定盤

定盤とは

定盤 (じょうばん) とは、機械や装置の加工、組立、測定、テストなどを行うときに基準となる精度の高い平面を持つ台です。

「定磐」と書く場合もあり、英語で「surface plate」と呼ばれます。長方形や正方形の表面形状が多いですが、円形もあります。大きさは30cm程度から数メートルまであり、平面の精度も等級で指定され、用途により適切なものを選択可能です。

定盤は平面の基準となるため非常に重要です。剛性の高い材料で製作され、鋳鉄や斑レイ岩 (黒御影石) 、セラミックスが主に使用されます。

定盤の使用用途

定盤はハイトゲージなどの部品を精密に測定する際の台として使用されます。精度の高い平面上に被測定物と測定器を置くと正確に測定可能です。

部品の組み立てや溶接の際に部材の平面を出すために用いられ、複数の部品を定盤に当てて組み立てや溶接を行うと部品同士を面一 (ツライチ) で組み立てられます。組み立てたユニットを定盤の上に置き、ガタつく場合には組み立てが平行ではないなどの確認が可能です。

3次元測定器の測定台としても使用され、メンテナンス性を重視して斑レイ岩 (黒御影石) がよく使われます。定盤は精密な機械のベースやテスト装置のベースとして使用される場合もあります。

定盤の原理

定盤は精密な平面を出すために「機械加工」「ラッピング加工」「きさげ」など行い、必要な精度を得るように仕上げています。

1. きさげ

きさげはノミ形状の工具です。きさげ加工を行うと一度に表面を1μm~3μm程度削れます。きさげをした面に朱を塗り、3面摺りで得られる平面のプレートと摺り合わせを行います。きさげ面には凹凸があり、摺り合わせにより凸部の朱がはがれるためはがれた部分をきさげ加工して凸部を削り取り、この作業を繰り返して精密な平面を製作可能です。

2. 3面摺り

3面摺りとはきさげした3つの面を使って平面を出すことです。平面同士を合わせてぴったり合うか平面を確認可能です。AとBの2つの平面を合わせた場合には本当の平面でなくても、例えばAが上反りでBが下反りであればぴったりと合います。しかしA,B,Cの3つの平面 (3面) があれば、AとB、BとC、AとCで平面同士を合わせ、ぴったり合うようにすれば3面とも正確な平面であると言えます。このようにして高精度な平面を確認可能です。

定盤の種類

1. 箱型定盤

最も身近な定盤で、内部は軽量化のため大きくくりぬかれ、リブで補強されています。軽くて薄いため剛性が低いです。

2. 精密定盤

最も精度が高く、厚みがあり撓みません。小型の精密定盤は生産現場で加工品の精度検査などの作業によく用いられます。

3. ブラウンシャープ型定盤

鋳鉄定盤のきさげ仕上げで平面の基準として使います。平面精度が高く、擦り合わせに用いるため擦り合わせ定盤とも呼ばれます。

4. たたき定盤

強度を持たせるため箱型定盤の天板を厚くした定盤です。定盤上で金槌や木槌を使用できます。

定盤の構造

1. 鉄製

最も一般的に使われ、平面精度を高くするため焼なましで内部応力を取り除き、精密に表面を仕上げます。マグネット治具を使用できますが、錆びやすく使用時に凹みやカエリで基準面が機能しなくなる場合があり、定期的にメンテナンスが必要です。

2. 石製

鋳鉄製より2倍以上表面が硬くて精密です。耐食性が高いため基本的にメンテナンスは必要ありません。凹みや傷による平面精度の悪化もなく、長期間使用可能です。

3. セラミック製

石製と同様に表面硬度が高いため、摺動を伴う作業が可能です。細かなクズが生じにくく、クリーンルーム内で定盤を用いる場合に選択されます。一定以上の衝撃には弱く、欠けや割れが起きる可能性があります。

4. ガラス製

平面度が高く仕上がり、比較的安価です。DIYで定盤を自作する際に簡単で手間が掛からないため適しています。

参考文献
https://www.daiwajuko.co.jp/industrial/surface_plate/about/
https://seizotimes.com/%E5%AE%9A%E7%9B%A4%E3%81%AF%E8%87%AA%E4%BD%9C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/sokuteikougukisokouza_0401/

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