具として使用することが可能です。

2. 表面処理

表面処理は、耐摩耗性や耐腐食性を向上させるために重要です。ニトライド処理やクロムメッキなどの表面処理が施された打撃レンチは、耐久性を高める役割を果たします。

3. 形状

打撃レンチの形状は、そのラインナップも豊富です。メガネタイプや通常レンチタイプなどが存在します。用途に合わせて形状を選ぶことで、作業性を向上させることが可能です。

4. サイズ

打撃レンチのサイズとしては、柄の長さやソケットサイズなどを考慮することが重要です。ソケットサイズは、作業対象となるボルトやナットのサイズに合わせて選ぶ必要があります。正確なサイズのソケットを使用しないと、適切なトルクをかけることが困難です。

柄の長さは、トルクのかけやすさに影響を与えます。長い柄は大きなトルクをかけやすく、狭い作業スペースでも大きな力を得やすい点が特徴です。ただし、取り回しが難しい場合もありますことがあります。

リニアクランパ

リニアクランパとは

リニアクランパとは加工作業などにおけるテーブルやステージの位置保持のためのクランプであり、リニアガイドに直接取り付けてクランプすることで位置を固定します。リニアブレーキともよばれ、空気圧で作動する製品や手動レバーで開閉を行う製品などがあります。

リニアガイドは加工作業などで多く用いられていますが、可動台の固定はガイドにボルトなどで都度ストッパーを取り付けるか、バランスシリンダを用いて制御されていました。しかし前者は位置変更の手間がかかる上に手動でしか設置できず、後者は装置サイズや精度の面で課題がありました。リニアクランパは自動制御に組み込むことも可能であり、コンパクトかつ精度よく位置を制御可能であるため、これらの課題を解決することが出来ます。

リニアクランパの使用用途

リニアクランパはリニアガイドを用いる作業時の位置固定に用いられるため、リニアガイドを用いた作業全般で使用されています。特にモーションコントロールをはじめとする自動制御技術を用いた加工作業においては、リニアガイドの使用は一般的であり、リニアクランパも作業テーブルの保持や位置決めなどで広く用いられています。またこれらの加工作業では、びびりと呼ばれる異常振動によって加工精度が低下する不具合が発生することがありますが、リニアクランパを用いることはびびりの発生防止にも寄与します。

具体的なリニアクランパの導入個所としては、ドリル加工や穴あけ、研削などの振動を伴う加工作業や、プレス機などの重量物を取り扱う機械の非常停止時の位置保持用途などが挙げられます。

リニアクランパの特徴

加工作業におけるリニアガイドの使用は、位置保持やびびり防止の面から広く用いられていましたが、近年のモーションコントロールシステムの一般化によってより重要度を増しています。

モーションコントロールシステムでは作業テーブルの精密な位置決めを自動的に実施する必要がありますが、特に静止動作においてバランスシリンダなどを用いた従来の制御方法では位置精度と装置のサイズや重量、コストのバランスが悪く課題となっていました。

リニアクランパはガイドをクランプするタイプの直接的なブレーキ機構であり、従来の手法と比較して省スペースかつ精度よく位置制御が可能となります。 また手動で固定するタイプのリニアクランパについても、従来のボルト止めの固定よりも簡便かつ無段階で調整可能なこと、クランプ位置によって開閉の状態が目視可能なことなどから、固定の精度や安全面において、有用な設備ということができます。更に既存の設備に追加する際にも、リニアガイドに直接取り付ける構造であるため、大規模な改造やテーブルサイズの設計変更が不要であり、導入も比較的容易といえます。

網パレット

網パレットとは

網パレットとは、全体または側面部が網目構造となった箱型容器です。

網かごやパレティーナなど、さまざまな名称で知られています。多種多様な物品の収納・運搬に用いられる容器です。軽量でありながら、丈夫な構造を持っています。荷物の運搬時において輸送コストを削減できるだけでなく、パレット自体の寿命も長い点が特徴です。

