集塵機

集塵機とは

集塵機

集塵機とは、ある系に対して粉塵等を回収するための装置を指します。プロセス系の工場では、ほとんどの場合集塵機が使用されています。

ボイラや独立過熱器では重油を燃料にバーナーを炊きますが、その排ガスには塵が多く含まれています。この塵をそのまま排気すると公害に繋がるため、排ガス中の塵を収集する必要があります。一般に集塵機と言うと、それら産業機器の排ガスからばいじんを収集する産業用集塵機を指します。家庭用で使用される集塵機は、空気清浄機等の名前で販売されているケースがあります。

集塵機の使用用途

集塵機は主に産業用に使用されますが、家庭用で使用される場合もあります。

近年の家電では、空気清浄機やエアコンに集塵機能が付いたものがあります。フィルタに埃を付着させて集塵する仕組みになっており、家庭用では空調家電の付属機能として使用される場合がほとんどです。

産業用としては、排気ガスの粉塵除去などに使用されます。使用場所は発電所や製鉄所等、ボイラや炉を持つ工場の場合は集塵機が使用されます。大気汚染防止法や各都道府県で工場排気の排気ガス内粉塵量が定められており、この排出基準を満たすために集塵機が用いられます。

集塵機の原理

集塵機は集塵原理により様々な種類がありますが、代表的なものとして以下の4種類を紹介します。

1. 遠心式(サイクロン)

遠心式では、円筒構造物内部でガスを高速で回転させ、その遠心力によって粉塵を側面へ収集します。メンテナンスが容易で、比較的大きなダストの捕集に適しています。ただし、捕集限界が10μm程度であり、それ以下の微粒子の捕集には適していません、また、装置を回転させる必要があるため機械的強度の問題や、摩耗、偏心等が発生する可能性があります。

2. 洗浄式(湿式スクラバー)

湿式では、スクラバー等が代表的です。排気ガスに循環液をスプレーで散布し、その水分によって排ガス中の粉塵を捕集する装置です。循環液のPHを管理することによって、排ガスの化学的性状も安定させることが可能です。集塵性能も0.1μm程度の粉塵を回収することが可能です。デメリットとしては、PHを一定に保つ添加装置や添加剤を定常的に使用する必要がある点等が挙げられます。また、排水処理や水道代などによりランニングコストが他の集塵装置と比べて高いです。

3. ろ過式(バグフィルタ

ろ過方式はバグフィルタと呼ばれるろ布に粉塵を含むガスを流すことで、バグフィルタ表面にダストが付着することで集塵する方式です。0.1μm程度の微粒子を効果的に捕集することが可能であり、集塵効率が高いことが特徴です。一方で、バグフィルタの目詰まりにより集塵能力が低下しやすく、定期的なフィルターの清掃や交換が必要であり、ランニングコストが高いことがデメリットです。

4. 電気集塵

電気式は、集塵板と放電極によって構成され、荷電粒子に働くクーロン力を利用して粒子を捕集する手法です。高電圧によるコロナ放電により微粒子を荷電させます。集塵性能は0.05μm程度のサブミクロンレベルの粉塵を99%以上収集することができ、大気汚染防止法の要求水準を満たすことができます。また、メンテナンスが容易でランニングコストが低いことから、近年では発電所などでは電気式集塵機が主流となっています。

振動子

振動子とは

振動子とは、振動を行う物体を指す言葉です

機械的、電気回路などの電気的振動をするものを含む場合もあります。また、振動するものを振動子としてモデル化し、理論を構築する場合もあります。

振動子の使用用途

広く使用されている水晶振動子は、多種多様なエレクトロニクス製品中の電子回路に使用されています。電子回路には、クロック信号が不可欠です。クロック信号とは、電子回路上の様々な素子が同じタイミングで信号の送受信ができるように、一定の周波数で規則正しく振動する信号を指します。

水晶振動子から振動を電気に変えて取り出すと、規則正しく振動する電気信号を得られ、単一周波数を持つ交流信号を得ることができます。電子回路で使用される場合、水晶振動子のほか水晶振動子を含めてパッケージIC化された水晶発振器として使用される場合も多いです。

水晶は、規則正しく振動する圧電効果をもった部材という特徴があります。クロック源の他にも、通信を行うための搬送波をつくる基準源など、様々な用途で電子機器内で使用されます。

振動子の原理

1. 圧電効果

圧電効果

図2. 圧電効果

振動子として一般的に用いられる電子部品の水晶振動子は、水晶を振動子として用いることができます。理由は、水晶が圧電効果を持っているためです。

圧電効果とは、結晶に機械的な圧力をかけると電気が発生する効果のことです。結晶に圧力を加えることで結晶内のイオンの配置にずれが生じ、これに伴って電荷の偏りが生まれます。

