ジクロロメタン

ジクロロメタンとは

ジクロロメタンとは、強く甘い芳香を有する無色の液体です。

別名ジクロロメタンは、「二塩化メチレン」「塩化メチレン」「メチレンクロリド」とも呼ばれ、DCMやMDCと略される場合もあります。ジクロロメタンが皮膚に触れると、弱い刺激を受けたり、薬傷を負ったりする可能性が高いです。

蒸気には麻酔作用があるため、短時間に多量の蒸気を吸引すると、急性中毒を起こす恐れもあり、使用する際には注意が必要です。ジクロロメタンは、塩化メチルを塩素化する方法のほか、クロロホルム亜鉛酢酸で還元する方法などで生成されます。

ジクロロメタンの使用用途

ジクロロメタンは、冷媒や金属機器・プリント基板等の洗浄剤、ウレタンの発泡助剤、塗料の剥離剤、エアロゾルの噴射剤など、工業的に広く利用されています。また、有機物をよく溶解する重要な溶剤でもあるため、高純度を必要とする低沸点溶剤としても広く使用可能です。

具体的には、ポリカーボネートの反応溶剤や医農薬の溶剤としての用途が挙げられます。ジクロロメタンは、液体クロマトグラフィー (英: Liquid Chromatography) などの精密分析を含め、各種試薬としても使用されています。

不燃性で引火の危険がなく、他のハロゲン化炭化水素と比較して毒性も低いことなどから、トリクロロエチレンの代替物質としても用いることが可能です。

ジクロロメタンの性質

ジクロロメタンは、メタン (CH4) の持つ2つの水素原子が塩素原子で置換された化合物です。密度は1.3266g/cm³、融点は−96.7°C、沸点は40°C、化学式はCH2Cl2、モル質量は84.93です。

湿気によって加水分解し、大気中では容易に光化学分解します。ジクロロメタンは揮発性のある水より重たい無色透明の液体です。芳香臭を有し、非引火性かつ不燃性です。

ジクロロメタンは、エタノールジエチルエーテルに極めて溶けやすく、水にやや溶けにくいです。さらに、ジクロロメタンは、非常に数多くの種類の有機化合物を溶解します。

ジクロロメタンのその他情報

1. ジクロロメタンの合成法

工業的にジクロロメタンは、メタンやクロロメタン (塩化メチル) を400〜500℃で塩素と気相でラジカル反応させることで生成します。メタンよりクロロメタンは早く塩素化され、メタンの水素原子 (H) が塩素原子 (Cl) で多置換された混合物を得ることが可能です。

例えば、メタンと塩素を当量で反応させた場合には、クロロメタンが37%、ジクロロメタンが41%、トリクロロメタンが19%、テトラクロロメタンが3%という比率で生じます。ちなみに、トリクロロメタンの慣用名はクロロホルムで、テトラクロロメタンの慣用名は四塩化炭素です。これらの混合物から副生成物である塩化水素 (HCl) を除去して、蒸留によってジクロロメタンを精製できます。

2. ジクロロメタンの精製方法

ジクロロメタンを有機合成における溶媒として使用する場合には、モレキュラーシーブ (英: molecular sieve) などを用いて脱水する程度でも、十分な結果が得られます。精密な実験の場合には、乾燥剤として水素化カルシウム (CaH2) などを使って、蒸留によって精製します。ただし、ナトリウムはジクロロメタンと反応して爆発する危険性があるため、乾燥剤に使用してはいけません。

3. ジクロロメタンの保存方法

メタンの塩素化物の中で、ジクロロメタンは最も安定です。しかし、高純度品を長期保存した場合に、酸素や光によって酸化分解されて塩化水素やホスゲン (COCl2) などをわずかに生じる可能性があります。

したがって、アルコール、オレフィン、アミンなどの安定剤が、微量添加されている場合が多いです。また、保存する際は、密栓したうえで遮光する必要があります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/75-09-2.html

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