積分球

積分球とは

積分球とは、光を均一に反射させる球状の装置のことです。

内部は酸化チタンなどの高い反射率を誇る光散乱材でコーティングされており、入射した光は様々な方向に多重反射します。積分球内で繰り返し光が反射することで、空間的に積分された均一な光を取り出すことができるのです。

大きさ数十センチの小さなものから数メートルの大きなものまで種類が豊富で、レーザーや光源の品質評価や研究機関の実験装置として広く用いられています。

積分球の使用用途

積分球は光を均一にして取り出す使い方と均一な光を放出する使い方があります。例えば、積分球で均一化された光は光源の強度の検出に適しています。また、反射率や透過率を測定する場合は、直接照射される光以外にも拡散による反射や透過を検出することができるのです。

さらに、積分球で均一化された光を放出する光源としても利用することもできます。球の内部で反射を繰り返すことによって強度が一定な光源を作り出すことが可能です。

積分球の原理

積分球の構造は非常にシンプルです。しかし、使用用途に応じて光が入射される方向や検出される部分が異なります。ここでは特徴的な反射率や透過率の測定原理についてご紹介します。

試料の反射率や透過率を測定する場合に、積分球は重要な装置です。積分球を使用することで直接サンプルに当たる光以外にも拡散によって生じた光の反射や透過を検出することができます。構造としては片側から光を入射させ、もう片側に試料を設置します。検出器は下部に設置し、直接光源からの光が入射しないようにすることが大切です。しかし、この方法は基準試料からの相対的な評価となるため、基準を正確に設定しておく必要があります。

これ以外にも光の検出や、光源としての利用方法があります。光は方向によって強度が異なる場合が多いため、反射と拡散を利用して均一化を図ることができる積分球は様々な場所で活躍します。主に大学などの研究機関で広く使われている装置です。

参考文献
https://www.systems-eng.co.jp/column/column02.html
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_sa/ulbricht_sphere.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/uv/support/lib/uvtalk/uvtalk5/basic.htm

磁力計

磁力計とは

磁力計とは、磁界の強さを計測することのできる装置です。

磁界の強さや方向を測定することが可能で、使用する環境によって様々な磁力計が存在します。ホール効果を利用したものや電磁誘導を利用したものが一例です。磁界の計測は古くから鉱脈の探索などに利用されており、現在でも様々な使用場面があります。

製品の製造過程において磁気の検査に使われたり、医療用機器に組み込まれ検査装置としても使われます。

磁力計の使用用途

磁力計は、磁界を測定する様々な場面で使用されます。具体的な使用例は、以下の通りです。

1. 地下に埋まった磁気の探知

鉱脈を見つけるために使用されたり、地中に埋まった地雷を除去したりするために使われます。地表近くの検出では、電磁誘導方式に基づく手法が効果的です。装置が発する電磁場は、埋設された地雷の金属部分に渦電流を誘導し、二次磁場を発生させ磁力計では二次磁場を測定します。

地中深くにある対象には、パルス技術を用いた大型ループの手法が最適です。通常は均一である地磁気を分析して物体を検出する手法で、強磁性物体があると地磁気に歪みが生じるため、その歪みから物体の位置などの情報を解析します。

2. 検査用の医療機器

身体の磁界を測定することで、心磁図や脳磁図の検査にも応用されます。

3. 非破壊検査装置

非破壊検査装置としても利用されます。金属などの強磁性体を調べることで、損傷や欠陥を見つけることが可能です。

空港等のセキュリティゲートでは、セキュリティゲート内のサーチコイルに交流電流を流して磁束を発生させておきます。金属類を身に着けた人が通過することで、金属に渦電流が発生する原理です。

この渦電流は磁束を発生させるため、サーチコイルの起電力変化が生じ、これを信号としてチャイムを鳴らします。

磁力計の原理

磁力計は使用する環境の違いによって様々な種類があります。代表的な手法は、以下の通りです。

1. 振動試料型磁力計

測定する試料を振動させることで、磁界を計測する磁力計のことです。均一な磁界の中に試料をセットし、一定の振動を加えます。試料付近に設置されたコイルによって誘導起電力が発生し、これを読み取ることで磁力を測定することが可能です。

操作が簡便で高速測定が可能であり、5.5K〜1,200Kまで温度を変化させての測定も実施できます。また、低磁場から高磁場まで印加することも可能なため、様々な磁性材料の測定で使用されます。

2. 磁場勾配型磁力計

磁場勾配を作り出すことで、試料の磁界を計測する磁力計です。均一な磁界の中に試料をセットし、試料に交流磁界を加えます。磁化が誘起されるため、試料は周波数に応じた力を受けることになります。この力を電気信号として取り出す仕組みです。

3. フラックスゲート磁力計

電磁誘導の原理を利用した磁力計です。高透磁率磁性材料からなる鉄心にお互いが逆向きの2種類のコイルを巻き付けます。片側に電流を流すことで外部に磁界が発生し、電磁誘導によってもう片側のコイルにも電流が流れます。この電流成分を取り出して磁界を計測する仕組みです。

