全自動血圧計

全自動血圧計とは

全自動血圧計

血圧計には様々な種類がありますが、全自動血圧計は、従来製品よりもさらに操作が簡単で、誰にでも測定できるような設計となっています。血圧計の中で最も一般的なのは、測定者の上腕にカフと呼ばれる帯状のものを巻きつけるタイプです。このタイプでは、カフのサイズが合わなかったり、カフを誤った場所につけてしまうと、正しく血圧を測定することができません。一方、全自動血圧計では、測定部に腕を通すだけで測定可能で、自分でカフを巻き付ける必要がなく、スイッチを押すだけで最適な圧力がかかって簡単に測定することができます。正しく血圧を測るためには腕の位置や姿勢が重要となりますが、腕を通した測定部の角度から正しい姿勢を判定して測定者に知らせる機能がついている製品もあり、より手軽に正しい血圧測定ができるようになっています。

全自動血圧計の使用用途

血圧測定は、日々の体調を知る上での重要な指標であり、脳卒中や心臓病、腎臓病などの各種疾患リスクを評価するためにも行われています。日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン」では、血圧140/190 mmHg以上の高血圧患者、130~139/80~89 mmHgの高値血圧の人、血圧上昇に伴い心血管リスクの上昇する120/80 mmHg以上の人はすべて血圧管理の対象者として考えられています。異常を早期に発見するためには、定期的に血圧測定を行い、自分自身の平均的血圧を知っておくことが重要です。全自動血圧計は、より操作が簡単で手軽に継続して血圧モニターできることから、病院だけでなく家庭用としても普及しています。

全自動血圧計の原理

血圧測定の原理としては「コロトコフ法」と「オシロメトリック法」の二つが知られていますが、全自動血圧計では一般的に「オシロメトリック法」が採用されています。

オシロメトリック法では、心臓の収縮によって生じる動脈の拍動を、カフ内圧としてとらえて測定しています。測定部に上腕を入れると、カフが加圧され血流が止まります。一方で動脈の拍動は血流が止まっても存在していて、これに伴いカフ内圧が振動します。次にカフ内圧を少しずつ減らしていくとカフ内圧の振動は次第に大きくなりピークに達します。さらにカフ内圧を減らしていくと、カフ内圧の振動は急速に小さくなっていきます。この一連の過程でのカフ内圧とカフ内圧の振動の増減との関係から、血圧値が演算されます。一般的には、振動が急激に増大したときのカフ内圧を最高血圧、急激に減少したときのカフ内圧を最低血圧とします。コロトコフ法の場合では、カフを減圧する際に血液が流れ出す血管音(コロトコフ音)を検知する必要がありますが、オシロメトリック法ではその必要がなく、外部ノイズ等の影響を受けにくい測定法であると言われています。

参考文献
https://www.healthcare.omron.co.jp/product/hem/
https://www.healthcare.omron.co.jp/zeroevents/bloodpressuremonitor/know.html
https://www.tanita.co.jp/health/blood_pressure_knowledge/
https://www.jpnsh.jp/guideline.html

造粒機

造粒機とは

造粒機

造粒機 (英: granulator) とは、粒径の小さな粉体、微細粒子、液体を固めて、取扱いが容易な適度な大きさの球状、粒状にする装置のことです。

粒状のペレットを作れることから、ペレタイザとも呼ばれます。原料となる粉体そのものでなく、造粒した方が製品化などの上でメリットが大きくなることが多いです。そのため、医薬品や食料品などの製造に多く応用されます。

造粒機は原料の物性、種類、サイズなどに応じて、攪拌式や押出式などの種類があります。基本的には、造粒を行う際は分散液に代表されるバインダーが必要です。

造粒機の使用用途

造粒機は、微粒子を均一なサイズの球状や粒状に成形できることから、医薬品、食品、工業、その他の産業用途に幅広く使用されます。

1. 医薬品分野

医薬品を顆粒状態にすることで、服用のしやすさや溶解性の向上、安定性の確保などが図られます。造粒機は、薬品の粒度や形状を制御し、一定の品質基準を満たす顆粒を生成するのに使用されます。

