表面実装型LED

表面実装型LEDとは

表面実装型LED

表面実装型LEDは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子のパッケージ形態の一種で、プリント基板に挿入孔を設けずに基板上のパターンに直接はんだ付けして実装するタイプです。

Surface Mount Device(表面実装部品)の略語でSMD LED、またはチップLEDとも呼ばれます。上面発光タイプだけでなく、横方向から光を出す側面発光タイプもあります。

古くからあるLEDパッケージの砲弾型に比べ、明るく、広い照射角度がとれること、小型で実装スペースが少ないこと、素子背面の素材・構造によって放熱効率を上げることができるなどのメリットがあり、現在、一般照明用LEDとして主流になっています。

表面実装型LEDの使用用途

表面実装型LEDは、明るく、広範囲に照射できるという特長から、天井照明、間接照明、デスクスタンド、センサーライトなどの一般照明器具のほとんどで使用されています。

また、製品の表面に実装できることから、デジタルカメラやビデオカメラの操作パネル、リモコンなどにも使われます。

表面実装型LEDは他にも、自動車のヘッドライト、ルームライト、メーターなどのパネル、液晶テレビや液晶ディスプレイのバックライト、電飾など、幅広い用途に使われています。

表面実装型LEDの原理

表面実装型LEDは、リードフレームに0.3mm角サイズのLED素子を固定し、LED素子と電極をボンディングワイヤで接続した後、エポキシやシリコンなどの樹脂で封止した構造をしています。

LED素子が発する光をパッケージの外に照射するために、封止材料としては透明なエポキシ樹脂やシリコン樹脂が使われますが、最近はガラス材料を用いたものも登場しています。

シリコン樹脂は、劣化による光の透過率低下のスピードが遅く、照明器具や液晶のバックライトなど高出力製品用のLEDに使われます。シリコン樹脂よりも劣化が早いと言われるエポキシ樹脂は、インジケータなど低出力製品用のLEDに使われます。ガラス材料の場合は、シリコン樹脂よりもさらに劣化が遅く、高い信頼性があります。

表面実装型LEDは一般照明用によく使われますが、照明には白色光が必要です。そのため、照明用の表面実装型LEDには、単色LEDの光を混合するなどして白色光を得る仕組みがあります。白色光を作る方法は主に次の通りです。

シングルチップ方式:青色LEDと青色光で励起されて黄色光を発する黄色蛍光体とを組み合わせる方法です。青色と黄色は補色関係にあるため、これを混色すると人の目に白色と感じる光を得ます。構造が単純で効率も高いので、現在主流となっている方法です。また、青色LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体を組み合わせ、光の三原色を混色してより自然な白色光を得る方法もあります。

マルチチップ方式:光の三原色である青色・赤色・緑色のLEDを組み合わせる方法です。LEDの色によって点灯電圧が異なるため、回路構成が複雑になります。 

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/led

保護リレー

保護リレーとは

保護リレー

保護リレーは、電力系統設備に発生する電流・電圧の急激な変化を瞬時に検出し、遮断器に制御信号を送って異常箇所を切り離す装置で、保護継電器とも呼ばれます。

保護リレーは、電力系統の事故発生時に故障箇所を迅速に切り離すことで、過電流による損傷が広がることを防ぐだけでなく、停電時間を最小限に抑え、電力を安定供給するという目的があります。

そのため、事故設備を切り離すための設備事故除去リレーと、事故の影響拡大を防止するための事故波及防止リレーとが、電力系統内に分散して配置されます。また、事故復旧を迅速に行うための再閉路装置も、保護リレーの一種として扱われます。

保護リレーの使用用途

保護リレーは、落雷などの事故の影響が電力系統に広がることを防ぎ、電力の安定供給を確保するための装置です。電力会社が管理する発電所、変電所、送配電線など電力系統を構成する設備の各所に、保護リレーが設置されています。

また、電力会社の電力系統と連系した自家用発電設備も、自家用発電設備の故障時には電力系統を保護し、電力系統の事故時には自家発電設備を保護するために、受電箇所に保護リレーを設置することが義務づけられています。

