放射能測定器

放射能測定器とは放射能測定器

放射能測定器とは、放射線を出す能力を持った放射性物質が、放射線を出す能力を測定するための計測器です。

放射能とは、カリウムやセシウム、ヨウ素といった放射線を放出する力を持っている放射性物質が、放射線を出す能力の大きさを指します。

放射能測定器の使用用途

放射能測定器は、食品等の安全性評価に多く利用されています。例えば、一般食品、乳幼児用食品、乾燥食品、飲料水、牛乳等の検査などです。特に東日本大震災の際の福島の原発事故以来幅広く使用されるようになりました。

原発事故では放射性物質が広範囲にまき散らされたので、土壌汚染が汚染されて場所によっては農作物や海産物への影響を確認しなければなりません。このため、食品の安全を確保するために、原発周辺では食品や土壌、肥料、廃棄物、地下水、汚泥、環境試料の検査が行われるようになりました。

放射能測定器の原理

放射能測定の方法は、測定する放射線の種類ごとに異なります。公益財団法人日本分析センターが運営するサイトでは「放射能測定シリーズ」として、それぞれの放射能の測定方法を公開しており、36の測定方法や試料採取方法が掲載されています。例えば全ベータ放射能測定方法、放射性ストロンチウム分析法、放射性セシウム分析法など、個別の測定方法などです。

また、環境省が公開している放射能濃度等測定法ガイドラインにおいては、放射能濃度の測定は一部の場合を除き、ゲルマニウム半導体検出器により行うとされています。ゲルマニウム半導体検出器は、ゲルマニウム半導体に入社したガンマ線が、検出器の中で作り出す荷電粒子の運動によって生まれる自由電子をとらえて放射線を検出します。

ゲルマニウム半導体検出器はエネルギー分解能が高く、多くの核種を高精度で検出できるのが特徴です。一方でガンマ線以外の放射線、例えばアルファ線やベータ線しか出さない放射性物質の放射能は測定できません。しかし、ガンマ線はアルファ線やベータ線に比べると透過力がはるかに強く、人体への影響も大きい放射線です。

また、ガンマ線スペクトラムを測定することによって、微量の放射性物質の定量が容易にできることもガンマ線の測定が選ばれている理由の1つです。ゲルマニウム半導体検出器以外の放射能測定方法では、Nal (Tl) シンチレーションスペクトロメータがあります。なお、空間線量率の測定について放射能濃度等測定法ガイドラインでは、1年以内に構成されたチンチレーション式サーベイメータ等のγ線を測定できる空間線量計により行うとされています。

放射能測定器に関するその他情報

1. 放射能と放射線との違い

放射能と類似した用語に放射線がありますが、放射線は放射性物質から放出されたものを差します。放射線は目に見えないため、目にみえる可視光線に置き換えて説明します。光を発するものには電球がありますが、電球に該当するのが放射性物質です。

また、電球には発せられる光の大きさの能力があり、白熱電球などのワット数やLED照明で用いられるルーメン数で表されます。放射性物質においては、放射能が該当します。放射能が高いほど、多くの放射線を放出するという意味です。

一方で、照明においてのルクスとは照度であり、同じ能力の照明器具が発光しても、距離によって変化します。同じようにある放射性物質から発せられた放射線が人体に与える影響の大きさは、放射線量として表現されます。なお、放射能の単位はベクレル (Bq) で、放射線の単位はシーベルト (Sv) です。

2. 放射線測定器

放射能測定器が放射線を出す放射性物質の出力の大きさを測定する測定器であるのに対して、放射線測定器は放射能が発せられた環境や、人体が受ける放射線による影響の大きさを測定する計測器です。放射線測定器にはGM管式、シンチレーション式、電離箱サーベイメータなどがあります。

放射能測定、放射線測定、対象となる放射線などに応じて、適切な測定機器や測定法を選定することが大切です。

参考文献
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-04-02.html

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