ロジウムとは
ロジウムとは、原子番号が45、元素記号がRhの元素です。
ロジウム塩水溶液がバラ色になるため、ギリシャ語でバラ色を意味する「rhodeos」が語源となりました。ロジウムはレアメタル (英: Minor metals) と呼ばれる、天然産出量が少ない金属の1種でもあります。
地殻中における存在量は200pptであり、50pptのレニウムやオスミウムに次いで、安定同位体を持つ元素の中で3番目に希少です。ロジウムは、硬度の高さや電気抵抗、耐食性に優れており、装飾・化学触媒・工業用部品などの分野で利用されています。
ロジウムの使用用途
ロジウムは、装飾品の着色や強化のため、メッキとして使用されています。また、硬度や耐食性の高さ・電気抵抗の低さから、コンピューターのリードスイッチにも利用されています。その他にもロジウムは、反射鏡や熱電対、干渉フィルタ、ガラス繊維製造用ノズルなど、さまざまな分野で幅広く使用可能です。
ロジウムは、自動車の排気ガス中に含まれる有害物質である窒素酸化物を窒素に変える働きがあることから、自動車排気ガスの有害性を弱めるための三元触媒 (英: three-way catalyst) としても使われています。また、オキソアルコールや酢酸を生産する反応過程でも、ロジウムを触媒として用いることが可能です。
ロジウムの性質
ロジウムの比重は12.5、融点は1,966°C、沸点は3,960°Cです。ロジウムは銀白色の遷移金属で、白金族元素の1つです。柔らかく延性があります。室温付近での密度は12.41g/cm3で、融点における液体密度は10.7g/cm3です。
ロジウムは、常温では空気中で酸化されませんが、強く熱すると徐々に酸化され、酸化ロジウム (III) が生成します。さらに高温になると、再び単体に分離します。
塊状のロジウムは、王水などの強酸にも侵されないなど、酸に対して非常に抵抗力が大きいことが特徴です。その一方で、酸化力の強い熱濃硫酸や塩素酸ナトリウムを含む熱濃塩酸には溶けるなど、酸素に対しては比較的弱いです。高温ではハロゲン元素とも反応します。
ロジウムの構造
ロジウムは高温で酸化され、酸化数は-1価から+6価まで取ります。常温常圧でロジウムの安定な結晶構造は、面心立方構造です。ただし、1,000℃以上に熱すると、単純立方格子に変化します。
ロジウムのその他情報
1. ロジウムの産出
ロジウムは白金鉱石から、ウィリアム・ウォラストン (英: William Hyde Wollaston) により発見されました。現在でもロジウムは、不純物として白金鉱石から産出されています。
2. ロジウムの同位体
ロジウムの原子量は、102.90550です。ロジウムの同位体の中で、103Rhが最も安定しています。放射性同位体のうち最も安定なものは101Rhであり、半減期は3.3年です。それ以外の比較的安定な同位体には、半減期が207日の102Rh、半減期が2.9年の102mRh、半減期が16.1日の99Rhなどがあります。
その他20種類の放射性同位体が存在し、原子量は92.926から116.925までを取っています。そして半減期が20.8時間の100Rhや半減期が35.36時間の105Rhを除くと、ほとんどの半減期は1時間以下です。
ロジウムには核異性体も多数存在し、安定な例として102mRhや101mRhが挙げられます。102mRhの励起エネルギーは0.141MeV、半減期は207日であり、101mRhの励起エネルギーは0.157MeV、半減期は4.34日です。
3. ロジウムの同位体の崩壊
最も安定である103Rhより軽い同位体は、電子捕獲 (英: electron capture) によってルテニウムに崩壊します。それに対して103Rhより重い同位体は、ベータ崩壊 (英: beta decay) によってパラジウムに崩壊します。