発電設備以外でも、ビル、工場、病院、鉄道など電力需要施設の受変電設備を保護するために、保護リレーが使用されています。

保護リレーの原理

保護リレーの動作原理は、保護リレーの種類によって異なります。保護リレーの主な方式と動作原理は以下の通りです。

  • 過電流保護リレー(OCR:Over Current Relay):保護リレー設置箇所の電流値が設定値を超えたとき動作します。過電流保護リレーが動作する要素には、次元要素と瞬時要素の2通りあります。次元要素は、過負荷によって長時間過電流が流れたことを検出して動作するもので、電流値が大きいほど早い時間に正常な系統を保護します。瞬時要素は、短絡によって定格電流をはるかに超える大電流が瞬時に流れたことを検出して、正常な系統を保護します。
  • 過電圧保護リレー(OVR:Over Voltage Relay):保護リレー設置箇所の電圧が設定値を超えたとき動作します。発電機などの故障による電力系統側の過電圧を検出し、負荷側の系統や機器を保護します。
  • 不足電圧保護リレー(UVR:Under Voltage Relay):保護リレー設置箇所の電圧が設定値以下に低下したとき動作します。停電や短絡故障などによる電力低下を検出し、負荷側の系統や機器を保護します。
  • 地絡保護リレー(GR:Ground Relay):ケーブルなどが大地と接触して起こる地絡事故を検出して動作します。地絡保護リレーは、零相交流器(ZCT)を使って、地絡事故発生時に三相回路のバランスの崩れによる不平衡電流を検出します。このとき、電流の大きさだけで地絡故障を検出するため、電力系統の事故電流か、自己回線側の事故電流かを見分けることができず、誤検出する可能性があります。
  • 地絡方向保護リレー(DGR:Directional Ground Relay):回線と大地間の零相電流と零相電圧とで地絡事故を検出して動作します。電流と電圧の位相差の方向で、自己回線の事故電流だけを検出することができます。
  • 差動保護リレー(DFR:Differential Relay):保護区間の入力電流と出力電流のベクトル(電流値と位相)差に比例する差動電流が一定値を超えたとき動作します。保護区間内で短絡が起きたときのみ、交流器(CT)の二次電流に差が生じて動作コイルに差電流が流れる仕組みです。この方式では、CTの特性差などにより正常時に差電流がゼロにならず誤作動する可能性があります。
  • 比率差動保護リレー(RDFR:Ratio Differential Relay):差動保護リレーの誤作動を防ぐため、差動保護リレーに、電流が通過すると抑制力が発生する抑制コイルを付加した構造をしています。外部事故による大電流が通過すると大きな抑制力が働いて、誤動作を防ぎます。

保護リレーの方式には、この他に電力保護リレー、過周波数保護リレー、不足周波数保護リレー、短絡保護リレー、短絡方向保護リレーなどがあります。

参考文献
https://www.iee.jp/pes/termb_060/
https://jeea.or.jp/course/contents/08103/

砲弾型LED

砲弾型LEDとは

砲弾型LED

砲弾型LEDは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子のパッケージ形態の一種で、頂部が半球型の円筒形の形状をしています。形が砲弾に似ていることから「砲弾型」と名付けられました。

プリント基板の部品挿入孔にLEDのリードを通してはんだ付けを行って実装することから、スルーホール実装型、リードフレーム型などと呼ばれることもあります。

砲弾型LEDは、LED素子のパッケージの中で最も古いタイプです。現在は表面実装型LEDが主流になっていて、砲弾型LEDは市場の中で年々減少傾向にあります。

砲弾型LEDの使用用途

砲弾型LEDは、前方方向に遠くまで光を照射する特徴があり、横方向にはほとんど照射しません。そのため、光を一方向に照射する特徴を活かし、インジケータ、サイン、信号、看板、案内表示器など、さまざまな場所で使用されています。

砲弾型LEDは、以前は一般照明にもよく使われていましたが、表面実装型LEDが登場すると、表面実装型の方が砲弾型よりも明るいことや放熱性能が高いことから、一般照明の主流は表面実装型LEDに取って代わられました。 

砲弾型LEDの原理

砲弾型LEDは、リードフレームに0.3mm各サイズのLED素子を固定し、アノード(プラス)端子とLED素子をボンディングワイヤで接続した後、砲弾型の封止樹脂で封止した構造をしています。カソード(マイナス)端子は、リードフレームから直接出ています。