磁力計のその他情報

ホール素子

ホール素子は、磁界を電圧として出力する半導体磁気センサです。磁力計の中にはホール素子を用いて磁力を検出するものもあります。

半導体に電流を流すと、内部の電子は電流と逆向きに移動します。この状況下でホール素子が磁界にさらされた際に、電子に加わる力がローレンツ力です。ローレンツ力は電子の移動方向を変化させ、電流にも磁界にも垂直な方向に移動します。

移動した電子は、半導体内部で電圧を発生させます。この効果はホール効果と呼ばれ、磁力計ではホール効果で発生した電圧を測定することで磁界の大きさを測定することが可能です。

参考文献
https://www.toyo.co.jp/material/casestudy/detail/id=7003

湿式集塵機

湿式集塵機とは

湿式集塵機とは、湿らせた水を使用して空気中の粒子を捕集する装置です。

排ガスや粉塵の処理装置として使用されます。空気中の粒子が吸引されると、水面に衝突して水に溶けたり吸収されたりします。その結果、空気中の粒子や塵埃が効果的に取り除かれます。湿式微集塵機は、小な粒子や有害物質を効果的に捕集できる装置です。

湿らせた水は粒子を捕まえるだけでなく、空気中の有害な成分を取り除くためにも使用されます。また、湿式集塵機は一部の乾式集塵機よりも火災の危険性が低く、静電気の発生を抑えることが可能です。乾式集塵機を使用した場合と比較して排音量が少ないため、騒音対策としても有効です。

湿式集塵機の使用用途

湿式集塵機は工場や建設現場、医療施設などで広く活用されています。

1. 工業分野

工場や製造現場などの工業環境では、生産プロセスによって発生する粉塵や微粒子を取り除く必要があります。湿式集塵機はこれらの微粒子を効果的に捕集し、作業環境を清浄に保つために使用されます。また、木工所などでも木くずなどが発生するため、湿式集塵機で捕集する場合もあります。

2. 建設分野

建設現場では、土砂やコンクリートの切削などによって大量の塵埃が発生します。建設機械や工具から発生する粉塵を捕集し、作業員や周囲の環境への影響を軽減することが可能です。

3. 医療分野

病院や研究施設でも感染症や微生物の拡散を防ぐために、空気中の微粒子を除去する必要があります。湿式集塵機を利用して、空気を清浄に保つ場合があります。

湿式集塵機の原理

湿式集塵機は、湿らせた水を使用して空気中の粒子を捕集する原理に基づいています。まず、湿式集塵機は空気中の粒子や塵埃を吸引するために、ファンやポンプなどの吸気口を有します。

空気中の塵埃などは、水を主要な捕集媒体として捕集されます。装置内には水が貯められるタンクまたは槽があり、空気中の粒子が吸引されると水面に衝突し、水に溶けたり吸収されたりします。

水中に入った粒子は水によって濾過されます。水は微小な粒子を捕集し、空気から分離可能です。粒子を含んだ水は定期的に排水されるか、フィルターを通して再利用される場合があります。

湿式集塵機の種類

湿式集塵機はウエットスクラバー方式と湿式電気集塵方式があります。

1. ウエットスクラバー方式

ウェットスクラバー方式は、水を使用して空気中の粒子や有害物質を捕集して清浄化する装置です。吸引された粒子を含有する空気は、煙道内を通りながら水と接触します。

水中に吸収された粒子や有害物質は、装置内の分離器やフィルターを通して取り除かれます。これにより、処理された空気が装置から排出されます。

ウェットスクラバー方式は、特に微粒子やガス状物質の除去に効果的です。水との接触によって粒子が効率的に捕集され、清浄な空気を排出します。また、この方式では水が化学的な反応や中和作用を起こすこともあり、有害なガスや蒸気の除去にも役立ちます。

工業環境や排ガス処理施設、廃棄物処理場など、粒子やガスの制御が必要な場所で広く使用されます。

2. 湿式電気集塵方式

湿式電気集塵方式は、空気中の微小な粒子や塵埃を静電気によって捕集する湿式集塵機です。基本的な構造は集塵板や電極を持つ捕集チャンバー、貯液タンク、および高電圧源です。

まず、塵埃を含む空気が導入されます。導入された空気中の塵埃は直流高電圧を印可した捕集チャンバーへ導入され、静電気力によって集塵板へ引き寄せられます。捕集チャンバーには水が供給されており、集塵板に引き寄せられた塵埃を水に溶かして洗い流します。

電気集塵方式は、他の方式よりも捕集できる粒子の大きさが小さい点が特徴です。また、水の利用により、装置内で発生する熱を冷却する効果もあります。直流高電圧源には大型の整流器などが使用され、装置の頂上に設置されることが多いです。

