赤外線カメラ

赤外線カメラとは

赤外線カメラとは、電磁波の一種である「赤外線」を捉えて画像を作成するカメラです。

赤外線は780~10万nmの波長の光を指します。通常のデジタルカメラでは人間の目にも見える「可視光」を利用して撮影しますが、暗闇など光源のない環境では撮影が困難です。

その一方で赤外線カメラでは赤外線を用います。赤外線は絶対零度の物体を除き熱を持つあらゆる物体から出ているため、赤外線を検知できる赤外線カメラでは通常のカメラと異なり光源の有無に関わらず撮影が可能です。 

赤外線カメラの使用用途

赤外線カメラは通常のデジタルカメラでは捉えられない赤外線を検知できます。通常のデジタルカメラでの撮影が難しい暗闇などでも問題なく使用できるため、防犯カメラ監視カメラとして利用されています。

撮影対象物が発する赤外線から物体の熱や温度に関する情報や物体の組成の情報を確認可能です。そのため生産工程やインフラで温度管理や点検など、単純なカメラとしての用途以外にも赤外線カメラが幅広く利用されています。 

赤外線カメラの原理

赤外線カメラは赤外線を利用して撮影する特殊なカメラですが、装置構成や動作原理は通常のデジタルカメラと基本的に同じです。赤外線カメラには赤外線検知用のセンサー (赤外線センサー) がカメラ内部に組み込まれており、通常のデジタルカメラの「イメージセンサー」と同様の役割を果たします。赤外線センサーはピクセル (画素) と呼ばれる極小のエレメントが規則的に並んだ構造になっています。

例えばインジウムアンチモン製の赤外線カメラは1.5~5.1µmの範囲で、材料となる物質ごとに異なる赤外線を検出可能です。そのため使用前に撮影対象物が発する赤外線が検出範囲に含まれているか確認が重要です。

赤外線カメラは通常のデジタルカメラと同様に取り込んだ光をセンサーへ誘導するレンズも備えています。レンズには通常用や近接撮影用などの種類があり、撮影対象物のサイズなどに応じて最適なカメラを選ぶ必要があります。 

赤外線カメラの構造

赤外線カメラの構造には2種類あり、量子型と非冷却型です。

1. 量子型

セレン化鉛 (PbSe) 、テルル化カドミウム水銀 (HgCdTe) 、アンチモン化インジウム (InSb) のような禁制帯幅が狭い化合物半導体の赤外線撮像素子を用います。ショット雑音の影響を除去するため極低温に冷やされます。

2. 非冷却型

微細加工技術で作られたボロメータ、焦電素子、熱電対などを使用します。画質は量子型に劣りますが、冷却が不要なため近年増加しています。

赤外線カメラの選び方

赤外線カメラを現場に設置する際に注意点が多数あります。

1. 照射距離

赤外線が届く範囲のみを撮影するため、赤外線センサーの照射距離次第で昼間より夜間の撮影範囲が狭い可能性があります。赤外線の照射距離は機種で違い、一般的に15m〜30mです。工事現場や建設現場に設置するカメラの照射距離を確認する必要があります。

2. 屋外用

屋外に設置可能な全天候タイプが適しています。屋内用カメラは強い日差しや雨風に弱く、屋外に設置すると故障する可能性があります。赤外線機能と防塵防水機能を持つ耐久性に優れた屋外用カメラは厳しい環境下に設置でき、夜間に安心して撮影可能です。

3. 取り付けやすさ

工事や建設は通常工期が決まっているため、現場を変えるごとにカメラの設置工事や配線工事を行うとコストや手間がかかります。そのため取り付けと取り外しが容易なカメラが適しています。配線不要なタイプもあり、移動しやすいです。

4. 遠隔監視

夜の工事現場や建設現場を撮影する際にはスマホやPCで映像を確認できるカメラが便利です。遠隔監視可能なカメラは撮影した映像を自宅で確認でき、夜間監視に向いています。有線LANの接続が必要ないWi-Fi回線やLTE回線の防犯カメラもあります。

参考文献
https://www.avaldata.co.jp/solution_imaging/near_infrared/near_infrared_camera.html
https://www.cybernet.co.jp/optical/course/word/s23.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1954/29/9/29_9_705/_pdf

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