ウレタンライニングローラとは
ウレタンライニングローラとは、ウレタンで厚く覆われたローラーです。
ライニングとは、表面を樹脂などの素材で覆う表面処理のことです。ウレタンライニングローラはウレタンゴムでローラー内部の金属をライニングすることで、搬送コンベアなどでの金属同士の接触を防ぎ、ローラー金具の摩耗や損傷を防止することができます。
ウレタンは、摩擦による磨耗に対して耐性があります。そのため、ウレタンライニングローラーは長期間にわたって効果的に機能し、長寿命化を期待することが可能です。また、ウレタンは弾性と適度な柔軟性を有するため、衝撃吸収により運搬中の物品を保護する役割を果たします。
ただし、 ウレタンは一般的に低温や高温に対して敏感です。極端な温度環境で使用される場合は、ウレタンライニングの性能や寿命が影響を受ける可能性があります。
ウレタンライニングローラの使用用途
ウレタンライニングローラーは、その特性によりさまざまな産業や用途で広く使用されています。以下は、使用用途の一例です。
1. 印刷機械
印刷機械では、ローラーが印刷物を送りながらインクやコーティングを施す役割を果たします。ウレタンライニングローラは印刷物を滑りながら送ることで、均一な印刷が可能です。また、ウレタンの耐摩耗性によって長時間にわたって高品質の印刷を維持できます。
2. コンベア
コンベアベルトシステムは、工業製品や物品を自動的に運搬するためのシステムです。このシステムではコンベアベルトがローラーの上を回転して物品を搬送します。
ウレタンライニングローラはウレタンの耐摩耗性によってベルトの滑りや摩耗が抑えられ、ベルトの寿命を延ばすことが可能です。また、ウレタンの弾性が衝撃を吸収するため、物品が運搬される際の衝撃を和らげる効果もあります。これにより、システムの信頼性や効率が向上させることが可能です。
3. 食品産業
食品加工ラインや食品梱包ラインでは、衛生的で滑りやすいローラーが必要です。ウレタンライニングローラーは、食品との接触に適しており、清潔かつ滑らかな運搬を可能にします。これにより、食品の品質や安全性が確保されます。
ウレタンライニングローラの原理
ウレタンライニングローラーの原理は、ウレタンという特殊な合成樹脂がローラーの外側にコーティングされることによって、その優れた特性が生かされる仕組みです。ウレタンの正式名称はポリウレタンであり、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させ形成するウレタン結合を持つ化合物のことです。
硬度のバリエーションが豊かで強度が強い反面、伸縮性に優れた特徴を有しています。ウレタンゴムは原材料がシンプルで、添加剤などが入っていないという点も特徴です。そのために、ローラーで接触する材料や物質をウレタン自身が変質させたり、悪影響を及ぼすようなことがありません。ローラー類で使いやすい素材です。
ただし、ウレタンゴムは耐湿性と耐熱性は低いため、湿度の高い場所での使用には不向きです。また、80℃を超えるような温度の高い環境での使用には注意が必要になります。そのような場所では、耐熱性を上げたウレタンゴムを用いたライニングローラーを選定します。
ウレタンライニングローラの選び方
ウレタンライニングローラを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。以下は、主要な要素の一例です。
1. 芯材
ウレタンライニングローラの芯材は、ローラーの内部を形成する中心部分です。金属が一般的であり、特にアルミやステンレスが広く使用されます。適切な芯材の選択はローラーの安定性や負荷対応能力に影響を与える重要な要素です。
2. ウレタン硬度
ウレタンの硬度は、ローラーの表面の柔軟性を表す指標です。一般的にショア硬度で表現されます。硬度の選択は、使用環境や運搬物の性質に合わせて行う必要があります。
硬いウレタンは耐摩耗性、柔らかいウレタンは衝撃吸収性に優れます。荷重の多い場合は、硬めのウレタンが最適です。ただし、衝撃が多い場合は柔らかめのウレタンを使用することも多いです。
3. 寸法
ウレタンライニングローラーの寸法はローラーの直径、幅、軸穴のサイズなどを含みます。使用する装置やコンベアシステムに合わせて、適切な寸法を選ぶことが重要です。また、ウレタンライニングの厚みも考慮する必要があります。