金属製錬プロセスなどにおいて広く使用されます。また、一般的には定期的に集塵板を水洗するため、バックアップ用として複数台並列に導入されるケースも少なくありません。

参考文献
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpo21/sarchpdf/92_12-15.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jriet1972/1/5/1_5_374/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/30/2/30_84/_pdf/-char/ja

湿式粉砕機

湿式粉砕機とは

湿式粉砕機とは、液体を活用して物体を粉砕する装置のことです。

粒子の大きさや状態によって適した粉砕方法が異なりますが、湿式粉砕は特に細かな粒子の粉砕に適しています。比較的小さな粒子は理想強度に近く、単純な衝突だけでは粉砕が難しいため、水や他の液体とビーズを利用し、粒子の表面を削って細かく粉砕することが可能です。

湿式粉砕機は、特に医療分野での医薬品粉砕作業に重要な役割を果たしています。対照的に、液体を使わず空気中やガス中で粉砕する方法は乾式粉砕と呼ばれます。乾式粉砕は大きな粒子の粉砕に適している一方で、湿式粉砕機はより細かい粒子まで粉砕することが可能です。

湿式粉砕機の使用用途

湿式粉砕機は、微細な粒子の粉砕に適した装置として幅広い分野で活用されています。粒子の衝突だけでなく、液体と共に入れたビーズとの摩擦や応力によっても粒子を粉砕することが可能です。

そのため、乾式粉砕では対応が難しかった粒子も、湿式粉砕機で数μm以下の大きさまで粉砕できます。細かい粉砕が求められるさまざまな産業分野で重宝されており、医薬品、顔料・化粧品、ゴム製品や塗料、コンデンサに使用されています。

1. 医薬品

微細な粉砕が必要な医薬品の製造工程で、有効成分の効果を最大限に引き出すために利用されます。

2. 顔料・化粧品

均一な粒子サイズを持つ顔料や化粧品の製造において、滑らかな質感や発色を実現するために活用されます。

3. ゴム製品や塗料

ゴム製品や塗料の製造過程で、均一な粒子サイズが求められる場合や、特定の物性を持つ成分の粉砕に使用されます。

4. コンデンサ

電子部品の1つであるコンデンサの製造において、微細な粉砕が必要な材料の調整や品質向上のために利用されます。

湿式粉砕機の原理

湿式粉砕機は、粉砕室内で液体とビーズを高速回転させることにより、粒子を細かく粉砕しています。具体的には、粉砕されるべき粒子に加えて水などの液体と約2mm以下のビーズが投入されます。高速回転によってビーズと粒子が衝突し、粉砕が進行します。微細なビーズを多く充填させることで、粉砕効率を向上させることが可能です。

湿式粉砕機の最大のメリットは、乾式粉砕に比べてより小さな粒子まで粉砕できる点です。液体と共に高速回転させることでビーズの流動性が増し、衝突が容易になります。さらに、摩擦や応力によって表面が削られるため、乾式よりも細かい粒子に粉砕が可能です。

しかし、水や他の溶液を使用することで、乾式粉砕に比べて粉砕コストが高くなるというデメリットがあります。また、高速回転させたエネルギーの一部は液体に吸収されてしまうため、エネルギー効率が低下するので注意が必要です。

湿式粉砕機の種類

湿式粉砕機は主にビーズミル、アトリターミル、プラネタリーミルの3種類が存在します。使用目的や求められる粒子サイズに応じて、最適な湿式粉砕機を選択することが重要です。

1. ビーズミル

ビーズミルは、粉砕室内に投入された液体とビーズを高速回転させることで粉砕を行う湿式粉砕機の1種です。粒子とビーズの衝突や摩擦によって、微細な粒子への粉砕が可能です。一般的に、顔料や化粧品、医薬品の製造などに利用されます。

2. アトリターミル

アトリターミルは、縦型の筒状の粉砕室内で、粒子を液体と共に攪拌し粉砕する装置です。粉砕室内には、回転する羽根が設置されており、羽根と粒子の衝突や摩擦によって粉砕が行われます。主に、セラミックスや鉱物、顔料などの粉砕に適しています。

3. プラネタリーミル

プラネタリーミルは、粉砕室内の回転と同時に、粉砕容器自体が回転することで、粒子とビーズの衝突や摩擦を利用して粉砕を行う装置です。この二重の回転運動によって、効率的かつ均一な粉砕が可能となります。主に、ナノレベルの粉砕や、高硬度の材料の粉砕に適しています。

参考文献
https://www.thinkymixer.com/ja-jp/library/glossary/pulverization-2/
https://www.aimex-apema.co.jp/case/2018/03/19/23
https://www.ashizawa.com/column/27.html

水素製造装置

水素製造装置とは

水素製造装置とは、水素を作り出せる装置です。

水素は地球上に豊富に存在する元素で、軽くて無色・無臭の気体です。水素は、水から作られることが多く、環境に優しいエネルギーとして注目されています。水素製造装置は、この水素を効率よく作るために開発された技術です。