2. 食品分野

食品分野では、粉立ち防止、速溶性の向上、保存性の向上などの目的で造粒します。また、洗剤では水や温水への溶解性の向上、秤量を容易にするために造粒機を使用します。

その他、凝集防止や湿気対策として、乾燥剤の製造の際にも用いられます。

3. 工業分野

製鉄、ガラス工業では、安定した配合や反応条件の均一化のため造粒が行われます。また、化学工業では、流動性の向上、付着性防止、汚染防止などの目的で、造粒機を使用します。樹脂の成形加工用のペレット生産にも使われます。

4. 色材

商品として販売する上で、細かい粉体をそのまま販売するのではなく、造粒した後の方が粉塵性などが低減され扱いやすくなるのが長所です。

造粒機の原理

気体もしくは液体中に原料粒子を分散させた場合、ローターなどで機械的な混合を行うと、原料粒子表面に流体が付着します。流体によって粒子間で接着が起こり粒子の凝集が起こり始めます。

この凝集を促進するために、混錬や攪拌などの機械的操作を粉体に加えます。湿度のある環境では、凝集の効果が生じやすいことから、加湿、通気、乾燥などの操作を併用しながら造粒を行います。

可塑性のある比較的もろい粉体は、意図する粒形が得られにくいことから、押し出しや射出などの造粒方法がとられます。なお、造粒方式には大きく分けると、乾式造粒と湿式造粒の2種類です。粉体の種類やサイズ、性質などに応じて、いずれかの方式を用いた造粒機を選択する必要があります。

1. 乾式造粒

乾式造粒は水やバインダーを使わず、材料の凝集力を高めて造粒する方法です。ロールを使って粉体を圧縮する圧縮造粒などが該当します。加熱により材料を軟化させた状態で圧力をかけて造粒するなどの方法がとられます。

2. 湿式造粒

湿式造粒は、水やバインダーの付着力を利用して造粒する方式です。粒子表面のわずかなバインダーにより造粒する転動造粒タイプから、バインダーの海に粒子が島状に分布させ、それを成形機から押出、ペレタイザ―で切ることで粒子にする押出成形タイプの造粒があります。

造粒機の種類

造粒機は、造粒の方法に応じてさまざまな種類が存在します。

1. 撹拌式造粒機

攪拌式造粒機では、撹拌機やミキサーを使用して、粉体とバインダーを均一に混合させます。

2. 押出式造粒機

押出式造粒機は、粉体にバインダーを加えて水などと混ぜ、圧力をかけて多数の穴から押し出すことで造粒します。

3. 転動造粒機

転動造粒機は、粉体をドラムや容器に連続的に投入し、水や粘着剤を噴霧して粒状にする造粒機です。

4. 乾式造粒機

乾式造粒機は、粉体をロールで圧縮し、シート状にして破砕して粒状にします。または、粉体を高圧で圧縮してブリケット (固形塊) とし、それを破砕して粒状にします。

5. 溶融造粒機

溶融造粒機は、原料を加熱して溶かし、それを冷却して固める機械です。原料は加熱されて溶融し、溶融状態のまま冷却されることで、粒状の形態が形成されます。

参考文献
https://www.freund-turbo.co.jp/product/product/grinder/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1996/48/9/48_9_861/_pdf

太陽光発電装置

太陽光発電装置とは

太陽光発電装置

太陽光発電装置とは、再生可能エネルギーの一種であり、太陽の光エネルギーを電気に変換する装置です。

化石燃料に依存しないクリーンな発電方法で、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出もありません。太陽光発電装置は、太陽電池を使用して太陽光を直接電気に変換する仕組みを持っています。

また、系統連系型と独立型の2つの形態があり、様々な場所で使用されています。

太陽光発電装置の使用用途

太陽光発電措置は、二酸化炭素の排出がない低炭素発電なので、広く利用されています。また、資源の乏しい日本でエネルギー自給率を改善する発電装置として、風力発電などとともに、様々な場所で普及が進んでいます。

太陽光発電事業として、発電した全電力を売電する大規模な装置、通常は電力を自家消費し、発電量が消費量を上回った場合に電力会社に売電する家庭用の装置、電力会社の送電網とは独立して、街灯や交通標識などの照明用などに電力を供給する小規模な装置など、規模や利用形態はさまざまです。

