フレックスターベルトとは
フレックスターベルトは、商品名で平ベルトの一種です。摩擦ベルトと言って、プーリーとベルトとの間の摩擦力を利用して、動力を伝達することに使われます。特殊な合成ゴムで作られ厚さが薄いので、径が小さいプーリーで高速で使用できます。
フレックスターベルトの構造は、表側に横すだれを配置し、走行方向と直角方向の剛性を大きくしてベルトのたて裂けを防止するとともに、進行方向の屈曲性を良くして小さいプーリー径でも使えるようにしています。
また、ベルト中心の心線は特殊加工したポリエステルコードを使用して、ベルトの伸びを非常に小さくし、強度も大きくしています。ゴム部分は、耐摩耗性・耐候性・耐アルコール性に優れた合成ゴム又はクロロプレンゴムを使用して摩擦係数を大きくし寿命を長くしています。
フレックスターベルトの使用用途
フレックスターベルトは、小型・高速などの特性を生かして産業機械をはじめ、工作機械、OA機器などに幅広く使われています。
代表的な用途は、一般産業機械では、送風機、ポンプ、圧縮機などに、繊維機械では、ワインダー、仮撚機、織機などです。また、工作機械では、NC旋盤、ボール盤、研磨機などに、電機では、発電機、コンピュータ、電子機器などに使用されます。製紙機械では、抄紙機、紙管機、その他精密機械、自動販売機、複写機、券売機などに使われます。
フレックスターベルトの特徴
フレックスターベルトの特徴は、ベルトが薄く、屈曲性に優れているので、プーリーの径は小さくて済みコンパクト設計が可能なことです。また、軽いので遠心力の影響が少なく高速運転に対応できます。ベルト速度で60m/s程度まで使用できます。
さらに、ベルトの伝動容量が大きいのでベルト幅を小さくでき、プーリーも単純な形状なので加工が簡単な特徴もあります。ベルトの厚さが均一なので振動が少なく滑らかな運転が可能であり、ベルトの材料が特殊な合成ゴムなので耐熱性や耐油性に優れ、静電気の発生を防止できます。
ベルトの伸びが非常に小さいのも特徴の一つです。ベルトの張り調整がほとんど不要で、テンションプーリーは不要です。
ベルトによる伝動はプーリーとベルトとの間の摩擦力を利用しており、ベルトの多少のすべりがあります。このためすべりによるロスが問題にならない場合に使われます。
フレックスターベルトの小さなものは、継目がない一体成形で作られます。柔軟性や屈曲性に優れており、最小はベルト幅が3mm、厚さが0.65mmのものがあります。ATMや券売機などに使われています。