振動子

振動子とは

振動子とは、振動を行う物体を指す言葉です

機械的、電気回路などの電気的振動をするものを含む場合もあります。また、振動するものを振動子としてモデル化し、理論を構築する場合もあります。

振動子の使用用途

広く使用されている水晶振動子は、多種多様なエレクトロニクス製品中の電子回路に使用されています。電子回路には、クロック信号が不可欠です。クロック信号とは、電子回路上の様々な素子が同じタイミングで信号の送受信ができるように、一定の周波数で規則正しく振動する信号を指します。

水晶振動子から振動を電気に変えて取り出すと、規則正しく振動する電気信号を得られ、単一周波数を持つ交流信号を得ることができます。電子回路で使用される場合、水晶振動子のほか水晶振動子を含めてパッケージIC化された水晶発振器として使用される場合も多いです。

水晶は、規則正しく振動する圧電効果をもった部材という特徴があります。クロック源の他にも、通信を行うための搬送波をつくる基準源など、様々な用途で電子機器内で使用されます。

振動子の原理

1. 圧電効果

圧電効果

図2. 圧電効果

振動子として一般的に用いられる電子部品の水晶振動子は、水晶を振動子として用いることができます。理由は、水晶が圧電効果を持っているためです。

圧電効果とは、結晶に機械的な圧力をかけると電気が発生する効果のことです。結晶に圧力を加えることで結晶内のイオンの配置にずれが生じ、これに伴って電荷の偏りが生まれます。

また、圧電効果を持つ結晶やセラミックに電場を印加すると変形します。この効果が「逆圧電効果」です。他にもセラミックの圧電効果を利用した振動子も存在します。

水晶振動子はセラミック振動子に比べ高価ですが、発振の精度が非常に高いため、高精度な発振回路が必要な際には水晶振動子を用いる場合は多いです。

2. 水晶振動子の切り出し

水晶振動子の寸法と周波数の関係

図3. 水晶振動子の寸法と発振周波数の関係

人工水晶により、高い純度で結晶化した水晶を得ることが可能です。また、結晶の軸に対してどのような角度で切り出すかにより、周波数に対する温度特性や振動モードが決まります。水晶振動子の切り出し方として最も代表的なものはATカット型です。

ATカット型では、広い温度帯で偏差の少ない発振特性を得ることができます。MHz帯の発振周波数をつくるのに用いられる場合が多いです。また、加工も容易で量産に適しています。ATカット型の振動子の特徴は、水晶の厚みにより発振周波数が決まることです。発振周波数は振動子の厚みに反比例します。

f0=1.67×n/t
※f0:発振周波数、n:オーバートーン次数、t:厚み(mm)

上式からわかるように、例えば必要な発振周波数が大きい場合、ATカット型の水晶振動子の厚みは薄くする必要があります。一般的に水晶振動子が薄くなると発振しやすくなりますが、機械強度は低下します。そのため、必要な発振周波数と水晶振動子の寸法、発振しやすさを整理して振動子を選択することが大切です。

振動子の種類

振動子の種類

図3. 振動子の種類

電子部品として一般的によく用いられる振動子は水晶振動子です。振動子に石英の一種である水晶を用いたもので、多くが人工水晶を用いられて作られています。そのほか、安価なセラミック振動子が用いられる場合も多いです。

振動子の仲間に、超音波振動子があります。超音波振動子は、発振回路から発せられる高周波電流を超音波振動に変換します。超音波洗浄機や、超音波溶着機に用いられます。

水晶を生成する場合、オートクレーブと呼ばれる育成炉中の高圧圧力容器の中に天然の結晶とアルカリ溶液を充填して製造します。この方法が水熱合成法です。

実在する振動子だけでなく、理論の構築のため仮想的に設定される振動子もあります。振動が単振動の場合には調和振動子、そのほかの振動のときには非調和振動子と言います。

参考文献
https://jp.rs-online.com/
http://www.river-ele.co.jp/ja/company/device/
https://eetimes.jp/ee/articles/1104/05/news111.html

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