シールプーラー

シールプーラーとは

シールプーラー(英語:Seal Puller)は、機械製品のシャフトやハウジングからオイルシールを取り外すための専用工具です。

シールプーラーを使用することで、機械や自動車に組み込まれたオイルシールをシャフトやハウジングを傷つけずに、容易に取り外すことが可能になります。

オイルシールのリップ部に工具先端を引っ掛けて引き抜くタイプや、ワインのコルク抜きのようにスクリュー状でとがった先端をねじ込み引き抜くタイプなどがあります。

シールプーラーの使用用途

シールプーラーの用途は、オイルシールやガスケットなどの取り外しに特化した工具で、その使用用途は限定されます。

シールプーラーは、主にオイルシールやガスケット、ベアリングのシールドなどの取り外しに使用します。
オイルシールは、潤滑油やグリースで潤滑しているさまざまな機械部品で使用されています。ガスケットも同じく機械部品同士の接合部の密閉に使用されています。ベアリングのシールドは、ベアリング内にゴミなどが侵入しないように取り付けられていて、多くの回転機械などに使用されています。

そのため、シールプーラーは、メンテナンスや修理する工場や現場など多くの場面で使用されています。

シールプーラーの選び方

シールプーラーには、下記のようなタイプがあり、用途によって選定します。

  1. ストレート型
    一番基本的なタイプのシールプーラーで、レバーの先端にT字型で円弧になったヘッドが取り付けられていて、ヘッドの両端にはとがった爪があり、爪をオイルシールなどに引っ掛けレバー中心を支点とし、てこの原理で取り外します。簡単に取り外すことができますが、レバーを倒すための十分な作業スペースが必要です。
  2. シャフト型
    オイルシールなどの取り付け部から、シャフトが突き出ている場合に使用します。ブレードをオイルシールなどに差し込んで、テコの支点となる当て金をハウジングなどに押し当て、レバーを引き上げることで取り外すことができます。支点用の当て金の位置は調節が可能です。
  3. スクリュー型
    スクリュー状の針を、オイルシールのリップ部にねじ込み引き抜くタイプです。深い位置や狭いスペースに取り付けられている場合に使用します。

油圧プーラー

油圧プーラーとは

油圧プーラーとは、油圧の力でギアやベアリングを外すために使う工具のことです。

ギアプーラーベアリングプーラーは、ねじの力でギア、もしくはベアリングを引き抜きますが、油圧プーラーは、さらに強い油圧を使います。

とくに、焼き嵌めで組付けられたベアリングを取り外すときに必要になります。ねじ式のプーラーでは外せなかった、錆びたり焼き付いたりした、ギアやプーリーなども取り外しが可能なため、最終手段として用いられることもあります。

油圧プーラーの使い方

油圧プーラーは、基本的にはギアプーラーやベアリングプーラーと同じく、対象物に爪を引っかけて、引き抜く形で使用します。ただし、軸に当てる部分に油圧シリンダを使います。

油圧プーラーに爪を対象物に引っ掛けた状態で、油圧シリンダーのロッドを軸に当てます。そして、油圧シリンダーに手動の油圧ポンプで油を送ります。油圧ポンプのハンドルは、てこの原理によって、手で加えた何倍もの力が作動油に加わり、強い圧力となって油圧シリンダーを前進させます。油圧シリンダーが前進するたびに、対象物が引き抜かれていきます。

油圧プーラーの選び方

油圧プーラーにはいくつかの種類があります。大きな違いといえば、油圧シリンダーの取り付け方式にあります。ここでは、それぞれの長所、短所を紹介します。

  • 直接取り付けタイプ
    押し出し部に、油圧シリンダーが直接取り付けられたタイプです。加圧するためのハンドポンプは、シリンダに直結したタイプが多く存在します。本体に直接ハンドポンプが取り付けられているため、あまり多きなハンドポンプは使えず、押し出す力も、やや小さくなります。
  • 送りねじ下部タイプ
    押し当てのための、送りねじ下部に、油圧シリンダーが取り付けられたタイプです。油圧シリンダーの先端を軸に当てる際、ねじによって近づけることで、素早くセットすることができます。ハンドポンプはホースでつなぐタイプが多く存在します。ハンドポンプを別置きにできるため、サイズを大きくすることができます。したがって、送り出す油圧も大きくなり、非常に強力な力でギアやベアリングを引き抜くことが可能です。