砲弾型をした封止樹脂は、LED素子を保護するだけでなく、樹脂に蛍光体を混ぜることによって発光色を調整することができ、また、レンズとしての効果もあります。砲弾型LEDのサイズは、レンズ部分の直径で表記され、3mmや5mmのものが一般的です。

砲弾型LEDはアノード端子とカソード端子の2端子素子です。アノード端子の方が若干長くなっていて、端子を判別することができます。アノード側を電源のプラスに、カソード側をマイナスに接続して使用します。逆接続では点灯しません。

LEDは、電球などの発光体に比べると発熱量が低いという特徴がありますが、それでも、光に変換されなかったエネルギーは熱になって放出されます。砲弾型LEDは、LED素子が放出した熱を細いリードフレーム経由で伝搬するだけなので、放熱性に劣り、大きい電流を流すことができません。 

参考文献
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/38-03-sougouhoukoku.pdf

防振パッド

防振パッドとは

防振パッド

防振パッドは振動を発生する様々な機器において、振動抑制を目的として使用されるものです。

天然ゴムなどの材質からなり、機械の下に設置するだけで機能させることができます。コストパフォーマンスにも優れています。

多くの防振パッドでは、表面に凹凸の特殊な模様が施されており、薄くてもばね定数を下げて防振効果を高めることが可能です。

また適当なサイズにカットすることができるため、作業現場で状況に合わせて簡単に設置することができます。

防振パッドの使用用途

振動を発生する機器として、冷凍機やヒートポンプなどがあります。これらはピストンの圧縮運動によるものです。

またフライス盤旋盤などの工作機械でも振動が発生し、加工物の精度に影響を与えることがあります。

送風機やポンプでは、羽根が回転し気体の排出や吸引を行います。羽根と気体の衝突やその後の圧縮過程で振動が起こりえます。

その他にも印刷機器や工場ミシン類、発電機などに対して、振動を抑制するために防振パッドは使用されます。

防振パッドの原理

多くの機械はその動作過程で振動や騒音を発生します。

冷凍機やヒートポンプでは、コンプレッサと呼ばれる気体圧縮機が使用されます。圧縮の工程で高温高圧の気体に変化させるときにピストンが往復運動するため、その際に振動や騒音が起こりやすくなります。

工作機械でも振動が発生します。例えばフライス盤や旋盤で表面を切削する場合に、振動が発生すると表面に凹凸ができ、平面加工ができない恐れがあります(びびり振動といいます)。

これらの振動が長時間続くことで、機械に損傷を蓄積させ、本来の機能を低下させる場合があります。機械本体だけでなく、周囲にも物理的な損傷を与えることがあります。

防振パッドはゴムの弾性を利用することで、これらの振動や衝撃を吸収することができます。比較的寿命は長く、安定して防振・防音性能を発揮します。

多くの場合は天然ゴムや再生ゴムを材料として製造されます。厚さは10 mmから20mmと薄いものが代表的で、大判のものから任意の大きさにカットして使用可能です。

参考文献
http://www.shinoda-gomu.co.jp/product/vibrationpad/vibrationpad.html
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kuchosetsubikisokouza_0303/

無人搬送車

無人搬送車 (AGV)とは

無人搬送車

無人搬送車 (英: Automatic Guided Vehicle,AGV) とは、工場などで荷物を自動かつ無人の状態でも目的地まで搬送してくれる台車型のロボットのことです。

従来は人によってフォークリフト等の操縦が必要でしたが、無人搬送車の場合は自動で目的地まで行き、荷物をピックアップしてから指定の場所まで搬送することができます。これによって、工場内の輸送効率を大幅に向上させることに加え、大幅な省人化も行えるため工場の自動化 (英: Factory Automation) に大きく貢献しています。

無人搬送車はオペレーターがいないため、荷物など物品の搬送を行うことを目的とし、道路運送法で定められた道路で使用しないものとされています。一方で、近年ではAIやデータ分析の技術も進むことで、磁気テープを使用せずに走行ルートを自ら判断し、自律走行できるタイプが増加しつつあります。