また、網目構造によって空気や水が自由に通過できるため、商品の通気性が確保されます。特に食品や医薬品などの感度が高い荷物の保管や輸送に有利です。また、通気性が高いことにより、湿気やカビの発生を抑える効果もあります。

メッキ処理などを行うことで耐食性も比較的高い製品がほとんどですが、フォークリフトなどで移送する製品は塗装が傷つきやすいです。耐食性低下の原因ともなり得るため、保管物によっては注意が必要です。

網パレットの使用用途

網パレットはその特有のデザインと特性により、さまざまな使用用途で物流や貯蔵に活用されています。以下は網パレットの使用用途です。

1. 食品業

鮮度が重要な食品業界では、新鮮な食材や冷蔵製品を輸送・保管する際に網パレットが役立ちます。通気性の高さにより、食品が適切な温度で保たれ、劣化を最小限に抑えることが可能です。清潔保持が容易で、食品安全基準を満たすのに適しています。

2. 物流

商品を工場から倉庫、倉庫から店舗へと輸送する際に使用されます。商品が通気しやすく、湿気やカビの発生を防止可能です。また、パレット同士を重ねて積み重ねたり、フォークリフトで容易に運搬したりすることができる点も有利です。

3. 農業

農産物の収穫から市場への輸送には、農産物の鮮度を保つことができる網パレットが使われます。農産物が通気し、早期劣化を防ぐことができます。また、パレット自体が軽量であるため、農作業現場での取り扱いが容易です。

網パレットの原理

網パレットは網目構造により、空気が自由に流れ込むことができます。これにより、荷物の周りの通気性が高まり、湿気や異臭の発生を抑える効果があります。特に食品や医薬品の保管においては、通気性が高いことが重要です。

網目構造のため、一般的に軽量でありながら丈夫な構造を持っています。これにより、フォークリフトやハンドリフトなどの運搬装置を使用して荷物を容易に移動可能です。軽量性は運搬効率を向上させ、輸送コストを削減する一因となります。

また、網パレットは積載物が見えるため、倉庫や輸送現場での荷物の管理が容易です。どの商品がどれだけ積まれているかが一目で分かり、在庫管理や物流計画の助けになります。

網パレットの選び方

網パレットを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮することが重要です。

1. 材質

網パレットの材質は、耐久性や使用環境に影響を与えます。プラスチックまたは金属を使用するのが一般的です。

プラスチックは軽量で耐久性があり、防錆性や防食性が高い点が特徴です。そのため、食品産業や医療産業でよく使用されます。また、湿気に強く、清潔さを保ちやすい特性があります。

金属製は高い耐荷重性があり、重い荷物を扱う際に有利です。ただし、金属は錆びる可能性があるため、適切なコーティングが施されているか確認することが重要です。軽量なアルミニウムまたは頑丈で安価な鉄などが使用されます。

2. キャスター

網パレットにキャスターを取り付けることで、移動が容易になります。特に倉庫内で頻繁に移動する場合や、ディスプレイのために商品を移動する際に便利です。ただし、キャスターを付けることで高さが増すため、スペースの制約がある場合は慎重に選びます。

3. 容積

網パレットの容積は、積載する荷物の大きさや重量に合わせて選ぶ必要があります。過度に小さなパレットでは荷物が収まらず、逆に大きすぎる場合は効率的な荷物の積み込みが難しくなるため注意が必要です。

4. 網目の粗さ

網パレットの網目の粗さは、荷物の種類やサイズによって選定することが重要です。網目が細かすぎると、小さなアイテムが穴に落ちる可能性があります。反対に網目が大きすぎると、小さな部品が安定して載せられない可能性があります。

シールテープ自動巻付機

シールテープ自動巻付機とは

シールテープ自動巻付機とは、シールテープを自動的に巻き付けるための機械です。

産業や製造現場において、使用されることがあります。シールテープは、薄いフッ素樹脂製が使用されます。テープの厚さは0.1mm前後です。ねじ部の凹凸にしっかりと密着して、圧力がかかっても接合部をシールすることができます。