クサビ

クサビとは

クサビとは、金属や木材からできた、三角形やV字型の工具のことを言います。物の隙間に差し込んで隙間を広げたり、位置を固定するのに使われます。

樹脂からできたクサビもあり、身近な例だとドアストッパーもクサビの一種となります。基本的に、先端の細い方を差し込んで太い方をハンマーで叩いたり、手で押し込むなどして使います。木材や樹脂製のものは、弾力があるため、高い保持力をながらも、相手に傷をつけないという特徴があります。

クサビの使用用途

クサビの使用用途は様々ですが、手では得られない大きな力によって、対象物を割ったり、固定するのに使われます。

  • 物を割る
    クサビで割れる物は、数多くあります。石材や木材、金属などもクサビで割れます。
  • 物を固定する
    クサビは、隙間に打ち込むと大きな保持力を持ちます。木材建築にも使われ、ピッタリとはまれば強固な柱などが出来上がります。また、ドアストッパーや車の車輪止めにも使われるため、身近な存在と言えます。

クサビの選び方

クサビの選び方には、大きく分けて、クサビの形状と、材質によって分けられます。

  • クサビの形状
    クサビの形状で選ぶには、V字の角度の大きさが一番の要素といえます。保持力を求めるのであれば、角度が小さいもので十分です。しかし、物を割る場合には、引き離す力が求められるので、角度の大きなものを選ぶ必要があります。お寺などの木造建築は釘を使わないため、クサビが重要な役割を持ちます。使う柱に合わせて寸法を測り、ピッタリと合うように削る必要があります。
  • クサビの材質
    クサビの材質で選ぶ場合は、保持力を求めるのであれば、弾力性が高く、対象をキズつけない木材や樹脂製のものを選びます。保持力を高めるために、ひだひだのついた樹脂製のクサビが数多く売られています。しかし、生産設備などで、荷重がかかる部位のサポートとして使う場合には金属製のクサビが使われます。物を割る場合は、破壊力がでるように金属製のものが使われます。

チゼル

チゼルとは

鏨(タガネ)の英語で、チゼル(chisel)とは、鑿(のみ)も表わします。

チゼルはボルトの錆びた部位を切断したり、スポット溶接の剥がし用途に使用します。鋼板を切断加工する時や曲げ加工する時は、タガネの名称を区分しています。電動や油圧ブレーカーを利用して取り付けて使用する場合は、チゼルという事が多いです。

チゼルの主な用途は、はつり作業、バリ取り作業、溶接部の表面剥がし作業などです。

チゼルの使用用途

チゼルは、下記の作業で使用します。

  • アーク溶接のバリ取り
    アーク溶接(放電現象を用いた溶接方法)では、作業時にスパッタと呼ばれる金属粒子(溶融物)が飛散付着します。このスパッタは表面品質低下となるため、チゼルで塗装をする前に取り除きます。
  • コンクリートのはつり作業
    チゼルは、解体工事、新築やリフォームの現場でコンクリートを削ったり、穴を開ける時に使用します。正確性が要求される作業や、ブロック組み立て、タイルを組む際の石材をカットする時に使用することが多いです。
  • スポット溶接の剥がし
    スポット溶接(鉄板に電気を流し、その電力抵抗を用いて圧接する方法)は、溶接部位が少なく大量生産に向いていることから、自動車のシャーシーなどで用いられています。自動車の板金塗装では、このスポット溶接の表面部を剥がす必要があります。板金用のチゼルは、シャーシー構造の狭い間隙にも挿入して作業できるよう工夫されています。

