サーメットトリマ

サーメットトリマとは

サーメットトリマとは日本語で「半固定抵抗器」と呼ばれる回路部品の一つです。この部品は可変抵抗器のようにユーザーが都度抵抗値を調整するような部品とは異なり、抵抗の値を変化させた後は設定した抵抗値で使用し続ける部品です。

ちなみに「サーメット」とはセラミックス(ceramics)と金属(metal)を組み合わせた造語であり、これらの2種類の材料を練り合わせて作られた部品であることからサーメットと呼ばれています。例えば酸化ルテニウム系の金属粒子とガラスなどが材料として用いられています。

サーメットトリマの使用用途

サーメットトリマは抵抗値の変更頻度が少ない回路で用いられます。通常の可変抵抗器は使用するたびにユーザーが抵抗値をダイヤル等で変更します。一方でサーメットトリマは例えば計測器の指示値の校正に用いられ、この場合は工場から出荷される際に初期設定として抵抗値を変更し、その後は一定の抵抗値を持つ抵抗器として使われます。その他、サーメットトリマは計測機器以外にも産業機器や医療機器、家電機器にも用いられます。

サーメットトリマの原理

サーメットトリマは可変抵抗器の一種であり、サーメット以外にはカーボン(炭素皮膜)、金属巻き線や薄膜などがあります。サーメットトリマは抵抗の範囲が広く、温度特性にも優れ、安定した特性を発現することが可能です。また非常に滑らかなで微細な変化を得ることが可能で、摺動に伴うノイズも比較的少なく抑えられるなどの長所があります。

サーメットの主成分はチタンやタンタルです。これらの材料は耐食性に優れています。家電品などの民生品ではコスト削減のためサーメットではなくカーボンが用いられることがありますが、計測器や通信機器、医療機器では信頼性を重視してサーメットが用いられることが多いです。サーメットトリマは抵抗の設定を行うための機械的な構造が製品によって異なります。具体的には抵抗を調整するために回すダイヤルの位置などです。また、電気的なパラメータ、抵抗の可変範囲も製品によって異なるので用途に応じたものを選定することが必要です。

参考文献

https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/trimmer-resistors-guide
https://www.denshi.club/parts/2016/01/post-10.html

サインバイス

サインバイスとは

サインバイスとはマシンバイスの一種です。マシンバイスとは材料を加工する際に材料が動くことが無いように工作機械のテーブル上に材料を固定するための道具です。この構造は万力に類似しており、2箇所を押さえて材料を固定します。

サインバイスとは材料を固定する際に所定の角度で傾斜を付けられる道具です。この傾斜角は1度から45度と幅広く、作業者が自由に設定できるようになっています。

サインバイスの使用用途

サインバイスなどのマシンバイスはフライス加工、穴開け加工、研削加工(平面研削)、研削盤加工といった、工作機械を用いた様々な加工工程の際に必要な道具です。このような加工は電動機械を用いて行うため、加工中に材料が動くことがないようにしっかりと固定することが重要になります。この道具は主に四角形の素材を固定することが多いです。

サインバイスは要求に応じて様々な角度に変えることができるため、精密に角度を規定した小物の加工にも適しています。

サインバイスの原理

前述の通り、サインバイスは角度を変えた状態で加工対象を固定することが可能な道具です。金属等の加工にも用いられるため、金属製のものが多く、角度範囲は0度から45度までのものが多いです。サイズは比較的小型であり、固定できる部位のスペースも小さいため基本的には小型の製品の精密加工に用いられます。角度を規定した状態で加工するための道具なので角度の精度は非常に高く設計されています。特に角度精度が高いものを「精密サインバイス」と呼ぶこともあります。

焼入れ処理が行われており、経年劣化、変化が少ないサインバイスも販売されています。また、加工時の摩耗、角度の変化が起こりにくいように設計されたものも販売されています。なお、サインバイスの中には正確な角度を用いるために三角関数表を使用するものもあります。角度を厳密に規定して加工を行いたい場合はこのような三角関数表の使用であったり、製品に応じた適切な角度の算出方法を予め確認すること、角度をつけて傾斜がある状態でも加工対象の材料が動かないようにしっかりと固定することが重要です。

参考文献

https://www.kousakukikai.tech/vise/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/result/?Keyword=%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9&isReSearch=1&relatedKeyword=1