シールテープを手作業で巻き付ける場合に比べて、自動巻付機を使用することで作業効率が大幅に向上します。高速かつ正確な巻き付けが可能となり、短時間で多くの作業が完了できるため、納期の遵守も容易になるのがメリットです。

ただし、雄ねじを持つ小型部品には始めからシールテープが巻きつけられた製品も存在します。シールテープ付き製品を購入することも選択肢の1つです。

シールテープ自動巻付機の使用用途

シールテープ自動巻付機はいくつかの使用用途で活用されています。以下は、シールテープ自動巻付機の使用用途です。

1. 建設業

建設業では水道管や排水管、暖房システムなどの配管接続部のシールが非常に重要です。これらのシールは漏水や漏れによる建物内部への被害を防ぎ、建物の安全性を確保します。また、エネルギー効率の向上や快適な環境の提供の一助ともなります。

2. 産業プラント

産業プラントでは特に複雑な化学薬品や液体の取り扱いが行われる配管システムにおいて、漏れを防ぐことが重要です。化学反応やプロセスの安全性と効率を確保するために、シールは必要不可欠です。漏れがあると労働者の安全や環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、徹底的な対策が求められます。

3. 食品加工

食品加工ラインでは、液体や食品の流れを正確に制御するためにシールが重要です。食品の衛生面や品質管理の観点からも、シールが漏れを防ぐ役割を果たします。特に液体の漏れがあると、清潔さや品質に影響を及ぼす可能性があります。

4. 農業

農業用の散水システムや灌漑システムにおいて、水や液体の供給を正確に制御するためにシールをすることが重要です。特に水資源の節約や効率的な農作業を行うために、漏れを防ぐ必要があります。

シールテープ自動巻付機の原理

ねじ接続部から流体の漏れを防止するには、シールテープやガスケットが確実に密着することが重要です。シールテープ自動巻付機ではでテープを引っ張りながらねじ部に数回巻き付け、カッターで切断しあす。

これにより、テープ巻き付け時のずれやめくれがなく、逆巻きも防止することが可能です。シールテープの理想的な巻き付けが容易となり、生産性が向上します。ねじ部先端より控えて巻き付けるため、テープ屑が配管内へ入るのがありません。

なお、自動巻付機には半自動と全自動があります。半自動の巻付機は、ねじを切った配管の端部や接続金具を手動で巻付機のワークストッパに押し当て、シールテープを指定回数巻き付ける仕組みです。シールテープはテープカセットから繰り出され、カッターで切断されます。

全自動の巻付機ではワークの搬送装置を備えています。フィーダとマニピュレータを使って自動でねじ付き部品を供給し、シールテープが巻き付けられる仕組みです。

シールテープ自動巻付機の選び方

シールテープ自動巻付機を選ぶ際に考慮すべき要素は、多岐にわたります。

1. 電源・駆動源

機械の動作には電力が必要です。使用する電源に合わせて、電圧や周波数を確認します。工場や作業場の電源に合致するかを確認することが重要です。

また、駆動源は電動モーターまたはエアモーターなどがあります。作業環境や用途に応じて適切な駆動源を選ぶことが必要です。

2. シールテープ幅

シールテープの幅は、使用するテープによって異なります。必要なシールテープの幅に合わせて機械を選びます。使用するテープの幅にしたがって、対応できる機械を選ぶことが大切です。

3. 巻き付け速度

作業の効率や生産性に影響を与える重要な要素です。高速な巻き付けが求められる場合、高速で作業できる機械を選ぶ必要があります。ただし、速度が速すぎると正確性が損なわれる可能性もあるため、バランスが重要です。

4. 対応ネジサイズ

配管や接続部のサイズに合わせて、シールテープの巻き付けが行われるためのスペースが必要です。ネジサイズや配管の直径に適した機械を選ぶ必要があります。

無給油ワッシャ

無給油ワッシャとは

無給油ワッシャとは、主にスラスト荷重を受ける滑り軸受で、潤滑油が不要なワッシャです。

スラスト荷重とは、回転軸の前後方向と平行な方向に左右する荷重のことで、アキシャル荷重とも呼ばれます。ワッシャは回転体の側面の摺動を、面で受けて支えます。

無潤滑ワッシャは、グリスの塗布や潤滑油の供給ができない環境において使用される部品です。無潤滑ワッシャの材質に、潤滑機能を有する成分などを含むことによって、無潤滑環境でも滑り摩擦の低減や摩耗の抑制などの機能を発揮します。