無人搬送車の使用用途

無人搬送車は、主に工場などの物流現場において、効率的に荷物を輸送するために使用されています。無人搬送車の始まりは1990年頃で、工場の製造ラインに磁気テープを敷設することで、一定のルートを走行させる技術からスタートしました。

しかし、この方法では走行ルートを変更したい場合、敷設した誘導路を1度撤去して再敷設しなければなりません。走行ルートの変更はできるものの、大規模な工事が都度必要になってしまうのが課題でした。

そこで、近年ではレーザーやカメラによる画像認識で走行ルートを設定可能で、磁気テープによる誘導路が不要な自律走行型の無人搬送車が普及しつつあります。製品によってはAIが独自に判断し、搬送するルートに無駄が無く効率的に荷物の搬送を行えるようになっているものもあります。

無人搬送車の原理

無人搬送車が人による操縦が無くても、荷物のある目的地まで到達できるのは、工場の床に予め設置された磁気テープや磁気マーカーを無人搬送車に搭載されたセンサーで読み取らせることで、走行する位置や経路を正確にトレースさせているためです。

無人搬送車の原理として、無人搬送車はJIS規格により大きく3つのタイプに分類されています。それぞれの特徴は以下のとおりです。

1. 経路誘導式無人搬送

最も一般的なタイプのもので、先に述べた磁気テープや磁気マーカーなどの誘導体により、指定された経路に沿って搬送車を誘導する方式です。これまでに最も普及しており、無人搬送車自体の価格も安く導入への敷居が低いことから、コストパフォーマンスにも優れています。

しかし、誘導路の磁気テープを床に埋め込んでしまう特性上、走行経路の変更が容易でないというデメリットがあります。

2. 自律移動式無人搬送車

AMR (Autonomous Mobile Robot) とも呼ばれ、自律移動しながら荷物の搬送を行います。無人搬送車が自ら自己位置を特定することが可能で、走行ルートを外部からの誘導や制御がなくとも目的地まで移動できます。AI技術の発達により、近年導入が急速に進んでいるタイプです。

壁や柱などの表面までの距離をレーザーとカメラを用いて計測することで、自己位置を把握しています。ただし、無人走行を妨げない環境整備やコスト面では改善の余地があることから、大企業を中心として導入が進んでいるのが現状です。

3. 追従式無人搬送車

先行する人や車両などに一定の距離を保ちながら追従するタイプです。自律移動式と同様に、誘導路の設置が不要ですが、単純に追従していくことしかできないため、先行する人や車両には別途人による制御が必要となります。

無人搬送車の種類

無人搬送車の種類として、さまざまな台車の形状があります。代表的な形状は、以下のとおりです。

1. 台車型

台車型は台車の形状になっており、自らに荷物を載せて搬送します。

2. けん引型

けん引型は自らに荷物を直接載せず、後ろにカゴ台車やパレット等をけん引して引っ張ることで目的地まで荷物を搬送するタイプです。貨物列車のように複数のカゴ台車等を引っ張ることもできます。

3. 低床型

低床型は荷物の下側へ潜り込み、荷物を上にリフトアップしてから目的地まで搬送するタイプです。車輪が付いていないカゴ台車やパレット、けん引が難しい台車でも搬送が可能です。

参考文献
https://shiko.biz/agv
http://www.jiva.or.jp/pdf/Kind%20of%20AGVS.pdf

油圧バイス

油圧バイスとは

油圧バイス

油圧バイスとは、油圧の力を利用して強力に対象物を固定する工具です。

2枚の口金の間隔を外部からハンドルを回して調整することができ、その間隔に応じて対象物を挟み込む強度が変化します。油圧を利用するため、手動のみでは難しい締付け精度で、少ない力で強力に固定することができます。

抑え込む力が強い場合、口金の一方が浮き上がり、対象物の位置が動いてしまうことがあります。こうした現象を防ぐためには浮き上がり防止機構の付いた油圧バイスが使用されます。 

油圧バイスの使用用途

油圧バイスは、金属加工や木材加工を行う際に、材料を強力に固定したい場合に使用されます。

具体的には、固定した材料の切断、溶接あるいは研磨などが挙げられます。通常の手動バイスでも固定は可能ですが、重量物などでより強力に固定したい場合や、加工精度が求められる場合には、その位置が動くことを避ける必要があります。