エキスパンダ

エキスパンダとは

エキスパンダとは銅管を接合させるときに用いる工具の一つで、配管の内径を広げることができる道具です。

エアコン等の取り付け作業では冷媒管を切断、溶接する作業が必要になります。このときにエキスパンダを用いて片方の配管を広げ、もう片方の配管を中に差し込みます。この状態で溶接することによってつなぎ目の強度を保つことができます。

もちろんこの道具を使わずに溶接することも可能ですが、エキスパンダを用いたほうがピンホールからのガス漏れのリスクを下げることができるため、この工具は頻繁に用いられます。

エキスパンダの使用用途

エキスパンダが使用される代表的な作業はエアコンの取り付け作業です。一般的な家庭用のエアコンは配管が比較的細く、曲げ加工も容易であるため通常の取り付けではエキスパンダはあまり使用されません。一方で業務用のエアコンは配管が太く、曲げ加工が難しいため取り付け作業では配管の切断、溶接作業はほぼ必須となります。このような作業においてエキスパンダは日常的に使用されます。

油圧式、充電式など様々なタイプのエキスパンダが販売されており、作業場所の広さや用途に応じて使い分けられます。

エキスパンダの原理

エキスパンダは主に4つの部品から構成されています。1つ目の部品は配管の内面を変形させるローラです。この部品は配管を広げるための部品であり、真円を保ったまま、内部に鋭利な部位を生むことなく配管を広げます。2つ目の部品はマンドレルで、これはローラを回転させる部品です。上記の2つの部品は配管を広げる際に摩耗することがなきよう、耐圧、耐摩擦性が求められます。3つ目の部品はフレームというローラの脱落を防止する部品、4つ目の部品はベアリングカラーと呼ばれる、配管へのダメージを抑える部品です。

エキスパンダは充電式、油圧式など様々なタイプのものが販売されています。油圧式のものは充電不要でコンパクトです。また加工時に余計な力がいらないため、手の疲労も少なくすることができます。充電式のエキスパンダはスピーディーな作業が可能です。また力をかける必要がないため、油圧式よりも更に作業者への負担を抑えることができます。 

参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-71590/
https://www.sugino.com/site/qa/exp-technical-strongpoint01.html
http://www.pneumatic.co.jp/products/73

アングルプレート

アングルプレートとは

アングルプレートとは特定の角度 (angle) に切り出された金属製のプレートです。

金属加工の固定具などとして使用される治具で、板材などの加工において正確な角度出しを行いたいときに用います。直角に切り出したい場合や、30度、45度などの角度で切り出したい場合など、求める角度に合わせたプレートが販売されています。なお、最も種類が多いのは直角のアングルプレートです。

なお、材料の切り出しなどの用途とは別に、天体観測等で用いる小型で角度を変えられるアングルプレートも販売されており、カメラ等の業界では「アングルプレート」といえばこちらの製品を指すことが多いです。

アングルプレートの使用用途

材料加工の分野で使用されるアングルプレートは、金属等の加工時に使用します。特に直角を重要とされる切削、研削のマスターブロックとして活用される治具部品です。板金の端面を削るときに直角の部材を用いて固定、加工することで安定した加工ができます。中ぐり盤、ラジアルボール盤、プレナーや、マシニングセンタ、ジグボーラーなどに対して治具として使用される場合もあります。

また、アングルプレートは完成した製品の角度確認に用いることも可能です。角度が異なる複数のプレートを組み合わせることで所定の角度を測定することもあります。

アングルプレートの原理

1. 概要

アングルプレートの構造は非常にシンプルで、所定の角度を有する金属板です。金属加工時に用いるアングルプレートは直角型になっているものが多く、加工時の固定、角度出しに用いられます。用途に応じて溝有り、溝無しのタイプがあったり、材質が異なります。

アングルプレートの中には三角定規のように30度、45度、60度の角度を有するプレートもあります。これらのプレートは加工後の製品が所定の角度になっているか確認するために使用されることが多く、内角検査用ゲージ、もしくは内角検査用ゲージと呼ばれている場合もあります。プレートを組み合わせることで様々な角度のものを確認することが可能です。

2. 素材

アングルプレートは、一般的な治具部品として、SK材やFC300、FC250などが材料に用いられます。SK材とは、炭素工具鋼鋼材のことで、0.55〜1.5%の炭素を含有し、特別にクロム・モリブデン等の合金元素を添加していない高炭素鋼です。