チゼルの選び方

  1. 種類:チゼル・タガネは、大きく分けて以下の5種類が有ります。

    ①平タガネ
    タガネの中でも最も一般的で、マイナスドライバーを大きくしたような形です。主にコンクリートのハツリ作業などに使用しますが多用途に使用可能です。

    打撃ヘッドに加えた力を小さな範囲へ効率的に伝えるため、正確な溝彫り・削りもできます。一方、レンガやブロックの切断・破砕には適しません。

    ②レンガタガネ
    刃が大きく、打撃ヘッドの力を均一に伝達できるため、耐火レンガのように硬く幅広なブロック類を割る用途の使用に適します。日本のレンガは幅60mmとJIS規格で定められているため、それよりもやや大きめな刃幅を選ぶことをお勧めします。

    ③カットチゼル
    ブロック、レンガ割りやPタイルなどのはがしなどのハツリ作業に適します。舗装された道路に標示してある白線のはがしにも使用します。

    ④スロットチゼル
    スロットチゼルは、板金作業、バリ取りや、ボルト切断などに使用します。持ち手が板状なので、タガネと違ってハンマーで打ち付けても刃先の回転を起こさず、正確な溝を刻めます。持ち手から刃先まで幅・厚みがあまり変わりません。

    ⑤チスタガネ
    杭状のタイプです(チスと呼ばれることもあリます)。力が一点に集中するので、ハンマーを軽い力でも加工ができます。とくに、コンクリートへの穴あけ・溝作りに向いています。破砕もできますが、切断には向きません。

  2. サイズ:用途に会わせてサイズを選ぶ
    全長は、基本的に短い方が扱いやすく、持ち運びも便利です。ただし、ブロック切断では勢い余って手を打ち付ける可能性があります。用途により使いやすい長さを選んでください。
    幅は、レンガ・ブロック切断では一度に切った方が切断面が綺麗なので、刃幅80~100mmなどの広い方がおすすめです。

刻印

刻印とは

刻印(英語:Carved Seal、 Engraved Stamp、 Marking)は、金属版や皮革などに文字や数字を彫り込む作業に使用する工具です。刻印は「打刻された文字」を示している場合もありますが、ここでは「打刻するための工具」として説明します。

細い棒状の部品の先端に、凸状に文字や数字の型が付いていて、先端の型部分を金属板や皮革に押し当て叩くことで、打刻します。刻印は、1文字で1本のため打刻する文字や数字分の本数が必要になります。

最近では、レーザー加工機の発展により刻印を使用する機会は減ってきてはいますが、少量の銘板製作などの現場では現在も使用されています。

刻印の使用用途

刻印の用途には、下記のようなものがあります。

  1. 機械製品の銘板やネームプレートに、製造番号や製品個体管理番号、製造年月、寸法、仕様などを打刻します。
  2. 皮革製品に製造者名やブランド名を打刻します。

1)項については、製品個体の製造履歴管理(トレーサビリティ)の情報として、製品の品質管理においては大変重要になります。

ハンマーなどで手打ちして使用する場合は、必要な文字分の刻印を並べてホルダーに取り付けて打刻することで、作業時間を短縮し、刻印文字を整列させ、均等の力で打刻できます。そのため、仕上がりがきれいになります。

刻印の選び方

刻印の選定には、下記のようなポイントがあります。

  1. 正文字と逆文字
    刻印には、「正文字」と「逆文字」があり、「正文字」は、印鑑と同じように打刻した向きそのままで文字として判別できる状態になるもので、「逆文字」は、打刻した向きでは文字が裏文字(逆文字または鏡文字)なっていて、そのままでは読める状態ではないものになります。

    「正文字」は、主に銘板などに使用されます。

    「逆文字」は、主に金型などに使用され、金型に打刻して製作した製品の状態で読める正の文字になります。

  2. 先端形状
    刻印の先端形状は、用途によってさまざまな形状があります。

    a. 刃刻刻印(標準的なもの)は、文字型の先端が鋭角にとがっていて、打刻の入りに優れていて、金属の打刻に適した形状です。

    b. ベタ刻印は、文字型の先端が平坦な形状です。

    c. ローストレス刻印は、文字型の先端が丸く、低応力で打刻でき相手側に負荷をかけない形状です。

    d. 点字ローストレス刻印は、文字型の先端形状が、点字になっているもので、点字とローストレスを組み合わせた点字ローストレス刻印があります。

  3. 文字サイズ(文字高さ)
    数種類の文字サイズ(文字高さ)があり、必要な文字サイズを選定します。サイズの例としては、文字高さの寸法が 1.5 mm~16 mm などがあります。

