集塵機とは
集塵機とは、ある系に対して粉塵等を回収するための装置を指します。プロセス系の工場では、ほとんどの場合集塵機が使用されています。
ボイラや独立過熱器では重油を燃料にバーナーを炊きますが、その排ガスには塵が多く含まれています。この塵をそのまま排気すると公害に繋がるため、排ガス中の塵を収集する必要があります。一般に集塵機と言うと、それら産業機器の排ガスからばいじんを収集する産業用集塵機を指します。家庭用で使用される集塵機は、空気清浄機等の名前で販売されているケースがあります。
集塵機の使用用途
集塵機は主に産業用に使用されますが、家庭用で使用される場合もあります。
近年の家電では、空気清浄機やエアコンに集塵機能が付いたものがあります。フィルタに埃を付着させて集塵する仕組みになっており、家庭用では空調家電の付属機能として使用される場合がほとんどです。
産業用としては、排気ガスの粉塵除去などに使用されます。使用場所は発電所や製鉄所等、ボイラや炉を持つ工場の場合は集塵機が使用されます。大気汚染防止法や各都道府県で工場排気の排気ガス内粉塵量が定められており、この排出基準を満たすために集塵機が用いられます。
集塵機の原理
集塵機は集塵原理により様々な種類がありますが、代表的なものとして以下の4種類を紹介します。
1. 遠心式(サイクロン)
遠心式では、円筒構造物内部でガスを高速で回転させ、その遠心力によって粉塵を側面へ収集します。メンテナンスが容易で、比較的大きなダストの捕集に適しています。ただし、捕集限界が10μm程度であり、それ以下の微粒子の捕集には適していません、また、装置を回転させる必要があるため機械的強度の問題や、摩耗、偏心等が発生する可能性があります。
2. 洗浄式(湿式スクラバー)
湿式では、スクラバー等が代表的です。排気ガスに循環液をスプレーで散布し、その水分によって排ガス中の粉塵を捕集する装置です。循環液のPHを管理することによって、排ガスの化学的性状も安定させることが可能です。集塵性能も0.1μm程度の粉塵を回収することが可能です。デメリットとしては、PHを一定に保つ添加装置や添加剤を定常的に使用する必要がある点等が挙げられます。また、排水処理や水道代などによりランニングコストが他の集塵装置と比べて高いです。
3. ろ過式(バグフィルタ)
ろ過方式はバグフィルタと呼ばれるろ布に粉塵を含むガスを流すことで、バグフィルタ表面にダストが付着することで集塵する方式です。0.1μm程度の微粒子を効果的に捕集することが可能であり、集塵効率が高いことが特徴です。一方で、バグフィルタの目詰まりにより集塵能力が低下しやすく、定期的なフィルターの清掃や交換が必要であり、ランニングコストが高いことがデメリットです。
4. 電気集塵
電気式は、集塵板と放電極によって構成され、荷電粒子に働くクーロン力を利用して粒子を捕集する手法です。高電圧によるコロナ放電により微粒子を荷電させます。集塵性能は0.05μm程度のサブミクロンレベルの粉塵を99%以上収集することができ、大気汚染防止法の要求水準を満たすことができます。また、メンテナンスが容易でランニングコストが低いことから、近年では発電所などでは電気式集塵機が主流となっています。