FC250やFC300とは、片状黒鉛鋳鉄 (ねずみ鋳鉄) の一種です。数字は、引張強さを表しています。耐摩耗性に優れた強靭な材質です。また焼入れにより耐摩耗性が高められる素材であり、焼入がされている場合が多いです。破面はねずみ色であり、微細なパーライトに微細で均一な片状黒鉛が分布した組織をしています。

3. バリエーション

アングルプレートをVブロックと組み合わせた製品も販売されています。これは特定の角度で材料を加工するときに用いる道具です。このような所定の角度で加工する場合、従来はサインバイスなどの道具を使用していましたが、このプレートとVブロックを組み合わせた製品はセッティングに要する時間が短く、生産性向上につながります。

アングルプレートの種類

アングルプレートには、前述の通り直角、30度、45度、60度などの角度の種類があります。大きさは様々な種類があり、1辺15cm程度の小型の製品から1m近くになる大型の製品まで様々です。小型製品では重量2kg程度ですが、超大型製品では数百kgにも及びます。ワークを固定するT溝付きや、ネジ穴加工がされている製品もあり、一部の製品ではユーザー側でタップ穴、T溝等の追加加工を行うことが可能です。穴の大きさ・形状、ピッチにも様々なものがあります。

また、自由に傾斜角度を変えることができるスイベル型のアングルプレートもあります。この場合、傾斜角度は-30~90度程度が可能です。

その他、研削仕上げが施された製品や、横型マシニングセンター用取付穴が開いているもの、リブ有り・無しなど、バリエーションは様々です。用途に合わせて、適切なものを選択することができます。

参考文献

http://mecha-tech.la.coocan.jp/angle_plate/angle_plate.htm
https://www.fujitool.co.jp/products/jig/000106.html

ポジショナ

ポジショナとは

ポジショナとは、外部からの指令を基に位置決めを実施する装置です。

モーターや油圧シリンダーなどのアクチュエータと組み合わせて使用され、目標位置に移動させるために設計されます。機械加工やコントロールバルブなどに使用され、高い位置決め精度や速度、耐久性が求められる場合があります。

ポジショナの使用用途

ポジショナは位置決め用制御装置の1種で、幅広い装置に使用されます。以下はポジショナの使用用途一例です。

1. コントロールバルブ

ポジショナはコントロールバルブの開度制御に使用されることが多いです。コントロールバルブ用制御機器を指してポジショナと呼ぶこともあります。コントロールバルブにポジショナが付属して販売される製品も多いです。

プロセス系のプラントに用いられることが多いです。化学プラントや石油化学、製鉄所や火力発電所などが代表例です。反応用空気の流量の制御や排ガス圧量の制御に使用します。

2. 自動化ラインや組立ラインでの位置決め

自動化ラインや組立ラインでは、製品パーツの位置決めが非常に重要です。ポジショナを使用することで、高い位置決め精度を実現し、製品の品質向上や生産性の向上につながります。

また、産業ロボットにおいても高度な位置決めが求められるため、ポジショナが使用されることがあります。これらはアセンブリ系の工場で使用されることが多く、自動車産業などがその一例です。

3. 機械加工

機械加工の業界でも位置決め制御機器をポジショナと呼びます。機械加工では高精度な位置決めが必要とされる場合があります。

ポジショナを使用することで、高度な位置決め制御が実現し、製品の精度向上や加工時間の短縮につながります。旋盤加工や曲げ加工、溶接などでの加工に使用されます。

ポジショナの原理

ポジショナは、一般的に位置検出素子によって位置情報を取得します。それに基づいてモーターや油圧シリンダーなどのアクチュエータを駆動して、目標位置に制御精度をもって移動させることで、位置決めを行います。

具体的には、位置検出素子として光学式センサーやマグネチックセンサーなどが使用されます。これらのセンサーで目標位置と現在位置の差を計測することで、位置情報の取得が可能です。

位置情報を取得した後はそれに基づいてアクチュエータを駆動して位置決めを行います。アクチュエータには、電動式のステッピングモーターやサーボモーター、油圧式のシリンダーなどが使用されます。これらのアクチュエータは制御信号に基づいて位置決めを行い、目標位置に制御精度をもって移動します。

位置検出センサーとアクチュエータを組み合わせてフィードバック制御を行うことで、より高度な位置決め制御を実現することが可能です。フィードバック制御では、位置検出センサーから得られた現在位置情報をもとに、アクチュエータの駆動量を調整することで実施します。