太陽光発電装置の原理

太陽光発電装置で最も重要なパーツは、太陽電池です。現在、主流の太陽電池はシリコン系で、p型半導体とn型半導体を接合させています。

太陽光がpn接合半導体に当たると、電子が光エネルギーによって励起されて、自由電子になります。自由電子が抜けると、正孔と呼ばれる+の電荷が生じます。正孔はp型半導体に、自由電子はn型半導体に移動します。

p型半導体とn型半導体を外部で負荷と接続すると、p型電極からn型電極に向かって電流が流れます。これが、太陽光電池の発電原理です。

太陽光発電装置の構成は、電力会社の送電網に接続される系統連系型と、接続されない独立型とで異なります。

1. 系統連系型太陽光発電装置

太陽電池を並べてパッケージにしたものを太陽電池モジュールと呼びます。太陽電池モジュールで発電した直流電流を交流に変換するパワーコンディショナー、パワーコンディショナーの電圧を、電力会社の送電網の電圧に調整する昇圧変圧器、電力会社に供給される電力量を測定する電力量計などで構成されます。

2. 独立型太陽発電装置

太陽電池モジュールと接続回路、バッテリーなどで構成されます。蛍光灯のような交流負荷に電力を供給する場合、インバーター回路を挿入して、直流を交流に変える必要があります。LEDなどの直流負荷に電力を供給する場合や、バッテリーに一旦蓄電する場合は、太陽電池で発電した直流電力をそのまま供給します。

太陽光発電装置の種類

太陽光発電装置は、現在主流のシリコン系太陽電池だけでなく、光吸収層の材料、発電素子の形態などの違いにより、多様なものが使用されています。以下に代表的なものを例示します。

1. シリコン系

大きく分けて結晶シリコンとアモルファスシリコンに分類され、結晶シリコンは単結晶と多結晶に分けられます。多結晶シリコンが変換効率とコストのバランスから現在の主流になっています。

2. 化合物系

シリコン以外の複数種の原料から作られる半導体の結晶型太陽電池です。様々な元素が組合わせられているため、光電変換可能な波長領域が広く、変換効率が高いのが特徴です。

3. 有機系

光吸収層に有機化合物が用いられている太陽電池です。発電効率は低いですが、有機化合物である利点を生かして、製造プロセスが簡便になり、生産コストが下げられたり、曲げられるなどの特徴を持たせたりすることができる可能性があります。

参考文献
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html
http://hashi.shinshu-u.ac.jp/research/research1/research1.html
http://www.solartech.jp/system_comp/
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000074.pdf

台車

台車とは

台車

台車とは、製品や原材料などを運搬するために使用される装置です。

一般的に平板の下に車輪が付いており、その上に荷物を積載してハンドルを押して運搬可能です。

平版の上に荷物を積載すると手で持った場合より多くの荷物を運べて、一度動き出すと車輪と地面の間の抵抗が減少するためスムーズに動かせます。手押しの台車が一般的ですが、作業補助のための電動式の台車も一部存在します。

台車の使用用途

台車は比較的軽量な荷物の運搬用としてあらゆる場所で使用されています。

使用用途に応じて数種類の形状が存在し、最も一般的な台車は片側にハンドルが付いた片袖台車です。運送業界や小売業界などでは高積みして移動や保管をするボックス台車が多く用いられ、重量物の運搬には両側にハンドルの付いた両袖台車が利用されています。

一部の台車は押す以外にも重量物の運搬のためにフォークリフトなどで牽引する目的で作られています。

台車の原理

台車の挙動は物理学の運動方程式で説明できます。

荷物を載せて台車を押し始めても初めは車輪の接地面と地面の間に働く摩擦力によって静止したままです。加える力が始動抵抗力を超えると動き出し、動き出した後は静止摩擦力より動摩擦力が小さいため、より少ない力で操作可能です。始動抵抗力は車輪の接地面積に比例するため、変形の少ない堅い車輪を用いるほど抵抗力は減少し、大きな車輪を用いるほどトルクが増大して少ない力で動かせます。想定される用途に合わせて設計可能です。

台車では重い荷物の運搬が可能ですが、荷物を高く積み上げて重心が高くなると (目安はハンドルの高さ) 重心を中心とした回転モーメントが働き、使用場所の段差や傾きによって荷崩れや転倒の危険があります。想定される重量に応じて車輪のトレッドやホイールベースを設計し、傾斜地ではストッパー付き台車の使用が推奨されています。