製造方法は大きく分けて2通りあります。1つ目は、LPガス等の水蒸気改質です。原料はLPガスのみではなく褐炭と言った化石燃料やメタンなど炭化水素も使用できますが、実用化されている水素製造装置の原料にはLPガスが使用されています。

2つ目が水の電気分解で、アルカリ性の水を電気分解して作り出します。水をアルカリ性にする際には一般的に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが添加されます。

水素製造装置の使用用途

水素製造装置で作られた水素は、さまざまな用途で利用されています。主な使用用途は、以下の通りです。

1.  燃料電池

水素と酸素を化学反応させて電気を作り出す燃料電池は、自動車や家庭用の発電など、幅広い分野で利用されています。エネファームなどの家庭用のコージェネレーションシステムは水素を燃料として使用し、燃料電池により発電が行われます。

このコージェネレーション用の燃料である水素を作り出すために、機器内で都市ガスから水蒸気改質で水素が作り出されています。

2. 工業用途

水素は化学工業や鉄鋼業などで、原料や還元剤として使われています。ガラス製造や金属処理用の還元剤用に水素は使用されているため、これらの用途にも水素製造装置は用いられています。

3. ロケット燃料

水素は、液体状態でロケットの燃料としても使われています。

水素製造装置の原理

1. 水蒸気改質法

高温の水蒸気を炭化水素に吹きかけることで水と炭化水素を反応させ、反応後のガスとして水素が得られます。炭化水素中の炭素は水の酸素と結びついて一酸化炭素を形成するため、炭化水素と水の両方から水素分子が分離されます。

2. 電気分解法

2つの電極をアルカリ性の液体に入れ、両方の電極に電圧をかけることで、電気分解反応が始まります。水素は陰極から発生し、陽極からは酸素が発生します。

純粋な水はイオンを含まないので電流が非常に流れにくく、電解質の水酸化ナトリウムを添加します。水酸化ナトリウムを使用すると、陰極から水素、陽極から酸素と単純に水が電気分解され、水酸化ナトリウムを追加せず電気分解をし続けることが可能です。

水素製造装置の種類

水素製造装置には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴や用途によって使い分けられています。

1. 水蒸気改質装置

天然ガスや石油を使った水素製造装置で、これらの化石燃料と蒸気を反応させて水素を取り出す方法です。現在、水素の大部分はこの方法で作られています。効率が良く、大量の水素が得られることが利点ですが、化石燃料を使うため、環境負荷があります。

2. 電気分解装置 

電気分解の原理を使った水素製造装置で、水を電気で分解して水素を作る方法です。この装置は、環境に優しいエネルギー源 (太陽光や風力など) から得られる電気を使うことができるため、環境負荷が低いとされています。ただし、効率や規模面で課題があり、改善が求められています。

水素製造装置のその他情報

1. 再生可能エネルギーによる水素製造装置

水素エネルギーの活用は、今後の脱炭素化にむけた取り組みとしてエネルギー分野を中心に国内外で導入が進み、今後も利用の拡大が予想されます。2017年12月には、国が水素基本戦略を策定し、国全体として水素社会実現のための取り組みを広げているためです。

今後のエネルギー対策の一環として、再生エネルギー (太陽光、風力発電、地熱発電など) の電気を利用した純粋な水素を取り出すことが期待されます。既に太陽光を使ったアルカリ水電解によって水素を製造する技術等が開発されており、水素自動車の燃料電池等の開発に向けられています。

2. 製油所で用いられる水素製造装置

現在の石油精製工場での製油では、水素は欠かせない存在になっています。製油の工程の中で、原料や製品に含まれる硫黄分を除去する「脱硫」と呼ばれる工程で水素が用いられます。

また、水素ガスを用いた触媒反応により良質な石油などの製品を作る水素化分解装置などにも有用です。特に重油の製油の工程では水素を大量に使うため、様々な工業プロセスから副次的に生産された水素 (副生水素) のみでは不足してしまうことから、石油精製工場では水素製造装置が併設されることが多いです。

炭化水素を用いた水素製造の方法としては、スチームから触媒上で熱化学反応を進めるスチームリフォーミング法と、無触媒で反応を進める部分酸化法の2種類があります。

参考文献
https://www.awi.co.jp/business/industrial/plant/vh.html
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/1000971/1000981.html
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/1001150/1001222.html
https://www.toyo-eng.com/jp/ja/products/refinery/hydrocracking/
https://www.eneos.co.jp/business/hydrogen/supply_chain.html
https://www.nedo.go.jp/content/100639757.pdf