ポジショナの種類

ポジショナにはいくつかの種類が存在します。以下はポジショナの種類一例です。

1. 電空ポジショナ

電空ポジショナは電気信号を入力し、位置決め駆動装置に空気圧を利用する方式のポジショナです。センサーは磁気式や光学式などが使用され、圧電素子などによって制御を行います。

コントロールバルブの場合は、このポジショナが使用されることが多いです。空気圧と電気信号を入力して開度を制御するバルブが多く販売されています。

2. 電電ポジショナ

電電ポジショナは電気信号を入力し、位置決め駆動装置に電気を利用する方式のポジショナです。センサーは光学式やマグネチック式が使用され、アクチュエータとしてはステッピングモーターやサーボモーターが使用されます。大型のバルブなどで一般的な誘導モーターが使用される場合もあります。

3. 空空ポジショナ

空気圧式ポジショナは空気圧信号を入力し、位置決め用駆動装置に空気圧を利用する方式のポジショナです。危険物施設などの防爆が必要な場所などで使用され、電気を導入したくない場合などに適しています。

参考文献
https://www.emerson.co.jp/ja-jp/automation/valves-actuators-regulators/controllers-instruments/positioners
https://www.azbil.com/
http://energy-kanrishi.com/position/

エポキシ樹脂塗料

エポキシ樹脂塗料とは

エポキシ樹脂塗料

エポキシ樹脂塗料とは、エポキシ樹脂 (英語:epoxy resin) が主成分の塗料です。

主剤であるエポキシ樹脂と硬化剤を反応させて網目状の架橋を行うのが特徴です。エポキシ樹脂塗料はエポキシ樹脂の特性を反映しており、耐水性や耐腐食性に優れています。

エポキシ樹脂塗料の使用用途

エポキシ樹脂塗料は絶縁性が高く、耐薬品性や耐水性にも優れているエポキシ樹脂の特性を生かし、多くの電子機器、電化製品のプリント基板やメモリ、CPUなどの電子部品、および電気を通さない部分のコーティング剤に使用されています。

その他、高い耐食性から自動車や船舶の塗料や缶の内壁の塗装や、工業用接着剤としても好適です。最近では3Dプリンターの一つでもある光造形の素材としても使用されています。

エポキシ樹脂塗料の原理

エポキシ樹脂塗料の主成分であるエポキシ樹脂は、末端に反応性のエポキシ基を持つ化合物の総称です。代表的なものとしては、ビスフェノールAエポキシ樹脂が挙げられます。

これに硬化剤を添加し、網目状の架橋をおこない硬化することにより、様々な特性を持つ硬化樹脂となります。エポキシ樹脂塗料の特性は、一般的に硬化剤の種類や配合比、硬化条件を変えることで調整可能です。

エポキシ樹脂塗料の種類

エポキシ樹脂塗料には、使用直前にエポキシ樹脂よりなる主剤と硬化剤を混ぜる「二液型」タイプと、あらかじめ主剤と硬化剤が混ざっていて、加熱して固める「一液型」があります。

1. 二液型エポキシ樹脂塗料

二液型エポキシ樹脂塗料は、硬化すると強い塗膜を形成し、強力な防水、防塵性能をもっているのが特徴です。また、耐薬品性、耐摩耗性も優れています。そのため、過酷な条件下での使用に好適です。

なお、二液型エポキシ樹脂塗料は混合する硬化剤の種類によって用途が分かれます。主なものは、耐水、耐アルカリ性能をもつポリアミドアミン効果タイプと、耐水、耐アルカリ、耐酸、耐溶剤性能をもつ変性ポリアミンタイプです。

また、錆止めとしては変性エポキシ樹脂を使用した二液型変性エポキシ樹脂プライマーやタールエポキシ樹脂塗料が好適です。防錆性を向上するために、特殊変性エポキシ樹脂とリン酸アルミ系顔料を混合したものも販売されており、取り扱いが容易なスプレーとしても販売されています。

防錆用として販売される場合が多いスプレーですが、補修の機能を前提としたものが多いため、主に防錆用、補修用のどちらにも使用可能です。タールエポキシ樹脂塗料は、黒または暗色の色が主流であるため、外観の高級感やツヤをだすための塗装に必要とされない箇所に使用されます。