そのような場面では油圧バイスを用いて材料を固定します。多くの工作作業をする場面で広く用いられる工具です。

油圧バイスの原理

バイスとは、2枚の金属板の間に対象物を挟み込み、強力に固定する工具のことです。和名では万力 (まんりき) と呼ばれます。

油圧バイスは油圧の力を利用したバイスのことで、軽い力で材料を挟み込むことができます。通常、外部からハンドルを回し、その回転量に応じて締め付ける強度を調整することができます。この方法はパスカルの原理に基づく油圧発生機構によるものです。

仮に容器内に液体を封入し、一方から液体に圧力を加えると、容器内を均一に圧力が伝搬します。圧力は面積が大きくなるほど力が大きくなるため、面積の小さなピストンを押し込んだとしても、出力時の大面積領域では大きな力を加えることができます。

油を内部に保持した「油圧内蔵式」と、外部から注入する「外部供給式」とがあります。油圧内蔵式は油圧の調整を要せず、ただちに使用できるメリットがあります。油圧機構を働かせたくない場合や油圧の強度を調整したい場合には外部供給式を選択します。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/055/
https://www.nabeya.co.jp/search.php?grp=J

プロジェクト管理システム

プロジェクト管理システムとは

プロジェクト管理システムとは、チームで進めるプロジェクトの目標、予算、スケジュール、タスク、リソースなどを監視、制御するための情報管理システムです。

1つのプロジェクト案件ごとに、受注・開発・購買・生産・出荷などの各プロセスを統合的に管理することによって、複雑化・大型化が進むプロジェクト全体の管理を支援します。スケジュールなどを管理する同様のシステムとして、生産管理システム工程管理システムなどがありますが、これらは主に製造業で使われるシステムです。

一方、プロジェクト管理システムは製造業に限らず、全ての産業分野に適用できます。プロジェクトの分野、規模、複雑度などによって、エクセルのテンプレートを使用する簡易的なものから、企業の業務形態に合わせてカスタマイズされたものまで、さまざまなレベルのシステムがあります。

プロジェクト管理システムの使用用途

プロジェクト管理システムは、製造業やソフトウェア開発、情報サービス、小売業、商社、飲食産業、建設業、金融機関など、あらゆる産業分野で使用されます。特に、業務フローが複雑でタスク管理が難しい場合や、大人数が関わる規模の大きいプロジェクトの場合、複数の企業で1つのプロジェクトを進める場合などで大きな効果を発揮します。

プロジェクト管理システムでは、プロジェクトごとに全プロセスを管理しますが、産業分野によってプロセスが異なり、必要とされる機能のセットも異なります。プロジェクトマネージャーやプロジェクトチームメンバーがプロジェクトをより効果的かつ効率的に管理するためのツールとして有用です。

プロジェクトマネージャーはプロジェクトの全体進捗を常に把握しておく必要があるため、特に使用頻度が高いことと、そのプロジェクトや産業分野にとって最適なプロジェクト管理システムを選定することが不可欠です。

プロジェクト管理システムの原理

プロジェクト管理システムにはさまざまな機能がありますが、基本的に以下の機能で成り立っています。

1. タスク管理機能

プロジェクトの業務フローを小さい作業単位のタスクに分解し、それぞれのタスクのインプット (材料や書類など) 、具体的な作業内容、アウトプット (投資対効果・成果物) 、タスク完了の条件、タスクの優先度などを設定します。タスクの優先度は、タスク間の依存関係を明確にして、そのタスクが終了しないと開始できないタスクがある場合や影響度の大きい場合は、優先度を上げるよう設定します。

タスク完了の条件に責任者の承認がある場合など、承認プロセスをシステム上で実施できる機能を持つものもあります。

2. スケジュール管理機能

プロジェクトのタスク、または複数のタスクをまとめた工程ごとに、作業内容・作業時間・人員などからスケジュールを策定し、ガントチャートに落とし込みます。ガントチャートは、各工程の業務内容を縦軸に、スケジュール・バーを横軸に記載したものです。