放射能測定器

放射能測定器とは放射能測定器

放射能測定器とは、放射線を出す能力を持った放射性物質が、放射線を出す能力を測定するための計測器です。

放射能とは、カリウムやセシウム、ヨウ素といった放射線を放出する力を持っている放射性物質が、放射線を出す能力の大きさを指します。

放射能測定器の使用用途

放射能測定器は、食品等の安全性評価に多く利用されています。例えば、一般食品、乳幼児用食品、乾燥食品、飲料水、牛乳等の検査などです。特に東日本大震災の際の福島の原発事故以来幅広く使用されるようになりました。

原発事故では放射性物質が広範囲にまき散らされたので、土壌汚染が汚染されて場所によっては農作物や海産物への影響を確認しなければなりません。このため、食品の安全を確保するために、原発周辺では食品や土壌、肥料、廃棄物、地下水、汚泥、環境試料の検査が行われるようになりました。

放射能測定器の原理

放射能測定の方法は、測定する放射線の種類ごとに異なります。公益財団法人日本分析センターが運営するサイトでは「放射能測定シリーズ」として、それぞれの放射能の測定方法を公開しており、36の測定方法や試料採取方法が掲載されています。例えば全ベータ放射能測定方法、放射性ストロンチウム分析法、放射性セシウム分析法など、個別の測定方法などです。

また、環境省が公開している放射能濃度等測定法ガイドラインにおいては、放射能濃度の測定は一部の場合を除き、ゲルマニウム半導体検出器により行うとされています。ゲルマニウム半導体検出器は、ゲルマニウム半導体に入社したガンマ線が、検出器の中で作り出す荷電粒子の運動によって生まれる自由電子をとらえて放射線を検出します。

ゲルマニウム半導体検出器はエネルギー分解能が高く、多くの核種を高精度で検出できるのが特徴です。一方でガンマ線以外の放射線、例えばアルファ線やベータ線しか出さない放射性物質の放射能は測定できません。しかし、ガンマ線はアルファ線やベータ線に比べると透過力がはるかに強く、人体への影響も大きい放射線です。

また、ガンマ線スペクトラムを測定することによって、微量の放射性物質の定量が容易にできることもガンマ線の測定が選ばれている理由の1つです。ゲルマニウム半導体検出器以外の放射能測定方法では、Nal (Tl) シンチレーションスペクトロメータがあります。なお、空間線量率の測定について放射能濃度等測定法ガイドラインでは、1年以内に構成されたチンチレーション式サーベイメータ等のγ線を測定できる空間線量計により行うとされています。

放射能測定器に関するその他情報

1. 放射能と放射線との違い

放射能と類似した用語に放射線がありますが、放射線は放射性物質から放出されたものを差します。放射線は目に見えないため、目にみえる可視光線に置き換えて説明します。光を発するものには電球がありますが、電球に該当するのが放射性物質です。

また、電球には発せられる光の大きさの能力があり、白熱電球などのワット数やLED照明で用いられるルーメン数で表されます。放射性物質においては、放射能が該当します。放射能が高いほど、多くの放射線を放出するという意味です。

一方で、照明においてのルクスとは照度であり、同じ能力の照明器具が発光しても、距離によって変化します。同じようにある放射性物質から発せられた放射線が人体に与える影響の大きさは、放射線量として表現されます。なお、放射能の単位はベクレル (Bq) で、放射線の単位はシーベルト (Sv) です。

2. 放射線測定器

放射能測定器が放射線を出す放射性物質の出力の大きさを測定する測定器であるのに対して、放射線測定器は放射能が発せられた環境や、人体が受ける放射線による影響の大きさを測定する計測器です。放射線測定器にはGM管式、シンチレーション式、電離箱サーベイメータなどがあります。

放射能測定、放射線測定、対象となる放射線などに応じて、適切な測定機器や測定法を選定することが大切です。

参考文献
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-04-02.html

振盪機

振盪機とは

一般的な振盪機のイメージ

振盪機とは、試験管や三角フラスコ、分液ロートなどの容器を一定の周期で振盪させ、試料の撹拌を行うための装置です。

シェーカーと呼ばれる場合もあります。装置によって、サンプルホルダーの大きさ、振盪の激しさや加熱温度の上限などが異なります。実験条件やサンプル数によって適切な振盪機を選定することが必要です。

振盪機の使用用途

振盪機は、試験・研究用途で使用されます。生命科学や化学分野における実験において、長時間一定の振盪が必要な場合での使用が一般的です。

生化学分野では、DNAやRNAの抽出などの用途があり、その際はマイクロチューブのような小さな容器が用いられます。免疫沈降法やウエスタンブロッティングなどでは、タッパなどを容器として使い、シーソー形式で振盪する振盪機が用いられます。

化学実験における用途は、反応中の撹拌以外に、抽出作業の際に各層を分離させることです。更に、環境試験や土壌試験などにおける溶出試験、食品アレルゲン検査や食品の残留農薬検査における溶出試験も用途として挙げられます。これらの場合は、公的に定められた試験法 (土壌汚染対策法や食品アレルゲン検査の公定法など) に基づいて振盪を行う必要があるため、適合した製品を用いることが適切です。