台車の種類

台車には種類が複数あり、運搬に適した荷物も違います。

1. 手押し台車

手押し用のハンドルがある台車です。最も一般的な台車で、家庭用や業務用として荷物を多く運ぶ場合に適しています。ハンドルを折りたためる台車やハンドルが片側や両側に固定された台車など、複数のタイプがあります。

2. 平台車

手押し用のハンドルがない台車です。ハンドルが邪魔にならず、荷台面より大きい荷物を載せられます。手押し台車は運搬時の段差に弱いため大型の荷物が転倒しやすいですが、平台車は荷物を支えつつ移動するため転倒の心配が少ないです。荷物を載せた状態で一時保管でき、商品を載せたまま店頭に出すなどの利用方法もあります。

3. ラック式台車

荷台がラックのように段になった台車で、2段式台車や3段式台車とも呼ばれます。上下に分けて物を置けて、小さい荷物や運びにくい荷物を同時に複数運搬するときに向いています。荷台が分かれているため異なる複数の荷物を整理したまま載せられ、倉庫でのピッキング作業が容易です。

台車の構造

台車の荷台の構造や材質には複数あり、用途や予算に合わせて選択できます。

1. アルミ製台車

一般的な種類で、安価です。軽量で錆に強く、そのまま水で洗っても錆が生じません。同じ業務用でよく似た材質のステンレス製は、アルミ製よりも高価です。

2. 樹脂製台車

近年台車に使用されるケースが増えています。カラーバリエーションが豊富で、デザイン性が高いです。見た目も柔らかく、業務用や家庭用に適しています。荷台面は錆びないため水気が多い作業場で使用しやすく、水洗いが容易です。軽量ですが耐荷重はあまりなく移動時の音が小さいため、音が気になる家庭やオフィスで役立ちます。

3. 鉄製台車

溶接鉄骨構造で頑丈な鉄製は台車の荷台に使用される素材の中でもとくに衝撃に強いです。屋外の凸凹道や砂利道で台車のタイヤが取られることなく安定性を保てます。耐久性に優れ、重量物を運ぶ際にも壊れにくいです。

参考文献
https://www.894651.com/column/makers-001/
https://www.chubu-sangyo.co.jp/yougo/word03.html
https://www.chubu-sangyo.co.jp/techno/tech12.html
https://www.chubu-sangyo.co.jp/techno/tech06.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/754/

蓄電池

蓄電池とは

蓄電池

蓄電池とは、化学エネルギーとして電力を蓄えておく機械装置のことです。電池には、放電のみで充電できない一次電池と繰り返し充放電が可能な二次電池があります。蓄電池とは二次電池のことを指します。

蓄電池は東日本大震災以降にその必要性が注目されるようになりました。蓄電池はバックアップ用の電源としてのみならず、再生可能エネルギーの貯蔵や日中の電力使用の平均化のような省コスト・省エネルギーとしての利用なども注目されています。

蓄電池の使用用途

蓄電池は、家庭用から産業用まで幅広く用いられます。

家庭用では、太陽光発電と併用することで節電することができます。例えば、昼間は太陽光の電力を使用し、余れば売電することができます。また売電せずとも、昼間に発電した余剰電力や深夜帯の割安な電力を蓄電池に貯蔵し、太陽が沈んだ夜間帯には貯蔵した電力を使用することで効果的に節電することができます。また、災害により停電が起きたとしても蓄電池の電気を使用することが可能です。

産業用としては、強電用のバックアップ電源や、計装用の無停電電源装置にも使用されます。産業用は家庭用とくらべて電気容量が大きな違いとなります。

蓄電池の原理と種類

蓄電池の動作原理は種類によって多少の違いはありますが、化学反応によって電力を取り出すという仕組みは変わりません。蓄電池は正極、負極および正極と負極間の化学反応を補助する電解液で構成されており、使用する材料によって特性も大きく異なっております。

1. 鉛蓄電池

蓄電池の中では最も歴史の古い電池が鉛蓄電池であり、主に自動車のバッテリーや非常用バックアップ電源などに用いられています。正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸を使用しています。安価でありかつ、過充電に強く、寿命も約17年と非常に長いのが特徴です。一方で、充放電のエネルギー効率が低いことがデメリットとしてあります。

2. ニッケル水素電池

正極にオキシ水酸化ニッケル、負極に水素貯蔵合金、電解液に水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液を使用した電池です。リチウムイオン電池の登場以前まではモバイル機器のバッテリーとしても利用されており、現在でもハイブリットカーや鉄道の地上蓄電設備に使用されています。過放電・過充電に強く、急速充放電も可能であることが特徴ですが、自己放電が大きく、寿命が5~7年程度と短いことがデメリットとしてあります。

