無人搬送車

無人搬送車 (AGV)とは

無人搬送車

無人搬送車 (英: Automatic Guided Vehicle,AGV) とは、工場などで荷物を自動かつ無人の状態でも目的地まで搬送してくれる台車型のロボットのことです。

従来は人によってフォークリフト等の操縦が必要でしたが、無人搬送車の場合は自動で目的地まで行き、荷物をピックアップしてから指定の場所まで搬送することができます。これによって、工場内の輸送効率を大幅に向上させることに加え、大幅な省人化も行えるため工場の自動化 (英: Factory Automation) に大きく貢献しています。

無人搬送車はオペレーターがいないため、荷物など物品の搬送を行うことを目的とし、道路運送法で定められた道路で使用しないものとされています。一方で、近年ではAIやデータ分析の技術も進むことで、磁気テープを使用せずに走行ルートを自ら判断し、自律走行できるタイプが増加しつつあります。

無人搬送車の使用用途

無人搬送車は、主に工場などの物流現場において、効率的に荷物を輸送するために使用されています。無人搬送車の始まりは1990年頃で、工場の製造ラインに磁気テープを敷設することで、一定のルートを走行させる技術からスタートしました。

しかし、この方法では走行ルートを変更したい場合、敷設した誘導路を1度撤去して再敷設しなければなりません。走行ルートの変更はできるものの、大規模な工事が都度必要になってしまうのが課題でした。

そこで、近年ではレーザーやカメラによる画像認識で走行ルートを設定可能で、磁気テープによる誘導路が不要な自律走行型の無人搬送車が普及しつつあります。製品によってはAIが独自に判断し、搬送するルートに無駄が無く効率的に荷物の搬送を行えるようになっているものもあります。

無人搬送車の原理

無人搬送車が人による操縦が無くても、荷物のある目的地まで到達できるのは、工場の床に予め設置された磁気テープや磁気マーカーを無人搬送車に搭載されたセンサーで読み取らせることで、走行する位置や経路を正確にトレースさせているためです。

無人搬送車の原理として、無人搬送車はJIS規格により大きく3つのタイプに分類されています。それぞれの特徴は以下のとおりです。

1. 経路誘導式無人搬送

最も一般的なタイプのもので、先に述べた磁気テープや磁気マーカーなどの誘導体により、指定された経路に沿って搬送車を誘導する方式です。これまでに最も普及しており、無人搬送車自体の価格も安く導入への敷居が低いことから、コストパフォーマンスにも優れています。

しかし、誘導路の磁気テープを床に埋め込んでしまう特性上、走行経路の変更が容易でないというデメリットがあります。

2. 自律移動式無人搬送車

AMR (Autonomous Mobile Robot) とも呼ばれ、自律移動しながら荷物の搬送を行います。無人搬送車が自ら自己位置を特定することが可能で、走行ルートを外部からの誘導や制御がなくとも目的地まで移動できます。AI技術の発達により、近年導入が急速に進んでいるタイプです。

壁や柱などの表面までの距離をレーザーとカメラを用いて計測することで、自己位置を把握しています。ただし、無人走行を妨げない環境整備やコスト面では改善の余地があることから、大企業を中心として導入が進んでいるのが現状です。

3. 追従式無人搬送車

先行する人や車両などに一定の距離を保ちながら追従するタイプです。自律移動式と同様に、誘導路の設置が不要ですが、単純に追従していくことしかできないため、先行する人や車両には別途人による制御が必要となります。

無人搬送車の種類

無人搬送車の種類として、さまざまな台車の形状があります。代表的な形状は、以下のとおりです。

1. 台車型

台車型は台車の形状になっており、自らに荷物を載せて搬送します。

2. けん引型

けん引型は自らに荷物を直接載せず、後ろにカゴ台車やパレット等をけん引して引っ張ることで目的地まで荷物を搬送するタイプです。貨物列車のように複数のカゴ台車等を引っ張ることもできます。

3. 低床型

低床型は荷物の下側へ潜り込み、荷物を上にリフトアップしてから目的地まで搬送するタイプです。車輪が付いていないカゴ台車やパレット、けん引が難しい台車でも搬送が可能です。

参考文献
https://shiko.biz/agv
http://www.jiva.or.jp/pdf/Kind%20of%20AGVS.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です