パルスオキシメーター

パルスオキシメーターとは

一般的なクリップ形状のパルスオキシメーターのイメージ

図1. 一般的なクリップ形状のパルスオキシメーターのイメージ

パルスオキシメーターとは、光の透過を利用して経皮的に動脈血の酸素飽和度を測定するための装置です。

パルスオキシメーターによって測定される動脈血酸素飽和度は、SpO2の略語で表されます。SpO2と同様に酸素飽和度を表す指標としてSaO2が知られていますが、SpO2が皮膚を通して間接的に酸素飽和度を示すのに対して、SaO2は実際に血液を採取して測定した結果を表します。

SpO2を測定するパルスオキシメーターでは採血は不要であり、使用者に身体的な負担をかけることはありません。非侵襲でリアルタイムに、使用者の動脈血中にどのくらいの酸素が含まれているかを調べることが可能です。

パルスオキシメーターの使用用途

パルスオキシメーターは、脈拍数と経皮的動脈血の酸素飽和度をモニタリングするための医療機器として使用されます。血中の酸素飽和度をモニターすることで、体内で酸素供給が正常通り行われているかを判断することができます。

例えば、肺炎になって肺がダメージを受けると、肺から血液への酸素供給が困難となり、SpO2値は低下します。そのため、パルスオキシメーターは肺炎などの呼吸器疾患の重症化度を調べるために使用されます。

また、麻酔管理中や手術中に患者への酸素の供給状態をリアルタイムでモニターする目的で使用される場合もあります。非侵襲的で扱いが容易なので、在宅酸素療法の患者指導に用いられることも多い装置です。その他の例として、睡眠時無呼吸症候群の診断や登山者による高度順化のモニターなどが挙げられます。

パルスオキシメーターの原理

1. 作動原理

パルスオキシメーターは動脈血の色の変化から、血液中のヘモグロビンがどの程度の酸素と結びついているかを判断する装置です。パルスオキシメーターは通常、クリップ状の形をしていて、上側に発光部を、下側に受光部を備えています。クリップに指を挟んで測定します。

発光部からは赤色光 (約660nm) と赤外光 (約940nm) の2種類の光が発光するようになっていて、装着部位で吸収されずに透過してきた光を受光部で受信する仕組みです。

2. 吸光原理

ヘモグロビンの吸光の様子

図2. ヘモグロビンの吸光の様子

ヘモグロビンは、酸素と結合することで鮮やかな赤色となりますが、これは赤色光の吸光度が低いことによります。一方、ヘモグロビンから酸素が離れると暗い赤色となりますが、これは赤色光をよく吸収するためです。

血液中のヘモグロビンと酸素の結合の割合が多い場合、多くの光は吸収されずに通り抜け、センサー受光部で受け取る光の量が多くなります。一方、赤外光はヘモグロビンと酸素の結合の割合によらず、一定量が通り抜けます。

パルスオキシメーターは、センサー受光部で受け取る赤色光と赤外光の比率を分析することで、SpO2を測定しています。

パルスオキシメーターの種類

クリップ形状以外のパルスオキシメーターのセンサー部

図3. クリップ形状以外のパルスオキシメーターのセンサー部

パルスオキシメーターは、手の指先を挟んで測定するクリップ式ものがほとんどです。それ以外の形状には、粘着テープ式のものや、ソフトキャップ式のものなどがあります。

乳幼児では、身体にあった乳幼児用のものを使用することが必要です。乳幼児用では、大人と同様にクリップ形状のものの他、特に低出生体重児にも対応した、非粘着式で足に取り付けるタイプのセンサーなどもあります。

パルスオキシメーターのその他情報

パルスオキシメーターで測定できない例

パルスオキシメーターは、非侵襲的で取り扱いが容易である装置です。ただし、その測定原理に動脈が拍動して血管の厚みが変化することを利用しているため、人工心肺装置使用中のように一定流速のポンプで血液を流場合などでは測定することができません。

参考文献
https://www.medius.co.jp/asourcenavi/pulseoximeter/
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/topics/2020/0424-01-01.html
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/principle.html

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