3. リチウムイオン電池

正極にリチウム含有金属酸化物、負極に炭素材料、電解液に有機電解液を使用した電池です。ノートパソコンやスマートフォンなどの日常で使用される電子機器のバッテリーとして広く使用されており、近年では電気自動車のバッテリーとしても採用されています。エネルギー密度が高く急速充放電が可能であることが特徴です。寿命も6~10年と比較的長いですが、コストがほかの電池と比べて高いことが課題です。

4. ナトリウム硫黄(NAS)電池

正極に硫黄、負極にナトリウム、電解質にβ‐アルミナを使用しており、NAS電池とも呼ばれており、工場などの大規模施設のバックアップ電源として使用されています。自己放電がほとんどなく、充放電効率、エネルギー密度に優れており、寿命も15年ほどと長いことが特徴であり、産業用電池として非常に注目されています。また、電極材料も資源が豊富なもののため、コストダウンも期待できます。しかし、作動温度が300℃のためヒーターで高温を維持しなければならず、電極材料も危険物であるため安全性に大きな課題があります。

そのほかにも電解液タンクとセルスタックを分離して設置可能なレドックスフロー電池のような新しい電池も登場しております。

超音波洗浄

超音波洗浄とは

超音波とは、周波数が20キロヘルツ以上の空気の振動であり、人間には感じることができない音です。

超音波洗浄を行うためには液体中に材料を設置し、圧電素子(圧電セラミックス)を用いて超音波を照射します。

発生した超音波は液体中を高速で伝播し、材料の表面に到達するとキャビテーションと呼ばれる衝撃を発生します。

キャビテーションの泡が弾けるときの衝撃波が作用することにより、材料表面の異物を脱離させることができます。

超音波洗浄の使用用途

超音波洗浄は材料表面の微細なゴミを除去できることから、様々な場面で活躍しています。

例えば、半導体産業ではICやトランジスタ、ダイオードなどの表面についた粒子やエッチング液などを取り除くために使用されます。

電子機器産業では、プリント板やコンデンサ、各種の電極、コネクターなど多岐に渡り、付着したフラックスや切削油、研磨剤などを除去します。

また光学機器産業では、精密な製品を扱うことが多いことから、レンズやプリズム、光ファイバーなどに付着したホコリや指紋などを除去することを目的とした使用例もあります。

超音波洗浄の原理

超音波洗浄のメカニズムは完全に解明されていない点もありますが、その効果に寄与する可能性としてキャビテーションの発生による衝撃作用、あるいはラジカルによる化学作用などが考えられています。

超音波によるラジカルの生成は報告されていますが、その量は少なく、洗浄に寄与するほど顕著なものではありません。したがって現在は、キャビテーションによる衝撃作用が最も有力視されています。

キャビテーションとは、流体の中で急激な圧力差が生じたときに泡の発生と消滅が短時間に起こる現象です。

液体中で大きな圧力差が生じることで気泡を取り囲む溶液が瞬間的に沸騰し、気泡が収縮することで気泡が破壊されます。このとき局所的ながらも強い圧力波が生成します。

この現象が材料の表面付近で発生すると、表面の付着物が圧力波によって押し出されます。
そして気泡が破裂した際に液体が入り込むことにより、剥離した汚れが液体中に分散していきます。

さらに洗浄力を高めるためには、酸性系洗浄剤、中性系洗浄剤、アルカリ性洗浄剤といった異なるpHの溶媒を選択します。
化学的作用によって積極的に付着物を剥離させることが可能です。

参考文献
http://www.honda-el.co.jp/product/industry/document/about_washing_machine/cleaner_genri
https://senjyou.jp/ultrasonic-cleansing

超低頭ねじ

超低頭ねじとは

超低頭ねじとは、ねじの頭が極めて薄いねじの事です。極低頭ねじ、スリムヘッドねじ、と呼ばれることも有ります。

低頭ねじとよばれるねじもあり、超低頭ねじとは区別されていますが明確な基準は無く、メーカーオリジナルで設定されています。しかしながら、超低頭ねじのねじ頭の形状は、低頭ねじと呼ばれるねじと比較してもかなり薄く設定されています。

