磁力計

磁力計とは

磁力計とは、磁界の強さを計測することのできる装置です。

磁界の強さや方向を測定することが可能で、使用する環境によって様々な磁力計が存在します。ホール効果を利用したものや電磁誘導を利用したものが一例です。磁界の計測は古くから鉱脈の探索などに利用されており、現在でも様々な使用場面があります。

製品の製造過程において磁気の検査に使われたり、医療用機器に組み込まれ検査装置としても使われます。

磁力計の使用用途

磁力計は、磁界を測定する様々な場面で使用されます。具体的な使用例は、以下の通りです。

1. 地下に埋まった磁気の探知

鉱脈を見つけるために使用されたり、地中に埋まった地雷を除去したりするために使われます。地表近くの検出では、電磁誘導方式に基づく手法が効果的です。装置が発する電磁場は、埋設された地雷の金属部分に渦電流を誘導し、二次磁場を発生させ磁力計では二次磁場を測定します。

地中深くにある対象には、パルス技術を用いた大型ループの手法が最適です。通常は均一である地磁気を分析して物体を検出する手法で、強磁性物体があると地磁気に歪みが生じるため、その歪みから物体の位置などの情報を解析します。

2. 検査用の医療機器

身体の磁界を測定することで、心磁図や脳磁図の検査にも応用されます。

3. 非破壊検査装置

非破壊検査装置としても利用されます。金属などの強磁性体を調べることで、損傷や欠陥を見つけることが可能です。

空港等のセキュリティゲートでは、セキュリティゲート内のサーチコイルに交流電流を流して磁束を発生させておきます。金属類を身に着けた人が通過することで、金属に渦電流が発生する原理です。

この渦電流は磁束を発生させるため、サーチコイルの起電力変化が生じ、これを信号としてチャイムを鳴らします。

磁力計の原理

磁力計は使用する環境の違いによって様々な種類があります。代表的な手法は、以下の通りです。

1. 振動試料型磁力計

測定する試料を振動させることで、磁界を計測する磁力計のことです。均一な磁界の中に試料をセットし、一定の振動を加えます。試料付近に設置されたコイルによって誘導起電力が発生し、これを読み取ることで磁力を測定することが可能です。

操作が簡便で高速測定が可能であり、5.5K〜1,200Kまで温度を変化させての測定も実施できます。また、低磁場から高磁場まで印加することも可能なため、様々な磁性材料の測定で使用されます。

2. 磁場勾配型磁力計

磁場勾配を作り出すことで、試料の磁界を計測する磁力計です。均一な磁界の中に試料をセットし、試料に交流磁界を加えます。磁化が誘起されるため、試料は周波数に応じた力を受けることになります。この力を電気信号として取り出す仕組みです。

3. フラックスゲート磁力計

電磁誘導の原理を利用した磁力計です。高透磁率磁性材料からなる鉄心にお互いが逆向きの2種類のコイルを巻き付けます。片側に電流を流すことで外部に磁界が発生し、電磁誘導によってもう片側のコイルにも電流が流れます。この電流成分を取り出して磁界を計測する仕組みです。

磁力計のその他情報

ホール素子

ホール素子は、磁界を電圧として出力する半導体磁気センサです。磁力計の中にはホール素子を用いて磁力を検出するものもあります。

半導体に電流を流すと、内部の電子は電流と逆向きに移動します。この状況下でホール素子が磁界にさらされた際に、電子に加わる力がローレンツ力です。ローレンツ力は電子の移動方向を変化させ、電流にも磁界にも垂直な方向に移動します。

移動した電子は、半導体内部で電圧を発生させます。この効果はホール効果と呼ばれ、磁力計ではホール効果で発生した電圧を測定することで磁界の大きさを測定することが可能です。

参考文献
https://www.toyo.co.jp/material/casestudy/detail/id=7003

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