エタノールアミン

エタノールアミンとは

エタノールアミンとは、「モノエタノールアミン」「ジエタノールアミン」「トリエタノールアミン」の3種類の化合物の総称です。

単にエタノールアミンと言う場合は、基本的に2-アミノエタノールである「モノエタノールアミン」を指します。モノエタノールアミンは、アンモニア臭をもち、粘稠性・吸湿性といった性質をもつ液体です。別名、アミノエチルアルコールやコラミンとも呼ばれます。

エタノールアミンは、危険物第4類に分類されています。モノエタノールアミンは、劇物にも指定されており、取り扱いには注意が必要です。

化学式 C2H7NO
英語名 Ethanolamine
英語名の別名 monoethanolamine
分子量 61.08
融点 10 ~ 10.5℃

エタノールアミンの使用用途

1. モノエタノールアミン

モノエタノールアミンは、水・油によく溶けるため、乳化剤として広く利用されています。また、合成洗剤や金属腐食防止剤、化粧品、医薬品、農薬などにも使用可能です。さらに、モノエタノールアミンは混合ガスをガス洗浄して、酸性ガスを除去するのにも利用されています。

2. ジエタノールアミン

ジエタノールアミンは、洗剤・化粧品・ワックスなどの乳化剤や、紡績における湿潤剤などに用いることができます。

3. トリエタノールアミン

トリエタノールアミンは、縮合反応における塩基触媒として、有機合成反応に使用される他、乳化剤や可塑剤、防錆添加剤、保湿剤などとして使用されています。また、大気中の二酸化窒素の捕集剤として、分析にも利用されています。

エタノールアミンの性質

エタノールアミンは、アルコールとアミンの両方の特性を持っています。モノエタノールアミンの密度は1.012g/cm3、融点 は10.3°C、沸点は170°Cです。

ジエタノールアミンの密度は1.090g/cm3、融点は28.0°C、沸点は217°Cであり、トリエタノールアミンの密度は1.126g/cm3、融点は20.5°C、沸点は208°Cです。エタノールアミンは、水やアセトンによく溶解します。塩基性のため、二酸化炭素 (CO2) 、硫化水素 (H2S) 等の酸性ガスを吸収します。脂肪酸と反応することで、エステルを得ることも可能です。

エタノールアミンの構造

エタノールアミンの構造

図1. エタノールアミンの構造

1. モノエタノールアミン

モノエタノールアミンは、一級アミンと一級アルコールの両方を持っています。化学式はC2H7NO、モル質量は61.08g/molです。

2. ジノエタノールアミン

ジエタノールアミンは、分子内に二級アミンと2つのヒドロキシ基を持っています。化学式はC4H11NO2、モル質量は105.14g/molです。

3. トリエタノールアミン

トリエタノールアミンは、分子内に三級アミンと3つのヒドロキシ基を持っています。化学式はC6H15NO3、モル質量は149.188g/molです。

エタノールアミンのその他情報

1. エタノールアミンの合成法

エタノールアミンの合成

図2. エタノールアミンの合成

モノエタノールアミンは、エチレンオキシド (英: ethylene oxide) とアンモニアの反応によって得ることが可能です。ただし、反応条件によっては、ジエタノールアミンとトリエタノールアミンも生じます。生成する化合物の比率は、原料の化学量論比を変えることで制御可能です。

2. エタノールアミンの関連化合物

エタノールアミンの部分構造を有する化合物

図3. エタノールアミンの部分構造を有する化合物

エタノールアミンは、抗ヒスタミン薬の共通構造に見られます。具体的には、第1世代の抗ヒスタミン薬として知られるジフェンヒドラミン (英: Diphenhydramine) 、フェニルトロキサミン (英: Percogesic) 、ドキシラミン (英: Unisom) において、ジフェニルメタン (英: diphenylmethane) に連結しているエチルアミン部分構造でもあります。

現在でもアレルギー疾患に有効な物質とされています。また、エタノールアミンはリン脂質に豊富な頭部構造で、生体膜中でも見いだされます。

参考文献
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/700

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