超低頭ねじとしては、十字穴付き、六角穴付き、六角ボルト、などがあり、並目ねじに加えてタッピングねじも市販されています。

超低頭ねじの使用用途

ねじの頭を出っ張らせたくない部分でねじ止めする時に使用します。板金部品、樹脂成型品、機械加工品など、特に部品を選ばずに取り付けすることができます。

ねじの頭が全く出っ張らないねじとして皿ねじがありますが、皿ねじを使用する時には取り付ける部品に皿モミをする必要があります。部品の加工方法によっては、皿モミをすることで部品の加工工程が一つ増えるため、コストが上がります。また、板金のような薄い板に皿モミをする場合も、板厚の薄さの寸法的な制限の為、十分な皿モミ形状を確保できません。
こういう部分に超低頭ねじを使用しますが、少しの出っ張りも許容できない所には、超低頭ねじは使用しません。

超低頭ねじの原理

超低頭ねじを使用する事によるメリットとしては以下のものがあります。

  1. 小さなスペースの部分に使用が可能です。通常のねじの頭であれば他の部品に干渉してしまう部分でも、超低頭ねじでねじ止めをすることができます。このことで装置の小型化を実現できます。
  2. 機器の外装部のねじ止めに超低頭ねじを使用する事で、外観を損なわないようにできます。カバーや衣装面のねじの飛び出しが目立たなくなるためです。
  3. ねじの頭が薄いので、軽量化につながります。重量にシビアなユニットは、軽量化の為に超低頭ねじの使用も検討されます。
  4. 皿モミができない部品にたいしても使用する事ができます。取り付け調整が必要な部品は、取り付け穴を長穴にする事が一般的ですが、皿モミを長穴にすることはできません。また、板厚の薄い板金部品に対しても皿モミができない場合が有りますが、このような所でも超低頭ねじを使用する事ができます。

また、超低頭ねじのデメリットとしては以下のものがあります。

(1)ねじ頭が薄いので、ねじとしての強度が低いです。大ききな力がかかる部分での締結には注意が必要です。

(2)ねじ頭が薄いので、ドライバーや六角レンチを入れる十字穴や、六角穴は浅く、かかり代が少ないためねじ頭がなめやすいです。何度もつけ外しをするような部分には不向きです。

これらデメリットも理解したうえで使用する事が必要です。

参考文献
https://fastener-parts.com/column/%E4%BD%8E%E9%A0%AD%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E3%80%80%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%81%A8%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
https://www.nbk1560.com/resources/specialscrew/article/lowsmallheadscrew-about/?SelectedLanguage=ja-JP
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/screw/screw_special_low_head.html

定盤

定盤とは

定盤 (じょうばん) とは、機械や装置の加工、組立、測定、テストなどを行うときに基準となる精度の高い平面を持つ台です。

「定磐」と書く場合もあり、英語で「surface plate」と呼ばれます。長方形や正方形の表面形状が多いですが、円形もあります。大きさは30cm程度から数メートルまであり、平面の精度も等級で指定され、用途により適切なものを選択可能です。

定盤は平面の基準となるため非常に重要です。剛性の高い材料で製作され、鋳鉄や斑レイ岩 (黒御影石) 、セラミックスが主に使用されます。

定盤の使用用途

定盤はハイトゲージなどの部品を精密に測定する際の台として使用されます。精度の高い平面上に被測定物と測定器を置くと正確に測定可能です。

部品の組み立てや溶接の際に部材の平面を出すために用いられ、複数の部品を定盤に当てて組み立てや溶接を行うと部品同士を面一 (ツライチ) で組み立てられます。組み立てたユニットを定盤の上に置き、ガタつく場合には組み立てが平行ではないなどの確認が可能です。

3次元測定器の測定台としても使用され、メンテナンス性を重視して斑レイ岩 (黒御影石) がよく使われます。定盤は精密な機械のベースやテスト装置のベースとして使用される場合もあります。

定盤の原理

定盤は精密な平面を出すために「機械加工」「ラッピング加工」「きさげ」など行い、必要な精度を得るように仕上げています。

1. きさげ

きさげはノミ形状の工具です。きさげ加工を行うと一度に表面を1μm~3μm程度削れます。きさげをした面に朱を塗り、3面摺りで得られる平面のプレートと摺り合わせを行います。きさげ面には凹凸があり、摺り合わせにより凸部の朱がはがれるためはがれた部分をきさげ加工して凸部を削り取り、この作業を繰り返して精密な平面を製作可能です。

