サーメットトリマとは
サーメットトリマとは日本語で「半固定抵抗器」と呼ばれる回路部品の一つです。この部品は可変抵抗器のようにユーザーが都度抵抗値を調整するような部品とは異なり、抵抗の値を変化させた後は設定した抵抗値で使用し続ける部品です。
ちなみに「サーメット」とはセラミックス(ceramics)と金属(metal)を組み合わせた造語であり、これらの2種類の材料を練り合わせて作られた部品であることからサーメットと呼ばれています。例えば酸化ルテニウム系の金属粒子とガラスなどが材料として用いられています。
サーメットトリマの使用用途
サーメットトリマは抵抗値の変更頻度が少ない回路で用いられます。通常の可変抵抗器は使用するたびにユーザーが抵抗値をダイヤル等で変更します。一方でサーメットトリマは例えば計測器の指示値の校正に用いられ、この場合は工場から出荷される際に初期設定として抵抗値を変更し、その後は一定の抵抗値を持つ抵抗器として使われます。その他、サーメットトリマは計測機器以外にも産業機器や医療機器、家電機器にも用いられます。
サーメットトリマの原理
サーメットトリマは可変抵抗器の一種であり、サーメット以外にはカーボン(炭素皮膜)、金属巻き線や薄膜などがあります。サーメットトリマは抵抗の範囲が広く、温度特性にも優れ、安定した特性を発現することが可能です。また非常に滑らかなで微細な変化を得ることが可能で、摺動に伴うノイズも比較的少なく抑えられるなどの長所があります。
サーメットの主成分はチタンやタンタルです。これらの材料は耐食性に優れています。家電品などの民生品ではコスト削減のためサーメットではなくカーボンが用いられることがありますが、計測器や通信機器、医療機器では信頼性を重視してサーメットが用いられることが多いです。サーメットトリマは抵抗の設定を行うための機械的な構造が製品によって異なります。具体的には抵抗を調整するために回すダイヤルの位置などです。また、電気的なパラメータ、抵抗の可変範囲も製品によって異なるので用途に応じたものを選定することが必要です。
参考文献
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/trimmer-resistors-guide
https://www.denshi.club/parts/2016/01/post-10.html