2. 一液型エポキシ樹脂塗料

一液型エポキシ樹脂塗料は、防食性、密着性に優れています。一液型は木材や鉄、鋼などの補修用スプレーに多く使用されています。

エポキシ樹脂塗料のその他情報

1. エポキシ樹脂塗料 (エポキシ樹脂) の反応

エポキシ樹脂はエポキシ基と呼ばれる官能基を含んでおり、硬化剤を混合することでエポキシ基の開環重合反応が生じ、3次元の架橋構造を形成することで硬化します。エポキシ樹脂の高い機械的性質と化学薬品耐性は硬化により生じる特性です。

エポキシ樹脂と硬化剤の硬化反応は基本的に熱が必要な反応ですが、樹脂と硬化剤の組み合わせによっては常温でも硬化するものもあります。硬化速度は温度に依存し、温度が高いと速くなり、温度が低いと遅くなります。

硬化反応は発熱反応であるため、夏場などの外気温が高い時は樹脂自体が高温になりやすく、一瞬で固まってしまうことがあり注意が必要です。逆に、冬場は5℃程度で硬化反応が停止してしまうことがあります。

2. エポキシ樹脂塗料使用上の注意

エポキシ樹脂塗料は紫外線によって表面が劣化して白く変化し、屋外では年10㎛程度の速度で劣化することが予想されます。長期間の性能を確保するためにはポリウレタン塗装やフッ素樹脂による塗装による保護が必要です。

参考文献
http://www.naniwagousei.com/dictionary/%E3%82%A8%E3%83%9D%E3%82%AD%E3%82%B7%E6%A8%B9%E8%84%82/
http://www.mcc-epoxy.jp/epoxy/whatsepoxy.html
https://www.furmanite.co.jp/composite_repair_701.html
https://i-maker.jp/blog/epoxy-8818.html
https://www.woodencanoe.net/epoxy/guide.html
http://www.yotsubatosouten.com/article/15130380.html
https://www.atpress.ne.jp/news/86487
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223013671230/

フレックスカップリング

フレックスカップリングとは

フレックスカップリング_図0

フレックスカップリング (英: Flexible Shaft Couplings) とは、フレキシブルカップリングの略称で、軸継手の一種です。

カップリング (軸継手) は、駆動軸と従動軸を連結して動力を伝達する機械要素で、「リジットカップリング」と「フレックスカップリング」の2種類があります。フレックスカップリングは、駆動軸と従動軸の芯ずれを吸収して振動や軸受への負荷し、さらにミスアライメントによる消耗やトラブルを低減します。

リジットカップリングは、駆動軸と従動軸は芯ずれの無い結合が必須ですが、バックラッシュはゼロで動力伝達は最も効率的です。

フレックスカップリングの使用用途

フレックスカップリング_図1

図1. フレックスカップリングの使用例

フレックスカップリングは、一般的に機械の振動・衝撃が大きな機械の軸継手として使用されています。特に、振動や芯ずれの吸収が優れていることから、高精度な位置決めが必要な場合のサーボモーター用軸継手、高負荷な機器・回転速度が一定でない機械などに使われるケースが多いです。

ジョー形やオルダム形などの、スリーブやスペーサー付きタイプは、メンテナンス性が高いのが特徴として挙げられます。スペーサーを取り外すことで、駆動軸と従動軸を移動させずに、分解と組み立て可能です。そのため、ポンプ、コンプレッサ、送風機などの軸継手としても使用されています。

フレックスカップリングの原理

フレックスカップリング_図2

図2. 芯ずれ (ミスアライメント)

カップリングの重要な役割は、以下の4つです。

  • 駆動軸から従動軸へ動力の伝達
  • 駆動軸と従動軸の取り付け誤差の吸収
  • 駆動軸の振動を吸収し周囲の機器に伝播させない
  • 駆動軸から熱を従動軸へ伝達しない

特にフレックスカップリングは、上記の2、3項に優れたカップリングです。フレキシブル性を持たせるために、ディスク、スリーブ、スペーサー、高減衰能ゴムや両軸間に挟み込み結合したり、スリット加工し柔軟性を付加しています。これにより、駆動軸と従動軸のある程度の芯ずれ (偏心、偏角、軸方向変位など) を許容し、フレキシブル性で振動や衝撃を吸収し安定した回転を維持します。