また、圧電効果を持つ結晶やセラミックに電場を印加すると変形します。この効果が「逆圧電効果」です。他にもセラミックの圧電効果を利用した振動子も存在します。

水晶振動子はセラミック振動子に比べ高価ですが、発振の精度が非常に高いため、高精度な発振回路が必要な際には水晶振動子を用いる場合は多いです。

2. 水晶振動子の切り出し

水晶振動子の寸法と周波数の関係

図3. 水晶振動子の寸法と発振周波数の関係

人工水晶により、高い純度で結晶化した水晶を得ることが可能です。また、結晶の軸に対してどのような角度で切り出すかにより、周波数に対する温度特性や振動モードが決まります。水晶振動子の切り出し方として最も代表的なものはATカット型です。

ATカット型では、広い温度帯で偏差の少ない発振特性を得ることができます。MHz帯の発振周波数をつくるのに用いられる場合が多いです。また、加工も容易で量産に適しています。ATカット型の振動子の特徴は、水晶の厚みにより発振周波数が決まることです。発振周波数は振動子の厚みに反比例します。

f0=1.67×n/t
※f0:発振周波数、n:オーバートーン次数、t:厚み(mm)

上式からわかるように、例えば必要な発振周波数が大きい場合、ATカット型の水晶振動子の厚みは薄くする必要があります。一般的に水晶振動子が薄くなると発振しやすくなりますが、機械強度は低下します。そのため、必要な発振周波数と水晶振動子の寸法、発振しやすさを整理して振動子を選択することが大切です。

振動子の種類

振動子の種類

図3. 振動子の種類

電子部品として一般的によく用いられる振動子は水晶振動子です。振動子に石英の一種である水晶を用いたもので、多くが人工水晶を用いられて作られています。そのほか、安価なセラミック振動子が用いられる場合も多いです。

振動子の仲間に、超音波振動子があります。超音波振動子は、発振回路から発せられる高周波電流を超音波振動に変換します。超音波洗浄機や、超音波溶着機に用いられます。

水晶を生成する場合、オートクレーブと呼ばれる育成炉中の高圧圧力容器の中に天然の結晶とアルカリ溶液を充填して製造します。この方法が水熱合成法です。

実在する振動子だけでなく、理論の構築のため仮想的に設定される振動子もあります。振動が単振動の場合には調和振動子、そのほかの振動のときには非調和振動子と言います。

参考文献
https://jp.rs-online.com/
http://www.river-ele.co.jp/ja/company/device/
https://eetimes.jp/ee/articles/1104/05/news111.html

水銀ランプ

水銀ランプとは

水銀ランプ

水銀ランプとは、水銀の蒸気を用いた青白い光を発するランプです。白熱電球と比べると発光効率が高い、長寿命でメンテナンスの手間を減らせるといったメリットがあります。

水銀ランプは、ランプ点灯時の水銀蒸気圧にもとづいて高圧タイプと低圧タイプの2種類に大別されます。水銀蒸気圧が10^5Pa以上であれば高圧タイプ(高圧水銀ランプ)に該当し、100Pa以下であれば低圧タイプ(低圧水銀ランプ)です。

高圧水銀ランプの中には、水銀蒸気圧が10^6〜数10^7Paの超高圧タイプも存在します。

水銀ランプの使用用途

低圧水銀ランプは紫外線(UV)を放射する性質を持つため、殺菌ランプとして広く普及しています。また、低圧水銀ランプは蛍光物質を発光管に塗って蛍光ランプとして使うこともあり、その場合は一般照明やUV硬化(UVキュアリング)用の光源にも用いられます。

高圧水銀ランプが活躍する用途としては、一般照明やUVキュアリングなどが代表的です。上記以外の用途では、光化学反応実験に用いられることもあります。

超高圧水銀ランプは、ショートアーク型とロングアーク型の2種類が主流です。前者は輝度の高さを活かして光学顕微鏡や光学機器など、後者は製版や半導体のエッチングなどに活用されています。

水銀ランプの原理

水銀ランプは、発光管内に水銀蒸気を封入し、水銀蒸気中での放電によって発光を行う仕組みになっています。

発光管内で放電を行うと、エネルギーの低い状態の水銀原子が電子と衝突し、エネルギーの高い状態(励起状態やイオン化した状態)になります。この高エネルギー状態の水銀原子がエネルギーの低い状態に戻ると、両者のエネルギー差に相当する光が放出されるのです。

放出される光のうち、水銀イオンが水銀原子に戻るときの光を連続スペクトル、励起状態から基底状態(もしくは準安定状態)に戻るときの光を輝線スペクトルと呼びます。

水銀ランプが発する光の波長は、発光管内に封入した水銀の蒸気圧によって変わってくることが知られています。具体的には、水銀蒸気圧が低ければ紫外部の波長の光が強く放出され、反対に水銀蒸気圧が高ければ可視部の波長の光が増加します。

すなわち、低圧水銀ランプは殺菌に有効な紫外線が多く放出されるため、殺菌ランプの用途に適しています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1917/44/2/44_2_52/_pdf/-char/ja
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/199811/100184.html
https://www.iwasaki.co.jp/sources/hid_lamp/mercury/eye_mercury.html
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ka/high_pressure_mercury_lamp_2.html
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ta/low_pressure_mercury_lamp.html
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ta/super-high_pressure_mercury_lamp.html

