ナトリウム

ナトリウムとは

ナトリウムとは、原子番号11のアルカリ金属元素です。

元素記号はNaで、原子量は22.99です。ソジウム (英: sodium) やソーダ (英: soda) とも呼ばれます。他のアルカリ金属元素と同様に、反応性が非常に高いです。

1価の陽イオンとして化合物を形成し、塩化ナトリウム、炭酸塩、硝酸塩などの形で地球上に広く分布しています。工業的には、塩化ナトリウムなどの融解塩の電気分解によって製造されます。

ナトリウムの使用用途

ナトリウムは、反応性が高いため、金属を精錬する際の還元剤や触媒として用いることが可能です。

さらに、融点が低く熱伝導率が良いことを利用して、高速増殖炉の冷却剤など、冷却を目的として利用されることもあります。そのほか、ナトリウムランプが高速道路やトンネルの中で使われていたり、石鹸にナトリウムが含まれていたり、身近なところで広く利用されています。

また、ナトリウムは人体にも欠かすことのできないミネラルで、筋肉や神経を正常に保つ働きを担っている元素です。 

ナトリウムの性質

ナトリウムの融点は98°C、沸点は883°Cです。比重は0.97であり、わずかに水より軽いです。

ナトリウムは反応性が高く、酸や塩基だけでなく、水とも激しく反応します。ナトリウムが人体に触れると、体の表面の水分と化合して水酸化ナトリウムになり、皮膚を侵します。空気中でも容易に酸化するので、自然界に金属ナトリウム単体は存在しません。アルコールのようなプロトン溶媒と反応しますが、灯油やエーテルとは反応しないため、ナトリウムを保存するためには、灯油に浸ける必要があります。

ナトリウムはイオン化して、1価の陽イオンになりやすいです。炎色反応は黄色を呈します。

ナトリウムの構造

ナトリウムは銀白色の柔らかい金属で、電子配置は[Ne] 3s1です。常温常圧では体心立方構造を取っていますが、200GPaの高圧下では結晶構造が変わり、金属光沢を失って透明になります。

ナトリウムには、20種の同位体が知られています。ただし、安定同位体は23Naだけです。それ以外は放射性同位体で、半減期が長いのは22Naと24Naであり、22Naの半減期は2.6年で、24Naの半減期は15時間です。22Naと24Naは、痕跡量が雨水などに含まれています。そのほかの放射性同位体は、すべて半減期が1分未満です。

ナトリウムには、2種類の核異性体が見つかっています。長寿命の核異性体には24mNaがあり、半減期は20.2ミリ秒です。

ナトリウムのその他情報

1. ナトリウムの製法

工業的にナトリウムは、融解塩の電気分解により製造されます。カストナー法 (英: Castner process) とダウンズ法 (英: Downs’ process) があります。

カストナー法は、水酸化ナトリウムを原料に使用する方法です。陽極に黒鉛を、陰極に鉄やニッケルを用いて、水酸化ナトリウムの融点に近い320℃付近で電気分解します。陽極では酸素が生じ、陰極では金属ナトリウムが遊離します。

塩化ナトリウムを使用するダウンズ法では、塩化カルシウムや塩化カリウムを加えることで、塩化ナトリウムの融点が下がるため、600℃近くで電気分解が可能です。陽極では副産物の塩素が生成します。

2. ナトリウムの反応

ナトリウムは水と反応すると、水素が生じて水酸化ナトリウムになります。水素とともに加熱して、水素化ナトリウムを得ることも可能です。アルコール、フェノール、カルボン酸のヒドロキシ基と反応し、水素が発生して、アルコキシドなどを生成します。ナトリウムは単体のハロゲンとも反応し、塩を生成可能です。

ナトリウムは乾いた空気でもすぐに酸化して、酸化ナトリウムに変わり、金属光沢を失います。酸化ナトリウムを空気中に放置すると、二酸化炭素とも反応し、炭酸ナトリウムになります。

ナトリウムは還元剤として働くため、チタン、トリウム、タンタル、ジルコニウムのようなさまざまな金属を、容易に採取が可能です。例えば、金属ナトリウムを用いて塩化チタンを還元すると、チタンが得られます。

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