水中ポンプとは
水中ポンプとは、水中に沈めて使用するポンプです。
ポンプの吸出口は空吸いを防止するために持ち上げる液体の液面より低い位置にする必要があり、一般的な産業用ポンプはタンクやピットの底面に吸出し口を設置します。
水中ポンプはポンプ自体が小型で、容易に水面に投げ込めます。事前に設置した吸出し口を必要とせず、点検口などから液体を吸い出せて、産業用として幅広く利用可能です。
水中ポンプの使用用途
水中ポンプは産業的に広く用いられます。身近な例は下水道用のポンプです。下水道は地下ピットを通っており、悪臭を放つため可能な限り密閉する必要があります。水中ポンプを使用すると給電配線以外はすべて地下に収納でき、下水道用として多く採用されています。
工事現場などで基礎を打設する際には雨が降ると基礎予定地に雨水が侵入しますが、水中ポンプは安価で可搬性が高いため工事などの一次的な排水にも使用可能です。
水中ポンプの原理
水中ポンプには3種類あり、電動式、油圧式、フレキ式に分けられます。
1. 電動式
最も使用されている水中ポンプのタイプです。使用する電源には100Vの単相電源や200Vの三相電源などがあります。
2. 油圧式
油圧ユニットが運転に必要ですが、他の油圧機器にも使えるため必要機器全体がコンパクトになります。バックホーのような重機を動力源にでき、現場の重機を用いると別途動力源が必要ありません。
3. フレキ式
フレキシブルシャフトを使って陸上に設置されたエンジンから動力を伝えます。漏電や油漏れの危険性がなく、同じ出力で比べるとコストパフォーマンスが良いです。
水中ポンプの構造
水中ポンプは、ケーシング、電力部分、駆動部分などで構成されます。
1. ケーシング
水中ポンプ内部の電力部分などの構造的に弱い部品を保護して収納可能です。吸出し口の下面は金属網が張られている場合が多く、羽根車が巨大なものを噛み込まないようになっています。
2. 電力部分
電力部分の主な構成部品はモーターです。モーターや充電部はケーシングや液体と絶縁され、ケーシングやシール材を介して守られています。モーターの主軸は水中ポンプの羽根車と接続されており、水中ポンプに動力を与えます。
電力部分には水中ポンプを保護する機能も内在されている場合があり、過負荷や漏電でモーターを停止させるサーモスイッチが付いているタイプも多いです。
3. 駆動部分
駆動部分には主に羽根車と軸受があります。羽根車は吸い出した液体を吐き出し口へ運び込み、一般的に軸受部品には駆動を潤滑に行うため駆動油が封入されています。
水中ポンプの種類
水中ポンプは、汚水用、清水用、腐食性用、底水用、工事排水用の5種類に分類できます。
1. 汚水用
汚れや泥によって濁った汚水でも使用可能です。
2. 清水用
異物や濁りのない水に用いられます。
3. 腐食性用
海水や薬品のような金属を腐食する液体に使われます。
4. 底水用
水位が低い場所でも組み上げ可能です。
5. 工事排水用
石、土砂、小さなゴミのような異物が混じった水でも使用可能です。
水中ポンプの選び方
用途に合わせて水中ポンプの種類を選択できます。
1. 汚水用
農業用水の引込や排出のほか用水路や雨水などの汲み出しに利用可能です。ただしゴミや石のような異物が詰まる可能性があります。台風や大雨の後の洪水対策に使われる場合も多いです。
2. 清水用
水道水、用水、風呂水、濁りのない川や池の水などに使用でき、家庭用として広く用いられています。しかし高温の液体に使うとポンプが変形する可能性があります。
3. 腐食性用
揚排する液体に合わせて材質を選択する必要があります。
4. 底水用
一般的な水中ポンプはフロート付きや土台付きが多いため、低い場所にある液体を汲み上げられません。底水用は土台がなく電動機部分が気中でも作業でき、水槽の残水処理によく用いられます。
5. 工事排水用
ポンプの容量が大きいため効率的に大量の水を汲み上げられます。耐久性もあり、工事現場などに適しています。
参考文献
水中ポンプの仕組み https://pump1000.com/setumei/s_sikumi.html