水準器

水準器とは

水準器

水準器とは、ある任意の面(被測定面)が基準(水平や鉛直)に対してどの程度傾いているかを確認する器具です。レベラーとも呼ばれます。

水準器は、円筒形の密閉されたガラス管の中にアルコールやエーテルなどの液体を入れ、一部に気泡が残されています。測定する面に水準器を置くと、面の傾きに応じて気泡の位置が変動(移動)するため、その位置のガラス管に振られた目盛りを読み取ることで面の傾きを確認します。

読取りをデジタル表示するものや、レーザーポインターを搭載し、離れた場所の水平も確認可能なレーザー水準器もあります。

水準器の使用用途

水準器の用途は、機器の設置時に、機器の水平を出すために使用されます。設置する機器の基準となる面に水準器を置き、基準面が水平となるように、機器のアジャスターを調整します。

水準器は、ローラーの外周の歪の確認や、印刷機などで搬送ローラーの平行が出ているかを確認する時にも使用されます。

また建築、土木、測量の場面でも使用されます。対象物の水平具合を調べるという用途ではなく、基準を作り出す用途で使用されます。

水準器の原理

水準器は、前述しましたように円筒形のガラス管の中に液体が入れられ、一部に気泡が残されています。このガラス管は、ガラス管と平行な面を持つ筐体に保持されています。横向きのガラス管が地面に平行な場合は、気泡はガラス管の真ん中に位置します。仮にガラス管の右側が左側より高ければ、気泡は右側に移動します。ガラス管には目盛りが振られている為、気泡の位置の目盛りを読み取ることで、傾きの確認を行います。このような水準器は、気泡管水準器とも呼ばれます。

レーザー水準器は、レーザーポインターが内蔵されています。レーザーポインターにより、離れた場所の水平出しを行う事ができ、主に建築の現場などで使用されます。

三脚にレーザー水準器を取り付け、平行となるように調整します。平行が取れた後に、レーザーポインター(水平光)を照射すれば、離れた場所であっても平行となるポイントが分かります。例えばパイプの敷設の際、パイプを伸ばした先の壁の穴をあける位置を指し示すことができます。また、体育館などの壁にスピーカーを設置する時は、左右同じ高さに取り付けを行う必要が有りますが、これもレーザー水準器で高さ位置を特定できます。

水準器はシンプルな構造で操作も比較的簡易であるため、様々なところで使用されます。

参考文献
https://www.fsk-level.com/%E8%A3%BD%E5%93%81%E6%83%85%E5%A0%B1/%E6%B0%B4%E6%BA%96%E5%99%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E6%B0%B4%E6%BA%96%E5%99%A8%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF/
https://ekuippmagazine.com/measuring/laser_level/

水中ポンプ

水中ポンプとは

水中ポンプとは、水中に沈めて使用するポンプです。

ポンプの吸出口は空吸いを防止するために持ち上げる液体の液面より低い位置にする必要があり、一般的な産業用ポンプはタンクやピットの底面に吸出し口を設置します。

水中ポンプはポンプ自体が小型で、容易に水面に投げ込めます。事前に設置した吸出し口を必要とせず、点検口などから液体を吸い出せて、産業用として幅広く利用可能です。

水中ポンプの使用用途

水中ポンプは産業的に広く用いられます。身近な例は下水道用のポンプです。下水道は地下ピットを通っており、悪臭を放つため可能な限り密閉する必要があります。水中ポンプを使用すると給電配線以外はすべて地下に収納でき、下水道用として多く採用されています。

工事現場などで基礎を打設する際には雨が降ると基礎予定地に雨水が侵入しますが、水中ポンプは安価で可搬性が高いため工事などの一次的な排水にも使用可能です。

水中ポンプの原理

水中ポンプには3種類あり、電動式、油圧式、フレキ式に分けられます。

1. 電動式

最も使用されている水中ポンプのタイプです。使用する電源には100Vの単相電源や200Vの三相電源などがあります。

2. 油圧式

油圧ユニットが運転に必要ですが、他の油圧機器にも使えるため必要機器全体がコンパクトになります。バックホーのような重機を動力源にでき、現場の重機を用いると別途動力源が必要ありません。

3. フレキ式

フレキシブルシャフトを使って陸上に設置されたエンジンから動力を伝えます。漏電や油漏れの危険性がなく、同じ出力で比べるとコストパフォーマンスが良いです。

水中ポンプの構造

水中ポンプは、ケーシング、電力部分、駆動部分などで構成されます。

1. ケーシング

水中ポンプ内部の電力部分などの構造的に弱い部品を保護して収納可能です。吸出し口の下面は金属網が張られている場合が多く、羽根車が巨大なものを噛み込まないようになっています。

2. 電力部分

電力部分の主な構成部品はモーターです。モーターや充電部はケーシングや液体と絶縁され、ケーシングやシール材を介して守られています。モーターの主軸は水中ポンプの羽根車と接続されており、水中ポンプに動力を与えます。