工程間の依存関係やプロジェクトの状況を視覚的に確認できる図を指します。このガントチャートを使って工程の進捗状況を把握し、納期を厳守できるようスケジュールを管理します。進捗状況を分かりやすくするために、グラフィカルなダッシュボードで表示させる機能もあります。

スケジュールに遅延が発生した場合にアラート表示・アラート発信する機能、AI機能を搭載したプロジェクト管理システムにおいては、過去の遅延状況や後工程の工数をもとにシミュレーションし、最適なリソース管理の提案やリスク抽出をしてくれる機能もあります。

3. 情報共有機能

プロジェクトに関わる人員全員が必要な情報を共有できる機能です。スケジュールだけでなく、作業手順などのドキュメント、議事録、レポートなどの文書、資材の在庫状況、設備のメンテナンス情報など、プロジェクト全体を通した情報を一元管理します。

コラボレーションツールとも言われ、電子メールやチャット、ビデオ会議などを提供することで、チーム全員とのコミュニケーションと協力を促進します。

プロジェクト管理システムの選び方

プロジェクト管理システムを選ぶ際は、以下の点に注意する必要があります。

1. ユーザビリティ

システム自体が使いやすく、ユーザーが直感的に操作できることが重要です。また、スマートフォンやタブレットからもアクセス可能であることや、各端末からの更新内容がリアルタイムに反映されることは、プロジェクト管理において重要なポイントになります。

2. 拡張性

プロジェクト管理システムは、企業やプロジェクトの今後の規模の拡張性に応じてシステム自体の拡張性も重要になります。追加機能やモジュール追加、容量の拡張ができるかどうかを確認する必要があります。

3. カスタマイズ性

企業やプロジェクトに合わせてカスタマイズできるかどうかを確認します。プロジェクトは企業の方針、取引先の方針、世間の動向など、さまざまな形で変動します。常に変わるプロジェクトに柔軟に対応できるカスタマイズ性を兼ね備えた機能があるかが重要です。

4. セキュリティ性

プロジェクト管理システムには、機密性の高い情報が含まれています。システムが適切なセキュリティ対策を講じていることの確認と、万が一のときのバックアップ体制が整っていることを確認する必要があります。

5. サポート性

問題が発生した場合、適切なサポートを受けられることが重要です。迅速かつ的確にサポートが受けられるかどうかを確認します。プロジェクト管理システムは海外製のものもあるため、その場合はサポートが日本語対応しているかどうかも確認が必要です。

参考文献
https://jp.smartsheet.com/top-project-management-excel-templates
https://www.obic.co.jp/project/serviceindustry_solution/project_management.html
https://products.sint.co.jp/obpm/blog/task-management

工程管理システム

工程管理システムとは

工程管理システム

工程管理システムとは、製造業の工程管理業務を効率化するシステムのことです。

製造業の製造現場において、各作業を体系的に分類した「工程」を管理し、進捗状況を把握するシステムのことを指します。工程とは、製造業の受け入れや検査、加工、出荷などの作業です。

工程管理システムの目的として、製品を納期に間に合わせることや製造の各工程を効率的に計画・運用することが挙げられます。また、在庫管理、作業者管理、品質管理などの機能もあるため、生産管理を行う上では欠かせないシステムです。

工程管理システムの使用用途

工程管理システムは、あらゆる分野の生産現場で幅広く使用されています。製造業だけでなく、場合によってはソフトウェア開発の現場でも、ソフトウェアの開発工程を管理するという意味で利用されます。

規模の大きい製造現場では、工程管理システム単体ではなく、上位システムである生産管理システムの一部として運用するのが一般的です。小規模な町工場やソフトウェア開発現場などでは、製品毎の工程を設定し、それをガントチャートに表示して進捗把握と納期管理を行うことで利用されます。

エクセルを使って自前の工程管理システムを作成して運用する現場もあるので、町工場やソフトウェア開発現場は、工程管理システムの最小限の機能で運用しています。

工程管理システムの原理

一般的な工程管理システムは、工程の設定、計画、進捗管理の3段階を踏むことで動作します。

1. 工程の設定

製品毎に、工程の順序を明確にし、各工程に必要な材料・部品、機械・設備、人員、作業時間、その工程における成果物などを設定します。自社内で生産する工程だけでなく、外注に委託する工程も全て含むため、外注委託か自社工程かを識別する設定も必要です。

