クレアチン

クレアチンとは

クレアチン (英: Creatin) とは、無臭の白色の結晶性粉末です。

化学式はC4H9N3O2、分子量は131.13、CAS登録番号は57-00-1である有機酸の1種で、2-(1-メチルグアニジノ)酢酸 (英: 2-(1-Methylguanidino)acetic Acid) とも呼ばれます。クレアチンは人の体内に自然に存在しており、約90%以上は筋肉に含まれ、一部は脳にも含まれています。

体のクレアチン総貯蔵量は、体重70㎏の成人で約120gと推定されています。クレアチンは体内において、3種類のアミノ酸 (アルギニン、グリシン、メチオニン) から、主に肝臓および腎臓内で合成される物質です。

体内で合成されるクレアチンは1日の必要量の半分程度であり、不足分は食品やサプリメントからの摂取が必要になります。生肉および魚に多く含まれていますが、加熱調理によりクレアチンの含有量は減少してしまいます。

クレアチンの使用用途

クレアチンは、筋肉が収縮する際のエネルギーであるATP (細胞の中に存在し、生命活動で利用されるエネルギーを保存・利用する上で必要な物質) の再合成に利用され、クレアチンリン酸として筋肉に存在しています。

運動時にはATPが分解される際に発生するエネルギーが使用されますが、ATPの量には限界があるため、運動し続けるにはクレアリン酸によるATPの再合成が必要です。クレアチンには運動時などの持久力や筋力を高める効果があるので、主に短時間で激しい運動を繰り返す際に、クレアチンの運動能力を高める効果が有効です。

また、アスリートだけではなく、クレアチンの高齢者の運動能力に及ぼす効果についても研究が進められており、高齢者の筋力維持やリハビリテーションを目的としたクレアチンの活用方法が研究されています。

クレアチンの性質

クレアチンの融点 (分解温度) は303℃で、水にはわずかに溶けますが、エーテルには溶けません。クレアチンは脊椎動物に見られ、主に筋肉や脳組織でアデノシン三リン酸 (ATP) のリサイクルを促進します。

リサイクルは、リン酸基の供与を介してアデノシン二リン酸 (ADP) をATPに戻すことによって達成されます。クレアチンは緩衝剤としても機能します。

クレアチンのその他情報

1. クレアチンの生合成

クレアチンは、アミノ酸のグリシンとアルギニンから人体で自然に生成されるアミノ酸誘導体です。生合成の最初のステップでは、酵素アルギニン (グリシンアミジノトランスフェラーゼ、AGAT) がグリシンとアルギニンの反応を媒介してグアニジノ酢酸を形成します。

次に、この生成物はメチル供与体としてS-アデノシルメチオニンを使用して、グアニジノ酢酸N-メチルトランスフェラーゼ (GAMT) によってメチル化されます。クレアチンは、クレアチンキナーゼによってリン酸化されてクレアチンリン酸を形成し、骨格筋や脳のエネルギーバッファーとして使用されます。クレアチニンと呼ばれるクレアチンの環状形態は、その互変異性体およびクレアチンと平衡状態で存在します。

2. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 酸化剤などの混触危険物質から離して保管する。
  • 分解すると一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物などを生じるため注意する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 粉塵やエアゾールを吸い込まないよう、充分注意する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/C3610

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