駆動軸と従動軸の芯ずれを許容できることで、部品それぞれの加工精度をある程度下げることが可能です。その結果、製作コストも抑えられ、機械の組み立て調整が容易になります。また、フレックスカップリングをモーターの結合に使用する場合は、運転によるモーターの発熱をカップリングがある程度遮蔽します。

フレックスカップリングの種類

フレックスカップリング_図3

図3. フレックスカップリングの種類 (1)

フレックスカップリング_図4

図4. フレックスカップリングの種類 (2)

フレックスカップリングは、種類や構造により特性が異なり、適用できるモーターが異なり、代表的な種類は下表のとおりです。

種類

特徴

特性

適用モーター

許容芯ずれ

ねじり剛性

ゼロバックラッシュ

振動吸収性

インダクションモーター

サーボモーター

ステッピングモーター

ディスク形

  • 金属板ばねのたわみで芯ずれを吸収
  • 回転伝達誤差が小さい

スリット形

  • 小形
  • フレキシブル性が高い

クロスピン形

  • ピンとブッシュの摺動で芯ずれを吸収
  • 偏心反力が小さい

マグネット形

  • 非接触で伝達が可能
  • 摩擦ゼロ

ジョー形

  • 振動吸収性が高い
  • 取り付けが容易

オルダム形

  • 許容ミスアライメント性が高い
  • 偏心反力が小さい

高減衰能ゴム形

  • 高減衰性能で振動抑制性能高い

ベローズ形

  • 小形
  • 等速性が高い
  • フレキシブル性が高い

記号説明 ◎: 最も適合、○: 適合、△: 用途によって適合

フレックスカップリングのその他情報

カップリングの選定

据付や運転条件によるカップリングの選定の流れは以下のとおりです。

  • 必要伝達トルクの確認 
  • 据付条件の確認
  • 角度誤差、軸方向変位量の吸収が必要かどうかの検討
  • カップリングの種類の検討 (スリーブの材質、フレキシブル構造の選定)
  • 正逆回転の有無によりサービスファクター (安全率SF) の確保の検討
  • 位置決め精度を動力伝達の機械要素からカタログ値などの確認

参考文献
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/couplicon-about/
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/shaft-coupling/disc/echt-flex/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221005022699/
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/shaft-coupling/disc/echt-flex/ner-spacer/

球面滑り軸受

球面滑り軸受とは

球面滑り軸受_図0

球面滑り軸受 (英: Spherical Plain Bearing) とは、滑り軸受の1種で、ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を受けることできる、自動調心形の滑り軸受です。

軸受ハウジングには、球面加工された外輪が組み込まれ、穴あけ加工されたボール状の内輪が嵌め込まれています。調心機能により、軸とハウジングの回転中心の芯ずれを許容できます。

揺動運動や調心運動の可動部に使用するものです。「ロッドエンド」「ロッドエンドベアリング」は球面滑り軸受が使用されているため、同義語として扱われている場合があります。

球面滑り軸受の使用用途

球面滑り軸受_図1

図1. 球面滑り軸受の応用例

球面滑り軸受は、主にリンクを使って部品同士を連結させる場合や、直線運動を他部品に伝達する場合などに使用されています。建設機械や産業用機械、自動車、航空機などの関節運動部分に使用されていて、揺動運動または調心運動などを支持します。

また、球面滑り軸受は、大きなラジアル荷重と両方向のスラスト荷重が受けることが可能です。衝撃荷重に強く、各種建設機械、土木機械のシリンダクレビスやヒンジ部、トラックサスペンションなどに使用されています。

球面滑り軸受の代表的な応用例として、ロッドエンド (またはロッドエンドベアリング) があります。

球面滑り軸受の原理

球面滑り軸受は、内輪の外径面 (滑り接触面) が凸形の球面形状、外輪の内径面 (滑り接触面) が凹形の球面形状です。相互の滑り接触面に微小隙間を確保し、適切な滑り面を確保しながら、調心性能と荷重負荷性能を発揮します。

比較的低速回転で、高負荷の静荷重や動荷重を支持する場合に適しており、調心機能により芯出しが容易でミスアライメントに対応可能です。

球面滑り軸受の種類

1. 構造による分類

球面滑り軸受_図2

図2. 構造による球面滑り軸受の種類

 給油式
給油式は、外輪と内輪には給油穴が加工されていて、外部からグリースを給脂 (給油) して最適な潤滑状態を維持します。内輪と外輪は、高炭素クロム軸受鋼を使用し、高い耐摩耗性を発揮します。