電力部分には水中ポンプを保護する機能も内在されている場合があり、過負荷や漏電でモーターを停止させるサーモスイッチが付いているタイプも多いです。

3. 駆動部分

駆動部分には主に羽根車と軸受があります。羽根車は吸い出した液体を吐き出し口へ運び込み、一般的に軸受部品には駆動を潤滑に行うため駆動油が封入されています。

水中ポンプの種類

水中ポンプは、汚水用、清水用、腐食性用、底水用、工事排水用の5種類に分類できます。

1. 汚水用

汚れや泥によって濁った汚水でも使用可能です。

2. 清水用

異物や濁りのない水に用いられます。

3. 腐食性用

海水や薬品のような金属を腐食する液体に使われます。

4. 底水用

水位が低い場所でも組み上げ可能です。

5. 工事排水用

石、土砂、小さなゴミのような異物が混じった水でも使用可能です。

水中ポンプの選び方

用途に合わせて水中ポンプの種類を選択できます。

1. 汚水用

農業用水の引込や排出のほか用水路や雨水などの汲み出しに利用可能です。ただしゴミや石のような異物が詰まる可能性があります。台風や大雨の後の洪水対策に使われる場合も多いです。

2. 清水用

水道水、用水、風呂水、濁りのない川や池の水などに使用でき、家庭用として広く用いられています。しかし高温の液体に使うとポンプが変形する可能性があります。

3. 腐食性用

揚排する液体に合わせて材質を選択する必要があります。

4. 底水用

一般的な水中ポンプはフロート付きや土台付きが多いため、低い場所にある液体を汲み上げられません。底水用は土台がなく電動機部分が気中でも作業でき、水槽の残水処理によく用いられます。

5. 工事排水用

ポンプの容量が大きいため効率的に大量の水を汲み上げられます。耐久性もあり、工事現場などに適しています。

参考文献
水中ポンプの仕組み https://pump1000.com/setumei/s_sikumi.html

製本機械

製本機械とは

製本機械

製本機械 (英: Book binding machinery) とは、用紙を糊付けやステッチ (ホチキスのようなもの) などで1冊の本や冊子にまとめて製本する機械です。

製本の方法には、中綴じ製本、平綴じ製本、無線綴じ製本 (くるみ製本) 、上製本、リング製本 (めがね製本) 、テープ製本などがあり、それぞれ特徴が異なります。

製本機能を持つプリンターや複合機 (英: Multi-function printer) も数多くあり、小型で簡易な事務用の機械から商業用や産業用の高速で大型の機械まで幅広いです。

製本機械の使用用途

本を製作する用途で用いられます。製本の方法により対応可能な本の種類が分かれ、製本の方法別に紹介します。

1. 中綴じ製本

中綴じ製本はページ数の少ないカタログや雑誌などで使用されます。表紙の外側の折り目の中心部にステッチでとめて製本します。

2. 平綴じ製本

マニュアルや教科書、企画書などに用いられます。

3. 無線綴じ製本 (くるみ製本)

厚めのカタログや教科書、情報誌などに使用されます。重ねた折丁 (製本のために1ページ大の大きさに折られた用紙) の背の部分を糊で接着して製本します。

4. 上製本

ハードカバーで作られる製本で、アルバムや単行本などに使用されています。

5. リング綴じ製本 (めがね製本)

スケッチブックやリングノート、書類などに用いられます。原稿に穴を開け、プラスチックや金属の螺旋状のリングで留めます。

製本機械の原理

本の形状には並製本と上製本があります。並製本は表紙の紙が柔らかくて曲げやすい本で、上製本は表紙に硬い厚紙や皮などを使った本です。製本の方法は3種類に分類されます。

1. 針金で綴じる

中綴じや平綴じは並製本の代表的な綴じ方です。製本の中で最も単純な方法で、簡易製本と呼ばれます。針金で綴じられており、針金の位置で中綴じと平綴じに分類されています。

2. 糊で綴じる

無線綴じやアジロ綴じは並製本と上製本の両方で使用されます。糊で綴じられる無線綴じやアジロ綴じも幅広く用いられています。

3. 糸で綴じる

糸かがり綴じは印刷した紙を糸で縫い綴じ、上製本でよく使用されます。糸の縫い方で名称も違い、日本古来の和綴じも糸かがり綴じの一種で、古くから用いられてきた製本方法の一つです。製本の耐久度が高いため長期保存に向いています。

製本機械の種類

製本機械には複数の製本の種類があります。

1. 中綴じ製本

見開きの状態で用紙を重ね、中央部分をステッチで綴じてから二つ折りにする製本です。

2. 平綴じ製本

重ねた折丁の端から5mm付近をステッチでとめてから背の部分に糊を塗布して表紙を貼り付けます。

3. 無線綴じ製本 (くるみ製本)

折丁を重ねて背の部分に糊を塗布し、表紙でくるんで製本する方式です。

4. 上製本

厚くて硬い表紙とページに製本用の糸や接着剤などを使用して製本します。表紙はハードカバーと呼ばれ、芯の部分にボール紙を使用します。

5. リング綴じ製本 (めがね製本)

