振盪機

振盪機とは

一般的な振盪機のイメージ

図1. 一般的な振盪機のイメージ

振盪機とは、試験管や三角フラスコ、分液ロートなどの容器を一定の周期で振盪させ、試料の撹拌を行うための装置です。

シェーカーと呼ばれる場合もあります。装置によって、サンプルホルダーの大きさ、振盪の激しさや加熱温度の上限などが異なります。実験条件やサンプル数によって適切な振盪機を選定することが必要です。

振盪機の使用用途

振盪機は、試験・研究用途で使用されます。生命科学や化学分野における実験において、長時間一定の振盪が必要な場合での使用が一般的です。

生化学分野では、DNAやRNAの抽出などの用途があり、その際はマイクロチューブのような小さな容器が用いられます。免疫沈降法やウエスタンブロッティングなどでは、タッパなどを容器として使い、シーソー形式で振盪する振盪機が用いられます。

化学実験における用途は、反応中の撹拌以外に、抽出作業の際に各層を分離させることです。更に、環境試験や土壌試験などにおける溶出試験、食品アレルゲン検査や食品の残留農薬検査における溶出試験も用途として挙げられます。これらの場合は、公的に定められた試験法 (土壌汚染対策法や食品アレルゲン検査の公定法など) に基づいて振盪を行う必要があるため、適合した製品を用いることが適切です。

振盪機の原理

振盪機は、振盪台の下部の台座内に動力部分が内蔵されています。動力部分は、モーターからベルトを介してプーリーに力を伝えることで、モーターの回転が振盪台の往復運動に変換される、という仕組みです。

マグネチックスターラーの撹拌に比べると、一般的に撹拌力は弱めです。一方、振盪機はマイクロチューブのような、スターラーチップが入らない非常に小さい容器でも振盪させることができるという利点があります。

振盪によって溶液に浸した固体からサンプルを抽出することも可能です。また、装置によってはサンプルホルダーが用意されているため、一度に大量のサンプルを振盪させることもできます。

振盪機の種類

主に生化学分野等で使用される振盪機1

図2. 主に生化学分野等で使用される振盪機1

振盪機の種類は、形式や使用可能な容器、大きさ、用途などによって分類することができます。

1. 振盪の形式

振盪機の振盪形式は、製品によって往復、旋回、シーソーなどがあり、振盪方向にも水平や垂直があります。速さも調節可能ですが、段階式か無段階式かは製品によって異なります。製品によっては、タイマー内蔵型のものもあります。

主に生化学分野等で使用される振盪機2

図3. 主に生化学分野等で使用される振盪機2

2. 使用可能な容器

製品によって様々な容器に対応しています。主な容器として、小型のものでは、ウェルプレート、マイクロチューブ、試験管、遠沈管、バイアル瓶などが挙げられます。大型のものでは、分液ロートや三角フラスコまで対応可能です。シーソー形式の製品は、主にタッパーやシャーレを載せて使われることが多いです。

容器をツメクランプでセットするタイプや、台に載せるだけのものなど様々なものがあります。特に、スプリングネット型と呼ばれるものは、容器の形状によらず簡単に取り付けることができ、汎用性が高いです。製品にもよりますが、通常、複数個の容器を取り付けることができます。

3. 振盪機の大きさ

振盪機の大きさ自体も、卓上小型〜中型のものから、床上据え置きの大きなものまで様々なものがあります。床上置型の一部の大型製品では、三角フラスコを二段で取り付けることが可能です。

4. 特定の用途

土壌汚染対策法の溶出試験や、公定法で定められた食品アレルゲン検査には、各種法令に適合した専用の強力振盪機製品があります。これらの用途の場合は、専用製品を用いることが必要です。

また、微生物を培養させる場合などは、恒温槽と一体になった振盪機を用います。その他の特殊製品としては、高湿度対応振とう機が挙げられます。これは、CO2インキュベーター庫内などの非常に高い湿度の環境下での使用を目的としている製品です。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/word/31
https://taitec.net/type/%E6%8C%AF%E3%81%A8%E3%81%86%E6%A9%9F/

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