無給油式
無給油式は、給油することなく最適な潤滑状態を維持します。外輪の滑り面には自己潤滑性が高く、耐摩耗性に優れた材質を、内輪は硬質クロムメッキなどの表面処理を施した鋼球しています。

無給油式の特長は、メンテナンスフリーで耐摩耗性に優れていることです。

球面滑り軸受_図3

図3. 構造の違いによる球面滑り軸受の形状

シール付きとシール無し
シール付きは、内輪と外輪間の両端にシールを取り付け、グリース漏洩と外部からの異物侵入を防止しています。シール無しのベアリングもあります。

2. ラジアル荷重・スラスト荷重

球面滑り軸受には、ラジアル荷重とスラスト荷重共に受けることができる軸受と、スラスト荷重のみ受けることができる軸受があります。 

球面滑り軸受_図4

図4. その他の球面滑り軸受

3. 固体潤滑剤埋め込み形

滑り面に固体潤滑材を埋め込んだ特殊銅合金製の内輪と、滑り面に潤滑性コーティングを施した外輪を使用した球面滑り軸受です。

4. 軸受ユニット

軸受ユニットでは、球面滑り軸受を組み込んだ、ピロー形ユニットがあります。

球面滑り軸受のその他情報

球面滑り軸受の規格

球面滑り軸受関連のJIS規格は、下記に規定されています。

JIS B0161 球面滑り軸受 – 用語 Spherical plain bearings – Vocabulary

「主として揺動運動、傾斜運動及び低速回転運動のために設計した滑り接触面が球面である滑り軸受」と定義されています。

揺動運動、傾斜運動は下記のとおり規定されています。

揺動運動
「運動の方向が繰り返し反転する回転運動又は傾斜運動」

傾斜運動
「軸受の内輪と外輪との傾斜角、又は軸軌道盤とハウジング軌道盤との傾斜角が相対的に変化する運動」

参考文献
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/5301.pdf
https://ikowb01.ikont.co.jp/
https://metoree.com/categories/4939/

ビデオインターフェース

ビデオインターフェースとは

ビデオインターフェース

ビデオインターフェースとは映像信号を出力する機器とこれを受けて表示する機器間のインターフェースのことを指しています。

一般的に映像信号を出力する機器としては、DVD/BD/HDD等のレコーダやPC、各種STB(Set Top Box)などが挙げられます。

他方、ビデオ信号入力を受けて表示する機器としてはテレビやディスプレイモニタ更にスマホやタブレットなどが挙げられます。

ビデオインターフェースは大きく分けるとアナログ方式のビデオインターフェースとデジタル方式のビデオインターフェースに分類できます。

ビデオインターフェースの使用用途

アナログ方式のビデオインターフェースはVGA(またはD-Sub15ピンとも言う)、RCAピン(によるインターフェース)があります。

他方、デジタル方式のインターフェースとしてはDVI、HDMI、DISPLAYポートが挙げられます。

そもそもビデオインターフェースがアナログ方式からデジタル方式に切り替わってきたのはいくつかの理由が挙げられます。

1点目はビデオ信号のコンテンツ自体のデジタル化です。地上/BSデジタル放送、CSデジタル放送、インターネットから入ってくるストリーミング等のコンテンツ、DVD/BD/HDDに記録されたデジタル映像などへの変化です。

2点目はデジタルコンテンツの場合、コンテンツの著作権を保護するために映像信号を暗号化することが容易にできるようになるという利点が挙げられます。

ビデオインターフェースの原理

以下では、デジタル方式のインターフェースである現在主流のHDMI規格を含め、DVI、DISPLAYポートについても簡単に触れておきます。

DVIはVGA規格の後継としてアナログRGBをサポートした規格で、HDMIが出てくるまで唯一のデジタル規格でした。音声信号には非対応であり現在、メーカーでは当規格に対応した機器の開発は行われていません。

DISPLAYポートはDVIの置き換えを目的として開発されたデジタルインターフェース規格です。HDMI同様に映像と音声の双方をサポートしており、最大の画面解像度として16Kに対応した規格が2.0としてリリースされましたが今後、HDMIとDISPLAYポートのいずれが主流となるかは見守っていく必要があります。