無給油ワッシャの使用用途

無給油ワッシャはグリスの塗布や潤滑油の供給ができない環境において、回転体のスラスト荷重を支える部位に使用されます。自動車部品、食品・環境関連、輸送機器、土木・建設機器、産業機械・精密機器、遊技機器、スポーツ・レジャー機器、OA・情報機器、家庭製品、生活環境機器に、無潤滑の軸受部品が使われています。

無給油で使う軸受にはブッシュもありますが、ブッシュはスラスト荷重と90°の角度をなすラジアル荷重を支える軸受です。ワッシャとブッシュは支える荷重の方向が違うだけで、無給油ワッシャも無給油のブッシュも使われる環境や目的に違いはありません。

グリスの塗布や潤滑油が供給できない環境には、衛生面や真空環境も挙げられます。真空とは、特に気圧が低い状態です。通常のグリスでは蒸発してしまうため、無給油ワッシャや無給油ブッシュが選ばれます。

無給油ワッシャの原理

無給油ワッシャは材質に潤滑機能を有する成分を含むことによって、荷重を受けながら回転体の摺動による摩擦を低減させます。無給油ワッシャの材質には大きく2つに分けられ、樹脂系と金属系の2種類です。

1. 樹脂系の無給油ワッシャ

樹脂系のワッシャでは、まず四フッ化エチレン樹脂 (PTFE) に充填材を混合した材料などが用いられます。他に用いられる樹脂材料はポリアセタール樹脂 (POM) 、スーパー・エンジニアリング・プラスチックであるPEEKなどです。

2. 金属系の無給油ワッシャ

金属系の無給油ワッシャには、固体潤滑剤入りのものと、焼結含油系のものがあります。焼結含油系は、さらに銅系と鉄系に分類できます。固体潤滑剤や焼結の空孔に油を含ませることによって、潤滑機能を確保しています。

無給油ワッシャの特徴

無給油ワッシャの特徴は、一般的には潤滑が必要な滑り軸受にもかかわらず、潤滑しなくても使用できることです。通常のワッシャを使用する際には、荷重による摩擦抵抗から起こる熱での焼き付きや摩擦を防ぐため、オイルやグリスなどの潤滑油が使用されます。

一方で、無給油ワッシャの場合は、潤滑油なしでこの荷重を受け、摩擦を軽減することが可能です。また、通常の使用条件において無給油ワッシャは、無給油ブッシュと呼ばれるオイルレスの軸受けを併用して使用します。

これらの製品が潤滑油を必要としない原理は製品によって異なりますが、摩擦面に固体の潤滑剤を埋め込んだり混ぜたりすることによって摩擦を軽減しているケースが最も一般的です。潤滑技術の進歩に加えて加工技術の進歩により、高精度の真円でワッシャが製造できるようになったことも無給油ワッシャの普及に寄与しています。

無潤滑ワッシャのその他情報

無潤滑ワッシャの環境性能

無潤滑ワッシャだけでなく全ての機械部品に関するものですが、国際的にも環境負荷物質の規制があります。現在生産する製品においては、環境負荷物質を使用しない製品づくりが必要です。

1. RoHS指令
RoHS (ローズ) 指令とは、「Restriction of  the use of certain Hazardous Sustances in electrical and electric equipment」というEUの法律で「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限」と訳されます。電気・電子機器のリサイクルを容易にするために定められました。現在では10物質を制限しているため、「RoHS10物質」といった表現も使われることがあります。