振盪機の原理

振盪機は、振盪台の下部の台座内に動力部分が内蔵されています。動力部分は、モーターからベルトを介してプーリーに力を伝えることで、モーターの回転が振盪台の往復運動に変換される、という仕組みです。

マグネチックスターラーの撹拌に比べると、一般的に撹拌力は弱めです。一方、振盪機はマイクロチューブのような、スターラーチップが入らない非常に小さい容器でも振盪させることができるという利点があります。

振盪によって溶液に浸した固体からサンプルを抽出することも可能です。また、装置によってはサンプルホルダーが用意されているため、一度に大量のサンプルを振盪させることもできます。

振盪機の種類

主に生化学分野等で使用される振盪機1

図2. 主に生化学分野等で使用される振盪機1

振盪機の種類は、形式や使用可能な容器、大きさ、用途などによって分類することができます。

1. 振盪の形式

振盪機の振盪形式は、製品によって往復、旋回、シーソーなどがあり、振盪方向にも水平や垂直があります。速さも調節可能ですが、段階式か無段階式かは製品によって異なります。製品によっては、タイマー内蔵型のものもあります。

主に生化学分野等で使用される振盪機2

図3. 主に生化学分野等で使用される振盪機2

2. 使用可能な容器

製品によって様々な容器に対応しています。主な容器として、小型のものでは、ウェルプレート、マイクロチューブ、試験管、遠沈管、バイアル瓶などが挙げられます。大型のものでは、分液ロートや三角フラスコまで対応可能です。シーソー形式の製品は、主にタッパーやシャーレを載せて使われることが多いです。

容器をツメクランプでセットするタイプや、台に載せるだけのものなど様々なものがあります。特に、スプリングネット型と呼ばれるものは、容器の形状によらず簡単に取り付けることができ、汎用性が高いです。製品にもよりますが、通常、複数個の容器を取り付けることができます。

3. 振盪機の大きさ

振盪機の大きさ自体も、卓上小型〜中型のものから、床上据え置きの大きなものまで様々なものがあります。床上置型の一部の大型製品では、三角フラスコを二段で取り付けることが可能です。

4. 特定の用途

土壌汚染対策法の溶出試験や、公定法で定められた食品アレルゲン検査には、各種法令に適合した専用の強力振盪機製品があります。これらの用途の場合は、専用製品を用いることが必要です。

また、微生物を培養させる場合などは、恒温槽と一体になった振盪機を用います。その他の特殊製品としては、高湿度対応振とう機が挙げられます。これは、CO2インキュベーター庫内などの非常に高い湿度の環境下での使用を目的としている製品です。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/word/31
https://taitec.net/type/%E6%8C%AF%E3%81%A8%E3%81%86%E6%A9%9F/

成膜装置

成膜装置とは

成膜装置とは、その名の通り膜を作成するための装置のことです。

薄膜の厚さや純度、有機物・無機物に応じて、さまざまな種類の成膜装置が開発されており、例えば半導体関連の材料のように高純度で均一な膜が必要な場合は、高真空の成膜装置が利用されます。

一方、フィルムのような大面積で大量生産が求められる製品に対しては、ロールトゥロール式やバッチ式などの方法が選択されます。また、溶液を乾燥させて成膜する際には、スピンコート式やインクジェット式といった装置が活用され、溶液を塗布した後、乾燥させて成膜を行うことが可能です。

成膜装置は、用途や条件に応じて適切なタイプを選択することが重要です。その選択によって、より効率的で高品質な製品の開発が可能となります。

成膜装置の使用用途

高純度金属酸化物用の成膜装置は、半導体部品など高純度で薄く均一な金属酸化物の成膜に適しており、高真空の成膜装置が用いられます。また、車のヘッドランプやカメラレンズなど、光の反射を抑制する薄い金属反射膜を表面に成膜する際にも同様の装置が利用可能です。

一方、樹脂フィルムや薄い金属箔など大量生産が求められる製品には、ロールトゥロール式やバッチ式などの成膜装置が適しています。これらの製品はマイクロメートルオーダーの厚みを持ちます。

また、有機EL材料などのプリンテッドエレクトロニクスと呼ばれる有機半導体薄膜は、インクジェット式の成膜装置で作られます。

成膜装置の原理

成膜装置には、高真空成膜装置とロールトゥロール法などの大量生産用成膜装置があります。

1. 高真空成膜装置

高真空の成膜装置は、物理的気相成長法 (PVD) と化学的気相成長法 (CVD) の2種類があります。PVD法には蒸着法とスパッタリング法があり、方法は多種多様です。蒸着法では、膜の材料を加熱して揮発させ、装置上部に取り付けた基板に付着させて膜を成長させます。

スパッタリング法では、電圧によって加速した粒子を膜の材料にぶつけて飛ばし、飛んだ粒子が装置上部に取り付けた基板に付着して膜を成長させます。いずれの方法も、高真空条件で大気中に含まれる酸素などが膜に入らないようにすることで、高純度な膜を得ることが可能です。