2. 3面摺り

3面摺りとはきさげした3つの面を使って平面を出すことです。平面同士を合わせてぴったり合うか平面を確認可能です。AとBの2つの平面を合わせた場合には本当の平面でなくても、例えばAが上反りでBが下反りであればぴったりと合います。しかしA,B,Cの3つの平面 (3面) があれば、AとB、BとC、AとCで平面同士を合わせ、ぴったり合うようにすれば3面とも正確な平面であると言えます。このようにして高精度な平面を確認可能です。

定盤の種類

1. 箱型定盤

最も身近な定盤で、内部は軽量化のため大きくくりぬかれ、リブで補強されています。軽くて薄いため剛性が低いです。

2. 精密定盤

最も精度が高く、厚みがあり撓みません。小型の精密定盤は生産現場で加工品の精度検査などの作業によく用いられます。

3. ブラウンシャープ型定盤

鋳鉄定盤のきさげ仕上げで平面の基準として使います。平面精度が高く、擦り合わせに用いるため擦り合わせ定盤とも呼ばれます。

4. たたき定盤

強度を持たせるため箱型定盤の天板を厚くした定盤です。定盤上で金槌や木槌を使用できます。

定盤の構造

1. 鉄製

最も一般的に使われ、平面精度を高くするため焼なましで内部応力を取り除き、精密に表面を仕上げます。マグネット治具を使用できますが、錆びやすく使用時に凹みやカエリで基準面が機能しなくなる場合があり、定期的にメンテナンスが必要です。

2. 石製

鋳鉄製より2倍以上表面が硬くて精密です。耐食性が高いため基本的にメンテナンスは必要ありません。凹みや傷による平面精度の悪化もなく、長期間使用可能です。

3. セラミック製

石製と同様に表面硬度が高いため、摺動を伴う作業が可能です。細かなクズが生じにくく、クリーンルーム内で定盤を用いる場合に選択されます。一定以上の衝撃には弱く、欠けや割れが起きる可能性があります。

4. ガラス製

平面度が高く仕上がり、比較的安価です。DIYで定盤を自作する際に簡単で手間が掛からないため適しています。

参考文献
https://www.daiwajuko.co.jp/industrial/surface_plate/about/
https://seizotimes.com/%E5%AE%9A%E7%9B%A4%E3%81%AF%E8%87%AA%E4%BD%9C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/sokuteikougukisokouza_0401/

電気乾燥機

電気乾燥機とは

電気乾燥機

電気乾燥機は、水分を含んだ物体を、電力によって乾燥させる装置のことを指します。

電気による乾燥は効率が高くなく、産業用としては広くは使われません。系の小さな食品用や、小型部品の製作などに使用されます。

ただし、必要なユーティリティが電力だけであるという利点があります。また、構造も簡単で安価な為、家庭用としては広く用いられます。

そのため、電気乾燥機は国内外で白物家電業界をけん引した装置の一つと言えます。

電気乾燥機の使用用途

電気乾燥機の使用用途は広く、一般家庭でも各所で見られるため、生活に根差した装置と言えます。

代表例としては、髪の水分を蒸発させるヘアドライヤーや、洗濯物から水分を蒸発させる衣類乾燥機などが挙げられます。一般住宅の中には、室内電気乾燥機が内蔵されている物件もあります。ベランダを広く取れない、地価が高い地域の集合住宅等で使用されます。

産業用としては、食品用乾燥機や、ワークの乾燥に使用されます。系が大きくなってくると、電気よりもガス乾燥の方がランニングコストが低下するため、電気乾燥機は主に小型乾燥機として用いられます。

電気乾燥機の原理

電気乾燥機は、機械装置の中でも大変簡単な仕組みとなっています。

まず、電源を投入すると、電熱線に電気が供給され、電熱線が熱を放出します。ヘアドライヤー等の開放した系では、同時に送風機が作動し、任意の場所を乾かせるようになります。食品乾燥機等の閉じた系では、同時に排気装置が作動し、湿度が上がった内気を外部へ押し出します。排気装置は系内の温度を維持または上昇させるために、電熱線の能力を超えない範囲で選定されます。排気装置は、乾燥終了まで動作し続ける場合がほとんどです。