2. ELV指令
ELV指令はEUの廃自動車に関する指令です。Cd、Pb、Hg、Cr+6の4物質の含有が禁止されています。

フレックスターベルト

フレックスターベルトとは

フレックスターベルトは、商品名で平ベルトの一種です。摩擦ベルトと言って、プーリーとベルトとの間の摩擦力を利用して、動力を伝達することに使われます。特殊な合成ゴムで作られ厚さが薄いので、径が小さいプーリーで高速で使用できます。

フレックスターベルトの構造は、表側に横すだれを配置し、走行方向と直角方向の剛性を大きくしてベルトのたて裂けを防止するとともに、進行方向の屈曲性を良くして小さいプーリー径でも使えるようにしています。

また、ベルト中心の心線は特殊加工したポリエステルコードを使用して、ベルトの伸びを非常に小さくし、強度も大きくしています。ゴム部分は、耐摩耗性・耐候性・耐アルコール性に優れた合成ゴム又はクロロプレンゴムを使用して摩擦係数を大きくし寿命を長くしています。

フレックスターベルトの使用用途

フレックスターベルトは、小型・高速などの特性を生かして産業機械をはじめ、工作機械、OA機器などに幅広く使われています。

代表的な用途は、一般産業機械では、送風機、ポンプ、圧縮機などに、繊維機械では、ワインダー、仮撚機、織機などです。また、工作機械では、NC旋盤ボール盤研磨機などに、電機では、発電機、コンピュータ、電子機器などに使用されます。製紙機械では、抄紙機、紙管機、その他精密機械、自動販売機、複写機、券売機などに使われます。

フレックスターベルトの特徴

フレックスターベルトの特徴は、ベルトが薄く、屈曲性に優れているので、プーリーの径は小さくて済みコンパクト設計が可能なことです。また、軽いので遠心力の影響が少なく高速運転に対応できます。ベルト速度で60m/s程度まで使用できます。

さらに、ベルトの伝動容量が大きいのでベルト幅を小さくでき、プーリーも単純な形状なので加工が簡単な特徴もあります。ベルトの厚さが均一なので振動が少なく滑らかな運転が可能であり、ベルトの材料が特殊な合成ゴムなので耐熱性や耐油性に優れ、静電気の発生を防止できます。

ベルトの伸びが非常に小さいのも特徴の一つです。ベルトの張り調整がほとんど不要で、テンションプーリーは不要です。

ベルトによる伝動はプーリーとベルトとの間の摩擦力を利用しており、ベルトの多少のすべりがあります。このためすべりによるロスが問題にならない場合に使われます。

フレックスターベルトの小さなものは、継目がない一体成形で作られます。柔軟性や屈曲性に優れており、最小はベルト幅が3mm、厚さが0.65mmのものがあります。ATMや券売機などに使われています。

バーブ継手

バーブ継手とは

バーブ継手 (英: Barb Fitting) とは、タケノコ型のギザギザになった形状の継手です。

一般的に、柔軟なチューブやホースを硬いパイプやチューブに接続する際に使用されます。バーブ継手は、柔軟なチューブやホースを硬いパイプやチューブに接続するのに非常に簡単で使いやすい方法です。専門的な工具が必要ない場合が多く、素早く取り付けられます。

また、一般的に比較的安価な部品であり、コスト効率が良い部品です。多くの異なる材料やサイズのチューブやホースと組み合わせることができるため、幅広い応用用途に対応します。

ただし、チューブやホースがしっかりと固定されている場合には漏れを防ぎますが、不適切な取り付けが行われた場合、液体やガスの漏れが発生する可能性があります。バーブ継手の固定には適切なサイズのホースクランプが重要です。不適切なクランプを使うと、漏れや接続の弱さが発生する可能性があります。

バーブ継手の使用用途

バーブ継手は、さまざまな用途で広く使われています。主に柔軟なチューブやホースを硬いパイプやチューブに接続するために使用されます。以下は一般的な使用用途の一例です。

1. 水道

家庭や建物の水道配管で広く使用されます。ポリエチレン管やPVC管などの柔軟なパイプを、金属パイプに接続するために有用です。水漏れを防ぐために、重要な役割を果たす部品です。