てこ

てことはてこ

てことは「支点」「力点」「作用点」からなる、てこの原理を用いた工具全般のことをいいます。支点ひとつと、棒が1本あれば、てことして使えます。

てこの原理を利用した工具は、世の中に数多く存在します。その代表例には、釘抜きがあります。また、重いものを持ち上げたり、ずらしたりするのに使うバールなども、てこの一種になります。

ハサミやペンチ、プライヤーなどもてこの原理を使っているため、てこの一種と捉えることができます。

てこの使用用途

てこは、加えた力を増幅して利用するために使われます。たとえば、釘抜きの例でいうと、木材に打ち付けられた釘を指の力だけで抜くことは、非常に困難です。しかし、釘抜きを使えば、てこの原理によって、一瞬で釘が抜けてきます。

また、重たいものを運ぶためにも使われます。古代エジプトでピラミッドを建造するときにも、木の棒がてことして使われています。他にも、ハサミやニッパ―などのように切断用として用いられることもあります。

てこの選び方

てこの使い方は、数多くあります。ここでは用途別に、形状と名称を紹介するので、工具選びの参考にしてください。

  • 引き抜く
    もっともシンプルなてこで、棒状のものが多くあります。支点を間に、両側に力点と作用点があります。
    ・釘抜き
    ・バール
  • 持ち上げ、運搬
    引き抜くと同様に、シンプルな形状が多くあります。支点を間に、両側に力点と作用点があります。
    ・バール
    ・ドラムリフター
    ・キャリア―
  • 掴む
    2本のアームを使って対象物を掴む、保持するのに使います。支点を交点として2本のアームが交差し、持ち手を力点、掴む部分を作用点とします。また、ピンセットのように、片方の端に支点があり、もう片方の端に作用点、間に力点があるタイプもあります。
    ・ペンチ
    ・プライヤー
    ・ピンセット
    ・トング
  • 切断
    掴む工具と原理は同じですが、作用点が刃になっています。支点を交点として2本のアームが交差し、持ち手を力点、切断部分を作用点とします。また、糸切りのように、片方の端に支点があり、もう片方の端に作用点、間に力点があるタイプもあります。
    ニッパー
    ・ハサミ
    ・糸切り

コンビハンマー

コンビハンマーとは

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コンビハンマーとは、ハンマー頭部の片側に金属を使い、もう片側には樹脂を使ったハンマーのことです。金属ハンマーと樹脂ハンマーの、両方の特性を兼ね備えており、コンビハンマー1本で2つのハンマーとして使えるため、非常に使い勝手が良いハンマーとなっています。

大きさは、片手で扱える比較的小型のタイプが多く出回っています。グリップ部分は、樹脂でコーティングされたタイプと木製のタイプがあります。樹脂タイプの方が摩擦力が上がるうえ、滑り止めの段付きにしたりできるため、握りやすくなります。

コンビハンマーの使用用途

コンビハンマーは、これが一本あれば金属ハンマーと樹脂ハンマーの、2種類分の使い方ができます。ハンマーは重いものが多いですが、1本だけ所持すればよくなるために、持ち運びが楽になります。また、金属ハンマーと樹脂ハンマーを持ち帰る必要がないため、作業工数も減らせます。

主な使い方は、金属部分で対象物を打ち付けて、変形や破壊などを行います。樹脂部分は、位置調整などの対象物をキズつけずに、位置をずらしたいときに使います。

コンビハンマーの選び方

コンビハンマーを選ぶ際は、まず頭部の材質の組合せを選択します。一般的には、鉄とゴムが多く出回っています。しかし、なかには木とプラスチックの組合せでできたコンビハンマーなどもあります。使いたいシーンに合わせて、好みの組合せを選ぶ必要があります。以下に、材質ごとの特徴を記すので、材質選びの参考にしてください。