用紙を重ねて背になる部分に穴を開け、プラスチックや金属のリングを通して綴じる製本です。

製本機械の選び方

製本機械のメリットとデメリットを考慮して選択する必要があります。

1. 中綴じ製本

本を開いたときに根本までしっかりと開くため、2ページにわたって写真や図を載せる場合などは見やすく、比較的安価に製本できます。しかしステッチで綴じるため、ページ数の多い場合には向きません。

2. 平綴じ製本

ページ数の多い冊子の製本に向いています。ステッチでとめている構造上、本を180°まで開けません。

3. 無線綴じ製本 (くるみ製本)

ページ数の多い商品カタログなどでよく使われています。ページ数の少ない冊子は背に塗布する接着剤の量が少ないため、ページが取れる可能性があります。

4. 上製本

芯のボール紙は薄い紙でくるむことが多いですが、レザーや布などでくるみ高級感を出す場合もあります。

5. リング綴じ製本 (めがね製本)

360°開けてページが勝手に閉じることもなく、使い勝手が良いです。

参考文献
https://www.34insatsu.com/column/log/eid2.html
https://www.ddc.co.jp/words/archives/20070220124520.html

赤外線カメラ

赤外線カメラとは

赤外線カメラとは、電磁波の一種である「赤外線」を捉えて画像を作成するカメラです。

赤外線は780~10万nmの波長の光を指します。通常のデジタルカメラでは人間の目にも見える「可視光」を利用して撮影しますが、暗闇など光源のない環境では撮影が困難です。

その一方で赤外線カメラでは赤外線を用います。赤外線は絶対零度の物体を除き熱を持つあらゆる物体から出ているため、赤外線を検知できる赤外線カメラでは通常のカメラと異なり光源の有無に関わらず撮影が可能です。 

赤外線カメラの使用用途

赤外線カメラは通常のデジタルカメラでは捉えられない赤外線を検知できます。通常のデジタルカメラでの撮影が難しい暗闇などでも問題なく使用できるため、防犯カメラ監視カメラとして利用されています。

撮影対象物が発する赤外線から物体の熱や温度に関する情報や物体の組成の情報を確認可能です。そのため生産工程やインフラで温度管理や点検など、単純なカメラとしての用途以外にも赤外線カメラが幅広く利用されています。 

赤外線カメラの原理

赤外線カメラは赤外線を利用して撮影する特殊なカメラですが、装置構成や動作原理は通常のデジタルカメラと基本的に同じです。赤外線カメラには赤外線検知用のセンサー (赤外線センサー) がカメラ内部に組み込まれており、通常のデジタルカメラの「イメージセンサー」と同様の役割を果たします。赤外線センサーはピクセル (画素) と呼ばれる極小のエレメントが規則的に並んだ構造になっています。

例えばインジウムアンチモン製の赤外線カメラは1.5~5.1µmの範囲で、材料となる物質ごとに異なる赤外線を検出可能です。そのため使用前に撮影対象物が発する赤外線が検出範囲に含まれているか確認が重要です。

赤外線カメラは通常のデジタルカメラと同様に取り込んだ光をセンサーへ誘導するレンズも備えています。レンズには通常用や近接撮影用などの種類があり、撮影対象物のサイズなどに応じて最適なカメラを選ぶ必要があります。 

赤外線カメラの構造

赤外線カメラの構造には2種類あり、量子型と非冷却型です。

1. 量子型

セレン化鉛 (PbSe) 、テルル化カドミウム水銀 (HgCdTe) 、アンチモン化インジウム (InSb) のような禁制帯幅が狭い化合物半導体の赤外線撮像素子を用います。ショット雑音の影響を除去するため極低温に冷やされます。

2. 非冷却型

微細加工技術で作られたボロメータ、焦電素子、熱電対などを使用します。画質は量子型に劣りますが、冷却が不要なため近年増加しています。

赤外線カメラの選び方

赤外線カメラを現場に設置する際に注意点が多数あります。

1. 照射距離

赤外線が届く範囲のみを撮影するため、赤外線センサーの照射距離次第で昼間より夜間の撮影範囲が狭い可能性があります。赤外線の照射距離は機種で違い、一般的に15m〜30mです。工事現場や建設現場に設置するカメラの照射距離を確認する必要があります。

2. 屋外用

屋外に設置可能な全天候タイプが適しています。屋内用カメラは強い日差しや雨風に弱く、屋外に設置すると故障する可能性があります。赤外線機能と防塵防水機能を持つ耐久性に優れた屋外用カメラは厳しい環境下に設置でき、夜間に安心して撮影可能です。

3. 取り付けやすさ

工事や建設は通常工期が決まっているため、現場を変えるごとにカメラの設置工事や配線工事を行うとコストや手間がかかります。そのため取り付けと取り外しが容易なカメラが適しています。配線不要なタイプもあり、移動しやすいです。

4. 遠隔監視

夜の工事現場や建設現場を撮影する際にはスマホやPCで映像を確認できるカメラが便利です。遠隔監視可能なカメラは撮影した映像を自宅で確認でき、夜間監視に向いています。有線LANの接続が必要ないWi-Fi回線やLTE回線の防犯カメラもあります。

