湿式粉砕機

湿式粉砕機とは

湿式粉砕機とは、液体を活用して物体を粉砕する装置のことです。

粒子の大きさや状態によって適した粉砕方法が異なりますが、湿式粉砕は特に細かな粒子の粉砕に適しています。比較的小さな粒子は理想強度に近く、単純な衝突だけでは粉砕が難しいため、水や他の液体とビーズを利用し、粒子の表面を削って細かく粉砕することが可能です。

湿式粉砕機は、特に医療分野での医薬品粉砕作業に重要な役割を果たしています。対照的に、液体を使わず空気中やガス中で粉砕する方法は乾式粉砕と呼ばれます。乾式粉砕は大きな粒子の粉砕に適している一方で、湿式粉砕機はより細かい粒子まで粉砕することが可能です。

湿式粉砕機の使用用途

湿式粉砕機は、微細な粒子の粉砕に適した装置として幅広い分野で活用されています。粒子の衝突だけでなく、液体と共に入れたビーズとの摩擦や応力によっても粒子を粉砕することが可能です。

そのため、乾式粉砕では対応が難しかった粒子も、湿式粉砕機で数μm以下の大きさまで粉砕できます。細かい粉砕が求められるさまざまな産業分野で重宝されており、医薬品、顔料・化粧品、ゴム製品や塗料、コンデンサに使用されています。

1. 医薬品

微細な粉砕が必要な医薬品の製造工程で、有効成分の効果を最大限に引き出すために利用されます。

2. 顔料・化粧品

均一な粒子サイズを持つ顔料や化粧品の製造において、滑らかな質感や発色を実現するために活用されます。

3. ゴム製品や塗料

ゴム製品や塗料の製造過程で、均一な粒子サイズが求められる場合や、特定の物性を持つ成分の粉砕に使用されます。

4. コンデンサ

電子部品の1つであるコンデンサの製造において、微細な粉砕が必要な材料の調整や品質向上のために利用されます。

湿式粉砕機の原理

湿式粉砕機は、粉砕室内で液体とビーズを高速回転させることにより、粒子を細かく粉砕しています。具体的には、粉砕されるべき粒子に加えて水などの液体と約2mm以下のビーズが投入されます。高速回転によってビーズと粒子が衝突し、粉砕が進行します。微細なビーズを多く充填させることで、粉砕効率を向上させることが可能です。

湿式粉砕機の最大のメリットは、乾式粉砕に比べてより小さな粒子まで粉砕できる点です。液体と共に高速回転させることでビーズの流動性が増し、衝突が容易になります。さらに、摩擦や応力によって表面が削られるため、乾式よりも細かい粒子に粉砕が可能です。

しかし、水や他の溶液を使用することで、乾式粉砕に比べて粉砕コストが高くなるというデメリットがあります。また、高速回転させたエネルギーの一部は液体に吸収されてしまうため、エネルギー効率が低下するので注意が必要です。

湿式粉砕機の種類

湿式粉砕機は主にビーズミル、アトリターミル、プラネタリーミルの3種類が存在します。使用目的や求められる粒子サイズに応じて、最適な湿式粉砕機を選択することが重要です。

1. ビーズミル

ビーズミルは、粉砕室内に投入された液体とビーズを高速回転させることで粉砕を行う湿式粉砕機の1種です。粒子とビーズの衝突や摩擦によって、微細な粒子への粉砕が可能です。一般的に、顔料や化粧品、医薬品の製造などに利用されます。

2. アトリターミル

アトリターミルは、縦型の筒状の粉砕室内で、粒子を液体と共に攪拌し粉砕する装置です。粉砕室内には、回転する羽根が設置されており、羽根と粒子の衝突や摩擦によって粉砕が行われます。主に、セラミックスや鉱物、顔料などの粉砕に適しています。

3. プラネタリーミル

プラネタリーミルは、粉砕室内の回転と同時に、粉砕容器自体が回転することで、粒子とビーズの衝突や摩擦を利用して粉砕を行う装置です。この二重の回転運動によって、効率的かつ均一な粉砕が可能となります。主に、ナノレベルの粉砕や、高硬度の材料の粉砕に適しています。

参考文献
https://www.thinkymixer.com/ja-jp/library/glossary/pulverization-2/
https://www.aimex-apema.co.jp/case/2018/03/19/23
https://www.ashizawa.com/column/27.html

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