  • 重量が重く、硬度もあるため、強度の打撃を与えたいときに選びます。対象物を変形させる場合に使いことが多いです。
  • ゴム
    弾力性があるため、対象物をキズつける可能性は低くなります。位置調整したいときに、よく使われます。しかし、その弾力性ゆえに、打撃力が逃げやすいです。
  • 真鍮
    鉄よりも軽く、硬度も低いため、ある程度打撃力を与えつつも、変形させたくないときに使います。

  • 軽く、硬度も低いため、対象物をキズつけたくないときに使います。ゴムと違い、弾力性はないため、打撃力の逃げは少ないです。

電工ハンマー

電工ハンマーとは

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ハンマーは、物をたたく工具の総称で、金属製の打撃部分(頭)と手で握る部分(柄)で構成されています。

電工ハンマーは、ハンマーの一種で、電気工事に適したハンマーです。柄の端がソケット状になっています。

電工ハンマーの頭は、片側が打撃面で反対側が尖っている先切タイプと、両側とも打撃面のゲンノウタイプがあります。電工ハンマーは、柄の先端がソケット状になっているのが一番の特徴で、この部分でナットの付け外しを行うことができます。

電工ハンマーの使い方

電工ハンマーは、主に木造住宅の配線作業や照明器の取り付けなどに使用します。

電工ハンマー頭の打撃面は、配線を固定する目的で、コの字形ステップルを打ちつけたり、釘を打ったりする際に使います。ステップルを打つ際は、強く打ちつけて配線をつぶさないように注意します。配線に対して余裕をもちつつ確実に固定するためには、ゆとりのある大きさのステップルを選ぶことが大切です。

電工ハンマー頭の先切部分は、ステップルや釘を打つ作業には使えませんが、小規模な打ち壊し、コンクリートのはつり作業などに使います。

電工ハンマーの柄の先端は、ソケット状になっています。頭部分を手に持ち、柄を回転させてナット締め・ナット外しを行います。

電工ハンマーの選び方

電工ハンマーの頭は、打撃面と先切を持つ先切タイプと、二つの打撃面を持つゲンノウタイプがあります。作業内容によって頭の形状を選びます。

電工ハンマーを使用する配線作業などの現場では、一般的なハンマーを使った作業現場と比べると、強い打撃作業の頻度が低いため、ハンマー頭部分のサイズに大きな差異はありません。

電工ハンマーの柄の長さは、25〜30cm程度の一般的なものと、20cm前後のショートタイプがあります。ショートタイプは電工作業用の腰袋に収納するのに便利ですが、対応できるボルトの長さが短いという欠点があります。

電工ハンマーの柄先端のソケットは、配線作業でよく使われる17mmソケットが一般的ですが、17mmと13mm、17mmと21mmなど2サイズのソケットに対応したダブルソケット電工ハンマーもあります。使用するナットのサイズを考慮して選びます。

また、ダクターチャネルやハンガーレールを用いて配線を固定する作業を行う場合は、通常の電工ハンマーではレールの隙間に入れることができないため、ダクターの口幅に合わせた電工ダクターハンマーを選びます。

板金ハンマー

板金ハンマーとは

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ハンマーは、物をたたく工具の総称で、金属製の打撃部分(頭)と手で握る部分(柄)で構成されています。

板金ハンマーは、ハンマーの一種で、鉄板やアルミニウム板などを叩いて加工するときに使用するハンマーです。自動車の車体補修、屋根やダクトの板金、電気工事、金属製の工芸品制作などの現場で使われています。

板金ハンマーを使う板金作業では、強い打撃ではなく繊細な打撃動作が要求されるため、打撃ハンマーは一般的なハンマーに比べ軽量なものが多いです。

板金ハンマーの使い方

板金ハンマーは、釘打ちや解体作業などで強く打撃すると、頭部が欠ける恐れがあるので、板金作業以外には使用してはいけません。

自動車のボディの凹みや歪みなどの変形箇所を補修するときは、板金ハンマーとドリーと呼ばれる当て金を使います。

表面の凸凹を平らにするときは、補修箇所の裏側にドリーを当て板金ハンマーで叩きます。この作業はオンドリ−加工と呼ばれ、板金の仕上げ作業はオンドリ−加工で行います。

補修箇所からドリーを少しずらすなどして、補修箇所がドリーに対して少し浮いている状態で行う作業をオフドリー加工といい、大まかな粗修正はオフドリー加工で行います。オフドリー加工では、ドリーと鉄板との接点に近い場所を叩くと板が持ち上がり、遠い場所を叩くと板は沈みます。