参考文献
https://www.avaldata.co.jp/solution_imaging/near_infrared/near_infrared_camera.html
https://www.cybernet.co.jp/optical/course/word/s23.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1954/29/9/29_9_705/_pdf

パルスオキシメーター

パルスオキシメーターとは

一般的なクリップ形状のパルスオキシメーターのイメージ

図1. 一般的なクリップ形状のパルスオキシメーターのイメージ

パルスオキシメーターとは、光の透過を利用して経皮的に動脈血の酸素飽和度を測定するための装置です。

パルスオキシメーターによって測定される動脈血酸素飽和度は、SpO2の略語で表されます。SpO2と同様に酸素飽和度を表す指標としてSaO2が知られていますが、SpO2が皮膚を通して間接的に酸素飽和度を示すのに対して、SaO2は実際に血液を採取して測定した結果を表します。

SpO2を測定するパルスオキシメーターでは採血は不要であり、使用者に身体的な負担をかけることはありません。非侵襲でリアルタイムに、使用者の動脈血中にどのくらいの酸素が含まれているかを調べることが可能です。

パルスオキシメーターの使用用途

パルスオキシメーターは、脈拍数と経皮的動脈血の酸素飽和度をモニタリングするための医療機器として使用されます。血中の酸素飽和度をモニターすることで、体内で酸素供給が正常通り行われているかを判断することができます。

例えば、肺炎になって肺がダメージを受けると、肺から血液への酸素供給が困難となり、SpO2値は低下します。そのため、パルスオキシメーターは肺炎などの呼吸器疾患の重症化度を調べるために使用されます。

また、麻酔管理中や手術中に患者への酸素の供給状態をリアルタイムでモニターする目的で使用される場合もあります。非侵襲的で扱いが容易なので、在宅酸素療法の患者指導に用いられることも多い装置です。その他の例として、睡眠時無呼吸症候群の診断や登山者による高度順化のモニターなどが挙げられます。

パルスオキシメーターの原理

1. 作動原理

パルスオキシメーターは動脈血の色の変化から、血液中のヘモグロビンがどの程度の酸素と結びついているかを判断する装置です。パルスオキシメーターは通常、クリップ状の形をしていて、上側に発光部を、下側に受光部を備えています。クリップに指を挟んで測定します。

発光部からは赤色光 (約660nm) と赤外光 (約940nm) の2種類の光が発光するようになっていて、装着部位で吸収されずに透過してきた光を受光部で受信する仕組みです。

2. 吸光原理

ヘモグロビンの吸光の様子

図2. ヘモグロビンの吸光の様子

ヘモグロビンは、酸素と結合することで鮮やかな赤色となりますが、これは赤色光の吸光度が低いことによります。一方、ヘモグロビンから酸素が離れると暗い赤色となりますが、これは赤色光をよく吸収するためです。

血液中のヘモグロビンと酸素の結合の割合が多い場合、多くの光は吸収されずに通り抜け、センサー受光部で受け取る光の量が多くなります。一方、赤外光はヘモグロビンと酸素の結合の割合によらず、一定量が通り抜けます。

パルスオキシメーターは、センサー受光部で受け取る赤色光と赤外光の比率を分析することで、SpO2を測定しています。

パルスオキシメーターの種類

クリップ形状以外のパルスオキシメーターのセンサー部

図3. クリップ形状以外のパルスオキシメーターのセンサー部

パルスオキシメーターは、手の指先を挟んで測定するクリップ式ものがほとんどです。それ以外の形状には、粘着テープ式のものや、ソフトキャップ式のものなどがあります。

乳幼児では、身体にあった乳幼児用のものを使用することが必要です。乳幼児用では、大人と同様にクリップ形状のものの他、特に低出生体重児にも対応した、非粘着式で足に取り付けるタイプのセンサーなどもあります。

パルスオキシメーターのその他情報

パルスオキシメーターで測定できない例

パルスオキシメーターは、非侵襲的で取り扱いが容易である装置です。ただし、その測定原理に動脈が拍動して血管の厚みが変化することを利用しているため、人工心肺装置使用中のように一定流速のポンプで血液を流場合などでは測定することができません。

参考文献
https://www.medius.co.jp/asourcenavi/pulseoximeter/
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/topics/2020/0424-01-01.html
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/principle.html

赤外線サーモグラフィ装置

赤外線サーモグラフィ装置とは

赤外線サーモグラフィ装置

赤外線サーモグラフィ装置は、測定対象から出ている赤外線放射エネルギーを検出し、対象物表面の温度分布を画像表示する装置です。物体の温度が高いほど赤外線の放射量も大きくなるという、赤外線の性質を利用しています。 

赤外線サーモグラフィ装置には以下の特徴があります。

  1. 物体に触れず、離れたところから温度を測定する
  2. 対象物の一点の温度ではなく、広い範囲で面の温度分布を測定する
  3. リアルタイムで温度を測定する