2. 工程の計画

製造する製品の数量、納期、各工程の作業時間などから各工程のスケジュールを策定し、ガントチャートに落とし込みます。ガントチャートとは、各工程の内容を工程順に縦軸に、スケジュール・バーを横軸に記載したもので、工程全体の流れが視覚的に確認できる図です。

工程の計画では、各工程の作業内容を明確にし、作業者の割り当ても明記します。成果物を次の工程に流す前に検査が必要な場合は、検査も工程の一つとし、手順や合否判定基準などを明記します。

3. 工程の進捗管理

現場の作業状況を記録し、常に進捗状況を確認します。このとき、ガントチャートのように計画と実績を「見える化」することで、進捗内容の把握が容易になります。

工程計画は一度策定すれば良いものではありません。計画実行後、実績を評価して、改善点がある場合は、それを次の作業計画にフィードバックすることで、さらなる作業工程の効率化につながり、現場の改善にも役立てられます。

工程管理システムのその他情報

工程管理システムの機能

工程管理システムの基本機能はスケジュール管理と進捗管理ですが、その他にも在庫管理、作業者管理、品質管理などの機能もあり、製品、製造形態、製造規模によってさまざまな組合せで運用されます。

在庫管理システム
在庫管理システムは、生産管理システムにおいて、物流現場で製品の在庫量をリアルタイムで把握し、その量を管理するために利用されます。また、リアルタイムではなくても、棚卸しで、実数とデータ上の数の差の原因究明の際にも利用されます。

作業者管理システム
作業者管理システムは、入退の管理や作業者の人員配置の管理などを行うシステムのことを指します。配置された作業者の就業状態、健康状態の情報を見ることができるため、生産管理上重要な人的資源の活用に役立てられます。

品質管理システム
品質管理システムは、企業が製品やサービスの品質を改善することを目的に利用されるシステムのことを指します。それぞれの企業において、品質管理の目標は異なるため、品質管理の目標を達成するために役立てられます。

参考文献
https://www.otsuka-shokai.co.jp/
https://www.sk-koutei.com/system/sys01_koutei.html

プーラ

プーラとは

プーラとは機械や自動車などのベアリング歯車、その他圧入されている部品などを取り外すための工具です。英語では””puller””と書き、引っ張るものという意味です。

圧入された部品を引き抜くには、適切な場所に正確に力を作用させることが必要なため専用工具であるプーラが用いられます。

プーラには部品の種類や分解する場所によって形状が最適化されたものや、様々な場所に使用できる汎用の物など多くの種類があります。

プーラの使用用途

プーラは主に機械や自動車などの整備で分解するために用いられます。

トランスミッションなどの分解では、歯車を軸から引き抜くためにギヤプーラが用いられます。

ベアリングを抜き取るためにはベアリングプーラを用いられます。通常のプーラの爪が掛けにくいパイロットベアリングやハブベアリングなどは爪の形状が工夫されたプーラを用いて作業を行います。

他にも二輪車のフライホイールなどその部品に特化したプーラがあります。

プーラの原理

一般的なプーラは、部品を引き抜くための爪と爪を引っ張るためのボルトで構成されています。

抜き取りたい部品に爪を掛け、部品が圧入されている母材に当てたボルトを締め込むことで爪を引っ張ります。そうすることで引き抜きたい部品に引き抜き荷重を作用させ部品を引き抜くことができます。

圧入されている部品を引き抜く際に必要な大きな力は、ボルトを締め込む際の軸力を利用します。ボルトの代わりに油圧の力を利用するプーラもあります。

部品に掛ける爪は、部品の形状や大きさによって適切なものを選定します。爪を掛ける隙間が少ない場合は薄い爪が必要になりますが、爪の強度が弱くなるため数を増やしたり部品の円周全体を掴むような形状のものを用います。

ベアリングを抜く際の注意点として、引き抜き時には外輪と内輪の中にある転動体(ころ、ローラ)に引き抜きの軸力が作用するため軌道に圧痕が生じます。そのため、一度抜いたベアリングは再利用できなくなります。