板金ハンマーの選び方

板金ハンマーには、打撃面が平坦な「ならしハンマー」と打撃面表面に細かい凹凸がある「絞りハンマー」の2種類のタイプがあります。

ならしハンマーは材料の表面の凹凸を均一にならすときに使用し、絞りハンマーはならしハンマーで伸びた材料を絞るときに使用します。一般的な板金作業では、ならしハンマーの使用頻度が高いですが、ならしハンマーと絞りハンマーは使用目的が異なるので、必要に応じて両方所持することが推奨されます。

ならしハンマーの打撃面は、完全にフラットなものと緩やかに湾曲したものがあります。湾曲タイプの方が繊細な加工に適していますが、フラットタイプには回転や首振りなどの機構で打撃動作を補助する機能を持つものもあります。

ならしハンマー、絞りハンマーともに、打撃面の反対側は尖った形状をしており、柄に対して縦向きのものと横向きのものがあります。この部分はモールディングなどを打ち込むときに使用するので、作業内容に合わせて縦型・横型を選ぶといいでしょう。 

仮枠ハンマー

仮枠ハンマーとは

ハンマーは、物をたたく工具の総称で、金属製の打撃部分(頭)と手で握る部分(柄)で構成されています。

仮枠ハンマーは、ハンマーの一種で、建築作業においてコンクリートを流し込む型枠を組み立てる仮枠作業に使われるハンマーです。

仮枠ハンマーの頭は、一般的なハンマーよりもやや長く、頭の片方が打撃面、反対側が釘抜きになっています。仮枠ハンマーは、さまざまな障害物がある場所での仮枠作業が行いやすいよう、柄は長く、打撃面は柄に近くなるほど細くなるラッパのような形状をしています。

仮枠ハンマーの使い方

コンクリートを流し込む型枠を組み立てる仮枠作業の際、ベニア板や角材などの木材に仮枠ハンマーで釘を打ちます。

型枠は、コンクリートが固まった後は解体・撤去するため、解体作業のことも考慮して、釘は完全に打ち込まずに少し浮かせておきます。

解体作業の際は、仮枠ハンマーの釘抜き部分で釘を抜きます。仮枠ハンマーの頭部は長いので、長い釘も抜きやすくなっています。ただし、打撃面側を釘抜きの支点にしなくてはならないほど長い釘については、仮枠ハンマーの頭を痛める可能性があります。非常に長い釘については仮枠ハンマーではなくバールなどで対応する方が安全です。

仮枠ハンマーの選び方

仮枠ハンマーは、打撃面の直径など頭部のサイズは25〜30mm程度の範囲で収まっていて、あまりバリエーションがありません。

その代わり、柄の長さは30〜60cmの間でさまざまな長さがあります。仮枠作業現場では、型枠固定用の鉄骨やセパレータ、水平面確認用の水糸などの障害物がある場合が多く、このような現場で使うには柄が長いものが適しています。ただし、柄が長いハンマーは打撃の正確さに劣る欠点もあるため、作業現場や作業内容に適した長さの柄を選ぶといいでしょう。

また、打撃ハンマーの柄の材質には、木、スチール、グラスファイバなど、さまざまな種類があります。スチール製とグラスファイバー製は折れや曲げに強い材質で、強く打撃する作業に適しています。木製柄は耐久力の面では劣りますが、頭または柄が消耗した際、交換して使用できるという長所があります。

仮枠ハンマーの打撃面には、筋目の入った滑り止めがあるタイプとないタイプがあります。釘を打つ際は、滑り止めがあった方が作業しやすいと言われます。

仮枠ハンマーには、打撃面の上部にマグネットを内蔵した溝があるマグネット付タイプがあります。この溝に釘をセットしてそのまま打ち込むことで、第一打を片手で打つことができます。高い場所や入り組んだ場所など、両手で釘打ち作業ができない現場ではマグネット付仮枠ハンマーを選択するといいでしょう。