赤外線サーモグラフィ装置の使用用途

赤外線サーモグラフィ装置は、対象物の表面温度をリアルタイムに可視化できることから、様々な産業分野で、温度管理や監視・検査に使用されています。 

建築分野では、建物外壁タイルの目に見えない剥離状態を、表面温度の違いを利用して検出することができます。ほかにも、太陽光パネルは異常があると発熱が大きくなることから、太陽光パネルの点検に用いられることもあります。

産業機械を利用する現場では、電気装置が故障前に高温になる傾向にあることを利用して、故障の予防保全にも使われます。 
また、制御盤や電子回路の放熱機構を設計する際の調査にも用いられます。高温になりやすい部分が分かっていれば、より効果的な放熱機構を設計・搭載することができます。

対象物に接することなく衛生的に温度測定ができるため、食品業界でも、生鮮食品の保管状況管理、惣菜の配膳もれの検出、パッケージ検査などに利用されています。
このほか、人の発熱状態を非接触で素早く可視化できることから、感染症対策が必要な施設の入場者検温器として普及しています。近年、新型コロナウイルスの流行に伴い、発熱の検査のために多くの赤外線サーモグラフィ装置が施設に導入されました。

赤外線サーモグラフィ装置の原理

熱を持っている物質はすべて、その温度に応じた赤外線を放っています。赤外線サーモグラフィ装置はこのことを利用し、測定対象から放射された赤外線エネルギーを検出し、その値を温度に換算して対象物の表面温度を求めます。

一般的なカメラは、可視光線を検出し画像化する装置と言えますが、赤外線サーモグラフィ装置も同様に、赤外線を検出し画像化する装置と言えます。 

実際の赤外線サーモグラフィの検出器には、対象物からの赤外線放射エネルギーの他に、以下のエネルギーが入射します。

  • 対象物がその周囲の赤外線を反射したエネルギー
  • 赤外線サーモグラフィ自体が放出するエネルギー

さらに検出時の損失も存在するため、実際の測定エネルギーは誤差を含んでいます。
これらは周囲の環境温度に依存しているので、入射エネルギーと同時に環境温度も測定し、誤差要素を除去する補正を行った上で、赤外線エネルギーから温度へと換算します。 

赤外線エネルギーは、黒体 (放射率が1の物体) から放射される理想的な熱放射の場合、絶対温度の4乗に比例します。実際は測定対象の放射率は0~1で変化します。また、対象までの距離、赤外線の波長などの要素も含まれるため、校正テーブルを使って赤外線エネルギーから温度に変換する処理を行います。

赤外線サーモグラフィ装置のその他情報

通常のカメラでは赤外線をとらえることができないため、サーモグラフィ画像を得ることはできません。
しかし、直近ではスマートフォンのカメラに専用の機材を取り付け、専用のアプリを使用することでスマートフォンを赤外線サーモグラフィ装置として利用する動きも出てきています。

参考文献
https://www.thermography.or.jp/about/index.html
http://www.jaira.jp/download/pdf/guidelines.pdf
https://www.flir.jp/discover/instruments/process-quality/thermal-imaging-cameras-in-the-food-industry/

切削工具

切削工具とは

切削工具

切削工具とは金属加工などの現場で使用される刃物の総称です。主にドリル、フライス、エンドミル、タップ、リーマなどの種類があり、材料や形状によって使い分けられます。切削工具は材質を切削して削り屑を排出することで形状を作り出します。切削工具は工作機械に取り付けられて使用されるため、寸法や精度、寿命などの要素が重要です。切削工具は、金属加工だけでなく、木材やプラスチック加工などの場面でも使用されます。また切削工具の使用には、適切な装着・調整、適正な切削条件設定、定期的なメンテナンスなどが必要です。

切削工具の使用用途

1. 穴あけ

穴あけは金属加工で最も基本的な加工方法の一つであり、ドリルビット、リーマ、タップなどの切削工具を使用します。穴あけは、機械部品の製造に必要不可欠です。

2. 切断

金属の切断は、鋸、ミルソー、バンドソー、レーザー切断などの切削工具を使用して行われます。切断は、製品を切り出す、金属板を切断する、金属製のパイプや金属製の棒を切断するなど多くの産業分野で使用されています。

3. 形状加工

形状加工はフライス盤、旋盤、マシニングセンターなどの加工機を使用し、工件を回転または直線運動させながら切削工具を使用して形状を加工する方法です。この方法は金属製品の部品製造に最も広く使用されています。

4. 面取り

面取りは、切削工具を使用して製品のエッジを滑らかにすることにより、加工品質を向上させる方法です。

5. ねじ切り

金属部品にねじを切るために、タップやダイスを使用する方法です。金属部品の組み立てに必要不可欠な方法であり、自動車、航空機、家電製品など、幅広い産業分野で使用されています。