2. 園芸

園芸用具や散水システムで広く使用されます。庭や花壇の水やりをするために、ホースを噴水やノズルに接続する際にバーブ継手が使用されます。柔軟なホースとの接続により、簡単に取り外し可能な散水システムが構築することが可能です。

3. 空気圧システム

工業用途やDIYプロジェクトにおいて、空気圧システムや圧縮空気ラインでバーブ継手が利用されます。圧縮空気は高圧で供給されるため、しっかりと密閉された接続が必要です。バーブ継手はエアホースなどの柔軟なチューブをコンプレッサーや工具に接続するのに最適です。

4. 医療機器

医療機器では、患者に液体やガスを供給するチューブを装置に接続するために使用されることがあります。患者の安全を確保するために、確実な接続が重要です。

バーブ継手の原理

バーブ継手の原理は、柔軟なホースを突起がある硬いパイプやチューブにしっかりと接続することです。バーブ継手の一方の端には、円錐形状や蛇腹状の突起があります。もう一方の端には、バーブの突起に適合する内径を持つ柔軟なチューブやホースがあります。バーブの形状と寸法がチューブやホースに適していることで、密着した接続が可能です。

取り付ける際には、ホースクランプなどの固定具を使ってしっかりと固定します。ホースクランプはバーブとチューブを一体化させることで、漏れや接続の緩みを防ぐことが可能です。

バーブ継手を取り付けた後、内部に流体やガスが流れる際に圧力がかかります。この圧力によって、柔軟なチューブやホースはバーブにしっかりと密着し、漏れを防ぐことが可能です。バーブとチューブの間にはしっかりとしたシールが形成されます。

バーブ継手の選び方

バーブ継手を選ぶ際にはさまざまな要素を考慮する必要があります。以下は選定要素の一例です。

1. 液体やガスの性質

最も重要な要素の1つは、バーブ継手に流れる液体やガスの性質です。特定の液体やガスに対して耐性のある材質を選択する必要があります。

例えば、腐食性のある液体や化学薬品を扱う場合は、耐腐食性のある材質のバーブ継手を選ぶ必要があります。流体とバーブ継手の材質の組み合わせが重要であり、選択に注意が必要です。

2. 最大圧力

バーブ継手の最大圧力は、使用する流体やガスの圧力以下であることが必要です。流体が高圧である場合は、強固な材質のバーブ継手を選択します。

3. 適合チューブ径

バーブ継手は、チューブやホースの内径に適合している必要があります。チューブやホースの外径とバーブの内径が適合していない場合、漏れが生じるため注意が必要です。適切なサイズのバーブ継手を選ぶことで、しっかりとした接続が可能です。

4. 材質

バーブ継手はさまざまな材質で製造されています。一般的な材質には、ステンレス鋼や真鍮などがあります。選ぶべき材質は使用流体や環境条件によって異なり、耐腐食性や耐熱性などを考慮して適切な材質を選択することが必要です。

ウレタンライニングローラ

ウレタンライニングローラとは

ウレタンライニングローラとは、ウレタンで厚く覆われたローラーです。

ライニングとは、表面を樹脂などの素材で覆う表面処理のことです。ウレタンライニングローラはウレタンゴムでローラー内部の金属をライニングすることで、搬送コンベアなどでの金属同士の接触を防ぎ、ローラー金具の摩耗や損傷を防止することができます。

ウレタンは、摩擦による磨耗に対して耐性があります。そのため、ウレタンライニングローラーは長期間にわたって効果的に機能し、長寿命化を期待することが可能です。また、ウレタンは弾性と適度な柔軟性を有するため、衝撃吸収により運搬中の物品を保護する役割を果たします。

ただし、 ウレタンは一般的に低温や高温に対して敏感です。極端な温度環境で使用される場合は、ウレタンライニングの性能や寿命が影響を受ける可能性があります。

ウレタンライニングローラの使用用途

ウレタンライニングローラーは、その特性によりさまざまな産業や用途で広く使用されています。以下は、使用用途の一例です。

1. 印刷機械

印刷機械では、ローラーが印刷物を送りながらインクやコーティングを施す役割を果たします。ウレタンライニングローラは印刷物を滑りながら送ることで、均一な印刷が可能です。また、ウレタンの耐摩耗性によって長時間にわたって高品質の印刷を維持できます。

