超低頭ねじ

超低頭ねじとは

超低頭ねじとは、その名の通り、ねじの頭の高さが極めて低いねじです。

極低頭ねじ、スリムヘッドねじとも呼ばれます。低頭ねじや超極低頭ねじと呼ばれるねじもあり、超低頭ねじとは区別されていますが明確な基準は無く、メーカーの独自の基準により設定されています。一般的に超低頭ねじのねじ頭の高さは、低頭ねじと比較すると、より薄く設定されています。

超低頭ねじとしては、十字穴付き、六角穴付き、六角ボルトなどがあり、並目ねじに加えてタッピングねじも市販されています。

超低頭ねじの使用用途

超低頭ねじは一般的なねじと同様に、部品同士を固定するときに使用されます。一般的なねじに比べてねじ頭が薄いため、他の部品との干渉避けなどの寸法的な制限によりねじの頭を飛び出させたくない部分でねじ止めするときに使用されます。また、外観部分のねじの場合、ねじ頭を目立たなくする目的で超低頭ねじが使用されることもあります。

板金部品、樹脂成型品、機械加工品など、様々な部品の固定で使用されています。

超低頭ねじの原理

超低頭ねじのねじとしての原理は、一般的なねじと同じです。超低頭ねじは、ねじ頭の高さが一般的なねじに比べて薄いです。ねじ頭が薄いことにより、被締結材からのねじ頭の飛び出し量が小さくなり、装置の小型化のために使用されます。

その反面、ねじ頭が薄いことでネジ頭の強度が低くなり、締め付けトルクを落とす必要があるため、軸力は小さくなります。また、六角穴や十字穴のサイズも同サイズの一般的なねじより小さいものが多く、締め付けの際に舐めやすい場合があります。

超低頭ねじの選び方

通常のねじではなく、超低頭ねじを選ぶ場合、メリットとデメリットを考慮しながら適切な種類を選定する必要があります。選定の際の主なポイントは以下になります。

1. ねじサイズ (呼び径) 

必要な締結力を満たせるように、部品あたりのボルト本数も考慮の上で、ねじサイズを決定します。

2. ねじ頭の形状 (六角穴、十字穴) 

六角穴や十字のねじがあります。六角穴であれば六角レンチ、十字穴であれば+ドライバーが使用されます。使用する工具を考慮して決定します。

3. 材質

スチールもしくはステンレスがよく使用されます。スチールの場合、表面処理により耐食性を持たせます。また、意匠面での使用の場合、めっきの種類により色が変わるため、外観も考慮が必要です。

4. 締結トルク

超低頭ねじはねじ頭が小さく、強度が低いため、トルク値を低く設定する必要があります。力がかかる箇所での締結の場合は特に、締結力が十分かを検討する必要があります。

超低頭ねじのその他情報

1. 超低頭ねじの特徴

超低頭ねじの特徴を、メリットとデメリットに分けて解説します。

1. メリット

  • 比較的狭いスペースで使用可能です。通常のねじの頭であれば他の部品に干渉する場合でも、超低頭ねじの場合はねじ頭が低いため、限られたスペースの中でねじ止めできる場合があります。これにより、装置の小型化を実現できます。
  • 機器の意匠面のねじ止め箇所で座ぐりを設けられない箇所で使用されることが多いです。通常のねじではねじ頭が飛び出す場合、ねじ止めに超低頭ねじを使用することで、外装カバーなどを固定するねじの飛び出しが目立ちにくくなり、外観への影響を抑えることができます。
  • ねじ頭が薄いので軽量化に繋がります。重量制限が厳しい装置では、軽量化のために超低頭ねじの使用が検討されることがあります。

2. デメリット

  • ねじ頭が薄いので強度が低く、締め付けトルクを低く設定する必要があります。そのため、締結力が弱くなり、大きな力がかかる部分での締結には注意が必要です。
  • ねじ頭が薄いので、ドライバーや六角レンチを入れる十字穴や六角穴は浅く、かかり代が少ないためねじ頭がなめやすいです。作業は慎重にならざるを得ないため、作業性は下がります。そのため、何度もつけ外しをするような部分には不向きです。
  • ボルトの種類が増えるため、部品手配、在庫管理の工数が増えることになります。

2. 皿ねじとの比較

ねじの頭が全く飛び出さないねじとして皿ねじがありますが、皿ねじを使用する時には取り付ける部品に、キリ穴に加えて、皿もみ加工をする必要があります。皿もみをすることで加工工程が一つ増えるため、コストが上がります。また、皿もみ加工が可能な板厚にしておく必要があります。このような部分に超低頭ねじを使用しますが、飛び出しが全く許容できない箇所では、超低頭ねじは使用できません。

また、取り付け調整が必要な部品は、取り付け穴を長穴にする事が一般的ですが、皿もみを長穴にすることは困難です。そのため、スペースが無く長穴が必要な場合には、皿ねじではなく超低頭ねじの使用が検討されることになります。

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