2. 大量生産用成膜装置

ロールトゥロール法とは、ロール状に巻いた基板を回転させながらその上に膜を塗っていく方法です。大量生産や大面積の膜の製造に向いています。

均一な膜を作るためには、サンプル溶液の粘度を一定の範囲に収める必要があります。この粘度は回転数やサンプルの物性によって異なるため、成膜条件の検討の際はサンプルの粘度も考慮することが大切です。

成膜装置のその他情報

成膜装置と併用される機械

成膜装置と併用される機械として、真空ポンプ、基板ヒーター、エッチング装置、検査装置の4種類が挙げられます。

1. 真空ポンプ
成膜装置では、高純度な膜を作成するために高真空状態が必要です。真空ポンプは、成膜装置内の空気を抜き取って高真空状態を作り出す役割を果たしています。不純物が膜に混入することを防ぎ、品質の高い膜が作成できます。

2. 基板ヒーター
基板ヒーターは、成膜過程で使用される基板の温度を調整する機械です。成膜に適した温度に基板を加熱することで、膜の密着性や均一性が向上し、より高品質な膜が得られます。

3. エッチング装置
成膜後の基板には、所定の形状やパターンを形成するためにエッチングが必要です。エッチング装置は、薬液やプラズマを用いて膜の一部を選択的に除去する機能を持っています。微細な回路パターンなどが形成されることになります。

4. 検査装置
成膜が完了した後には、品質検査が重要です。検査装置は、膜の厚さ、均一性、密着性などの品質を確認するために使用されます。不良品の早期発見や製造プロセスの改善が可能となり、全体の生産効率が向上します。

導電性フィルム

導電性フィルムとは

導電性フィルムとは、電気を通す能力を持つ薄膜状の材料です。

金属や導電性ポリマーなどの導電性材料から作られます。導電性フィルムの多くは透明であり、ガラスやプラスチックなどの透明基板上に使用することが可能です。これにより、透明な電子デバイスやディスプレイに使用できます。

また、フィルムであるため、非常に柔軟性があります。曲面や柔らかい素材にも適応可能で、フレキシブルディスプレイなどの剛性基板では困難な用途において非常に有用です。

静電気の除去や帯電を防ぐために用いられることも多くあります。また、導電性化合物の混合比率等でフィルムの抵抗率を変えることが可能であり、用途に応じてさまざまなフィルムが販売されています。

導電性フィルムの使用用途

導電性フィルムにはさまざまな使用用途があります。以下は導電性フィルムの使用用途一例です。

1. タッチパネル

タッチスクリーンディスプレイのセンサーとして使用されます。フィルム上に配置されたセンサーは、指やペンの触れた位置を感知して入力情報を検出します。

2. フレキシブルディスプレイ

導電性フィルムは柔軟性と透明性に優れているため、フレキシブルディスプレイの材料として使用されます。フィルムは屈曲することが可能なため、曲面ディスプレイや可曲電子機器に適しています。

3. 太陽光パネル

太陽電池パネルにおいて電気の集電や伝導に使用される場合があります。フィルムは薄く軽量かつ柔軟性があるため、曲面や可撓性基板に適用することが可能です。また、近年では薄型の太陽光パネルも販売されています。

4. センサー

さまざまなセンサーの材料としても利用されます。圧力センサーや柔軟センサー、ストレッチセンサーなどに応用されます。フィルムの変形や伸縮に応じて、導電性が変化することでセンサーとして機能します。

導電性フィルムの原理

導電性フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと導電性高分子から作られます。PETフィルムは透明度が高く、曲げることも可能で加工も容易です。このPETの特徴を導電性フィルムも持っており、曲げたり加工しても導電性を失うことはありません。

導電性高分子としては、ポリチオフェン系高分子半導体やPEDOT-PSSと呼ばれる高分子半導体が使われています。高分子半導体はフィルム内で均一に分散させているため、導電性フィルムの透明性は維持されます。

導電性高分子の量によってフィルムの抵抗率が変化するため、用途に応じて適切なグレードの選定が必要です。また、導電性をあげるために金属のメッシュが練り込まれたフィルムも販売されています。なお、有機溶媒の接触によってフィルムが劣化する場合があることにちゅいが必要です。

また、電荷を運ぶイオンや電荷キャリアを含む材料から作られる場合もあります。このタイプでは電圧をかけることでイオンやキャリアが移動し、電気を伝導します。代表例は、電解質を含む導電性ポリマーフィルムです。

導電性フィルムの選び方

導電性フィルムを選ぶ際に考慮すべき要素は導電性、透明性、サイズや形状などです。具体的な要件に基づいて選ぶことが重要です。

1. 導電性

フィルムの導電性は重要な要素です。使用する用途や要求される電流容量に応じて、適切な導電性を持つフィルムを選ぶ必要があります。導電性は、材料の導電性やフィルムの厚さによって異なります。