2. コンベア

コンベアベルトシステムは、工業製品や物品を自動的に運搬するためのシステムです。このシステムではコンベアベルトがローラーの上を回転して物品を搬送します。

ウレタンライニングローラはウレタンの耐摩耗性によってベルトの滑りや摩耗が抑えられ、ベルトの寿命を延ばすことが可能です。また、ウレタンの弾性が衝撃を吸収するため、物品が運搬される際の衝撃を和らげる効果もあります。これにより、システムの信頼性や効率が向上させることが可能です。

3. 食品産業

食品加工ラインや食品梱包ラインでは、衛生的で滑りやすいローラーが必要です。ウレタンライニングローラーは、食品との接触に適しており、清潔かつ滑らかな運搬を可能にします。これにより、食品の品質や安全性が確保されます。

ウレタンライニングローラの原理

ウレタンライニングローラーの原理は、ウレタンという特殊な合成樹脂がローラーの外側にコーティングされることによって、その優れた特性が生かされる仕組みです。ウレタンの正式名称はポリウレタンであり、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させ形成するウレタン結合を持つ化合物のことです。

硬度のバリエーションが豊かで強度が強い反面、伸縮性に優れた特徴を有しています。ウレタンゴムは原材料がシンプルで、添加剤などが入っていないという点も特徴です。そのために、ローラーで接触する材料や物質をウレタン自身が変質させたり、悪影響を及ぼすようなことがありません。ローラー類で使いやすい素材です。

ただし、ウレタンゴムは耐湿性と耐熱性は低いため、湿度の高い場所での使用には不向きです。また、80℃を超えるような温度の高い環境での使用には注意が必要になります。そのような場所では、耐熱性を上げたウレタンゴムを用いたライニングローラーを選定します。

ウレタンライニングローラの選び方

ウレタンライニングローラを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。以下は、主要な要素の一例です。

1. 芯材

ウレタンライニングローラの芯材は、ローラーの内部を形成する中心部分です。金属が一般的であり、特にアルミやステンレスが広く使用されます。適切な芯材の選択はローラーの安定性や負荷対応能力に影響を与える重要な要素です。

2. ウレタン硬度

ウレタンの硬度は、ローラーの表面の柔軟性を表す指標です。一般的にショア硬度で表現されます。硬度の選択は、使用環境や運搬物の性質に合わせて行う必要があります。

硬いウレタンは耐摩耗性、柔らかいウレタンは衝撃吸収性に優れます。荷重の多い場合は、硬めのウレタンが最適です。ただし、衝撃が多い場合は柔らかめのウレタンを使用することも多いです。

3. 寸法

ウレタンライニングローラーの寸法はローラーの直径、幅、軸穴のサイズなどを含みます。使用する装置やコンベアシステムに合わせて、適切な寸法を選ぶことが重要です。また、ウレタンライニングの厚みも考慮する必要があります。

スプリングガイドピン

スプリングガイドピンとは

スプリングガイドピンとは、コイルスプリングの中心に設けるガイドピンで、スプリング作動時のガイドになるピンを言います。ガイドピンの一端にはねじ部を設け、スプリングの台座にねじ込んで固定します。多端は六角レンチ穴などとし、ガイドピンの取付けに使用します。

スプリングピンと呼ばれる類似品があります。ばね用の板材を丸め加工して合わせ部に隙間を設けたピンを言います。そしてドリルで開けた穴に入れ、半径方向のばね力を利用して抜け止めやヒンジに使用します。

スプリングガイドピンの使用用途

スプリングガイドピンは、各種機械のスプリングの位置決め及び作動する時のガイドとして使用されます。また、スプリングが異常に圧縮されて破損するのを防止するストッパの役割もあります。プレス加工に使用する金型のスプリングや自動車のクラッチスプリングなどのガイドピンとしての用途もあります。