参考文献
https://www.supertool.co.jp/products/products_categories.php?eid=00004
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/350/
https://www.webike.net/bm/800080038956/ranking/hot/

樹脂管継手

樹脂管継手とは

樹脂管継手とは、樹脂管を接続するための部品です。

異なる管同士を結合し、流体の通路を確保したり、配線を接続したりするのに役立ちます。樹脂管継手は一般的に金属継手よりも軽量です。これにより、取り扱いが容易になり、施工効率を向上させます。また、一般的に金属継手よりもコストが低いことが多く、施工費用を削減する場合にも有利です。

腐食に対して耐性が高い点も特徴の1つです。金属継手は時間とともに腐食することがあるため、特に屋外や化学薬品の環境で優れた選択肢です。電気絶縁性が高く、電気配線用途にも適しています。

ただし、一部の樹脂は紫外線に対して劣化する可能性があり、直射日光を避けなければなりません。また、最高使用温度は樹脂の種類によって異なります。過度な熱にさらされると変形や損傷の恐れがあるため、適切な種類の樹脂を選択することが重要です。

樹脂管継手の使用用途

樹脂管継手は、さまざまな用途で使用されます。以下は樹脂管継手の使用用途です。

1. 上下水道

市街地や建物内での水道システムに使用されます。これらの管継手は、水の供給と分配に使用される場合も多いです。また、建物内や下水道での排水に使用される場合もあり、廃水の適切な排出を支える部品の1つです。

2. ガス管

ポリエチレン製の樹脂管継手などは、天然ガスや液化石油ガス (LPG) の分配に使用されます。高い耐圧性を持ち、ガス漏れのリスクを最小限に抑えることが可能です。溶接や圧着などの方法で取り付けられます。

3. 電線管

電線や通信ケーブルの保護と敷設に、PVC製の管継手が広く使用されます。建物内および屋外の電線配線で使用され、電線を保護しつつ整理することが可能です。管継手としては、コネクターやカプラーなどの多くの種類があります。

4. 化学プラント

化学薬品の輸送や処理において、PP管継手やPVC管継手が使用されます。これらの管継手は化学薬品に対する耐性があり、腐食や変質が発生しづらい点が特徴です。したがって、安全な薬品取り扱いを補助することができます。

樹脂管継手の原理

樹脂管継手の原理は異なる樹脂製の管同士を密封し、安全に接続することです。これを達成するために、接着や挿入、溶接などが行われます。

接着は、接着剤または溶剤を使用して管継手と管の接合面に化学的な結合を形成します。接着剤は管と継手の接合面に均等に塗布され、それが硬化することで密閉された接合を形成することが可能です。この方法は、PVC管継手などに一般的に使用されます。

挿入は、管を継手に挿入することで密封する方法です。この方法は、さまざまな管継手で採用されます。管は継手の中に挿入され、内部のガスケットやOリングによってシールする仕組みです。

溶接は、高温で管と継手を融合させ、一体化させる方法です。管の長さ調整が容易であり、複雑な形状でも対応することができます。

樹脂管継手の種類

樹脂管継手は異なる樹脂材料に基づいて製造されます。以下は主要な樹脂管継手の種類です。

1. PVC管継手

PVC管継手は塩化ビニルで製作された管継手です。耐食性が高く、機械的強度も優れています。化学プラントの移送配管や電線管として使用されることが多いです。

2. PE管継手

PE管継手はポリエチレンで製造された管継手です。耐薬品性が高く、耐寒性にも優れています。ただし、高熱つに弱く、70℃以下程度の範囲内で使用する管継手です。

3. PP管継手

PP管継手はポリプロピレンで製造された管継手です。化学的に耐性があり、耐熱性があるため、薬品輸送や化学プラントなどの産業用途で使用されます。異なるパイプ接続要件に適したさまざまな形状とサイズが販売されています。

4. ナイロン管継手

ナイロン材料を使用して製造された管継手です。 耐久性と化学安定性高いため、さまざまな液体や気体の輸送に適しています。また、軽量な材料であり、取り扱いが容易です。

参考文献
https://www.dandorie.com/c10110104/04_cont_jusihaikan.html
https://www.tabuchi.co.jp/product/water_supply/plastic_conduit/at-series/pdf/at.pdf