6. 鏡面加工

鏡面加工は、金属製品の表面を滑らかで反射的な仕上げにするために、研削盤や研磨盤などの加工機で行われます。

7. 精密加工

機械部品の精密加工には、高精度な工具が必要とされます。エンドミルやドリル、ボール盤、グラインダーなどがあり、寸法精度や表面粗さなどが高いものが使用されます。

8. 木工加工

木材を加工するための工具として、ボール盤やルーター、チップソー、バンドソー、ディスクグラインダーなどがあります。

9. 樹脂加工

樹脂を加工するための工具として、エンドミルやバイト、ドリルなどがあります。樹脂は金属に比べて硬度が低く、加工時に発生する熱が高くなりやすいため、適切な工具選定や冷却・潤滑などが重要です。

10. その他

医療用の切削工具や、芸術用 (彫刻や彫金など)の切削工具として使用されます。

切削工具の原理

切削工具は、金属やプラスチックなどの物質を加工する際に使用されます。切削工具による加工の原理は「切削工具の刃が、往復運動や回転運動をしながら加工する対象物の表面に接触し、表面を削り取ること」です。

切削工具の刃には、加工する対象物によって形状が異なるものがあります。例えばドリルは円筒形の刃を持ち、対象物に穴を開けるために使用され、エンドミルは球形や角形の刃を持ち、対象物の表面に溝を刻んだり、複雑な形状を削り出したりするために使用される工具です。

切削工具を使用する際には、工具の種類や加工する対象物の材質、加工する形状などを考慮して、適切な刃の形状や刃の素材を選択する必要があります。また刃の形状や素材によって、加工速度や加工精度、工具の耐久性なども異なるため、それらも考慮しながら切削条件を設定することが必要です。

切削工具の種類

以下は切削工具の種類の一部です。

1. ドリル

穴あけ加工用の工具で、切削刃を持つ円筒状の棒状の工具です。回転させながら材料を切削することで穴を開けられます。金属やプラスチックや木材などの加工に使用されます。

2. エンドミル

穴あけ加工に比べて、より複雑な形状の切削ができる工具です。材料の側面に刃を持っているため、材料の側面や底面を加工できます。多様な形状とサイズがあり、金属やプラスチックなどの加工に使用されます。

3. リーマー

穴あけ後の表面仕上げに使用される工具です。切削刃が複数あり、切削時に回転させながら材料を削り、穴の精度を高められます。

4. タップ

内部ねじ切り用の工具です。ドリルで穴をあけた後、タップを使用して内部ねじを切れます。

5. ミーリングカッター

材料を回転させながら切削することで、平面や立体的な形状を加工できる工具です。多様な形状とサイズがあり、金属やプラスチックなどの加工に使用されます。

6. バイト

旋盤加工に使用される工具です。加工対象物を固定し、バイトを回転させながら切削します。

7. ホールソー

穴あけ加工用の工具で、円形の切削刃を持つ工具です。主に木材やプラスチックなどの軟らかい材料の加工に使用されます。

8. チップ

工具に取り付けられる交換可能な切削刃の部品です。材料の種類や切削条件によって使用するチップを変えることで、最適な切削加工が可能です。

切削工具の特徴

長所

(高精度な加工が可能)
切削工具は微細な切削によって加工を行うため高精度な加工が可能です。このため様々な精密加工に使用されます。

(大量生産に向く)
切削工具は工具を使用して加工を行うため、同じ形状の部品を大量に生産できます。自動化された生産ラインに組み込まれることが多く、生産性向上に役立っています。

(加工に適した材料の種類が豊富)
切削工具は様々な種類の材料に対応できるように設計されており、金属やプラスチックや木材やガラスなどの様々な材料を加工できます。

(切削能率)
切削工具は微細な切削によって加工を行うため、切削能率が高くなります。このため、大量生産に適しているほか、短時間での加工が可能です。

切削能率とは、単位時間あたりに加工できる材料の量を表す指標です。

(汎用性が高い)
切削工具はドリルやエンドミルなど様々な種類があり、多様な用途に使用できます。加工する材料や形状、加工する目的に合わせて最適な切削工具を選択できます。

短所

(寿命が短い)
切削工具は使用するうちに磨耗し、寿命が短くなる傾向があります。特に高速で加工する場合は寿命が短くなります。

(加工精度が低い)
切削工具が使用される環境や材質によって加工精度が低下することがあります。また、使用する工具の選択や加工条件の調整によっても精度が左右されます。

(構造が複雑)
切削工具は刃の形状や加工対象物に応じた様々な形状を持っています。そのため製造において高度な技術が求められてコストがかかることがあります。

(設備投資が必要)
切削工具に適した加工機器が必要です。そのため設備投資が必要となります。

(切削工具交換が手間)
切削工具は磨耗するため定期的に交換する必要があります。交換には時間がかかるため、生産性が低下することがあります。

切削工具のその他情報

切削工具は、加工する材料や形状、切削条件に応じて選択することが重要です。適切な切削工具を選択することによって、加工精度が高くなったり、加工能率が上がったりするためです。また切削工具は定期的なメンテナンスを行うことで寿命を延ばせます。メンテナンスには、切削刃の研ぎ直しや交換、クーラントの清掃や交換、切削油の補充、切削工具の保管方法などが含まれます。