HDMIは映像、音声および機器間の認証を含む制御信号を1本の信号で伝送することが可能です。HDMI規格が生まれるまでは、これらの信号は、夫々別々に伝送する必要がありました。

HDMIには、複数のコネクタ形状のものが存在するのと同時に、複数の規格が存在し、タイプA~Eまでに分類されています。タイプAはピン数19で標準的なサイズのものでPCやノートPC、BDプレーヤなどで使われています。

タイプCは19ピンでミニHDMIとも言われカメラやデジタルビデオカメラなどで使われています。更にマイクロHDMIと言われるタイプD、車載機用として使われているタイプEがあります。

参考文献

https://ednjapan.com/edn/articles/0703/01/news129_3.html
https://itskillmap.com/menu2_33/
https://www.gizmodo.jp/2019/07/display-port-2.html

重量用キャスター

重量用キャスターとは

重量用キャスター

重量用キャスターとは、重量物を運搬するために設計された運搬用器具です。

工業機械や加工用の素材等の移動を容易にするため、通常のキャスターに比べて、数百キロから数トンの重量物を支える能力があります。主に平坦な路面での運搬に適しており、精密部品の運搬など振動を避けるべきシチュエーションにおいては、スプリング付きのキャスターが選ばれる場合が多いです。

製品のラインナップは、許容荷重、始動性、タイヤの素材などによって異なり、多様な選択することが可能です。

重量用キャスターの使用用途

重量用キャスターは、工業機械や加工材料、自動車部品等の重荷物を効率的に移動するために使用されます。これらは製造現場や倉庫で特に価値を見いだされており、重い物の運搬を劇的に容易にします。

例えば、製造ラインでは重量用キャスターによって時間と労力を大幅に節約が可能です。また、倉庫ではパレットや重機材を効率的に移動させることができ、これにより作業効率が向上します。

重量用キャスターは機器や物資の重量、運搬条件、作業環境に応じて選定されるため、その適切な選定は重要であり、労力を削減しつつ、安全かつ効率的な運搬作業を支援します。

重量用キャスターの原理

重荷重を支えるために、通常のキャスターと比べて金具の厚さを増やしたり、車輪の幅を拡張したりなどの工夫が見られます。大きな車輪サイズを選択することで、積載物の底面からの高さ (英: ground clearance) を保持し、双輪や広い車輪幅を持つ「低床キャスター」の選択肢も提供されています。

特に重量物 (1トン以上) の運搬においては、人力での運搬が困難であり、動力車やフォークリフトを利用して牽引することが必要です。重量用キャスターの設計には、ブレーキ機構を持たないものもあり、運搬後はワイヤーロープやアンカーを使用して固定し、停止状態を保持する必要があります。

許容荷重の表示については、「製品が耐えられる最大の荷重」が示されているため、製品を選定する際には、安全のために余裕を持った選択を行う必要があります (例えば、安全係数として0.7を掛ける等) 。

重量用キャスターの種類

重量用キャスターは、その利用目的や設計によりさまざまな種類に分類され、そのいくつかの種類を挙げます。

1. 固定キャスター

固定キャスターは、直進のみをサポートする設計が特徴です。これにより、重量物の安定した運搬が可能となります。

2. 旋回キャスター

旋回キャスターは、キャスターが360度旋回する構造を持ち、多方向への動きをサポートします。これにより、重量物を様々な方向に移動させることができます。

3. ブレーキ付きキャスター

このキャスタータイプは、ブレーキ機構を備えており、キャスターの動きをロックすることができます。これにより、重量物を安全に固定したり、特定の位置に保持することが可能となります。

4. スプリング付きキャスター

スプリング付きキャスターは、振動の吸収や、衝撃の緩和を目的としています。精密機器や振動に敏感な物品の運搬に適しています。

5. 低床キャスター

低床キャスターは、床面とのクリアランスを最小限に保ちながら、重荷重を支持することを目的としています。通常、双輪や広幅車輪を特徴とし、重荷重アイテムの安定した運搬をサポートします。

6. 高温耐性キャスター

高温環境での使用を目的として設計されたキャスターであり、車輪材質が特殊な高温に対応できる材質で製造されています。

7. 耐薬品キャスター

薬品や溶剤に耐える特殊な材質で作られており、化学工場や研究所などでの利用に適しています。

 

参考文献
https://www.chubu-sangyo.co.jp/caster/heavy_top.html