蓄電池とは
蓄電池とは、化学エネルギーとして電力を蓄えておく機械装置のことです。電池には、放電のみで充電できない一次電池と繰り返し充放電が可能な二次電池があります。蓄電池とは二次電池のことを指します。
蓄電池は東日本大震災以降にその必要性が注目されるようになりました。蓄電池はバックアップ用の電源としてのみならず、再生可能エネルギーの貯蔵や日中の電力使用の平均化のような省コスト・省エネルギーとしての利用なども注目されています。
蓄電池の使用用途
蓄電池は、家庭用から産業用まで幅広く用いられます。
家庭用では、太陽光発電と併用することで節電することができます。例えば、昼間は太陽光の電力を使用し、余れば売電することができます。また売電せずとも、昼間に発電した余剰電力や深夜帯の割安な電力を蓄電池に貯蔵し、太陽が沈んだ夜間帯には貯蔵した電力を使用することで効果的に節電することができます。また、災害により停電が起きたとしても蓄電池の電気を使用することが可能です。
産業用としては、強電用のバックアップ電源や、計装用の無停電電源装置にも使用されます。産業用は家庭用とくらべて電気容量が大きな違いとなります。
蓄電池の原理と種類
蓄電池の動作原理は種類によって多少の違いはありますが、化学反応によって電力を取り出すという仕組みは変わりません。蓄電池は正極、負極および正極と負極間の化学反応を補助する電解液で構成されており、使用する材料によって特性も大きく異なっております。
1. 鉛蓄電池
蓄電池の中では最も歴史の古い電池が鉛蓄電池であり、主に自動車のバッテリーや非常用バックアップ電源などに用いられています。正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸を使用しています。安価でありかつ、過充電に強く、寿命も約17年と非常に長いのが特徴です。一方で、充放電のエネルギー効率が低いことがデメリットとしてあります。
2. ニッケル水素電池
正極にオキシ水酸化ニッケル、負極に水素貯蔵合金、電解液に水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液を使用した電池です。リチウムイオン電池の登場以前まではモバイル機器のバッテリーとしても利用されており、現在でもハイブリットカーや鉄道の地上蓄電設備に使用されています。過放電・過充電に強く、急速充放電も可能であることが特徴ですが、自己放電が大きく、寿命が5~7年程度と短いことがデメリットとしてあります。
3. リチウムイオン電池
正極にリチウム含有金属酸化物、負極に炭素材料、電解液に有機電解液を使用した電池です。ノートパソコンやスマートフォンなどの日常で使用される電子機器のバッテリーとして広く使用されており、近年では電気自動車のバッテリーとしても採用されています。エネルギー密度が高く急速充放電が可能であることが特徴です。寿命も6~10年と比較的長いですが、コストがほかの電池と比べて高いことが課題です。
4. ナトリウム硫黄(NAS)電池
正極に硫黄、負極にナトリウム、電解質にβ‐アルミナを使用しており、NAS電池とも呼ばれており、工場などの大規模施設のバックアップ電源として使用されています。自己放電がほとんどなく、充放電効率、エネルギー密度に優れており、寿命も15年ほどと長いことが特徴であり、産業用電池として非常に注目されています。また、電極材料も資源が豊富なもののため、コストダウンも期待できます。しかし、作動温度が300℃のためヒーターで高温を維持しなければならず、電極材料も危険物であるため安全性に大きな課題があります。
そのほかにも電解液タンクとセルスタックを分離して設置可能なレドックスフロー電池のような新しい電池も登場しております。