一方スプリングピンは、ドリル穴程度の精度の穴に打ち込んで固定し、機械装置のストッパ、ヒンジ、及び部品の連結、位置決め、回転防止など多方面で使用されます。ローラーチェーン装置のローラの抜け止めにもスプリングピンが使われます。

スプリングガイドピンの特徴

スプリングガイドピンの材質は、S45Cを熱処理し酸化鉄被膜の表面処理をしたものが多く使われます。ステンレス鋼や真鍮、クロームメッキ真鍮などを使う場合もあります。ガイドピンの長さは、スプリングが最も圧縮された時の高さより安全分を入れた長さに設計します。またガイドピンの直径は、スプリングが圧縮された時の最小内径より小さくします。

スプリングガイドピンのもう一つの仕様は、材質が合金工具鋼で熱処理をしない生材を使用したものです。ピンの直径をスプリングの内径より2mm程度小さくして、スプリング内径の摩耗による破損を防止します。また、水平方向で使用する場合は、スプリングに初期たわみをかける必要があります。

スプリングピンの材質は、ばね鋼りん青銅などばね性がある板材を丸めて作られます。合わせ部の形状がストレート形のものは、せん断強度が高く、動的荷重や衝撃荷重がかかる場合に適しています。また、合わせ部が波形のものは、絡みにくく自動挿入に向いています。波形で軽荷重用は、ピンの板厚が薄く、使用する相手がアルミニウムや樹脂などの場合に使われます。

クロスローラーテーブル

クロスローラーテーブルとは

クロスローラーテーブルとは、テーブル下面の高精度に加工されたV字形の溝とベースの間に、リテーナー付き精密ローラを交互に公差させて組み込んだテーブルを言います。テーブルは多数のローラで支持され、直線運動が可能です。

クロスローラーテーブルは、色々な方向に対して剛性が高く、高精度の直線案内が可能で、OA機器やIC加工機などに使われます。

クロスローラーリング或はクロスローラーベアリングと呼ばれる製品があります。V字形の溝が直線ではなく、円形にしたもので、回転運動が出来るものです。テーブルや軸をクロス配置したローラーで支持し、クロスローラーテーブルと同様な特徴があります。

クロスローラーテーブルの使用用途

クロスローラーテーブルの用途は、高精度で高剛性が必要な直線運動部に幅広く使われています。具体的には、OA機器及び周辺機器、各種測定器をはじめ、プリント基板穴あけ機などのIC製造装置、医療機器などがあります。

クロスローラーベアリングは、工業用ロボットの関節部や旋回部、介護用のロボットスーツの関節部、及びマシニングセンタの旋回テーブル、精密ロータリーテーブル、また計測器、IC製造装置など多岐に渡って使われます。さらに、最先端の航空・宇宙の分野まで用途が広がっています。

クロスローラーテーブルの特徴

クロスローラーテーブルは、テーブルの下面にV字形の研磨したガイド溝を設け、ベースとガイド溝の間に、ローラをV字形ガイド溝の両面に接触するように交互にリテーナを使って組み込んだものです。テーブルを多数のローラーで支え、直線運動が可能です。そしてガイド溝を2本並行して配置し、多方向の荷重を受けて剛性を高めています。

ローラーやガイド溝・ベースは精度が高く、隙間もねじで調節して与圧を与えることができます。交差する2面で支持するので、上下方向・左右方向の荷重、及び各方向の曲げモーメントを受けても剛性が高く、許容荷重の大きい高精度のローラーが細かいピッチで組み込まれているので、高荷重に耐える特徴があります。

さらに、V字形の溝、ベース、ローラー、リテーナなどがステンレス鋼で作られているタイプは、長寿命で耐食性に優れており、ボルトで取り付けるだけで高精度の直線案内が簡単にできる特徴があります。

回転可能なクロスローラーリングは、回転精度が高い特徴があります。ローラーのスキューやローラー同士の相互摩擦が防止されており、安定した回転トルクを得ることができます。