2. 透明性

フィルムの透明性が求められる用途の時は、透明性も重要な要素です。特にタッチスクリーンディスプレイやディスプレイパネルなどの場合、フィルムの透明性が画質などに直接影響を与えることになります。

3. 寸法・形状

フィルムの寸法や形状は、製品の設計要件と一致するか確認する必要があります。さまざまな材料やブランドがあり、コストとパフォーマンスのバランスを考慮して選択することが重要です。

また、必要に応じてRoHS指令などの標準規格を満たしているか、または特定の認証を取得しているかを確認します。

参考文献
https://www.nagaoka-sangyou.jp/products/conductive_film.html
http://www.daipake.co.jp/daicrea/index.html
https://www.toyobo.co.jp/seihin/film/kogyo/list/optics/optics_05.html

導波管

導波管とは

導波管とは、マイクロ波やミリ波付近の電磁波を通す管のことです。

広義には、音波でも可視光でも使用できる言葉であるため、光ファイバーなども含まれますが、一般的にはマイクロ波やミリ波付近の波長の電磁波を通すための管の名称として使用されています。形状は、四角もしくは円形の断面を持つ中空の管の構造体です。

マイクロ波は電子レンジなどに用いられており、物体を温める効果が高い電磁波です。しかし、波長が長いため光ファイバーは使用できず、マイクロ波発生源から処理システムまで送る際は、専用のマイクロ波導波管を用いる必要があります。

導波管の使用用途

導波管の使用用途は、高出力のマイクロ波発生装置の場合が多く、レーダー用アンテナやミリ波周波数帯の信号の伝送用途に使われています。例えば、電子レンジの場合、家庭用の電子レンジのように低出力だとマイクロ波発生装置であるマグネトロンが筐体内に設置されていて、直接照射することができます。

しかし、高出力だとマイクロ波によってマグネトロン自身が破壊されるため、別の場所で照射処理を行わなければなりません。加熱などの処理を行う処理室まで導波管をつなげて用いることで、高出力のマイクロ波が供給されます。

導波管はレーダーにも使用されており、電波照射装置であるスロットアンテナの役割があります。RFなどの通信伝送評価用にもマイクロ波だと同軸ケーブルで対応可能ですが、ミリ波帯のSub THz用途向けには導波管が利用されるケースが多いです。

導波管の原理

導波管の原理は、対象とする周波数の電磁波が、菅の中をその形状に応じた伝搬モードを形成しながら伝搬する物理的な性質を用いる点にあります。導波管でよく用いられる中空タイプの構造においては、内蔵する導体がないため内部損失が少なく、比較的大電力の電磁波を伝搬させることが可能です。

例に挙げると、電子レンジでよく使用されている2.45GHzの振動数の電磁波もマイクロ波であり、この電子レンジの電磁波の波長は12.2cmです。電子レンジのマイクロ波を通したい場合には、導波管の直径は12.2cmの波長程度が必要で、マイクロ波の波長が長ければ長い程導波管の直径は大きくなります。

このように、電磁波の波長を基にして導波管の設計が行われます。導波管の形状は四角形の断面の管が一般的ですが、中には円形の導波管や特殊な目的で使用されるリッジ形導波管もあります。

導波管のその他情報

1. 同軸ケーブルとの比較

これまでは、航空管制塔のレーダーやホーンアンテナなどの無線通信システムにおいて導波管はよく使用されてきましたが、昨今では自動車のミリ波レーダーや、5G/beyond5Gなどの次世代無線通信システムにおいてミリ波帯のアプリケーション開発に使用される機会が増えてきました。

これまでのマイクロ波帯での同軸ケーブルと比較して、以下の点が長所として挙げられます。

  • 低損失での送信が可能であり、耐電力に優れる。
  • 金属製の構造物であり、形状が安定しているため、整合を取りやすく反射が少ない。

しかし、長所だけでなく、以下のような短所も存在します。

  • 周波数帯域幅が狭い。
  • 重量が重く高価。

周波数がマイクロ波の場合は、ケーブルの取扱いのしやすさと周波数帯域がミリ波に比較して低いこともあり、同軸ケーブルが用いられる頻度が高いのです。しかし、ミリ波帯で特に110GHzからのD-band含めた高い周波数領域では、一部製品を除き同軸ケーブルが特性面で対応不十分な周波数でもあるため、一般に導波管が用いられている場合が多くあります。

2. 導波管の仕様サイズ

導波管の場合、各種アプリケーション周波数に適合した導波管サイズを選定する必要があり、特にミリ波の場合にはフランジ規格が異なると使えない場合があるため、その仕様選定には十分注意が必要です。ちなみに、導波管サイズを表す 「WR-xxx」 とは「方形導波管」を意味しており、xxxの数字は導波管内幅を100分の1インチ単位で示しています。

参考文献
http://www.vinita.co.jp/institute/microwave/070010.html