そのまま電熱線に電気を供給し続けると、際限なく温度が上昇するため、サーモスイッチや温度調節計が使用されます。系内の温度を一定に保つため、サーモスイッチや温度調節計によって電熱線への電力供給を入切します。電熱線は発生させる熱量を変化させるのが困難な部品の為、多くの場合はON-OFF制御となります。

湿度調節計やタイマー制御によって、乾燥機の1バッチは終了します。制御が簡単で安価なため、多くの場合はタイマーが用いられます。

プラント等の大型装置では、排気装置は別置として省略される場合もあります。

電源ユニット

電源ユニットとは

電源ユニット

電源ユニットとは、様々な機械装置に電力を供給する部品です。

主に、制御装置や演算装置への電力供給を担当します。通常、電力会社から提供される商用電力は交流 (英: Alternating Current, AC) であり、交流電源は遮断や変圧が容易なのが特徴です。

しかし、交流電源は誘導電圧を生じさせるため、制御装置や演算装置の駆動には適していません。さらに、これらの装置が要求する電力は低く、商用の電圧として使用することは不可能です。

このような問題を解決するために、電源ユニットを使って交流電源を直流および低電圧に変換します。

電源ユニットの使用用途

電源ユニットは、家庭から産業まで広範に利用されます。家庭用の一例としては、パソコンがあります。自作パソコンを組み立てる場合、電源ユニットが必要です。電源ユニットでは、マザーボードやグラフィックボード、冷却ファンなどに電力を供給します。

産業用においては、プログラマブルロジックコントローラ (英: Programmable Logic Controller, PLC) など、多くの制御装置に電力を供給する目的で使用されます。

電源ユニットの原理

電源ユニットは、主に4つの部分に分かれています。

1. 商用電源給電部分

通常、コンセントから商用交流電源を受け取ります。この部分で、AC100~240Vの範囲で動作することが多いです。

2. スイッチ部分

通電と停止を制御し、ディップスイッチが使用されることがあります。

3. 保護部分

電源の異常が発生した際に、後続の装置を保護する役割です。ここではヒューズが利用され、電源ユニットの小型化を図る際には省略されることもあります。

4. 整流部分

ダイオードやIGBTを利用して交流電源を整流し、電解コンデンサで脈流を平滑化して、直流電源として各機器に供給します。この部分は電源ユニットの中心的な部分であり、電流の変換と供給の安定に必要です。

電源ユニットの種類

電源ユニットは、その機能と用途に応じて様々な種類に分類されます。代表的な例は以下の通りです。

1. AC-DC電源ユニット

AC-DC電源ユニットは、交流 (AC) 電源を直流 (DC) 電源に変換します。このタイプの電源ユニットは家庭用や産業用の機器で広く利用されており、パソコンや家電製品、工業機械などに使われます。

2. DC-DCコンバータ

DC-DCコンバータは、1つの直流 (DC) 電圧を別の直流 (DC) 電圧に変換します。これは、異なる電圧要求を持つ電子装置やシステムを動作させるために必要です。

3. リニア電源ユニット

リニア電源ユニットは、トランス、整流器、フィルタリング回路を使ってAC電源をDC電源に変換します。これはシンプルな設計を持ち、低い電磁干渉 (英: Electromagnetic Interference, EMI) を生成しますが効率は低く、大きく重いことが特徴です。

4. スイッチング電源ユニット

スイッチング電源ユニットは、高速スイッチングトランジスタを使用して電源を変換します。これらは効率が高く、コンパクトで、リニア電源ユニットよりも軽量です。しかし、スイッチング操作によって電磁干渉 (英: EMI) が発生する可能性があります。

5. 無停電電源装置 (UPS:Uninterruptible Power Supply)

UPSは、電力供給が途切れた場合に備えて、電力を一時的に供給するバッテリーを内蔵しています。これにより、重要な機器やデータシステムが安全にシャットダウンする時間を提供します。

6. 変動電源ユニット (VPS:Variable Power Supply):

変動電源ユニットは、出力電圧や電流を調節可能な電源ユニットです。これは研究開発やテスト用途などで利用されます。

各種類の電源ユニットは、特定のアプリケーションや要件に応じて設計されており、適切な電源ユニットの選択はシステムの効率、信頼性、およびパフォーマンスに大きく影響します。